コーヒーブレイク -5ページ目

屏風・花展

12月3日から始まりました、屏風・花展の搬入風景です。

すみません、随分時間がたっております。

珍しく体調を崩して、ダウンでした。

屏風作家とはあまり聞き慣れないジャンルだと思われるでしょうが

日本では、麻殖生素子さんお一人です。

今回の「花」担当、鈴木ひろ子さんは、これまたジャンルが難しいアーティストです。

専門は投げ入れですが、花(生花、ドライも含め)を使ったインスタレーションとでも言いましょうか・・そういう方です。投げ入れの方は、館の「今月の花」をご覧ください。

さてさて、搬入です。麻殖生さんのチーム、エム工房の方々の集合です。

 

 

大きな箱から次から次へと、屏風が出てきます。力強い女性軍団です。

 

 

鈴木様は、ちくちくと何かを縫っていらっしゃいます。

オーガスタの巨大な葉に何層にも顔料を掛けた物だそうです。

 

 

麻殖生さんもお手伝い、二人でちくちく

 

 

何枚も繋げた葉っぱを天井から吊り下げます。

 

 

こんな感じになりました。

 

 

「臨」と題されたこちらの屏風は、何層にも重ねた和紙に銀箔を貼った物と、やはり和紙をくしゃくしゃと丸めた物を貼り付けたり、墨で着色されています。和紙と墨だけで、この迫力!

極楽鳥(オーガスタ)の羽が舞っているようです。

 

「臨」の裏側

月夜に金色の稲穂がなびいているようなこの作品

近づいてみると、下地にも小裂が貼ってあります。

 

 

「臨」のアップです

従来の手法、古いお坊様の袈裟などの古裂をカットして、イメージを表現する方法に、今回はそれを下地に帯地を細くカットしたものに金箔を貼った物で、動きを出しています。その作業の緻密さはさぞ大変なことでしょう

 

 

 

 

「言(ことだま)」

まるで真っ赤に紅葉した紅葉が全面に敷き詰められたような面は

着物の胴裏や袖裏にもちいられた紅絹(もみぎぬ)が使われています。

 

 

そしてもう一面は、なんだか文字が一杯見えますが

大福帳や浄瑠璃の台本が貼り込んであります。

 

 

一双に囲まれるとこのような世界が

麻殖生さん曰く、狂気の世界・・確かに自分の中の何かが騒ぎます

 

 

そして、こちらは「度(たび)」

やはり和紙を何層にも張り重ねたものを型抜きして箔を貼ってます。

蛇?龍?天空に上るエネルギー?

 

 

裏側にはまるで鱗のようなテクスチャーが

お蚕さんを育てるときの網だそうです。

桑の葉を一杯のせ蚕がムシャムシャ食べているのを映像で見たことが

 

 

それにしても次から次へと面白い素材を見つけていらっしゃいます!!

 

和室も不思議な空間になっています。

 

 

「松橋図」

「八橋図」と「紅白梅図」が合体したようなタイトルですが、琳派しています。

力強い、柿渋で表現されている幹のような屏風の対の間に

南京ハゼの実だけのこった枝がこの空間を完成させています。

 

 

屏風の面白さは自分で空間作りができることです。

捲いてみたり、畳んでみたり、表を出したり、裏を出したり

 

どこから沸いてくるのか不思議な表現力をもっていらっしゃる麻殖生さんの作品と

飄々と必要のないところには力を抜きながらも、

作品表現には全力を注いでいらっしゃる

お二人のコラボは是非見ていただきたいと思います。

                        

                               麻殖生素子さん

 

                       鈴木ひろ子さん

              

           お待ちしております!

 

ほとんど毎日、作家の方はいらしてくださってますので、

素材についてなども直接お聞きになると作品の面白さが倍増すると思います。

皆様のご来館をお待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「THE IROE展」の搬入

11月5日から開催されております,各作家の搬入風景をお知らせします。

シカゴでの催事のため、皆様より一足先に会場づくりをなさった富田美樹子さん。

初日は黙々と壁紙の裁断、貼り付け作業をしていらっしゃいました。

 

展示台もご自分でお持ちになり、富田ワールドをお創りになりました。

自分の部屋もこうしたいのですが、ご主人と趣味が合わないので思いっきりさせてもらいました・・とおっしゃってました。

 

「Cell-増殖―」と題された作品。

確かに細胞分裂しながら増殖している感じです。

海の生き物がお好きだとのこと。クラゲの触手、ウミウシが大好きだそうです。

昆虫の複眼も・・

目の一つずつが美しく・・ちょっとそれはついていけませんが

 

赤い点は、ガラスビーズを使っていらっしゃるそうです。

美しい・・

 

8月にお産をなさったばかりの牟田陽日さんは、

ご主人の運転で金沢から出ていらっしゃいました。

途中で、ベビーを休ませながらの12時間ドライブ、

さぞかしお疲れだと思うのですが、さっそく展示に取り掛かられました。

お二人で、てきぱきと壁の養生をし、

黄色のペンキを大胆にローラーで塗っていきます。

やってくれますねえ~

上部にオレンジのぼかし、下部には山が描かれました

 

奥様が壁と戦っている間に、

ご主人はお皿にワイアーを取り付ける作業をモクモク

いつもニコニコなさっているご主人とは喧嘩をしたことがないというお二人、

陽日さんの指示に従って、壁に作品を取り付けていらっしゃいます。

 

 

さあ、できました!

作品のテーマは?夢と現実の間に漂っている世界です。

今回は神の使いといわれる、シカが多く登場します。

どこかの火山が噴火していたり、

太陽が二つあったり、確かに不思議な世界です。

 

 

伊豆の鈴木秀昭さんも奥様とお二人での搬入。

二人でもぞもぞと何かしていらっしゃいます。

ニッチの壁に何やら怪しい絵が・・ドローっと黒い筋が・・

 

こうなりました。「Cosmic Ore」(宇宙の鉱石?)、

その下には「剣彩器」という展示です。

 

 

きらびやかです。

 

こちらは彼がデザインをして制作して頂いたステンドクラスとのコラボです。

 

さて、伊賀からいらした下和弘さん。

相変わらずポップで楽しい作品です。

りすと毒キノコ?メリーゴーランドのような蓋物、

ボタンがいっぱいついた杯、

さあ、どういう展示になるのでしょうか。でも中々決まりません。

 

もしかして、下さん展示苦手?

そうなんです、できればお任せにしたいのです。

でも、館ではそうはいきません。頑張ってもらいました。

そろそろ我々も引き上げる時間が来ましたので、

後はお任せといって引き上げましたが

朝、壁に火山が爆発していました。

思いが吹き上げたのでしょうか。

 

作品のテーマは、「飛び出す絵」だそうです。

とにかく楽しい空間です。

壁の絵は期間が終わったら、消えてしまいます。

一期一会のこの瞬間を是非お楽しみください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村田好謙展

京都の漆芸家、村田好謙さんの個展が始まります。

昨日京都から自ら車を運転して搬入くださいました。

村田さんは、何でもしちゃう方です。

DMに使わせていただいた大作

「光に包まれて」

 

目がくらくらする程の光の中、水面に蓮が浮かんでいます。

樹脂の素材にはサンドブラストで水紋が描かれています。

何でもしちゃう、その一

 

 

「彼方の光」と題された作品は、照明でもあります。

 

 

円の中心に明暗センサーが組み込まれています。

センサーに懐中電灯の明かりをかざすと、照明が点灯するという仕掛けです。

これも彼の考えた仕掛けです。

周りの照明を消すと、螺鈿の輝きとともに不思議な世界が展開します。

 

 

「名刺額」??

 

実は真ん中の長四角の物体が、名刺入れになっていて

取り外しが効きます。裏に強烈な磁石が付いています。

鉄とニッケルの割合を変え、普通の磁石よりも強度を増しているそうです。

鋳造もしてしまいます。(その三)

 

「瞑想の部屋」

 

天空からきらきらと光が舞い降りています。

切り金という手法が使われています。

仏像などの使われている、[截金]とは違い、

実際に金の塊をカットして使っています。

金箔とは厚みが違うので、

金の持っているエネルギーが伝わってきます。

 

 

こちらも「彼方の光」

天空から蜘蛛の糸が垂れ、

カンダタらしき男がそれに捕まっています。

 

 

上空の光の真ん中には大日如来が

うっすらと浮かび上がっています。

 

 

こちらの作品は、「紅白梅」

 

 

金属の母胎に和紙を何層にも漆で貼り付けています。

 

 

和室の床の間には光り輝く天空から、蓮が舞い降りている雰囲気の掛け物です。

 

 

 

卵型の作品は、実は指輪入れ。

 

 

そしてこちらは仏壇

 

 

仏様もいらっしゃいます。・・・が、

とてもリラックスしていらっしゃいます。

 

こちらも「彼方の光」

 

銀箔の上に彩色が施されています。

そしてメタルが飛んでいます。

 

 

鍛金の作業も自らなさるようで、

思い立ったら夜、夜中でも作業がしたくなり

音が大きいので、工房から車を走らせ、

人気のない道路で、街路灯の下で作業をなさっていたところ、

パトカーが近づいてきて、

職務質問をされたこともあったとか・・

確かに、怪しいです。

 

天空から降り注ぐ光や雫、煌めく生命の尊さを慈しみ、

心が明るく澄んでいく、祈りを象徴とした制作が村田さんのテーマです。

 

みなさまも是非この光の中に包まれる作品に触れていただければと思います。