屏風・花展 | コーヒーブレイク

屏風・花展

12月3日から始まりました、屏風・花展の搬入風景です。

すみません、随分時間がたっております。

珍しく体調を崩して、ダウンでした。

屏風作家とはあまり聞き慣れないジャンルだと思われるでしょうが

日本では、麻殖生素子さんお一人です。

今回の「花」担当、鈴木ひろ子さんは、これまたジャンルが難しいアーティストです。

専門は投げ入れですが、花(生花、ドライも含め)を使ったインスタレーションとでも言いましょうか・・そういう方です。投げ入れの方は、館の「今月の花」をご覧ください。

さてさて、搬入です。麻殖生さんのチーム、エム工房の方々の集合です。

 

 

大きな箱から次から次へと、屏風が出てきます。力強い女性軍団です。

 

 

鈴木様は、ちくちくと何かを縫っていらっしゃいます。

オーガスタの巨大な葉に何層にも顔料を掛けた物だそうです。

 

 

麻殖生さんもお手伝い、二人でちくちく

 

 

何枚も繋げた葉っぱを天井から吊り下げます。

 

 

こんな感じになりました。

 

 

「臨」と題されたこちらの屏風は、何層にも重ねた和紙に銀箔を貼った物と、やはり和紙をくしゃくしゃと丸めた物を貼り付けたり、墨で着色されています。和紙と墨だけで、この迫力!

極楽鳥(オーガスタ)の羽が舞っているようです。

 

「臨」の裏側

月夜に金色の稲穂がなびいているようなこの作品

近づいてみると、下地にも小裂が貼ってあります。

 

 

「臨」のアップです

従来の手法、古いお坊様の袈裟などの古裂をカットして、イメージを表現する方法に、今回はそれを下地に帯地を細くカットしたものに金箔を貼った物で、動きを出しています。その作業の緻密さはさぞ大変なことでしょう

 

 

 

 

「言(ことだま)」

まるで真っ赤に紅葉した紅葉が全面に敷き詰められたような面は

着物の胴裏や袖裏にもちいられた紅絹(もみぎぬ)が使われています。

 

 

そしてもう一面は、なんだか文字が一杯見えますが

大福帳や浄瑠璃の台本が貼り込んであります。

 

 

一双に囲まれるとこのような世界が

麻殖生さん曰く、狂気の世界・・確かに自分の中の何かが騒ぎます

 

 

そして、こちらは「度(たび)」

やはり和紙を何層にも張り重ねたものを型抜きして箔を貼ってます。

蛇?龍?天空に上るエネルギー?

 

 

裏側にはまるで鱗のようなテクスチャーが

お蚕さんを育てるときの網だそうです。

桑の葉を一杯のせ蚕がムシャムシャ食べているのを映像で見たことが

 

 

それにしても次から次へと面白い素材を見つけていらっしゃいます!!

 

和室も不思議な空間になっています。

 

 

「松橋図」

「八橋図」と「紅白梅図」が合体したようなタイトルですが、琳派しています。

力強い、柿渋で表現されている幹のような屏風の対の間に

南京ハゼの実だけのこった枝がこの空間を完成させています。

 

 

屏風の面白さは自分で空間作りができることです。

捲いてみたり、畳んでみたり、表を出したり、裏を出したり

 

どこから沸いてくるのか不思議な表現力をもっていらっしゃる麻殖生さんの作品と

飄々と必要のないところには力を抜きながらも、

作品表現には全力を注いでいらっしゃる

お二人のコラボは是非見ていただきたいと思います。

                        

                               麻殖生素子さん

 

                       鈴木ひろ子さん

              

           お待ちしております!

 

ほとんど毎日、作家の方はいらしてくださってますので、

素材についてなども直接お聞きになると作品の面白さが倍増すると思います。

皆様のご来館をお待ちしております。