今日は。
講談社の雑誌「イブニング」は2023年2月28日に発売された6号で休刊になりました。
3月以降はモーニング編集部と合流し、いくつかの作品は講談社漫画アプリ「コミックDAYS」にて連載を継続するといいます。
僕がこの雑誌で好きだった『紫電改343』は作者の須本壮一が完結まで制作の継続を希望し、須本本人が制作支援プロジェクトをクラファンで立ちあげました。
須本が、多少持ち出しを覚悟した目標の1200万円は、達成したといいます。
さて、今回は、「石川鷹彦」の第2回目です。
<Part4 僕の石川鷹彦 ②編曲家・プロデューサー :僕の、日本の三大アコースティック ギタリスト>
「石川鷹彦」の2回目は、Part1の「1.ギタリスト、スタジオ・ミュージシャン」(リンク)の続き「2.編曲家」からです。
2.編曲家
僕が気づいたアーティストの石川の編曲家としての仕事です。
●本田路津子
アルバム『秋でもないのに』(’74年)は「秋でもないのに」「遠い世界に」「小さな日記」などの当時のフォークソングの定番を集めたアルバムでした。
今回、そのアルバムを確認したら、なんと全曲石川の編曲でした。
今回 聞き直すと、ギター2本を中心にしたこのアレンジは、まだまだその後の石川のアレンジに比べて「幼い」という感じがします。
更に今回分かったのですが、本田はハルミラフォークコンテスト(ニッポン放送・テレビ東京主催)で米シンガーソングライターのJoan Baezジョーン・バエズ「Silkieシルキー」を歌い優勝。
このコンテストの審査員をしていたのが石川鷹彦でした。
更に、六文銭の小室等の紹介でソニーミュージックの女性フォークシンガー第1号としてデビュー。
コンテストの縁なのでしょうか、アルバム「秋でもないのに(71年4月)」を石川鷹彦が全曲 編曲しています。
Part1でアルバム全曲をご紹介しましたので、今回はこの曲だけ載せます。
〇本田路津子 『今日の日はさようなら』 1971年
https://youtu.be/bQq4Af1s3SQ
●かぐや姫・南こうせつ
かぐや姫、南こうせつの曲の編曲も多く担当しています。
これは以前から認識していました。
〇かぐや姫 僕の胸でおやすみ
作詞・作曲:山田つぐと 編曲:石川鷹彦
かぐや姫の4枚目のシングル。73年7月
特徴のあるアコギから始まります。
https://youtu.be/d_-OOYMuArI
〇かぐや姫 赤ちょうちん
かぐや姫の6枚目のシングル 74年1月。
『神田川』と『赤ちょうちん』は同じようなテーマです。
そして、同じ喜多条の作詞、こうせつの作曲なのに、編曲家が違うと、『神田川』のバタ臭さが少し抜けているように思えませんか?
パーカッションは、Simon&Garfankelの『ボクサー』 に似ていますね。
https://youtu.be/8s3F7C-hcWQ
○南こうせつ『夢一夜』
(作詞:阿木燿子/作曲:南こうせつ/編曲:石川鷹彦)。
南こうせつ 4枚目のシングル。1978年10月
https://youtu.be/GdXI6nDMWb4
●イルカ
イルカは、かぐや姫の伊勢正三の曲をよく歌っていた関係で、編曲も担当したのでしょうか。
〇雨の物語
(作詞・作曲:伊勢正三 編曲:石川鷹彦・木田高介)
ソロ歌手として6枚目のシングル。1977年3月25日発売。
https://youtu.be/bg3cqlBjGg4
昔から好きだった曲ですが、ギターにあまり頼らないアレンジですので、石川の編曲とはきずかなった。
〇なごり雪(アルバムバージョン)
イルカ アーカイブ Vol.1 「イルカの世界」「夢の人」「幻のイルカ・ライヴ パート1 & 幻のスタジオテイク1」
https://youtu.be/e8QMCjV0R1k Arranger: 石川鷹彦
(https://youtu.be/UXWIr9wSaEE)
この曲は、シングル盤もありますが、これは別のところで、紹介します。
●アリス
アリスの曲にも、石川はたくさん関わっていました。
これは今回、このテーマで書いていて、初めて知りました。
のどの曲も、アコギより、エレキ・ギターが目立つ編曲のためだったからでしょうか。
〇冬の稲妻
(作詞:谷村新司/作曲:堀内孝雄/編曲:石川鷹彦)
https://youtu.be/WUeJ0p-16_c
○涙の誓い 1978年3月
(作詞・曲:谷村新司/編曲:石川鷹彦)
○“涙の誓い”アリス
https://youtu.be/GS4LI0uN9KI
この曲も、アコギより間奏部のエレキ・ギターですね。
○ジョニーの子守唄”1978年6月6月
(作詞:谷村新司/作曲:堀内孝雄/編曲:石川鷹彦)。
○ジョニーの子守唄 アリス
https://youtu.be/Mw96LXZHpRE
○堀内孝雄“君のひとみは10000ボルト”1978年8月
(作詞:谷村新司/作曲:堀内孝雄/編曲:石川鷹彦)。
○君の瞳は10000ボルト
https://youtu.be/4GHawDuY1ZE
○アリス“夢去りし街角”
アリスの15枚目のシングル。1979年4月
(作詞:谷村新司/作曲:堀内孝雄/編曲:石川鷹彦)。
○夢去りし街角
https://youtu.be/QZvZ0a-b-QA
○アリス“秋止符”17枚目のシングル。1979年12月20日
(作詞:谷村新司/作曲:堀内孝雄/編曲:石川鷹彦)
○秋止符 〜 アリス
https://youtu.be/QFHzrxcWQ10
この曲は石川得意のアコギとマンドリンがフィーチャーされています。
この曲は、石川の編曲と言われてみれば、確かに石川ですね。
○アリス“狂った果実”
18枚目のシングル。1980年7月5日にポリスターから発売。
(作詞:谷村新司/作曲:堀内孝雄/編曲:石川鷹彦)
「ポリスター」はアリスの育ての親である細川健が設立したレコード会社だそうです。
○アリス“狂った果実”
https://youtu.be/kNojs0w5DQQ
●研ナオコ “ひとりぽっちで踊らせて”
(作詞・曲:中島みゆき/編曲:石川鷹彦)
1979年8月に研ナオコが発売した22枚目のシングル。
最初から最後まで、流れるようなアルべジオが印象的。
○ひとりぽっちで踊らせて
https://youtu.be/JNU8TNyUAtw
●森山良子
森山良子“さとうきび畑”
(作詞・曲:寺島尚彦/編曲:石川鷹彦)。
すみません、石川のクレジットを見つけたのですが、完全版も担当しているかは確認できていません。
○さとうきび畑 [特別完全盤]
https://youtu.be/ocmnfEyiaNc
石川の編曲を、71年から80年代まで年代的に見てくると、本田路津子、かぐや姫からアリスまで、その編曲の広がりを感じますね。
3.プロデューサー・編曲家
石川には、プロデューサーの面もあります。
プロデュースをしながら、編曲も同時にしています。
●吉田拓郎
吉田拓郎の「リンゴ」でみせた石川のカッティング・ギターには少し驚きました。
「りんご」は拓郎から借りたギブソン「J-45」を使用しています。
そのJ-45は加藤和彦がくれたそうです。(参考「吉田拓郎、石川鷹彦(トーク))
○アルバム「元気です」(1972年)
レコードには「R.D. 前田仁 石川鷹彦 吉田拓郎」とクレジットされていました。
「R.D.」は「レコーディング ディレクター」の略だと思います。
僕は、プロデューサーに近い、仕事ではないかと理解します。
すみません 。再度CDを確認したら、「PRODUCER 吉田拓郎」とありました。訂正させて頂きます。吉田拓郎はウイキペディアによると、「拓郎は"日本初のミュージシャン兼プロデューサー"と評される」とあり、プロデューサー業に対する強いこだわりを持つ」とあります。
石川の演奏楽器は「ギター、E.ギター、オルガン。ピアノ、フラット・マンドリン、ドブロ、E・ベース」とクレジットされています。
その他に松任谷正隆がピアノの他に、バンジョー、フラットマンドリンのクレジットがあります。
他に、生のギターでは、拓郎以外に、田中清が12弦ギター、常富喜義がバンジョーがあります。
動画「復刻・2010.9.11石川鷹彦が語る「よしだたくろう」アルバム「元気です」で、1972年「元気です」のアルバム制作について語っています。
二人とも、ありったけの弾ける楽器をスタジオに並べて、ほとんど二人で作ったといいます。
石川は、アルバムをつくるのがこんなに楽しいのかと実感しています。
石川は「一曲一曲これを演奏したら拓郎は喜ぶだろう」と語っています。
アルバム曲「旅の宿」を録音する状況も語っています。
歌とギターからハーモニカ、 マンドリン、 ドブロギターを加えているといいます。
そして、「二人で作る音は『ガチャガチャ サウンド』でアメリカのブルーグラス的」だとも。
●さだまさし
さだまさしにコンサートでは関わっていたのは知っていたのですが、アルバムのプロディュースしているのは今回知りました。
○アルバム『ほのぼの』
1992年11月10日発表の18枚目のオリジナル・アルバム。
『ほのぼの'S Blues』だけ、作詩:さだまさし、作曲・編曲:石川鷹彦で、他は全曲とも作詩・作曲:さだまさしで編曲は石川鷹彦です。
演奏はほとんど、さだ自身のギターとヴァイオリン、石川鷹彦のギター/シンセサイザーです。(ストリングスは篠崎正嗣Strings)
○さだまさし ほのぼの(全曲)
https://youtu.be/wiLkRCyBagc
このアルバムで、8曲目の『好敵手』のギター アレンジ石川らしくて、いいですね。
○好敵手
https://youtu.be/SiT3Thv3xW4
さだのこのアルバムを聴くのは、正直初めてです。
さだはソロのファースト『帰去来』(リンク)から5枚目の「印象派」位までは好きだったのですが、その後、暫くさだから離れていました。
このアルバム、落ちついていて、そう簡素でいいではないですか。
拓郎のアルバム『元気です』は『ガチャガチャ サウンド』で,
これはこれでいいのですが、これとは、真逆にあるようにも思います。
このアルバムに収められている曲は、12曲目の『ほのぼの'S Blues』のように、ポール・サイモンとステファン・グラッペリの『HOBO'S Blues』をベースにした、少しお遊びもありますが、70年代のさだの曲に戻ったように思います。
○Paul Simon & Stephane Grappelli - Hobo's Blues
さだは石川のことを「『4番サード長嶋』という感じ」と称しています。
石川もまた、さだのギターに一目置いています。
石川は1992年にさだまさしのアルバム『ほのぼの』をプロデュースしてから、さだとの関係が密になり、さだのバックメンバーを務めます。
石川は、「ボーカリスト」としての面もあります。
これについは、次か、別の機会に・・・。