サッカーはおれの夢:キャプテン翼(Part2) | 懐かしエッセイ 輝ける時代たち(シーズンズ)

懐かしエッセイ 輝ける時代たち(シーズンズ)

懐かしい’60s’70s’80s
ひときわ輝いていたあの時代の思い出のエッセイ集です。
毎週土曜日更新予定です。

今日は。

6月中旬に始まったワールドカップ ブラジル大会も、もうドイツとアルゼンチンの決勝戦と三位決定戦を残すのみになりました。

ベスト16の各チームの試合は、もうどれも異次元の試合内容ですね。

今回は、「キャプテン翼」のPart2です。



キャプテン翼3

 翼の物語は、幼年期の翼がボールと遊んでいて、トラックに跳ねられそうになるところから始まります。
そのトラックから翼を守ってくれたのが、翼が持っていた「ボール」でした。
トラックと翼の間でボールがクッションの役目をはたして、翼の命を守ります。
「ボールは友達」
翼とボールの友達関係の始まりです。
(アニメでは、最初ではなく、途中にこの逸話が挟まれます)


 そこから時間は、小学校6年生にジャンプします。
翼は、、サッカーチームがない小学校からサッカー王国静岡県ではありますが、弱小チームの南葛小学校に転校します。
翼の良きチームメイトとなる石崎とここで会います。
また同じ小学校のエリアには、天才ゴールキーパー林がいる私立修哲小学校があります。
若林のすごさを見た翼は、挑戦状を若林にたたきつけるという行動にでます。
それも、小高い丘から若林の大邸宅に蹴りこむという手段で、それも大人でも蹴るのが難しい距離から。
若林と翼の戦いは、若林の提案で南葛と修哲の対抗戦に持ち込まれます。


 また、時を同じくして、永遠のパートナー岬太郎が南葛小に転校してきます。
翼と岬の「ゴールデンコンビ」の誕生です。


 全日本サッカー大会が始まり、今年は南葛市は単独チームではなく、合同のチームで出場することになります。
こうして、翼・岬・若林・石崎の新生南葛チームが誕生し、全日本に参加します。


 全日本には、猛虎のストライカー日向小次郎を擁する明和小、アクロバットなサッカーを展開する立花兄弟花輪小松山ふらのFC、天才三杉淳がいる武蔵FCが集まります。
このチームを中心に小学生ながら持てる力を尽くした試合が続きます。
さっとこのように物語が展開されます。



キャプテン翼2
 この漫画の見せ場は、なんといってもサッカーそのものです。
小学生ながら、レベルが高く、力を出し切るプレーが続きます。
この戦いは、普通の漫画ならば「死闘」という言葉を使うのですが、この漫画にはこの言葉が合わないんです。
確かに試合内容は「壮絶」なんですが、とても「さわやか」なんです。


 何がこんなにこの作品をさわやかにしているのでしょうか。
一つは、随所にあらわれる翼の笑顔だと思います。
この笑顔、作品で確認して頂くのが一番なんですが、小学生らしい無垢で、表情がたまりません。

 その翼がこの笑顔で「ボールは友達」、「ワールドカップで優勝する」というのですから、もうたまりません。
これを読んだ子供は、同じように感じ、大人の読者は「自分も嘗てそんな無邪気な時代があったな」なんて感じたのではないでしょうか。
僕はそうでした。


 試合の場面の中で忘れられないエピソードがあります。
純粋にサッカーに打ち込むのではなく、小学生ながら新聞配達をしながらサッカーをする日向に、試合中に「おれのサッカーは、お前らのあそびのサッカーとはちがうんだ!!」と言われ、翼は答えます。
「あそびなんかじゃない。サッカーはおれの夢だ!!」と。
この時、この作品の中で初めてだと思いますが、翼が「おれ」という強い言葉で、日向に叫び返します。
今まで笑顔だった翼が叫ぶのですから、もう強烈です。


 それはそうですよね。翼の夢はワールドカップで優勝することですから。
そのために、小学生ながら、親と離れ、ロベルトとブラジルに行くこともはばからないのですから。
(残念ながら、ロベルトの翼と両親への思いから、翼のブラジル行はかないませんでしたが。)


 そういえば、本田選手が今回のブラジル大会が始まる前に「優勝」と言っていましたね。
やはり真剣にサッカーのことを考えるとこういう発言になるのでしょう。
彼も翼のファンかもしれませんね。
それから、今回のブラジル大会での日本は残念ながら決勝トーナメントに進めませんでしたが、この「キャプテン翼」があったから、日本のサッカーも「ワールドカップでの優勝」が見えるようになったのだと思います。


 この作品は、「友情」「努力」「勝利」を標榜する少年ジャンプらしい作品の一つだと思います。