3月26日、北海道新幹線開業の話題がニュースになった中で、読売新聞・夕刊の広告※1 で、北海道の「北見工業大学」が、2017年4月からの学部改組についての予告を掲載していました(後述)。
 
●国立大学54工学系学部
とその前に、そもそも「北見工業大学って国立大学? 」と思った方も、残念ながら多いと思います。
国立大学で、「工業大学」とついているのは、
  北見工業大学、室蘭工業大学、東京工業大学、名古屋工業大学、九州工業大学
まぎらわしいけれど、北海道工業大学、大阪工業大学などは私大です。
ほかに、私大と間違われやすい国立大としては、
  東京農工大学※2、電気通信大学、京都工芸繊維大学
など。なお、大阪電気通信大学は私大です。
工学系の学部がある、地域の国立54大学※3 の情報は、下記「国立大学54工学系学部ホームページの学校検索」
http://www.mirai-kougaku.jp/search/index.php
から、調べられます。できれば、54大学一覧(リンク付き)とか、地域別一覧があれば良いのですがーーー。
  北見工大だと↓
http://www.mirai-kougaku.jp/search/school.php?schid=2
 
●国立大学理工系の学生は実質「奨学金」をもらっているのに等しい
3月25日のニュースには、“現在の日本学生支援機構の奨学金が「貸与型」(実質的な借金)なのに対して、「給付型」(返還しなくても良い)を求める署名が300万人分集まった”というような報道がありましたが、
 国公立大学理工系は、私立大学との学費差で、少なくとも月5万円の給付型奨学金をもらっているのに等しい
という事実を、とくに「お金(学費)を払う」立場の親御さんは知っておいてください。その意味で、上記の「国立大学だという認知が低い」大学は、逆に新高3生とご家族にとっては「穴場」? かもしれません。
 
●国立大学に国から支払われるお金
一方で、国立大学に、国から支払われるお金(運営交付金といいます)はイコール国民の税金ですから、「無駄遣いしないで、学生をちゃんと教育してほしい」と思いますよね。
でも、いったい何が「ちゃんとした教育」なのかが難しいわけです。
その工夫については、平成28年度分より、各大学に競走させ、競争の「結果」を見て、各大学に支払う「運営交付金」の配分に差をつけることになり、その配分が決まりました。
下記記事を見ても、大学関係者でないと分かりにくい点は沢山ありますが、
 http://kakichirashi.hatenadiary.jp/entry/2016/03/10/225417
大まかにいいますと、国立大学自体に、
(1)地域密着型 (2)専門特化型 (3)グローバル研究・教育型
の3タイプ(枠組み)のどれかを選ばせて、その枠組みの中で、どんな工夫をしたかによってもらえるお金の額が、増えたり減ったりするということです。
当ブログで、2016年4月からの変貌ぶりを取り上げた、「電通大」(2型)は配分が増えました。一方、北見工業大学(1型 以下、北見工大)は、減らされた側になります。
 
●北見工業大学 2017年4月改組構想中
北見工大の2016年現在の学部は、工学部1学部で、学科は6学科(機械工学科、 社会環境工学科、電気電子工学科、 情報システム工学科、バイオ環境化学科、マテリアル工学科)。
これが、構想段階ではありますが、2学科(下記)、8コース(略)へ変わる予定です。
・地球環境工学科
・地域未来デザイン工学科(こちらが地域密着重視でしょう)
新高3生にとっては、これまでの入試が、3系別(機械・社会環境系、情報電気エレクトロニクス系、バイオ環境・マテリアル系)だったのが、どうなるか? が最大の関心事でしょうが、これは現時点ではわかりません。
しかし、今の大学HPでも、
http://www.kitami-it.ac.jp/topics/15026/
など、雪と氷、極地に関わるいろいろな教育・研究は知ることができますので、「砂丘・砂漠」の鳥取大学と同様、大学の特色を、より前面に出した構想を期待しています。
 
●大学が変われば「入試」も変わる
今、ニュースで話題になっている「大学入試改革」は、主にセンター試験に代わる「新テスト」のことで、新中2~新小5は、マークシート式に加えて、国語・数学の「短文記述」、新小4以下は、コンピュータを使った選択式回答+長文記述を予定しています。とはいっても、当ブログで、ためしに600字自由記述を出題してみましたが、いったい誰が「記述内容」から思考力、表現力の点数化ができるのかしらん? 
AIの利用を検討するらしいですが、それには、某テレビ番組の歌のうまさを採点するマシーンみたいに「基準」との一致(歌ですと音程)+加算(ビブラートとかですね) のような方式にするんでしょうか?
いずれにせよ、「新テスト」(1次)とは別に、各大学の「改革」が進むと、それに伴って募集のくくり、ひいては2次試験の出題も変わる可能性が高いので、新高3生(新受験生)のみなさんは、候補大学の動向には注意してください。

当ブログ:理工系Vくんシリーズ では、今後も、首都圏の大学(公立首都大を含む)を中心に、上記54工学系学部と公立大(工学系)を随時紹介していくつもりです。※4
 
※1 読売新聞・首都圏版。ちなみに、新幹線の伸びた函館市と北見市との移動は、同じ道内ですが、「ルート検索」では、走行距離約600キロ、時間約10時間とでました。
※2 農工大関係者が「国立 農工大」と言うのは、逆に「国立」を付けないと、たいてい私大と思われるせいですので、大目にみてあげましょう。
※3 54大学とは、「東京大、京都大など旧帝大と東工大、筑波大を除く、都道府県を代表する国立大学工学系学部(54学部)」
※4 理工系Vくんシリーズの基本構想や「戦略(STRATEGY)」については、記事「ただいま競走中」に書きました。受験生のターゲットである「大学」そのものが「ポケモンの進化」のように、刻々変わっていく現状を、当ブログでは「戦略レベル」お知らせし、具体的な「勉強」については、作戦レベルとして塾(通信制含む)・学校にーーーというのが、当ブログのスタンスです。