コーヒーブレイク -3ページ目

坂井直樹展

金工作家の坂井直樹氏の個展が始まりました。

氏は東京芸大を卒業後、金沢の卯辰山工房で

教鞭をとっていらっしゃいましたが

現在はフリーで制作を続けていらっしゃいます。

 

 

鉄という硬質な素材を使いながらも、

そのしなやかさを最大限引き出していらっしゃいます。

 

鍛金で制作していらっしゃるので、

一つずつサイズが違います。

 

 

槌目痕が表情を作っています。

 

 

こちらは象嵌の作品。

 

鉄を切り取って、

銀と金の一ミリ厚の板を入れ込み、

そのあと平面に叩いています。

 

天井から吊り下げている花器は、

飾る場所によって3つのパーツを組み替えられます。

これは最長の長さです。

 

 

鉄を錆させ、漆を焼き付け、酸化を止めていますが、

触るとざらざらとした感触です。

 

床の間空間は、「侘び」と「錆び」の花器と題されています。

だじゃれ??

 

緊張感をもった空間になっています。

 

テニス焼け?ゴルフ焼け?

いえいえ鍛金焼け?だそうです。

 

 

鉄を溶接する際の紫外線で焼けるそうです。

銅の場合は、赤銅色に、そのあと緑青が吹いてくるようです。

(ちょっと、見てみたい・・)

とにかく体を張っての作業です。

 

都会の花を上手に使ったその鉄焼けの腕はなかなかのもの

館の空間を最大限に使った坂井ワールドが展開しております。

みなさまのお越しをお待ち申し上げております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パート・ド・ヴェール体験教室

パート・ド・ヴェール体験教室

先週末、パートドヴェール体験教室を行いました。

茅ヶ崎にお住まいの、ガラス作家、大谷圭子さまに講師をお願いいたしました。

 

大谷圭子様と彼女の作品です。

 

 

一般的な吹きガラスに比べ、鋳造ガラスであるパートドベールは

認知度が低いと思いますが

その歴史は古く、古代メソポタミアに始まったガラス技法です。

 

今回は、耐火石膏に思い思いのデザインを彫り

そのイメージに合う色ガラスを決めるまでの体験をして頂きました。

色ガラスは色の種類も多いですが、

その粒の大きさによって表情が変わる楽しさもあります。

 

この二つは同色ですが、片方がパウダー状、

もう一方はカレットという粒状のガラスを使った物です。

パウダーに比べて、透明度が出てきます。

 

石膏型はカーボンが写らないので、

デザイン画の裏側を木炭で黒く塗りつぶし

鉛筆でデザインをなぞって黒い線を写していくという方法を取りました。

 

その線を頼りに、線掻きへらでなぞります。

 

 

その線がガラスの出っ張りとなります。

その表情を作るための道具です。

歯医者さんの道具も利用できます。

 

 

皆様集中して作業していらっしゃいました。

 

愛犬のデザインを彫っていらっしゃった方も

 

彫り終えた後は、色ガラスの選択です。

大きな塊は気泡が少なく透明度が高くなります。

粒が細かくなるほど、気泡が増えます。

 

 

パートドヴェールは、鋳造といっても焼成後は

一回ごとに石膏型を壊して出します。

もったいない気がします

 

作品はいったん先生が持ち帰って、焼成していただきます。

皆様の作品の窯詰めの準備が整ったとのご連絡をいただきました。

 

 

850度で3時間ほど焼成し、その後徐冷5時間

作品が届きますのを楽しみにしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わかもん展の搬入

毎年7月の催事、わかもん展の搬入です。

今年は7人のわかもんが挑戦です。

陶芸は、多治見の安洞雅彦さん、有田の磁器作家庄村久喜さん、北海道にお住まいの丹羽シゲユキさん、京都の片山亜紀さん、多治見の松永圭太さん。

漆は金沢の百瀬玲亜さん、染色の長友由紀さんです。

搬入一番乗りは松永さん。

 

 

すべての作品を半円から制作しているそうです。

この作品は実は分割できます。

 

 

組み合わせ方によって表情が変わります。

二種類の白土を合わせ、漆を掛けて焼成しています。

漆のしみこみ方が土によって違うので、表情が出てきます。

 

赤漆を焼き付けた作品。ラズベリークッキーのようで思わずガリッとしたくなる。

漆が焼き付けてあるので、水漏れも心配ありません。

可能性を一杯秘めたわかもんです。

 

長友さんは、館では初めての染色の作家です。

今年から金沢の卯辰山の研修生に入りました。

 

以前の作品とはテーマが変わり、金沢の山川、自然があふれている作品となっています。

 

綿毛のように見えるのは、雲だそうです。

 

 

のり置きして白く抜いたり、染料を混ぜたのりお置いたりと伝統的な技法ですが

現代に息づく、今に息づいている作品です。金沢の自然にゆったりと感動している雰囲気が伝わってきています。

日本画は詳しくありませんが、私にとっては不思議な遠近法です。まるで飛行機の上から見ているようです。

 

和室に一歩入ると、織部の氾濫です。

 

安洞さんは多治見で制作をしていらっしゃいます。

 

文様はすべて過去に制作されたものをお手本にしています。

 

片山さんはカラフルな練り込みというイメージが強かったのですが、

最近は色層粉引といって、色の付いた泥漿を塗った後、

粉引き釉をかけ、焼成後下地がでるように磨いているそうです。

また炭化の作品も何点か登場です。

 

 

 

 

 

百瀬さんは、金沢美術工芸大学を卒業後、

卯辰山工芸工房終了ご金沢に工房を構えています。

 

ふぁ、ひょろ・・と不思議な雰囲気の乾漆作品です。

タイトルも、「テンテンとめぐる」、「脈々と伝う」などです。

 

植物の生長していく課程を表現しているそうです。

つぼみだったり、花だったり、実だったりです。

 

 

金箔の上に生漆を塗った作品ですが、つぶつぶは、昔からある技法で、「ななこ塗り」言われるもので、菜種などをおいて漆を吸収させ文様を出すのですが、彼女風にアレンジして水滴で表現しています。

 

 

丹波さんは、新しくブルーの混じった作品を持ってきてくださいました。

 

お肌の調子が良くないので昨日の顔写真は拒否されました。

岩盤浴に行ってお肌に潤いを与えた後にしてくださいと言われました。

磁土の塊から削り出すというとても根気のいる仕事です。

 

 

一晩ぐっすりと寝て、岩盤浴の効果が現れた表情です

 

庄村さんは、最終日までいらっしゃれないので、作品だけです。

 

 

 

 

それぞれの作家が試行錯誤して、自分の世界を打ち出しております。

是非ご覧ください。