●0-1 9月22日追加, 10月9日一部改訂 : 2021年卒の運命は?

2018年9月3日、経団連・中西会長の「就活ルール廃止」発言に焦ったのが、まさに2021年春卒予定の現・工学系4年生(自大学院進学確定 ※1 /学部2年相当)のZくん。


自分(Zくん)の就活本番のスケジュールは、変わるかも?? 

というわけで、当ブログ史上初めて、Zくんの「お勘定 ※2」で、打ち合わせしたのが、9月中旬でした。●1 以下は、その時の内容です。

 

中西発言が、ハチの巣(大学当局と就活生)をつついたら、反響が大きかったんでしょうね。

早くも9月21日の報道(例:朝日新聞)によれば、

 ・経団連は、「就活ルール」を廃止する方針

 ・経団連に代わり、2021年卒に関しては、政府が経団連に対して従来どおりのルール(●1で解説してます)を守るように要請

 

さらに、10月9日 経団連が「就活ルール」廃止を正式決定しましたが、ここでも2021年卒に限っては従来通りの日程(後述の、スケジュールB) が維持されるもよう ↓。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36255980Z01C18A0000000/

 

つまり、Zくんたち2021年卒の就活日程は、実質変化なし の見込みです。

 

---なお、●1以下で書いてますが、理工系のリアル就活スケジュール(スケジュールA)は、経団連の公式スケジュール(スケジュールB)とは、そもそも違ってます。

【参考記事】5月までに面接の企業が8割

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018090301097&g=eco

 

Zくんが心配したのは、スケジュールB (公式)が変わったら、その影響で、スケジュールA(リアル) が変わるかも? ということでした。

2021年卒に関してはスケジュールB (公式)自体が変わらない見込みのため、Zくんも安心のわけです。

2022年卒以降は、「政府の仲立ちで企業、大学などがこれから協議」の予定です。

 

●0-2 2021年卒も「インターン選考」には注意!!

ただし、日本経済新聞(9月22日 13面)で報道されたように、

『経団連は自ら掲げてきた就活ルールの抜本的な見直しの一環として、採用活動と切り離すように求めてきたインターンに関する規定も廃止する方針』

こちらの廃止は確定していませんが、実はこちらの方が2021年卒以降への影響は大きいと思います。

 

というのは、上記・日経の記事によれば、インターンシップ人気ランクトップの全日空の場合、

『夏場に1日型のインターンを14回開き、約2000人を受け入れる。1日型を経験した学生は例年、職場見学などがある冬季の4日間のインターンも希望する例が多い』

とありまして、今後は、他企業でも

  夏の1日インターンシップ(事実上の会社説明会)

  冬の中長期インターンシップ(事実上の選考)

を、行うケースが増えてくると予想されます…なにしろ、2021年卒以降は、採用活動の一環としてのインターンシップを堂々とやってもOK ということですからね。

 

●1 以下でご紹介している、現・学部4年のZくんは、もともと学部3年でインターンシップに挑戦(経団連企業5社に応募、ES2社通過。面接は…残念)してます。

来年夏の修士1年・インターンシップは予定に織り込みずみで、企業研究も学部3年の時に、100社くらい調べてます。

ここまでやれとは言いませんが、理工系といえど、今後は、修士1年夏までにある程度の企業研究をしないと、そもそもインターンシップへの応募ができません。

※2019年8月 夏インターンシップへの応募について、Zくんに聞きました。やっぱり、異変あり(上のリンクの●4)。



●1 基礎知識:そもそも「経団連の就活ルールとは?」
以下、おもに理系の就活についての、あくまでも個人の見解です。

 

P:まず、現時点(2018年9月中旬)では、あとで触れる理由で、就活ルール変更かどうか? は確定していません。

でも、見通しはどうか? 筆者なりの推測の根拠となる、基本事項の確認です。

そもそも「経団連の就活ルールとは?」。
さらに、その前に、「経団連」ってどんな組織か、Zくん知ってます?
Z: 「経済団体連合会」。日本の有力企業が加盟する団体ですよね。
P:じゃあ、どんな企業が経団連に加盟しているのか知ってましたか? 
実は、3年生夏に、Zくんがインターンシップに応募した企業5社すべてが経団連加盟企業でした。※3
Z: あ! そういうことは全然考えずに、応募してましたね。
P: 企業会員の一覧は ↓
  http://www.keidanren.or.jp/profile/kaiin/kigyo.pdf
約1300社。グローバル企業(アクセンチュア)や、芸能プロダクション大手のホリプロ、ユーグレナ なども名簿にのってました。
ほかに、経済同友会(経営者が会員)や新経済連盟(IT企業が多い)などの団体もあります。
くわしくは、 https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20171206/Toushin_4655.html

「経団連の就活ルール」は、あくまでも「経団連加盟企業」の中での取り決めなので、これまでも、加盟していない企業の「抜け駆け」が横行していましたし、強制力がないので、加盟企業が守っていたか? といえば…。
つい先日の、当ブログ記事で紹介した、Zくんの先輩(19年卒)のリアル就活スケジュール

 

■スケジュールA
 修士1年(学部3年) 10月~2月にかけて、学内で開催の企業面談会(3桁 時間刻み)
 修士1年(学部3年) 1月の学科内就職説明会
 修士1年(学部3年) 3月に、就職担当教授との個別面談
 修士2年(学部4年) 4~5月 就活(エントリー、面接)←研究室の先輩・同輩
 修士2年(学部4年) 6月はじめ 内々定
 修士2年(学部4年) 10月 リアル内定 

 

自体が、Bの公式スケジュールと違ってますよね。
Z:やっぱり、そうでしたか…。
P;公式スケジュール(2017年~20年卒対象)
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/030.html
は、
■スケジュールB
 修士2年(学部4年) 3月1日 説明会解禁
 修士2年(学部4年) 6月1日 選考解禁
 修士2年(学部4年) 10月1日 内定式
です。
Z:6月初頭に、先輩が「同期(来年4月入社予定)と飲み会があるので早退します」といってましたから、

  選考解禁=即、内々定 

なので、なんだか、ぼくの大学院出願の時と同じパターンだな ※4 とは、思ってましたが…。

●2 スケジュールは変わるのか? 国公立・理工系の場合は、大学側の出方しだいか?
P:株式会社ディスコが、今年6月1日時点での内定率を 約67% と発表しています。
 https://www.disc.co.jp/press_release/6197/
4月1日 時点で、18.1%なので、4~5月 が選考の山場だったわけです。 
Zくんとしては、このスケジュールA(実質、4~5月選考)から、さらに早まる可能性があるのを心配してるわけですよね。
Z:そうです。
P:実は政府と大学、経団連が協議に入る予定らしいので(9/5 日経新聞報道)、この協議の結果次第ですね。

単純に、大学と経団連企業の二者間の問題だったら、多分、スケジュールAから変えない…変えたくないと思いますが。

政府が介入して、かえって決定が長引かないと良いな~と、思ってます。
Z:というと?
P:なぜ、スケジュールAから変えたくないかって?

典型は、学科推薦のある「機電情」(機械・電気電子・情報工学)ですね。
Z:学科推薦なら、ぼくの学部の「機電情」にもあって、「推薦枠」(総数)自体が、学科の就職希望者の数倍以上(けっこう余ってる)と聞いてます ※5
P:次のブログは、2015年・国立大学院卒の方のケースで、時期は多少ずれますが、
http://whitehead.hatenablog.com/entry/2014/06/01/165544

 「推薦カード」を使おうとする学生の場合は
  学生は、推薦希望調査までに第一志望企業(念のため、第三志望くらいまで)絞り込み
   ↓
  推薦企業決定 (大学が決めたスケジュールによる)
   ↓
  学生がエントリー
   ↓
  企業の選考開始
  

今後、この「推薦」に関する事務スケジュールを変える必要があるのか? といえば、大学としては、3年後期の終わる、1月までは、勉強に専念してもらいたいし、4月からはなるべく早く、卒論・修論をすすめてもらいたいはずなので、


スケジュールAプラス学科推薦あり
 修士1年(学部3年)<夏休み> インターンシップ
 修士1年(学部3年) 10月~2月にかけて、学内で開催の企業面談会(3桁 時間刻み)
 修士1年(学部3年) 1月の学科内就職説明会
 <春休み> 学生が志望企業絞り込み
 修士1年(学部3年) 3月中に、就職担当教授との個別面談
  ★推薦先決定
 修士2年(学部4年) 4~5月 就活(エントリー、面接)←研究室の先輩・同輩
 <GW休み>
 修士2年(学部4年) 6月はじめ 内々定 ※就活終了


という、現状のスケジュールは、けっこう大学当局にとって都合が良いですよね。
ただし、政府・企業・大学の話し合いがまとまれば従うしかない! と。


Zくんについては、大学の場合、変えるときは、入試制度などと同様、1年以上前に関係者に周知するはずですから、それからの対応で遅くないと思います。

ただし、タイムリミットは今年度末。

つまり2019年3月くらいまでに決めてもらわないと、何よりZくんはじめ当事者が困りますよね(2019年夏=修士1年・夏のインターンシップについては、文系も含めて、●4で触れます)。


●3 通年採用は? そして「東京オリンピック」問題??
Z:そもそも一斉採用ではなく、「通年採用」に変わるのでは? という報道もありますよね。
  https://mainichi.jp/articles/20180904/k00/00m/020/126000c
P:これまでも、「留学生や公務員試験受験者などが、不利」というデメリットは指摘されていましたので、いつでも選考してもらえるメリットはあります(くわしくは、日経産業新聞 9月12日号のコラム「就活探偵団」 3年生夏が天王山?)。  
ただし、一斉採用に比べて、採用コストがアップしますから、採用業務へのAI導入などと並行して、検討する企業が多いと思います。
実は、2021年卒だけの問題として、「東京オリンピック」(2020年7/24~8/9)があります。
Z:東京オリンピック…ですか?
P;経団連がすでに、3月段階で検討しています。 ↓
https://resemom.jp/article/2018/03/08/43413.html
東京オリンピックの影響で、都内のセミナー施設はもうこの期間の予約は埋まっているそうで。

宿泊施設も足りない。横浜港に船上ホテルを用意するとか、ニュースになってるくらいです。

となると、2020年の6月~8月、都内で大規模な選考活動をするのは難しいわけです。
Z:さっきのPさんのデータだと、6月時点で、67%が内定。だとすれば、オリンピック前に、実質的な選考は終わってるはずでは?
P:実は、6月1日 時点で、就職活動終了と答えたのは、約35%。内定があっても就活継続の人や未内定等で、65%はまだ就職活動を続けていました。
Z:大学受験でいえば。滑り止めを確保してる状態で、「3割は就活を継続」ということですね。
P:筆者の個人的な意見では、2020年、経団連加盟企業(大企業が多い)が、逆に「6月末までに選考終了」(スケジュールA どおりですね)にすると、中小企業は「内定辞退」がなくなって、かえって良いのでは?
Z:国公立大受験で、「前期」(ふつう、第一志望)に合格すると、「後期」は受けないですからね。現状だと、第二志望の内定を先にとってから、経団連有力企業の結果待ちで、内定辞退…私立大の併願(滑り止め)と、国公立合格待ち…とパターンは同じ気もしますが。

P:Zくんは気にしてないでしょうが、親御さんは「私立大」に数十万円の入学金をはらってますからね。

自由応募での内定辞退には、そういうデメリットがありません。

●4 なしくずし採用 は増えそう…夏インターンシップで実質選考?
P:日経産業新聞の9月13日号は、1面でこの「就活ルール」問題を取り上げてました。見出しは、『通年採用 誰にほほ笑む』。
すでに、25%の企業が、「19年卒採用で、通年採用を実施する予定」らしいですが、その「通年採用」の形態は、年複数回採用や、常時応募受付など、さまざまです。
筆者は、大学3年(修士1年)冬インターンシップ(事実上の会社説明会)から、夏インターンシップへと「実質選考」の軸が、シフトすると予想しています。

「通年採用」というより、「通年選考」ですね。

そこで、先に「内定」が出る代わり、「内定辞退」も増えるかも…。

 

ちょうど、Zくんが来年夏には 「夏インターンシップ※3」のリベンジに燃えると思いますので、引き続きよろしく


※1 大学院内定!! を経て、9月上旬、自大学の大学院・合格通知を学務に受け取りに行ってきたそうです。
  なお、Zくんは4年前期受講した3科目もクリアして、『卒研を除く』全単位の制覇=フル単、つまり「授業科目の単位を落とさずに卒業」が確定しました。 
※2 都内某駅近くの「コメダ珈琲店」に朝10時30分集合。「モーニング」+サイドメニュー1品で、交渉成立。
※3 Zくんは、大学3年生夏のインターンシップに挑戦。経団連加盟企業5社にエントリーして、うち2社は面接まですすみました。

https://ameblo.jp/pernas/entry-12300932731.html
※4 Zくんの大学/学部/学科 では、自大学院希望の成績上位学生は、「筆記試験免除」(口述のみ)とする制度があります。公式には「筆記試験免除をするかどうかの選考」を経て、志望者に通知されます。が、成績上位〇%の学生については、「筆記試験免除」がほぼ確定なので、出願直後に、研究室(有志)で「口頭試験対策講座」をひらいてくれたそうです。 
ちなみに、自大学院進学希望者は、「筆記試験」組も含めて、受験した学生は全員合格。

そもそも受験しなかった数名は、他大学院に合格したためか? 院進学をあきらめたのか? は不明だそうです。

※5 企業が、A学科に「3人」とか、上限(ワク)を指定するケースもあるため。

 冒頭写真提供:Pixabay
 中間写真:経団連会館。ビルを設計した「けいひん設計」HPより   http://www.keihinsekkei.com/pickup-keidanren.html
 BGM Z選曲 back number 「大不正解」
     P選曲 くるり「その線は水平線」