書評に魔法はない -27ページ目

【書評】ストールポイント 企業はこうして失速する/マシュー・S・オルソン

ストールポイント 企業はこうして失速する/マシュー・S・オルソン
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ストールというのは売上成長の失速のことで、数字的には売上減もしくは売上成長率が6%を超えないこと。ストールを経験した会社は10社に9社の割合で成長率が下降に転じた前後の数年間に時価総額の半分を失い、過半数の企業は75%も失うという。

どのような企業がストールに合うのか?
ストールを回避するには?
ストールにあった企業はどのようにすれば回復出来るのか?
ということに焦点を当てた本。

P5「あなたが正しいと思ってきた前提こそが実は命取りとなる危険性が高い。」

P16「経営陣が深く信じている前提、長年にわたって信じてきたため、あるいは極めて強く信じているために、もはや問い直されることがなくなった前提こそが成長に対する最大の危険である。」

失敗の原因になるのは、経営陣の能力の欠如や強いCEOに大して適正なチェックを行えない取締役会に集約される。外部要因によるものはほとんどなく、コントロール不可能な出来事にあったとしてもどのように対応するかは企業が決められるので、コントロール出来るといえる。

もっとわかりやすく言うと、経営がダメな会社がストールし、不都合な出来事に遭遇しても経営がしっかりしていれば被害は最小限もしくはあまり影響を受けないということです。
よくあるビジネス書に書かれているように一番大事なのは経営陣というのに集約される。

そんな当たり前の結論が書かれている同書にどのような価値があるのかというと、その原因となるものをさらに細かく細分化していくつかのパターンに分けしていくつかの具体例で紹介しているところに価値があると思う。

そうは言っても業績の悪くなる会社を事前に察知するのは難しいので、後出しジャンケン議論な部分を抜け切れていないところがある。それは、筆者自身も認めていて事後の視点の不当な強み、10億ドル以上の大企業が成長し続ける難しさも認知している。全てを鵜呑みにするのはよくないと思うけど、調べた事実にたいしての統計的有意性が確認される程度の適正なサンプル数もあると思います。
同書を読んだからって株式投資をした会社のに失速を事前に察知するようなことはできないです。なぜ失敗したのかを検証するには良い本だと思う。

【書評】M&A 賢者の意思決定―成功企業に学ぶ4つの基本原則/デイビッド・ハーディング

M&A 賢者の意思決定―成功企業に学ぶ4つの基本原則/デイビッド・ハーディング
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フォーチュン500を見ると、全買収の70%が失敗しており、20年一緒の企業はほとんどない。しかし、自立成長のみで世界の一流企業にはなることが難しい。

使われている具体例がアメリカ企業のみなので、ちょっと難しい。

「現在の製品を買収するのではなく、その社員を通じて次の世代の製品を買収している。」
シスコシステムズ ジョンチェンバース

P64でバンガードについてが面白い。
ヴァンガードの優れたところは、
1、消費者教育(アクティブファンドよりインデックス)
2、低コストの事業モデル
3、理想な顧客と多額の取引

「いつかバンガードがフィディリティを追い越すかもしれない。」

先見の明ありです。
事実そうなりました。
http://www.investmentnews.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20090809/REG/308099977/1030/MUTUALFUNDS
買収のタイミングやどのような買収がうまくいくかなどわりとわかりやすくまとまっていると思います。

【書評】人生論/堀江貴文

堀江貴文 人生論/堀江貴文
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P18「摩擦を起こすのを避けるために、自分を曲げたりはしない。自分を曲げないことで失うものも多い。しかし、あるとき統計的に見ればそれで得るもののほうが多いのではないかと気づき、「それからは自分を曲げない生き方」をしてきた。

P65「私を26歳に戻してくれるならもう一度世界を目指すだろう。しかし私はもう37歳である。」

P88「人と同じことをすることは、一番損をすることなのだ。人と違うことをするから超過利潤がうまれるのであって、同じことをしていたら一番高いものを買わされるだけである。」

それなりに納得ささせられる話が多かったです。
ただ、ブログや他著のネタの使い回しが見られたので星一個マイナス。
最近、たくさん出しているけどまとめて一冊にしてくれた方がいい。
読みやすいので、2時間ほどで読めました。