今日は。
クラシックを扱ったマンガで有名なのは、やはり『のだめカンタービレ』ではないでしょうか?
職場の女性に聞いてみると、この作品でクラシックを聴くようになったとか、出演者の千秋が素敵だとの答が直ぐ帰ってきました。
ついでに『まみあな四重奏団』について聞くと、知らないとの答えでした。
時間のある方は、アニメ『のだめカンタービレ』の第一回を見てください。
〇(NK ANJ01)のだめカンタービレ(アニメ・日本編)#1
https://www.youtube.com/watch?v=vrDZeaYCgHI
今回は『まみあな四重奏団』(リンク)の続編の『まみあな四重奏団 カノン』をご紹介します。
双子として育った二人が、実は血がつながっていないとわかった後の家族の物語です。
前回から2年の月日がたっています。
<まみあな四重奏団 中:
マンガとクラシック>
2. 『まみあな四重奏団 カノン』週刊マーガレット1988年No.1~No.6掲載
〇新たな登場人物
古荘先輩:武蔵音大付属高校学生オーケストラ バンマス
藤枝潤子:和音のジュリアード時代の彼女。18歳。
米国から和音を追ってくる。
〇ストーリー
武蔵音大付属高校学生オーケストラは学年を問わず、成績の良いものがメンバーに選ばれ、古荘先輩がバンマス。
古荘はカリンに「よ! ブルペンエース」(練習では天才、本番にでると予選落ち」と声をかけます。
カリンは第二バイオリン 一番後ろ、ちょっと気をぬくとメンバーから落ちる危ない席。
和音がジュリアード音楽院の留学を終え、2年ぶりにアメリカから帰ってきます。
家でパーティの用意をしているのに現れない和音。
翌朝、花梨は諦めて学校に行くと、聞いたことのある音色が流れてくる。
雰囲気は大分、昔と違う和音。
古荘に嫌な態度をとる和音。
「大事な妹をべたべたさわる奴(古荘)を許せるか!」
花梨担当の三平先生は「小泉(花梨)、お前はコンクールが苦手じゃないんだ。人と競って傷つくのが苦手なんだ。」と。
悩む花梨は和音が演奏していたストリートに立ち、演奏しだします。
そこに急に、藤枝潤子がチェロを持って現れ、一緒にバッハを弾きだします。
「あんた 音が内気すぎる。もっと外へ出しなさい」
(写真:街頭演奏)
藤枝の夢はクラッシックの四重奏かピアノを入れて五重奏のバンドを作るのが夢。
二人は一緒に外で演奏を始めます。
藤枝「恋はしている。ずっと追いかけているカノンのように。
花梨「それはわかる」
花梨が藤枝のアパートにより、買い物にでた藤枝の所に、和音からの電話。
藤枝の追いかけているのは和音だった。
藤枝の部屋で三人は遭遇し、花梨は慌てて部屋をでる。
「あたし和音のこと兄妹なんて思っていない。思っていたら逃げたりしない。
あたしあたし、和音のこと好き
だれにも渡したくなんかない」
涙を流し家に帰ると、長兄から、親たちが帰ってくる、というニュース。
ある時、花梨は長男に、泣きながら、苦しい気持ちを打ち明けます。
「和音がすきだよぉ」
それを聞いた長男は、叔母のところに相談に行きます。
「和音と花梨は結婚したいといったら可能か?」
相談から家に帰ると、和音が、「静音賞」コンクールの後に留学を考えている花梨に言い寄ります。
「お前じゃ絶対だめだ、家族から離れて、孤独の中で」
その話を聞いて、長男は和音を男としてに殴りかかります。
「花梨の気持ちを一番に考えてあげられないなら、この家から出ていけ」。
それを見ていた次男も、練習する和音と藤枝の所に出かけていき、いきなりヴィオラを弾きだす。
和音に「これが小泉の音だよ。家族のフリなんかするな。」と。
「行けー(コンクール会場に)」
「いつまでも追いかけっこしてんじゃねーよ」
演奏の前に花梨は気づきます、和音の言葉は全部 逆だとしたら、と。
花梨の前に現れた父と母を前に弾きだす花梨。
父は「この音は 恋ーーか 相手は和音か・・・」と驚きます。
静音賞を受賞する花梨。
会場に和音の声が響く。
和音に、花梨は自分の気持ちを伝えようと、歩みよります。
「伝えよう たったひとことで きっと‥‥カノンは終わる」
父親たちが二人に駆け寄ります。
「あたらしい小泉家か」
●僕の感想
*いつもなら「僕の評価」などど、大それたサブタイトルで書くのですが、こと女性の作品です。
僕の感想とさせてください。
「まみあな四重奏団」の家族中心の話から、槇村さとるのエッセイ『イマジンノート』で作者が言うように、続編『まみあな四重奏団 カノン』では花梨と和音の恋の物語を絡めた「芸」の物語になっています。
和音と「花梨の血の」小泉家の違いをバイオリンの弦、音で表しています。
二人は花梨が求めると和音が去り、和音が求めると花梨が去るように、まるで「カノン」の曲のようです。
そこに、アメリカから和音を追いかけて来た藤枝と和音のカノンが加わり、少し複雑になっています。
女性作家ならでは、心の動きと表現になっています。
本当は、花梨の大人への変化や女性としての変化をバイオリンの音で表せたらいいのでしょうが、紙ではそれはできません。
その代りに変化を表情などの絵によって表現しています。
(街頭演奏とコンクールの演奏を比較してみてください)
女性の心理をうまくあらわしています。
こんな場面がありました。
*悩むカリンは和音が演奏したのと同じストリートに立ち、演奏しだしたします。
そこに急にチェロを持って現れた女性藤枝潤子。
一緒にバッハを弾く。
「あんた音が内気すぎる。もっと外へ出しなさい」
*演奏の前に花梨はきづく、和音の言葉は全部 逆だとしたら、と。
花梨の前に現れる父と母。
弾きだす花梨。
父は「この音は 恋ーーか 相手は和音か・・・」
よく、男性作家ですが、ちばてつやが、心の描写?がすごいと言われます。
それは、ちばがデビューの頃少女雑誌に作品を発表して、心情を表したからではないでしょうか?、
●コーヒーブレーク
「カノン」は楽曲様式を表す音楽用語で、日本語では「輪唱」などと訳します。
一つのメロディを、複数のパートが追いかけるように演奏していく演奏様式のことです。
有名な曲では「カエルの歌」やベートーベン作曲の交響曲第9番の「歓喜の歌」がカノン形式の楽曲として有名です。
(島村楽器 HPから)
〇Canon in D (Pachelbel's Canon) - Violin, Cello & Piano [BEST WEDDING VERSION]
https://www.youtube.com/watch?v=7hp25qXj8ZU
●少女マンガ 港区 VS 少年漫画 下町
この本を読んで、まみあな(狸穴)とまみあながある港区が気になりました。
そういえば、『美少女戦士セイラームーン』(雑誌『なかよし』で1992年2月号から1997年3月号まで連載)も舞台は港区でした。
港区と少女、それもハイソな家庭。なんだかよく似合いますね。
それに対して、少年はどうでしょうか?
僕が思い出す少年のヒーローは、60年代は星飛雄馬(「巨人の星」)は町屋、矢吹ジョー(「あしたのジョー」)は東京・山谷のドヤ街、東一郎(「アニマル1」)は墨田区。
70年代は、谷口(「キャプテン」は隅田区、翼(「キャプテン翼」)は静岡の中都市が舞台となっています。
なんとなく僕の好きなヒーローたちを集めたのでスポーツ物になってしまいましたが、ハイソな港区はではなく下町が活躍場所です。
そういえば永島慎二の海外から帰った復帰作『はないちもんめ』は港区が舞台ですが、まだまだ「めんこ」ができる原っぱがある田舎です。
残念ながら、このテーマはこれ以上は、発展しそうにありません(笑)
この『まみあな四重奏団』は音楽とマンガのクロスした作品です。
次回は、このテーマについて、少し考えてみましょう。