コーヒーブレイク -4ページ目

栄木正敏氏の個展

栄木正敏氏は、ご自身では陶芸家ではないとおっしゃってます。

プロダクトデザイナーだそうです。

武蔵野美術大学工芸デザイン科をご卒業。

愛知県窯業訓練校在学中

市内の町工場で働きながら、

焼き物の技術を身につけられました。

 

 

會田雄亮氏、森正洋氏に多大な影響を受けたとおっしゃってます。

 

今回、栄木氏の作品と触れることによって、

彼の陶芸に対するデザイナーという立場が、

今まで描いていたプロダクトデザイナーとは

大いに違っていることに気がつきました。

 

使い方によって、自由に演出できるこのお皿

デザインをおこし、工場で成形された後、

彼自身で呉須象嵌で線を描きます。

 

 

 

瀬戸の職人が網目の文様を描くときに使用する

針が筆の中に内蔵されているものを使います。

毛細管現象の原理で顔料がしみ出て、

素焼きの肌にエッチング風の線模様が描けるそうです。入れ墨のような技法です。

 

ファエンツァの国際陶芸博物館にも収蔵されている作品

 

先ほどの呉須象嵌で線を描き、マスキングをして

呉須のぼかしを入れています。殆どが手描きです。

 

こちらの花入、表と裏側の表情が違います。

Wフェイス花器と題されています。

 

カイガラムシから抽出された、撥水剤の一種を

筆で塗った後、ぬれたスポンジで拭き取ると

このような文様ができあがります。

 

 

「人形花入れ」

確かに、足と手と頭がくっついてます。

鋳込成形ですが、その原型は手びねり、

モデルはご自分の手です。

 

 

 

「表面張力」シリーズです。

 

新しいアイデアによって原型制作をなさっています。

まさに栄木氏の制作の基本になっている

「手で作りながら考える」によって生み出された作品です。

 

こちらは彼のロゴ

 

栄える木の根っこは5本の指

あくまで手にこだわっています。

 

プロダクトデザインというと機能優先で、

なんとなく冷たいイメージがありましたが

彼の作品は、手のぬくもりも感じ、ひょうきんで、土に対する愛情を感じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手漉き和紙体験

昨年に引き続き、手漉き和紙体験を致しました。

 

講師は、「紙仕事双清」代表の中川幸子さん。

 

 

東京都の指定無形文化財である、軍道紙の継承者でもあります。

紙の原料である楮を自ら育て、

また伝統的な紙漉きの材料である、とろろあおいの栽培加工も

手がけていらっしゃいます。

近頃はフィリピンやタイからの輸入楮が多くなっている中、

原材料から国産品にこだわっていらっしゃいます。

今年も収穫した楮をお持ち頂、

キッチンの大鍋で40分ほど蒸し上げました。

 

 

部屋の中は焼き芋のような、ホクホクしたいい香りがいたします。

この日のためにスタッフたちは押し花制作に励みました。

 

 

工程は、簡単なようで、一工程ずつ、心を込めて

真っ白な和紙を作ろうという思いにつながっています。

まず、原料の楮を、切りそろえ、蒸して、皮をはがして、乾かして、

 

                     

 

                     蒸した楮の皮をむきます

 

             へらで黒皮から紙の原料となる白皮の部分をこそぎます

 

アルカリ(灰や炭酸ソーダなど)を入れ煮て、水でさらして、ちりよりして、たたいて

                  煮てさらすとやわらかくなります

 

枝の後など黒くなっている部分(ちり)を取り除く作業

一昔前は、よけたちりで、ちり紙を作ってました

                たたき棒で繊維を細かくします

             単純な作業ですので、紙漉き歌を歌いながら

 

とろろあおいの根を叩いて粘液を濾し混ぜて、漉いて干す

単純な作業のようですが、冷たさ、寒さに耐え、根気よく、丁寧に

大変な作業です。

                     おくらの仲間だそうです

        冷たい方が粘りがでるそうです。直前まで氷水で冷やしておきました

 

そしてやっと紙漉き体験です

 

              とろろあおいの料が多いほど、薄く漉けるそうです

           今回は小学生のお子様にもご参加いただきました

 

              漉いた紙の上に、押し花などをアレンジして

 

                    上から楮の液を流しかけます

中川様には、一年ぶりにお会いしましたが、

少しおやせになっていました。

お尋ねすると、紙の仕事は冬場が忙しく、

寒い仕事が多くて、体力を使ったからでしょうと・・

作業の中の言葉、「つつぬけ」「ちりも積もれば山となる」「ひやかし」など

日常の中に溶け込んでいますが、

いかに昔は和紙作りが身近にあったのかと感慨深いものでした。

和紙の普及に尽力なさっている中川さまの活動は頭が下がる思いです。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶事

昨日と二日間、館の和室をお茶事に使って頂きました。

亭主はお料理研究家の久保香奈子さん。

京都生まれのお料理大好き女性で、食のジャンルを問わず、著作は30冊以上にもなります

 

 
 
館の決して広くはないお台所をお使いになり、毎日7人のお客様のご接待。

私たちスタッフは、なるべく存在感を薄くし、匂いのするお昼は禁止で静かにひそんでいました。

 

 

待合の壁にかけられた書は「磁」。「公募インテリアの書展」に入選したお友達の作品だそうです。館が焼き物を扱っているので、掛けられたそうです。

 

 

向付けから始まり、お椀、煮物焼き物、和え物、箸洗い、香の物と

時間通りスムーズに進んでいきます。

 

 

 

 

 

計画表がイラスト入りで、台所の扉に貼り付けてあります。

 

 

 

銀ダラも炭火で焼きます。

 

 

 

お菓子は、山芋とよもぎ、銘は「下萌え」。

厳しい寒さを乗り越え、草の芽がはえ出でるイメージが感じ取られます。

 

 

正式の茶室ではないので、つくばいも工夫なさってこのように・・

 

 

床飾りは、深見先生の作品、つばき(福光)とユキヤナギ

もうすぐそこまで春が来ています。

 

 

 

堅苦しくなく、臨機応変に、てきぱきと、素晴らしいお茶事の裏側を拝見させて頂き

スタッフたちもいい勉強になりました。

 

 

またお裾分けを頂き、真心こもったお料理も楽しませて頂きました。

季節感の中、暖かいお料理は、あくまで炊きたて、焼きたて・・・・

 

 

久保様、そして裏方でお手伝いなさっていた方々、お疲れ様でした。

中々見ることのできない、茶事の裏側を見学させて頂き

ありがとうございました。