今日は。
2024年プロ野球交流戦も、最終段階を迎えています。
楽天が初優勝するのでしょうか?
さて、僕のポールサイモンは、昨年2023年6月に新譜『七つの詩篇』を出しています。
数年前に、ライブは行わないという発言をしていたので、引退してしまうのだろうかと心配していましたが、安心しています。
又、昨年8月には国書刊行会より『ポール・サイモン 全詩集』(栩木伸明 訳)がでています。
全詩集が出ているの洋楽のアーティストは、ディランとビートルズ、サイモン以外にいるのでしょうか?
(調べたら、『シド・バレット全詩集:サイケデリアの天才が生み出した世界』というのがありましたが、シド・バレット僕は知りません。)
本ブログでサイモン&ガーファンクル(S&G)のアルバムを取り上げるのが「卒業」(リンク)以来、数年止まっていました。
彼等が好きな故に、かえって、中々書けないもどかしさを数年感じていました。
2023年は、上のような状況でしたので、ポール・サイモンの振り返る良い年でした。
大部遅れてしまいましたが、ポールとS&Gについて少し書き始めたいと思います。
<アルバム『ブックエンド』 Part1:SIDE A>
●アルバム「『ブックエンド』
(写真:アルバム)
●発売・セールス
1968年 4月発売。
68年のサウンドトラック・アルバム「卒業」、本作、そして70年『明日に架ける橋』の三作でS&Gの絶頂期を迎えました。
本作は、アルバム『卒業』を追い落とす形で全米1位を獲得い、合計7週に渡って1位となりました。
『卒業』と『ブックエンド』」よって、S&Gのアルバムが16週連続で全米1位を独占する形となりました。
イギリスでも、サイモン&ガーファンクルにとって初となる1位獲得しています。
ビートルズは、米国では、1967年6月『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』68年11月『ザ・ビートルズ (アルバム)』をリリースしています。
ちょうどその間に、『ブックエンド』は発売され、タイミングもよかったと思います。
ところで、昨年2023年の「レコードコレクターズ」4月号でシンガー・ソングライターの「kiss the gambler」が、若者にアルバム『ブックエンド』や『明日に架ける橋』の関心が高まっていると発言していました。
これについては、少し調べてみたいと思います。
●プロデューサー: サイモン、ガーファンクル&ロイ・ハリー
このアルバムからプロデューサーが変わりました。
ファースト・アルバム『水曜日の朝午前三時』(リンク)は トム・ウイルソン、セカンド・アルバム『サウンズ オブ サイレンス』(リンク)とサードアルバム『パセリ セージ ローズマリー &タイム』(リンク)は ボブ ジョンストン。
おもしろいことに、、ボブ・ディランの同時期のアルバムと同じプロデューサーになっています。
(ちなみに、『卒業』はなんと、ジャズ界の大物、テオ・マセロでした。)
ファースト・アルバムからS&Gのエンジニアは、ロイ・ハリーでした。
もともとロイ・ハリーは彼らのレコードのエンジニアでしたが、このアルバムからS&Gと共同プロデューサーになっています。
このアルバムからロイはS&Gのグループとソロ活動にも腕を振るいます。
●レッキングクルー
このアルバムにもミュージシャンのクレジットはありません。
ですが、恐らく主要なメンバーは
ドラム:ハル・ブレイン
キーボード: ラリー ネクテル
ベース: ジョー オズボーン
の「レッキングクルー」のメンバーだと思います。
●ポスター封入
米国版は確認していませんが、日本版には大型のポスターがアルバムのスリーブに封入されていました。
レコ―ド会社の力の入れようがわかります。
(写真:ポスター)
●トータル・アルバム
67年のビートルズの『サジャント・ペッパー・ロンリー・ハート・クラブバンド』はトータル・アルバムと言われています。
この『ブック・エンド』も、あまりビートルズの様には取り上げられていませんが、詩的にも、サウンド的にもトータルアルバムだと思います。
ただ、世間的には、A面のみですが。
で、B面はどうかというと、アルバム未収録のシングルを集めた「シングル曲集」と言われています。
ですが、これについては、僕は異議がありますので、それは別途。
まずはA面からご紹介します。
●SIDE A
この面は、詩的には、アメリカの各世代の状況をよく表しています。
且つ、曲はその世代にあったリズムで演奏されています。
1.ブックエンド テーマ
2台のギターだけのインストメンタル。
アルペジオのテーマを奏でるギターは2音で進行します。
ノスタルジックな音。
〇Bookends Thema
https://www.youtube.com/watch?v=3Gh0zFVc6S8
2.我が子の命を救いたまえ
理解されない、それゆえ行き場のない少年の詩です。
それを見つめる母親の狂乱のような声を思わせるパートが間奏部できこえてきます。
そして人々は互い問い合います。
「子どもたちに何が起こっているんだ」
〇 Bookends Theme/Save The Life Of My Child
今迄、最初のフレーズ“Good God! Don't Jump!”が解りませんでした。
昨年、栩木 訳の「なんてこった! 飛び降りるなよ!」(「全集 」)読んで、何か全体が数十年ぶりにこの曲が理解できました。
隠れるところの無い少年は高いビルか何かから飛び降りようとしています。
少年らしく、16ビーとで疾走感がでています。
3.アメリカ
一転、ワルツの軽やかな曲になります。
若者の二人が恋人になり、アメリカを横断する「グレートハウンド」のバスでしょうか?、に乗りアメリカを旅をします。
主人公は、隣で眠っている恋人キャッシーに語り掛けます。
「僕は迷っているんだ、何故だかわからないけど、胸がいたいんだ。
「みんなアメリカを探しにやって来たんだ」
〇アメリカ AMERICA(1971年)
https://www.youtube.com/watch?v=VsetedXOuco
アメリカは早く完成していて、67年に既にコンサートで歌われています。
そしてこの曲が、卒業のあるシーンにぴったりなんです。
「『卒業』で没になった『パンキーのジレンマ』と『オーバース』 Part2」(リンク)
●もしかしたら、映画のために書かれた曲 「アメリカ」
を参照してください。
この曲も実は、映画「卒業」のために書かれた、あるいは「卒業」に影響されて書いたのはと個人的に考えています。
また、よくポールのソロの『アメリカの歌』と比べられる曲です。
4.オーバーズ
中年夫婦の世界。
最初の音は、マッチで煙草に火をつける音です。
タバコを吸い、嫌悪感を出しているようです。
「どうして、僕たちは ごまかし続けるのだろう
ゲームは終わっているのに」
僕が初めてこの曲を聴いたのは、高校一年生の頃。
理解が出来なかったし、出来るはずもありません。
60歳を過ぎた僕には、よくわかります。
〇Overs
https://www.youtube.com/watch?v=CGvFXrVfaS8
この曲はもともとは『Times Song』というタイトルで、S&Gは「卒業」用に準備していましたが、監督マイク・ニコルズに却下されました。
映画で使われなかったため、僕の推測ですが、これをもとに、このアルバム『ブックエンド』を仕立てたのではないでしょうか。
5.老人の会話
アートガーファンクルが老人ホームを回り、老人にインタビューしています。
本当は、この会話をしっかり理解したいのですが、そこまでの英語力は残念ながら僕にはありません。
〇 Voices Of The Old People
Voices of Old People (youtube.com)
https://www.youtube.com/watchv=mrzOwPdijxQ&list=PLXRKTcRsXs7bBt1z_9IZFu_Wh4fk00mV&index=5
6.旧友
インタビューから この曲が続きます。
公園のベンチに座る二人の老人をブックエンドに例えているのが、強烈です。
「古いともだちが二人日が暮れるのを待っている。
公園のベンチにブックエンドのように座って。」
その老人の靴先には、吹き飛ばされてきた新聞。
間奏部のジミ・ハスケルのストリングスは二人の間を舞飛ぶ木の葉のような景色を描きだしています。
この情景は、前出の翻訳家栩木は、詩人T.S.エリオットの『前奏曲』の影響をあげています。
〇Old Friends
https://www.youtube.com/watch?v=7A76lTte8qE
この曲も状況はよくわかりますが、高校生の僕には理解できませでした。
最近の日本でも、見られる光景です。
7.ブックエンドのテーマ
再び「ブックエンドのテーマ」
今度は、詩を伴って。
思い出を語るようです。
〇Bookends Theme (Reprise)
https://www.youtube.com/watch?v=MCdNqQN4BCU
SIDE Bは次の機会に。