自律進化組織研究所 (改 : 患者サービス研究所) -3ページ目

自律進化組織研究所 (改 : 患者サービス研究所)

結果にコミット! みずから活性化し進化する組織を実現します。

■上層部から「組織の方針が、現場に浸透していない」という声がある一方で、

現場からは、「わたしたちは、しっかりやっている」という不満の声が聞かれる、

という例が、珍しくありません。これでは、互いの関係も悪化してしまい、モチベーションも低下してしまいます。

では、どうすれば良いでしょうか?

  1. 数値化できないことはわかりあえない、と諦める
  2. 数値化できないことは、上層部が感覚で判断する
  3. 数値化できないことは、上層部が総体的に評価する
  4. 数値化できないことは、上層部が最もインパクトのある事例を聞いて判断する
  5. 数値化できないことは、当医者以外のスタッフの感想も聞いて判断する
  6. 数値化する

=====

 

■しばしば、経営者・幹部の方々から、

「理念はあるものの、それができているとは言い難い」

という声を聞きます。

 

たしかに、

「充分、実現できている」

と言い切れる組織の方が

圧倒的に少ないように見受けられます。

 

「地域社会に貢献する」

「高度なサービスを提供する」

「愛され信頼される」

「地域におけるオンリーワンになる」

・・・などなど、

 

理念といえば、

どうしても抽象的な表現になるので、

「できているか、できていないか」

を検証するのは難しいという人が多いのが実情です。

 

そして、

経営者・幹部が

「充分にできているとは言えない」

と不満を感じているにもかかわらず、

 

現場の管理職やスタッフに訊いてみると、

「実は、良いことが実践されていた」

ということが珍しくありません。

 

この、

上層部の

「できていない」

と、

現場の

「できている」

が、

水面下の無言の水掛け論を続けている、という

悲しい状況が、

多くの組織に見受けられる

典型的な事象ではないでしょうか?

 

みなさんの組織ではどうでしょうか?

 

■同じようなことを、

マネジメント系の学会における研究発表でも

よく目にします。

 

研究発表という名の

「できた!」

「やりました!」

の事例発表は盛んですが、

 

組織の一部の人が、

ある一時期やってみた、という内容であって、

現場に

実務として実装されていない、というわけです。

 

なので、

歳月が経つと、その組織の中で、

「もう誰もやっていない」

「そんなことをやったこともあった」

と過去の話になっている、というパターンです。

 

このように

感覚的に「できている!」

と言い張っているようでは、

「組織が変わった」

ということには辿り着きません。

 

■では、

「理念が組織に実装された」

「組織が変わった」

と言えるようにならないのは、

なぜでしょうか?

 

それは、

「頻度」

を検証していないから、です。

 

現場スタッフの

「理念に適った言動が、

現場で生まれていないわけではない」

は嘘ではありません。

 

しかし、上層部が求めるほどは

「できているとは言い難い」

のは、なぜか?

 

その差は、

「頻度」

にあるからです。

 

もし、

理念に適った言動が、

毎日のように話し合われ、

毎週のように行動に移されていれば、

経営者・幹部も、

「よくやってくれている」

と感じるはずです。

 

同様に、

学会で研究発表したことが

「実績として存在する」

ことに、偽りはありません。

 

しかし、本当に

「組織運営に組み込まれているとは言い難い」

のは、

 

やはり、

「頻度」

が乏しいからです。

 

もし、学会で発表されたような取組が、

多くのスタッフが当事者となって、

年間のうちの大半の時期に、

実践されていれば、

「組織に実装されている」

と胸を張って言えることでしょう。

 

■つまり、

絶対に実現すべきことであれば、

水面下の無言の水掛け論をやめて、

「できているのか、いないのか?」

を、検証することです。

 

そして、

充分な「頻度」で実現されているか?を

計測することが必要であることがお分かりでしょう。

 

それができていないほぼ全ての組織には、

共通した原因があります。

 

それは、

「現場の大小さまざまな情報をキャッチできる仕組みがないこと」

です。

 

■どこの組織でも、現場からは、

「うちはできている」

「けっこうやっている」

という声が上がります。

 

研究発表でも、

「こういうことを開発した」

「こんな成果を実現した」

という発表が多々あります。

 

しかし、重要なのは、

それがその組織のスタンダードになったのか?

ということでしょう。

 

「それ以来、うちはできる組織になりました」

であれば素晴らしいことです。

 

一方、

1回や2回、

「できたことがある」

「やったことがある」

といったことであれば、

一時的なことの報告に過ぎません。

 

重要なのは、

「組織が変わったのか?」

つまり、

「いつでもできる組織になったのか?」

ということでしょう。

 

「したことがあるかどうか?」

という「点」

よりも、

「頻度」

という「線」

・・・が、重要なのです。

 

■もし、

組織体質で言えば、

「職員一人当たり、半年でどれくらいか」

といった「頻度」です。

 

多くの組織において、

この「頻度」の検証がされていないように思われます。

 

「やりました」

「できました」

という報告ばかりが上がってくるが、

頻度はわからないので、

 

人事評価の際にも、

「できなくはないけれど完璧でもない」

という5段階評価の4のような

あやふやな結論に陥りがちになってしまう、というわけです。

 

みなさんも、

部下に対して、

「できると言うならば、頻度を示してほしい」

と思うことでしょう。

 

それが重要なのです。

 

頻度がわかれば、人事評価においても、

おなじ「4」をつける場合にも、

5に近い4なのか、3に近い4なのか、

・・・を踏まえた評価をしたり、

それを部下の伝えることができます。

 

5に近い4ならば

「およそ今のままで良いが、マイナーチェンジで5を目指そう」

と助言できるでしょう。

 

3に近い4ならば、

「かろうじて4だが、抜本的な改善を考えて、安定した4にしよう」

と助言できるでしょう。

 

このように、

「頻度」

を踏まえて検証すれば、

その後の取り組み方が大きく異なってくるのです。

 

■しかし、

「頻度」

を示すには、

「普段どれくらい行なわれているのか?」

という情報を収集することが必要となる、と感じるでしょう。

 

そこで、

「現場の大小さまざまな情報をキャッチできる仕組み」

を導入することが必要となることは

改めて言うまでもないでしょう。

 

とは言うものの、

上席者が現場を訪ね歩き、

部下を捕まえては話を聞いて

情報収集しようとしても、

それは限界があります。

 

したがって、

現実的なのは、

現場スタッフ一人一人が、

「大小さまざまな情報をみずから申告する」

ボトム・アップを習慣化することとなるでしょう。

 

もとより、

「やっている」

ことをわかってほしいならば、

その本人が主張するのが自律というものです。

 

■では、どうすれば、

スタッフ一人ひとりが、

大小さまざまな情報を自己申告するという習慣を

全ての現場に実装できるでしょうか?

 

そのための最もシンプルな方法が、

1日5分のコミュニケーション・モデル

『HIT-Bit®︎』

です。

 

HIT-Bit®︎を行なうと、

現場スタッフ一人ひとりが抱いている

大きな成果から小さな問題意識まで、

さまざまな情報が、

毎日上がってきます。

 

それを、記録化することによって、

・○月○日の○時ころ

・〇〇の場所で、

・スタッフの〇〇が、

・こんなことを発言した、行動した

といった情報が、毎日、蓄積してゆきます。

 

こうすれば、

発言・行動などの「頻度」がわかるので、

「理念が浸透しているのか」

「研究したことが組織に組み込まれ運用されているのか」

が、明らかになる、ということです。

 

「頻度」

を確認することもせずに、

「できているか、できていないか」

「実装されていると言えるか、言えないか」

を議論しても、

水掛け論になってしまい、

お互いの関係を悪くしてしまうことにしかなりません。

 

これからは、

「頻度」

を客観的な事実を測定することによって、

進捗状況を定量的に検証し、

さらに組織の向上されることをお勧めします。

 

■このように、

HIT-Bit®︎を活用すれば、

モチベーションのほか、

リーダー・シップ、

エンゲージメント、

コミュニケーション、

ホスピタリティ、

チーム・ワーク、

・・・などなど、

数値化できないと考えられていたことを、

客観的事実によって数値化できるようになります。

 

もはや、

モチベーションやエンゲージメントを測るために、

スタッフに訊く、従業員満足度調査も必要ありません。

 

組織内のコミュニケーションやチーム・ワークを測るために、

社内SNSなどのつーつ・システムを導入する必要もありません。

 

リーダー・シップを測るために、

360度評価を実施する必要もありません。

 

ホスピタリティを測るために、

顧客満足度調査をする必要もありません。

 

冒頭のクイズについて、

[1]の「数値化できないことはわかりあえない、と諦める」

[2]の「数値化できないことは、上層部が感覚で判断する」

[3]の「数値化できないことは、上層部が総体的に評価する」

[4]の「数値化できないことは、上層部が最もインパクトのある事例を聞いて判断する」

[5]の「数値化できないことは、当医者以外のスタッフの感想も聞いて判断する」

・・・はいずれも、

数値化できないことを前提としているので、

良い組織づくりをする上では、限界があります。

 

習慣化できているかどうか、

マインドや組織体質、組織文化も、

実は測定できるので、

 

[6]の「数値化する」

であると考えるのが建設的ではないでしょうか。

 

■なお、HIT-Bit®︎については、

1Dayセミナー(オンライン)を開いています。

◆3/13(土) 13:30〜16:30

◆4/10(土) 13:30〜16:30

◆5/8(土) 13:30〜16:30

 

HIT-Bit®︎1Dayセミナーの詳細・申込はこちらです。

 

■コロナの影響もあり、「いまこそ組織のエンゲージメントを高めたい」という経営者・管理職は少なくありません。

 

そこで、「いまのエンゲージメントを測りたい」という声も聞きます。またそれを勧めるコンサルタントもいます。

 

では、どうすればエンゲージメントを測定したり、向上することができるでしょうか?

  1. 従業員満足度調査でエンゲージメントを測る
  2. スタッフ・アンケートで満足か不満かを訊く
  3. スタッフ面談をして満足か不満かを訊く
  4. スタッフからの回答に振り回されない

=====

 

■コロナ禍の中にある今こそ、

「離職防止したい」

「モチベーション向上したい」

「エンゲージメントを高めたい」

と、多くの経営者・管理職が言っています。

 

しかし、同時に、

「現場がどんな気持ちかわからない」

といった声も少なくありません。

 

 

そこで、多くのコンサルタント会社が、

エンゲージメント診断や

従業員満足度調査などを

しきりに勧めてくるのではないでしょうか?

 

■しかし、

それが本当に意味があることでしょうか?

 

たとえば、もし自分が交際している相手に、

「自分と交際していて幸せか?」

と訊き、

「うん」

という返答があれば、それで良いのでしょうか?

 

もちろん、そうではないでしょう。

 

もし幸せに感じているなら、

もとより、

相手の気持ちは、

「もっと自分に貢献しようとする行動」

に現れていることでしょう。

 

相手に、自分に貢献しようという言動がなければ、

口先では

「幸せだ」

と言ったとしても、

それは本心ではない可能性が高いでしょう。

 

逆に、もし、

相手が不満を感じているという返答があれば、

今度は、

自分がそれに応えられない時、

相手から好きでいてもらえないという

意思確認をすることになるだけであり、

自分の首を絞めることになるだけでしょう。

 

そもそも、

口先でどう言おうと

言動が伴っていないから、本心が見えないのであり、

だから

自分も確かめたくなる、というわけです。

 

組織とスタッフの関係も、

これとまったく同じで、

満足度調査をして

「満足だ」

という返答があれば、それで良いのでしょうか?

 

もしスタッフが満足しているなら、

「もっと組織に貢献しようとする言動」

に現れているはずです。

 

スタッフに、組織に貢献しようという言動がなければ、

口先では

「満足だ」

と言っても、

それは本心ではないことがわかります。

 

逆にもし、

組織に対して不満だという返答があれば、

今度は、

組織がそれに応えられなければ

スタッフは離職してしまうかもしれないという

意思確認をすることになるだけであり、

自分の首を絞めることになるだけでしょう。

 

そもそも、

満足度調査やアンケートでどういう応えが上がろうと、

離職や

メンタルトラブルや

業務のパフォーマンスが伸びない

・・・などの傾向が見られたり、

組織に貢献しようという言動が見えないならば、

スタッフの本心が見えません。

 

そういう状態だからこそ、

調査したくなる、

ということなのでしょう。

 

しかし、それは、

すでに

リサーチするまでもなく、

エンゲージが高くないということを意味しているということです。

 

■第一、

満足度調査やアンケートによって

スタッフの主観を聞いてみても、

それは、

スタッフのその時その時の気分によっていかようにも変化するものです。

 

そんな正体なき結果に

組織が振り回されても意味はありません。

 

もとより、

「もっと給与が欲しい」

「もっと休みが欲しい」

などと言われても限界がありますから、

応じてあげたくても応じることはできないのですから、

 

かえって、

なまじ希望を訊いただけに、

スタッフの期待を裏切ることになり、

関係を悪くしてしまうことにしかなりません。

 

■では、

エンゲージメントが高いかどうかを測定するには、

何を見れば良いのでしょうか?

 

満足度調査やアンケートといった

スタッフの主観ではないとすれば

何が指標となりうるでしょうか?

 

口先だけの回答でないとすれば

本心はどこに現れるか?

 

それはシンプルです。

 

それは、

組織に貢献しようとする言動です。

 

具体的には、すなわち、

スタッフによる自発的な

  • 気づきの発言
  • 相談の発言
  • 提案の発言
  • 新たな実践
  • 新たな実践による業務上のより良くなった結果
  • 新たな実践による接遇上のより良くなった結果

・・・といった客観的事実にほかなりません。

 

これらを

「HIT」

と呼んでいます。

 

日々の中でこうした言動などの客観的事実が

上がってくるかどうか、

を見れば良いのです。

 

「日々、上がっているかどうか」

なので、

スタッフが繕うことはできません。

 

日々、

いつ、

だれが、

どのような

「HIT」を生み出しているか?

・・・といった客観的事実は、

どうやって確認すれば良いでしょうか?

 

ただし、

昭和の過保護なリーダー・シップ論では

「リーダーが現場から情報収集して回る」

ということになっていますが、

それは、現実的には不可能であることは、みなさんもご存知でしょう。

 

実際、自分の言動をキャッチしてもらえなかったスタッフからは

「ちゃんと見てくれていない」

「不公平だ」

という不満の声があがることは必至です。

 

したがって、現実的なのは、

スタッフ自身から

日常的に

あげてもらうようにすること、となります。

 

さらにそれを記録化すれば、

客観的事実情報が蓄積されますから、

まぎれもないスタッフのモチベーションが克明に現れます。

 

「日々、改善に向けた言動があるかどうか」

以上に、

エンゲージメントを示す指標はないでしょう。

 

■したがって、冒頭のクイズ

「どうすればエンゲージメントを測定したり、向上することができるか?」

について、

 

[1]の「従業員満足度調査でエンゲージメントを測る」

[2]の「スタッフ・アンケートで満足か不満かを訊く」

[3]の「スタッフ面談をして満足か不満かを訊く」

は、

いずれもスタッフの主観にとらわれることにしかなりませんので、

してはならないこと、

ということになります。

 

よって、正答は、

[4]の「スタッフからの回答に振り回されない」

となります。

 

■では、どうすれば、

HIT情報が

スタッフから日常的に上がってくるようにできるでしょうか?

 

そのための最もシンプルで

どんなチームでも実践可能な方法が、

自律進化組織研究所が提唱している

『HIT-Bit®︎』

です。

 

HIT-Bit®︎を実施している組織では、

HIT-Bit®︎ノートを見れば、

現場の活気が手に取るようにわかります。

 

そして、HIT-Bit®︎を続けることによって、

そのモチベーションをさらに向上することが可能です。

 

もはや、ご機嫌を気にして

調査やアンケートをする必要もありません。

 

さらには、

モチベーションを向上するために、

「給与を増やさなければならないのか?」

「休みを増やさなければならないのか?」

「福利厚生をもっと充実させなければならないのか?」

と悩む必要はありません。

 

お金や休みや福利厚生ではなく、

スタッフ同士の関係性づくりによって、

エンゲージメントを高めることができるのです。

 

そもそも、エンゲージメントという言葉自体、

「関係性」

を指す言葉なのですから。

 

なお、HIT-Bit®︎の

導入の具体的な方法、

導入の成功事例、

導入状の注意点、

成果およびHIT-Bit®︎を通じて実現できる組織像などについては、

1Dayセミナー(オンライン)で、くわしくお伝えしています。

 

1Dayセミナーは以下のように予定しております。

◆3/13(土) 13:30~16:30

◆4/10(土) 13:30~16:30

◆5/8(土) 13:30~16:30

 

1Dayセミナーの申込み・問合せはこちらからです。

https://pcs-c.com/hit-bit-00/hit-bit-01/

■新しい施策を導入するにあたっては、
さまざまな実施上の問題点が浮かび上がることがあります。
自律進化組織づくりにおいても、それは例外ではありません。

では、さまざまな実施上の問題点が上がった時に、
経営陣はどうすれば良いでしょうか?

  1. 経営陣で対処方法を決めるまで導入しない
  2. 経営陣が幹部を交えて対処方法を決めるまで導入しない
  3. 経営陣・幹部・管理職で対処方法が決まるまで導入しない
  4. 対処方法が決まらなくても導入してしまう

=====

 

■以前、ある病院の事務長の方から、
「自律進化組織を実現したい」
という相談を受けました。

HIT-Bit®︎という手法について
「説明を聞いてみたい」
とのことでしたので、
概要を説明したところ、
その方は、こう言いました。

「各部署で、
1日5分、集まって発言するとのことですが、
うちの病院では難しいと思うのです」

そこで、
「では、
他に、スタッフ同志のコミュニケーションの方法はありますか?」
と訊くと、
「それがなかなか難しいのです」
とのこと。

さらに
「時々集まっても、会議のようになるだけです。
その点、
HIT-Bit®︎のような
毎日のルーティンのコミュニケーションにすれば、
お互いの価値観を解放できるようになり、
良い関係性が作られてゆくのです」
と言うと、

「たしかに、
月例のミーティングなどでは、
建前ばかりになりがちで、
気安く自分の価値観を言えるような
良い関係性づくりのコミュニケーションはできませんね」
と言います。

「では、どうしますか?」

「毎日のスタッフ間のコミュニケーションが必要なのは
わかるのですが、
うちの病院の場合、
すべて部署で1日5分集まれるかどうか・・・」
と、振り出しに戻ってしまうのです。

 

■いつもこのブログをご覧くださっているみなさんは、
すでにお気づきでしょう。

「この事務長が、そこまで心配する必要がない」
ということに。

「価値観を解放すること」
「毎日のコミュニケーション」
の2点が必要であるということだけが、
しっかりとスタッフの方々に刺されば、
あとは、
「うちの部署なら、どういう形が可能か?」
と、

自分たちの現場の実情に合った形を、
自分たちで導き出すからです。

事務長が考えるよりも、
その部署で毎日働いているスタッフ自身の方が、
最適な形を考え出すことができることは、
言うまでもないでしょう。

にもかかわらず、
つい、
「あの部署でできるだろうか?」
「このメンバーでできるだろうか?」
と、
この事務長のように考えてしまう経営者・幹部は
少なくないのではないでしょうか。

日本では、永い間、
「大事なことは上が決めて、下は忠実に従うべき」
という文化が続いてきましたから、
その事務長や多くの方々が、
「現場ができるだろうか?
現場ができる見通しがつかなければ、現場に下ろせない」
と考えてしまうのも、無理のないことなのです。

しかし、これからはそうも言ってはいられません。

「かつての常識が非常識」
という時代に、すでになっているのです。

たとえば、
かつては、
「仕事は大変なもの。会社のために自分を犠牲にするべき」
という考えが常識的でしたが、
いまや、
「そんな職場に誰が勤めたいと思う?」
という文化になっているでしょう。

 

■さて、このように、
本来、部下スタッフに任せた方が良いにも関わらず、
上席者が
頼まれてもいないのに、
わざわざみずから責任を負ってしまう傾向を、
「責任を負ってしまう病気」
すなわち
「負責病」
と呼んでいます。

もしかしたら、
みなさんの中にも、
「自分がやり方を見出せていないのに、
部下たちにやれと言うのは無責任だ」
と考えてしまう方もあるかも知れません。

では、逆に、
「すべて、やり方がわかっていることしか、
上司は部下にやらせてはならない」
というルールで良いのでしょうか?

「経営者も幹部も管理職も答えを知らないが、
しかし、
なんとかして解決しなければならない問題」
は、日々、現場にはゴロゴロ存在しているはずです。

答えが出ようと出まいと、
上下の別なく、だれかれなく、
仮説を立てて、
やっていかなければならない、
・・・それが仕事ではないしょうか。

スタッフたちが、
「なんでも上司が答えを持ってきてくれる」
「上司の言ったようにやっていれば良い」
と、受け身で人まかせで依存的で、
パフォーマンスが上がるはずがありません。

スタッフが、
トライ・アンド・エラーをするという責任を
持ちたがらない組織が、
変化の激しい時代を生き抜いてゆくことなどできません。

 

■実際、
現場スタッフがさまざまに工夫して、
形を変えたHIT-Bit®︎を実施し、
効果をあげている例がたくさんあります。

たとえば、
午前だけや午後だけのシフトのスタッフがいるので、
午前と午後に1回ずつHIT-Bit®︎を行い、
スタッフは、どちらかに参加する
・・・というスタイルで実施している部署もあります。

たとえば、
責めて時間短縮するために、
発言内容は各自、事前に記載しておき、
対面のHIT-Bit®︎では、
簡潔に発言することにしている
・・・という部署もあります。

たとえば、
(時々ご紹介している)訪問看護リハビリステーションの
「ティエル町田」では、
みんながオフィスに同時に居るということ自体が稀なので、
クラウド上にフォームを置き、
スタッフは、
それぞれ都合の良いタイミングに、
1日1回は、フォームを開き、
発言する代わりに入力するようにしています。

その入力内容に、
他のスタッフが、
またレスポンスを入力して、
さながら同じ部屋の中でおしゃべりをしているかのような
楽しいコミュニケーションが実現されている
・・・という例もあります。

まさに
「価値観を解放すること」
「毎日のコミュニケーション」
の2点が不可欠であるということを、
スタッフ達がしっかり理解したからこそ、
あとは、
具体的なやり方はスタッフ自身がみずから工夫し見出してくれるのです。

 

■こうしてみると、
頼まれてもいないのに
「うちの病院でできるのだろうか?」
と悩んでいる事務長の方が、
一面で親切であるとも言える一方で、
実は、
過保護であるということが見えてくるでしょう。

この事務長の方は、
せっかく、
スタッフを守るつもりで考えているのですが、
結果的に、
スタッフの工夫と実践の機会を奪ってしまう結果となっています。

「自律進化組織をつくりたい」
という相談であるにもかかわらず、
却って、
スタッフたちの自律進化を妨げているのです。

もし、みなさんが、
この事務長のように、
「自分ができるかできないかを考えてあげなければならない」
と思っていたら、
その過保護な発想をできるだけ捨てた方が良いでしょう。

そうしなければ、
自律進化組織にはなりません。

「ぼくだって、答えは判らない。
でも、
このままではダメだということだけは確かだ。
何とか考えてくれ」
と、
思い切って任せてしまうことこそが、
スタッフが自分で歩いて行けるように足腰を鍛えさせることであり、
それが、
自律進化組織づくりの初歩だということです。

 

■したがって、冒頭のクイズ
「新しい施策を導入するにあたって、
実施上の問題点が上がった時に、経営陣はどうすれば良いか?」
については、

[1]の「経営陣で対処方法を決めるまで導入しない」
[2]の「経営陣が幹部を交えて対処方法を決めるまで導入しない」
[3]の「経営陣・幹部・管理職で対処方法が決まるまで導入しない」
のいずれもが、
過保護であり、負責病に他なりません。

答えが有ることも無いことも、
自分たちで考えて取り組んでこそ、
自律進化組織です。

したがって、
経営陣・幹部・管理職が
「答えを出して与えてあげる」
という過保護体質を卒業して、
[4]の「対処方法が決まらなくても導入してしまう」
とするのが、
正解であると考えます。

 

■万一、部下スタッフから
「上司が答えを知らないのに、わたしたちに答えがわかるはずがありません」
といった声が上がったら、
「自分の部署で自分たちがどう行動するかを自分たちで決めよう。
それが自治能力だよ」
と返答しましょう。

これからの組織人は、
自分で答案を出し自分で進んでゆく自治能力が必要となるからです。

なお、
6ヶ月で自律進化組織を創る最短最速のプログラム
「HIT-Bit®︎プログラム」
については、
HIT-Bit®︎1Dayセミナーを開いています。
◆3/13(土) 13:30〜16:30
◆4/10(土) 13:30〜16:30
◆5/8(土) 13:30〜16:30

HIT-Bit®︎1Dayセミナー(オンライン)の
申込み・問合せは以下からです。

 
 

■いま、ビジネスや医療の現場で、さまざまな合理化・簡略化を余儀なくされたものの、
それが発展の糸口になっていることもあります。
一方で、コミュニケーションが希薄になったことで、
組織が脆弱になっているケースも多々見受けられます。

では、どうすれば、コロナ禍の下でもモチベーション高い強固な組織を
作ることができるでしょうか?

  1. スタッフにコーチングを習得させる
  2. スタッフに話し方や傾聴を学ばせる
  3. サンクスカードの送り合いをさせる
  4. 社内SNSのシステムを導入する
  5. リモートの上司部下面談の回数を増やす
  6. 対話力を学ぶよりも関係性を変える

=====

 

■昨今のコロナ禍の影響で、さまざまなビジネスシーンにおいて、
これまでの常識を見直し、
新たなスタイルを生み出すことが必要となってきました。

そこで、さまざまな
合理化、システム化、簡略化、リモート化などが起こる傾向にあります。

たしかにそれらの取組は重要です。

ただし、
そんな中、
「これだけは手間を惜しんではならない」
という領域があります。

それが、
組織とスタッフの間、
および
スタッフ相互間の、
「関係性の構築」
の領域です。

 

■というのも、
「関係性構築」
とは、当然
「良い関係性構築」
のことであり、

言い換えれば、
「なんでも訊ける」
「なんでも話せる」
「なんでも相談できる」
といった承認的な関係を築くということです。

そして、
わたしたちが、
「この人ならなんでも訊ける」
「この職場ではなんでも言える」
「この仲間にはなんでも相談できる」

と思えるようになるかどうかは、
単なる情報伝達だけでは決まらないからです。

たとえば、みなさんが、
ある重要な、絶対に失敗できない案件を抱えていたとしましょう。

そして、
それを解決するにあたり、
友人から、
その結果を左右する唯一のキーマンを紹介されたとします。

そして、その友人から
会ったこともないそのキーマンについて、
「あの人ならなんでも相談して良い」
と言われたら、
本当になんでも相談できるでしょうか?

手許には、
「なんでも相談して良い」
という情報が届きはしましたが、
それだけでは、
心から安心し、信頼して、
なんでも相談しようとは思えないでしょう。

万が一、キーマンの協力を取り付け損ねれば、
案件を解決することが金輪際できなくなってしまうからです。

つまり、
「OK」
「NG」
といった情報だけでは、
良い関係性を構築できないということが、
私たち自身の心理構造を振り返れば明らかでしょう。

では、わたしたちは、
「OK」「NG」の情報以外に、
どんなことによって、
良い関係性を構築できるのでしょうか?

 

■それが、
「熱量」
です。

「真剣さ」
と呼ぶ人もいるでしょう。

そして、それらは、
「OK」や「NG」といった結論を示す情報だけでは
決して伝わることはありません。

では、何によって、伝わるのか?

それは、
熱量がエネルギーと呼ばれることからもわかる通り、
エネルギーによって伝わるのです。

エネルギーの大きさは、どこでわかるでしょうか?

列挙すれば、以下のようになるでしょう。
たとえば、

大きな声の方が
小さな声よりもエネルギーが伝わります。

音声の波形も複雑な方が、
簡易なものよりエネルギーが払われていることを現します。

同じ情報でも、
発信する回数の多い方が、
回数が少ないよりもエネルギーが注がれています。

回数だけでなく、同じ情報でも、
表現の態様が多岐にわたる方が、
同じ表現を繰り返されるよりもエネルギーが大きいことを感じさせます。

具体的には、
訴える人が一人よりも、
複数の方がエネルギーが必要だということも想像に易いでしょう。

しかも同じ回数でも、
複数の人が一人ずつ入れ替わり立ち替わり訴えるよりも、
その大勢が揃って訴える方がエネルギーの大きさが迫ってくるでしょう。

また、
もともと仲の良かった人同士が連携するよりも、
「こんな人まで?」
というような縁の遠い人たちが参画してきた方が、
それだけ大問題なのだということがわかり、エネルギーを感じることになります。

また、伝える方法も、
メールで伝えてくるだけよりは、
電話をしてきたり、
訪ねてきたり、
わざわざ場所と時間を設けて折り入って話をされる方が
エネルギーを感じるでしょう。

その機会が近づいてきた時、
直前に、
「明日、どうかよろしくお願い致します」
とわざわざ念を押す連絡が届けば、
「持ちかけた人は真剣なのだ」
と感じないはずがないでしょう。

また、やりとりする場合、
返答に対して、
つねにスピーディにレスポンスが返されれば、
「持ちかけた人にとっては、
この案件の優先順位がとても高いのだ」
ということが伝わってきます。

もしかしたら、
「いま、この相手にとっては、
この件が人生で最も重大なテーマなのかも知れない」
と感じることもあるでしょう。

いまどき、
手書きの手紙にメッセージを書いて送って来れば、
安易に持ちかけているのではないことが、一目瞭然でしょう。

 

■つまり、
「良い関係性」
を築くためには、
「OK」「NG」といった結論の情報そのものよりも、
その前後の文脈から見える、結論にいたった背景に存在する
「熱量」
「真剣さ」
「エネルギー量」
を表現することが不可欠なのです。

多くの事例を紹介しましたが、そのポイントは、

  • 行動量
  • 情報量
  • スピード
  • バリエーション

・・・といったところでしょう。

 

■なので、冒頭のクイズ

「では、どうすれば、コロナ禍の下でも
モチベーション高い強固な組織を作ることができるでしょうか?」
・・・については、

[1]の「スタッフにコーチングを習得させる」
[2]の「スタッフに話し方や傾聴を学ばせる」
[3]の「サンクスカードの送り合いをさせる」
[4]の「社内SNSのシステムを導入する」
[5]の「リモートの上司部下面談の回数を増やす」
・・・はいずれも、
表層的なコミュニケーションに重きを置いている点で、
根本的な解決にはなりにくいことがお分かりでしょう。

よって、正答は、
[6]の「対話力を学ぶよりも関係性を変える」
が妥当であると考えます。

 

■冒頭の本題に戻れば、
こうしてみることによって、
「関係性構築だけは手間を惜しんではならない」
ということが実感できたのではないでしょうか。

むしろ、
「どれだけ手間をかけるか?」
が、
組織内の良い関係性を強固なものにすることが明らかです。

これまでの常識を見直し、
合理化、システム化、簡略化、リモート化を進めるのはとても良いことです。
それによって手間をかけなくて済むようになった分、

「関係性の構築」
に手間をかけて、
遠隔同士でありながらも、強い関係性を築くことが
組織の維持・発展のためにもますます必要なのではないでしょうか。

むしろそうしなければ、
組織内のコミュニケーション不足が、
スタッフ一人一人の孤立感、孤独感、
報われていることが実感できない虚無感、
組織からどう見られているか判らない猜疑心、
誰にも相談できないプレッシャー
・・・などを生み、組織の生産性は落ちるだけです。

もちろん、
スタッフの離職が起きます。
そうなりたくなければ、
関係性の構築に、力を注ぐことをお勧めします。

行動量、情報量、スピード、バリエーションを増強し、
コミュニケーションを図ることです。

ただし、一方的に押し付けても
効果はありません。

では、どうするか?
そのためのコミュニケーション・モデルが、
自律進化組織研究所の提唱している
『HIT-Bit®︎』
です。

HIT-Bit®︎は、
「1日5分、一人一言」
だけの対話をするだけで、
良い関係性を構築してゆく、
最もシンプルで最短最速の方法です。

HIT-Bit®︎については、1Dayセミナーを開いています。
◆3/13(土) 13:30〜16:30
◆4/10(土) 13:30〜16:30
◆5/8(土) 13:30〜16:30

1Dayセミナーの詳細・申込はこちらです。

 
 

■経営者・幹部の多くは「今以上にスタッフが成長してくれたら」と
日頃から願っていることでしょう。

では、どうすれば、それが可能となるでしょうか?

  1. 教育プログラムを作り強制的に受講させる
  2. 教育プログラムを作り任意で受講させる
  3. より質の高い教育プログラムを作る
  4. 教育プログラムを作らない

=====

 

■ある企業の経営企画室長の話。

その会社では、経営陣の
「管理職の自主性が高まるよう育成したい」
と要望から、経営企画室が中心となって
「管理職研修プログラムを作りたい」
とのことでした。

その後、
いくつかの単元を設け、
外部講師の登壇も取り付けて、
プログラムは完成。

果たして、
新年度を迎え、全管理職に告知したところ、
どうなったでしょうか?

ほとんど参加申し込みがなく、
ほとんどの単元が開講しなかったでそうです。

自主性を育てたかったこともあり、
自由参加にしたものの、
「このままでは管理職が育たない」
と感じ、その経営企画室は、
まずはひとつの単元だけ、
強制参加で開講したとのことです。

 

■またある病院では、看護部長が、
職員研修プログラムを作りたい、とのことでした。

当初はわたしも相談を受けましたが、
看護部長には、
組織開発よりも、
個別のテーマを揃えたいという考えがあり、
途中から、
わたしは関わらないことになりました。

看護部長は熱心に取り組み、
看護協会の管理職研修などのエッセンスを
貪欲に取り入れてプログラムを策定しました。

さまざまな進路展開を視野に入れたプログラムは
将来のキャリアを考える看護師にとっては、
他にない充実した内容となっており、
他の病院の看護部長の方々に話したところ、
感心されたほどだったと言います。

では、下半期に入る10月に、
満を持して院内に告知したところ、
どうなったでしょうか?

ところが、こちらも、
「強制でないなら今は見送りたい」
「いま自分が求めるテーマがない」
などの声が多く、
エントリーは全体で数名だったとのことです。

なかには
「この時期、それが必要なのか?」
という意見さえあったと言います。

 

■ここからが本題です。

みなさんも、
スタッフ育成プログラムを作ろうと考えることがあるでしょうか?

その際に、重要なことは、そもそも
「教育しよう」
と思わないことです。

「あれも教えたい。
これも判って欲しい」
と、思っているのは自分だけで、
スタッフは関心を持っていない、
・・・というこの状況が最も効果につながらないからです。

その逆に、
みなさんがそれほど関心を持たなくても、
スタッフの側が、
「あれも学びたい。
これも身につけたい」
と思っている状態ならば、
そこで行なわれる学びは極めて効果的なものとなります。

 

■人間は誰しも
「判ってもらいたい」
生き物なので、
つい、経営者や幹部は、
自分がわかってもらうための研修構成を
やりだしてしまう傾向があります。

それは、すなわち、
スタッフから見れば、
「価値観の押しつけ」
をされていることに他ならず、
モチベーションが上がることはありません。

経営者や幹部の策定した研修プログラムが充実しているほど、
スタッフにとっては
「押しつけ感満載」
と映ることになってしまうのです。

「研修プログラムを作る」
という意気込みが感じられた時点で、
実は、
エントリーが少なくなるという結果が
ある程度見えていた、とも言えます。

(もちろん、その旨、わたしから助言しましたが、届きませんでした。残念)

 

■では、どうすれば良いか?

(1)プログラムの実施が急がれる場合と、
(2)そうでない場合と、
方法は異なります。

(1)プログラムの実施が急がれる場合には、
経営者・幹部が、
スタッフの関心を喚起しながら進めてゆく必要があります。

具体的には、
企画したいテーマごとに、
関心を持つスタッフをスカウトして、
プログラム策定をプロデュースしてもらう、
・・・という方法です。

人間には、
「関わりが多いことにほど、執着を持つ」
心理構造がありますから、
担当したスタッフは、
プログラム策定の過程でさらに関心が強くなります。

したがって、
プログラムを策定した時には、
すでに、
非常に高いモチベーションを持ったスタッフに成長している、ということになります。

そのスタッフが、
その過程で仲間を巻き込んでいれば、
非常に高いモチベーションを持ったスタッフが、
何人もいる組織が実現するのです。

では
「プログラムは実施しなくても良いのか?」

答えはもちろん
「Yes」
です。

なぜなら、
課題に執着を持つことができたスタッフは、
あとは自発的に調べたり学んだりするようになるからです。

(2)プログラムの実施が急がない場合は、
経営者・幹部がテーマを挙げない方法を取ることができます。

つまり、
「このテーマで、学びたい」
と、スタッフの側からテーマを提示してくるのを待ってから、
それを支援する、ということが可能となるのです。

自分からテーマを挙げて学ぶことほど
高いモチベーションは他にないでしょう。

 

■というわけで、冒頭のクイズ、
今以上にスタッフが成長してくれるためには、どうすれば良いか?について、

[1]の「教育プログラムを作り強制的に受講させる]
[2]の「教育プログラムを作り任意で受講させる」
[3]の「より質の高い教育プログラムを作る」
は、いずれも、経営者・幹部側の
「教育したい」
という願望でしかない点で、効果的な研修にはなりません。

昭和の時代には、それが当り前でしたから、
「別段、違和感を覚えない」
という人も多いかもしれませんが、
教育の押し売りをされた時の不快感はお心当たりがあるでしょう。

そして、正答は、
[4]の「教育プログラムを作らない」
となります。

経営者・幹部が作らないこと、
そして、
スタッフ自身が作ること、
スタッフがみずから作りたくなることが、
最も多くの学びを身につけてくれるからです。

 

■なお、
「どうすれば
『このテーマで、学びたい』
と、スタッフの側からテーマを提示してくるようにできるか?」
と考えるでしょうか?

自主性を引き出す以上、
その方法は教育ではないということは、言うまでもないでしょう。

では、教育によらず、
どうすれば自主性を高め、
スタッフの側から
「このテーマで学びたい」
という意欲的な言動を引き出すことができるのか?

そのための方法が
自律進化組織研究所の提唱している
『HIT-Bit®︎』
です。

断片的な説明は、
別の機会にこのブログでしています。

体系的に知りたい方には、
1Dayセミナーを開いています。

1Dayセミナーの詳細と申込みは、こちらです。

■コロナ禍の影響もあり、このところますます、
「職員を活性化し、組織のパフォーマンスを向上したい」という声をよく聞きます。

では、スタッフが活き活きと働くようするには、次のうちどれが不可欠でしょうか?

  1. もっと力を発揮するよう教育する
  2. 前向きなスタッフを評価する
  3. 活躍しているスタッフを褒める
  4. パフォーマンスを向上したいと強く訴える
  5. ただただ聴く

=====

■昨今は、
「スタッフのモチベーションを上げるべき」
「スタッフが辞めない組織をつくるべき」
といったことが盛んに言われています。

でなければ、
スタッフが辞めたり、病んだり、
その結果、
組織の生産性が低下してしまうからです。

日本全体が工場のような状態だった
昭和の時代には、
高度経済成長に支えられていたので、
やる気があろうとなかろうと働いてくれれば、
それなりに結果が出たものです。

しかし、いまは、
言われたことだけを忠実にやる仕事は
海外の労働力に依存するようになり、
日本人は、
みずから気づき考え行動するといった働きをしなければ
存在価値がない時代となりました。

そうなるためには、
一人一人が自主的に考え行動してくれる組織に
しなければなりません。

その結果、
「モチベーションが大事」
「辞めない環境」
などと言われるようになったというわけです。

あるいは、
「エンゲージメント」
という言葉も流行っているようです。

「忠誠心」とか「愛着」といった意味合いだそうです。

■しかし、
なぜ、さまざまに研究されているにもかかわらず、
組織が活性化しないのでしょうか?

あるいは、
活性化した状態を持続できないのでしょうか?

それはひとえに、
「スタッフのモチベーションを上げる」
「辞めない職場をつくる」
という考えの根底に、
いまなお、やはり、
トップ・ダウンの感覚が横たわっているからです。

もしボトム・アップを目指すならば、
ボトム・アップ型組織文化が強いか?
それとも、
トップ・ダウン型組織文化が強いか?
について、
こんな指標で検証してみることが可能です。

(1)たとえば、
各部署に入った時に、
スタッフの話している声が聞こえてくるでしょうか?
それとも、
リーダーの声ばかりが聞こえてくるでしょうか?

(2)同様に、なんらかの会議の時に、
参加者からの意見や声が盛んに飛び交っているでしょうか?
それとも、
上層部・役員の声が響き渡っているでしょうか?

(3)特に、
役員会の時に、
多くの役員が旺盛に意見を交わしているでしょうか?
それとも、
重要な場面で主にトップが発言しているでしょうか?

(4)また、組織でプロジェクトに取り組む時、
現場スタッフが挙げてきた企画が多いでしょうか?
それとも、
経営者・上層部のアイディアによる企画が多いでしょうか?

(5)そもそも、日常において、
スタッフからの雑談の声が上に届いているでしょうか?
それとも、
言いたいことを言っているのはトップの方ばかりでしょうか?

これらは、言うまでもなく、
組織がトップ・ダウン型組織文化であれば、
前者の選択肢ばかりとなります。

逆に、もしみなさんの現場が
後者の選択肢ばかりであれば、
紛れもなくボトム・アップ型組織文化を醸成していると言えるでしょう。

■言い換えれば、
「どれだけ、スタッフが発言しているか?」
ということです。

もちろん、
「トップが期待することだけを発言しろ」
と言っても、萎縮させるだけで、
現場が活性化することはありません。

「業務に役立つことだけを発言しよう」
「意味のあることだけを発言しよう」
と言われても、
やらされ感を覚え、意気が下がるだけです。

なぜなら、人間は、
前向きではないことも思い、
前向きではないことも言いたい時があり、
その口を塞げば、
モチベーションが下がり、
前向きな意見すら言う気がなくなってしまうからです。

そうした話はもちろん会議の場では
できません。

となれば必然的に、
会議以外の、
非公式なことを言える機会が
職場になければならない、ということになります。

とはいうものの、
非公式な機会なので、
完全にスタッフの自由にすると、
人間は目先の得にならないことに必要性を感じないので、
継続することはありません。

まして習慣化することはありません。

となれば、
スタッフのモチベーションが高く、
辞めない組織を目指すのであれば、
必然的に、
「非公式な会話をする機会を公式に設ける」
ことが必要となります。

このようにして、
組織主導で、
「なんでも話して良い機会」
を設けることで、
スタッフがさまざまに忌憚ない発言をし、
その声をトップがキャッチすることができるようになります。

こうして、

(1)各部署に入った時に、
スタッフの話している声が聞こえてくる

(2)同様に、なんらかの会議の時に、
参加者からの意見や声が盛んに飛び交っている

(3)特に、
役員会の時に、
トップ以外の役員が旺盛に意見を交わしている

(4)また、組織でプロジェクトに取り組む時、
現場スタッフが挙げてきた企画が多い

(5)そもそも、日常において、
スタッフからの雑談の声が上に届いている

というような、
……そんな組織を実現することができるのです。

■みなさんの組織では、
どれだけ、スタッフの声を聞いているでしょうか?

スタッフの声を聞くために、
どれだけ、スタッフが話しやすい機会を設けているでしょうか?

さらに、
どれだけ、スタッフの声をしっかりキャッチしているでしょうか?

考えてみれば、
スタッフの声を聞く努力をせず、
スタッフの話やすい機会を設けず、
スタッフの声をしっかりキャッチしてもいないのに、

スタッフがモチベーションを挙げることも、
この職場で働き続けたいと思うことも、
ないでしょう。

スタッフの声を聞く努力をせず、
スタッフの話やすい機会を設けず、
スタッフの声をしっかりキャッチしてもいないのに、
スタッフからの忠誠心や愛着を求めることが
いかに履き違えた発想か、
明らかでしょう。

■したがって冒頭のクイズ
スタッフが活き活きと働くようにするには、
次のうちどれが不可欠でしょうか?
・・・について、

[1]の「もっと力を発揮するよう教育する」
[2]の「前向きなスタッフを評価する」
[3]の「活躍しているスタッフを褒める」
[4]の「パフォーマンスを向上したいと強く訴える」
・・・といった方法は、
いずれも、
とりも直さず、
トップ・上席者が
大きな声で、
多くの発言をし、
自分の思いを吐き出している姿に他なりませんから、
スタッフが活き活きとすることがないのは、自明でしょう。

人は、
自分の思いを聞いてもらえて、
わかってもらえることで、
自分の可能性が広がることを感じ、
心が明るくなり、
活き活きと何かに取り組むことができるようになるものです。

つまり、
[5]の「ただただ聴く」
が正答となります。

■では、
「非公式な会話をする機会を公式に設ける」
には、どうすればよいでしょうか?

そのための最もシンプルな手法が、
自律進化組織研究所が提唱している
『HIT-Bit®︎』
です。

1日5分、
スタッフが一人一言、発言するという
誰にでもできるコミュニケーション・モデルです。

難しい理論も高価なシステムも、
資格も経験も
知識も技術も
要りません。

HIT-Bit®︎を行なうと、
まもなく、
「スタッフの表情が変わった」
「みんなの会話が増えた」
といった変化が現れる傾向があります。

そんな中からやがて、
予期しなかった問題提起や改善提案が飛び出す、
頼もしい組織へと変わってゆきます。

もはや、
トップが
「モチベーションを上げよう」
と思わなくても、
現場からさまざまな意見や取組が生まれます。

スタッフは思い思いに話し合い、
行動するので、
やりがいと誇りを感じることができるため、
いうまでもなく、
「辞めたい」
という声も無くなってゆきます。

■ともあれ、
現場を活性化したいなら、
現場スタッフとの対話をしなければなりません。
トップや上席者からの一方的な意思表示では、
対話になっていません。

「この頃、少し聞くようにしている」
程度では、
スタッフの遠慮や猜疑心が解けることはないので、
話は交わしていても、
心の対話にはなっていません。

これでは、
スタッフのモチベーションを上げたり、
「ここで働き続けたい」
と思ってもらうことは不可能です。

では、いつから
スタッフとの対話を始めるか?

■なお、HIT-Bit®︎については1Dayセミナー(オンライン)を開いています。
 ◆2/13(土) 13:30〜16:30
 ◆3/13(土) 13:30〜16:30
 ◆4/10(土) 13:30〜16:30
(いずれも同内容です)

1Dayセミナーの詳細・申込は、こちらです。

 

■スタッフを教育するために研修を企画する企業・病院は少なくないでしょう。
実施するからには、効果の大きな研修にしたいことでしょう。

では、最も効果の大きな研修を構成するコンサルタントはどのように見極めれば良いでしょうか?

  1. 専門領域について詳しいかどうか
  2. 講演の経験が豊富かどうか
  3. 書籍を出しているかどうか
  4. 実績が多いかどうか
  5. 研修したいのか、組織を良くしたいのか

=====

 

■企業・病院などの組織においては、
さまざまな研修が企画されています。

  • 新入社員・新入職員研修
  • 新人フォオーアップ研修
  • 中堅社員・中堅職員研修
  • 主任職研修
  • 管理職研修
  • コミュニケーション研修
  • リーダーシップ研修
  • コーチング研修
  • ファシリテーション研修
  • フォロワーシップ研修
  • チーム・ビルディング研修

・・・などなど。

そして、
企業や病院の担当者は、
研修会社やコンサルタントと連絡をとり、
「どのような研修をするか?」
の相談をすることになります。

しかし、
それは本当に価値のある研修になるでしょうか?

そもそも、
「本人たちは学びたいのか?」
を気にしないことが間違いではないでしょうか。

「お腹いっぱい」
と言っている人に
料理を作りますか?

受験する気がない子供に
家庭教師や受験参考書を与えますか?

 

■研修会社やコンサルタントで、
それを助言してくれる人はいますか?

ほぼいないでしょう。

その理由は、主に2つと考えられます。

1つには、要望に応えてお金をもらうのが楽だから

2つには、モチベーションを上げる方法を知らないから

しかし、
本当にクライアントのためを思うならば、
要望に応えてお金を貰えば良いとは思わないでしょう。

選択肢を提示して選ばせるはずです。

また、
モチベーションを上げる方法がわからないならば、
最良の研修を実施する自信はないでしょう。

モチベーションを上げる方法を探究してこなかった
もしくは、
いまもモチベーションを上げる方法がわからない
コンサルタントに任せても、
受講者のモチベーションが上がっていないのですから、

研修はすべて押し付けとなり、
思うような効果のある研修にはなりません。

こうした研修では意味がありません。

また、こうした研修をするコンサルタントも、
教えるだけの仕事、
つまり、講師稼業でしかありません。

いわば研修屋です。

それは本当のコンサルタントとはいえないでしょう。

 

■みなさんが、
目の前の(自称)コンサルタントが、
「本物かどうか」
「本気でクライアントのことを考えているかどうか」
を見分ける方法は、
この一点に尽きます。

研修を受けたくない人を無理やり受けさせれば、
組織は不満と不信を買うだけなので、
やめた方が良いでしょう。

一方、
研修を受けたい人だけが受けるようにすれば
お互いにとって有益なものになります。

なので、
本気のコンサルタントであれば、
研修実施日までに、
受講したい人をどれだけ増やせるかを
コンサルタントするはずです。

「せっかく研修をやるなら、
ちゃんとやりましょう」
と背中を押してくれるはずです。

もちろん、
自律進化組織研究所では、
研修の効果を最大化するために、
できる限り、事前の準備を周到に行ないます。

事後も効果測定などの
検証をすることを前提としています。

受講するスタッフが
「今日はこれを学びたいのだ」
という思いで参加することで、
効果が飛躍的に拡大するようにします。

 

■というわけで、冒頭のクイズ
「最も効果の大きな研修を構成するコンサルタントは
どのように見極めれば良いか?」
については、

[1]の「専門領域について詳しいかどうか」
[2]の「講演の経験が豊富かどうか」
[3]の「書籍を出しているかどうか」
[4]の「実績が多いかどうか」
は誤りとなります。

いずれも、
「どんな研修をする人か?」
という視点だからです。

組織にとって、
もっとも重要なのは、
「研修」という用事に真剣であることではなく、
「研修によって、組織が変わるかどうか」
です。

なので、
[5]の「研修したいのか、組織を良くしたいのか」
が正答となります。

 

■さて、
多くのスタッフのモチベーションが上がり、
「みずから学びたい」
という組織になれば、
ことさら「研修」だけではなく、

日常の業務のさまざまなことについても、
同様に、
「みずから考えたい」
「みずから実行したい」
という話が、
現場から飛び出してくるようになります。

これが、
指示命令によらない
「自律進化組織」
です。

自律進化組織では、
さまざまな新たな取組が、
トップ・ダウンで降りてくることが少なく、
多くが、
現場からのボトム・アップで生まれてくることとなります。

現場で働くスタッフの方が、
人数が多く、
日々の具体的な課題に直面しており、
現場に即した最適な答案を持っているからです。

それを引き出せていないとすれば、
組織力を最大限活かしているとは言えません。

スタッフが
「これは、変えた方が良い」
とテーマを発掘するたび、
それぞれにさまざまな制約に捉われず、
意見を言い、行動するので、
立ち上がるプロジェクトが、
「テーマ起点型プロジェクト」
となります。

自律進化組織では、
プロジェクトといえば、
「テーマ起点型プロジェクト」
です。

反対に、従来の組織体質では、
担当を割り当てられた担当者が
テーマを見つけた時だけ、
プロジェクトを立ち上げることとなるので、
プロジェクトはいずれも
「担当者起点型プロジェクト」
となります。

こうした指示命令組織においては、
プロジェクトといえば、
「担当者起点型プロジェクト」
です。

みなさんの現場は、
「テーマ起点」が多い
自律進化組織でしょうか?

それとも
「担当者起点」が多い
指示命令組織でしょうか?

 

■自律進化組織を創るための
最短最速の、
もっともシンプルな方法、

それが
「HIT-Bit®︎」
です。

HIT-Bit®︎については、1Dayセミナー(オンライン)を開いています。
◆2/13(土) 13:30〜 16:30
◆3/13(土) 13:30〜 16:30
◆4/10(土) 13:30〜 16:30
(いずれも同内容です)

詳細・申込はこちらです。

 

■各部署がそれぞれの異なった視点を持つことには長所もあります。
一方、全体最適を見失うため、できるはずの協力ができず、組織が総力を発揮できないこともあります。
そこで、「縦割りの組織に横串を通したい」という声をしばしば聞きます。

では、どうすれば良いでしょうか?

  1. プロジェクトチームを作るときは部署横断的に人選する
  2. 部署横断的な委員会をたくさん設ける
  3. 部署横断的な会議をたくさん設ける
  4. 複数部署合同のイベントを催す
  5. 複数部署合同で一緒に作業をさせる
  6. 部署間で互いに見学や体験入職をさせる
  7. 職員自身を横串にする

=====

 

■たとえば、製造販売をしている会社では、
製造部門には、
「精度の高いメーカーであるべき」
というポリシーがあるのが一般的です。

製品のクオリティが
自分の存在価値だと思うからです。

一方、
販売部門では、
「顧客の要望に柔軟に答える会社であるべき」
というポリシーが強く働きます。

顧客に対して全責任を負うのが
自分の役割だと思うからです。

そのため、
しばしば
「無理な納期に応じてやってほしい」
という販売部門の要望と、
「精度を損なわないためには余裕ある契約を取ってきてほしい」
という製造部門の要望とが、
対立することとなり、

その結果、
普段から互いに
「簡単に要望に応じられると思われてはいけない」
と非協力的な関係が生まれてしまうというわけです。

これが、
全体最適を見失った状態です。

同様に、医療現場でも、
職種間で異なった視点を持つために、
「分かり合えない」
「協力できない」
という、好ましくない関係性になってしまうことがよく見られます。

俗に言う
「サイロ・エフェクト」
という現象です。

同様のことは、個人レベルでも生じ、
まるでトンネルの中を猛スピードで疾走している時に
進行方向の一点だけしか見えなくなり、
危険と不安で苦しむことになるのと似ていて、
「トンネリング」
とも呼ばれている現象です。

各人・各部署が部分最適にとらわれるあまり
全体最適を見失ってしまうことは、
ビジネスの現場においても日常茶飯事でしょう。

このような縦割りの弊害に直面したとき、
経営陣は、
「横串を通さなければならない」
と考えることになります。

 

■では、横串を通すとはどういうことでしょうか?

それは、お互いに

  • いつでも訊きたいことを訊ける
  • いつでも言いたいことを言える
  • いつでも頼みたいことを頼める

・・・そんな関係をつくるということでしょう。

そんな関係は、もちろん、

  • 訊きたいときに訊く
  • 言いたいときに言う
  • 頼みたいときに頼む

・・・といったことをしていては築けません。

ではどうするか?

  • いつ訊かれても答える
  • いつ言われても受けとめる
  • いつ頼まれてもできる限り応じる

・・・といった「承認的対応」をすることでしょう。

全職員がいっせいにそうなることは難しいので、
現実的なのは、
各部署のリーダーが「承認的対応」をすることです。

つまり、
管理職自身が横串になるということです。

管理職がつねに

  • いつ訊かれても答える
  • いつ言われても受けとめる
  • いつ頼まれてもできる限り応じる

・・・といった「承認的な対応」をしていれば、

おおよそ、すべてのスタッフが、部署の枠を超えて

  • いつでも訊きたいことを訊ける
  • いつでも言いたいことを言える
  • いつでも頼みたいことを頼める

・・・といったことができるようになるでしょう。

 

■したがって、
そのようにすれば、冒頭のクイズの
[1]の「プロジェクトチームを作るときは部署横断的に人選する」
[2]の「部署横断的な委員会をたくさん設ける」
[3]の「部署横断的な会議をたくさん設ける」
[4]の「複数部署合同のイベントを催す」
[5]の「複数部署合同で一緒に作業をさせる」
[6]の「部署間で互いに見学や体験入職をさせる」
といった施策を講じる必要は無くなります。

各部署の管理職自身がつねに承認的な対応をしていれば
[7]の「職員自身を横串にする」
ことが実現するので、
トップが[1]から[6]のようにあれこれ部署を超えた施策を講じなくても、
積極的に部署間協力が旺盛な組織になることができるのです。

 

■なお、
「管理職が承認的対応をできるようにするにはどうすればよいか?」
という疑問もあるでしょう。

その答えは、つまるところ、
「全体最適とは何かを、管理職が理解すること」
となります。

さらに究極的には、
「全体最適とは何かを理解している人だけを管理職にする」
ことです。

厳密に言えば、
「全体最適を理解できていない人を管理職にしてはならない」
ですが。
このような組織になると、明らかな変化が現れます。

その一つが、
「担当でもない者が、口出しをするな」
という言葉が組織から無くなる、ということです。

そして、
「担当でもないのに、指摘してくれてありがとう」
という言葉が聞かれるようになります。

なぜなら、全体最適のためには、
お互いが立場にとらわれず、
なんでも言い合えることが不可欠だという
組織文化となるからです。

管理職がつねに「承認的対応」をするようになるための
この具体的な方法は、別の機会に述べます。

正確にいうと、
管理職だけが承認的対応をするようになる方法は存在せず、
「職員全員が承認的対応をするようになる方法」

つまり、
組織全体から縦割りの壁が消え、
全ての職員自身が横串となる方法、となります。

 

■経営者・管理職の中には、「なぜ部下は目標を立てないのか?」と悩んでいる人がいます。
実際、自分で目標を立てられない人材では、組織の発展は大いに妨げられるでしょう。

では、経営者・管理職は、どうすればよいでしょうか?

  1. 目標のサンプルを掲示して参考にさせる
  2. 目標の出来具合を管理が管理するようにする
  3. 研修を行ない目標の立て方を学ばせる
  4. 目標を立てられる能力を評価項目に入れる
  5. 目標を立てるかどうかを本人の自由にする

=====

 

■「スタッフが目標を立てられない」
ということを課題に感じている経営者・管理職は
少なくありません。

「なぜ、目標を立てられないのか?」
を困っているという声もしばしば聞きます。

しかし、スタッフをそうさせている原因は、
実は経営者・管理者の方にあるのです。

言い換えれば、経営者・管理職次第で、
スタッフは、みずから目標を立てるようになるということを意味しています。

 

■たとえば、
もしみなさんのもとに、
「3日後の正午までに
どこの国のどの街のどこにゆけば、
3億円もらえる」
という条件が訪れたならば、

そして、
それが確実だとすれば、
どうしますか?

おそらく、
どんな人でも
(お金が余って仕方がないという人でない限りは)
必ず期限に間に合うように目的地を目指すことでしょう。

職場に急な休みの連絡を入れ、
休み中の業務は同僚に引き継ぎ、
タンスの奥から久しく使っていなかったパスポートを引っ張り出して、
いよいよ準備にかかるのではないでしょうか。

準備とは、
インターネットでルートや交通事情を調べて、
期限までに目的地まで必ず辿り着くためには、

  • 「そのためには、当日の朝までにどこを必ず発つ」
  • 「そのためには、前日の昼までにどこからどの飛行機に乗る」
  • 「そのためには、今日の夜までに、どこの空港にたどり着いていなければならない」
  • 「そのためには、今日の何時までに自宅を出る」

とスケジュールを立てることです。

その目的地にたどり着くために
クリアしてゆく
手前のポイントの一つ一つが、「目標」です。

もし、自分でわからないことがあったらどうするでしょうか?
もちろん、
どんどん足を運んで調べたり、
知っていそうな人に聞いて回り、
スケジュールが立つまで尽力することでしょう。

その時のみなさんは、
たとえ、誰かに言われなくても、
あるいはたとえ、誰かに邪魔されようとも、
スケジュールを立てて、
そのとおりにやり遂げようとするでしょう。

 

■つまり
目標が立てられないのは、
「何としてもいつまでにどこまでたどり着く」
という目的が、
その心に刺さっていないから、に他ならないのです。

逆に、
何としても達成したいと、
目的が明確に本人の心に刺されば、
もはや、
経営者や管理職は、
「部下が目標を立てることができたか?」
を心配する必要はないのです。

こうしてみると、
目標とは本人のためであり、
上席者のためではないということが明らかになるでしょう。

したがって、多くの経営者・管理職がやってしまっている
「目標を立てろ」
「見せろ」
「進捗を報告しろ」
は、部下にとっては、
目的を必ず達成する上では、
まったくの余計な作業であり、邪魔でしかありません。

また、スタッフ本人にとっては、
目標を立てて進めて入れば、
万一、目的を達成できなかったとしても、
そのプロセスを上席者に釈明することができるということも
目標を立てることの利点です。

スタッフ自身が、自分を評価してほしい場合、
目標と進捗を持ち出したければ
持ち出せば良いのです。

経営者・管理職が取り立てて
「自分たちに見せるように」
求める必要はありません。

 

■そもそも、
目標は「目標」というくらいですから、
「目標を立てたい」
と思う人が立てるものでしょう。

世間で言われている
「目標を立てさせれば、やる気が出る」
は大きな間違いです。

その逆で、
「やる気がある人だから、目標を立てる」
のです。

なので、
「目標を立てさせよう」
と思ったら、
目標を立てさせてはならないのです。

「目標を立てさせよう」
と思うならば、
「目的を明確にし、
『なんとしても期限までに達成したい』と、
部下の心に刺さるようにする」
ことです。

その上で、
経営者や管理職は、
目標を立てることのメリットを伝えて
あとは本人に選択させれば良いのです。

 

■そもそも、経営者や管理職が
過保護な介入をできるかぎりしない状態こそが
「組織の自律」
です。

また、それができることが、
スタッフの自治能力です。

なので、
トップがすべきことは、
目的を明確に示しそれが必達であることを伝えることに尽きます。

「できれば、いつごろまでに、どのあたりまで」
という輪郭の曖昧な、
「ソフト・ゴール」
を示したのでは、
スタッフは組織の号令を軽視するようになり、
組織を脆くしてしまうので、極めて危険です
(そうしてしまっている組織は多々ありますが)。

逆に、
「必ず、いつまでに、どこまで」
と揺るがない確固たる
「ハード・ゴール」
を示せば、
トップの本気度が伝わるため、
スタッフは、時間と労力の選択と集中ができるので、
組織の底力を発揮することが可能となるのです。

そして、
もし、スタッフから求められることがあれば、
釈明方法の考え方を教えてあげればよいだけです。

 

■このようにして見れば、
冒頭のクイズにおいて、
[1]の、「目標のサンプルを掲示して参考にさせる」
[2]の、「目標の出来具合を管理が管理するようにする」
[3]の、「研修を行ない目標の立て方を学ばせる」
[4]の、「目標を立てられる能力を評価項目に入れる」
・・・は、いずれも、

経営者・管理職が
「目標を立てさせようとする」
ことにフォーカスしているので、

スタッフが、意味のある目標を立てることにはつながらないことが明らかでしょう。

よって、正答は、
[5]の「目標を立てるかどうかを本人の自由にする」
となります。

目的が刺されば、スタッフは、
もし、自分でわからないことがあったとしても、
どんどん足を運んで調べたり、
知っていそうな人に聞いて回り、
スケジュールが立つまで尽力するのです。

もはや、目標に立ち入る必要などありません。

経営者・管理職が
「なんとしても実践してほしい」
と、こだわらなければならないのは、
目標ではなく、
目的なのです。

■新たな施策をトップ・ダウンで進めても、
プロジェクトに参加するスタッフがやらされ感を持ちモチベーションが低い結果、
効率も生産性も上がらない、
ということがあります。

プロジェクトを活き活きとした活動にするにはどうすれば良いでしょうか?

  1. 誰に任命するか、人選に注意する
  2. 任命したスタッフに、しっかりと意義を話す
  3. 任命したスタッフを、しっかり激励する
  4. 任命したスタッフの良いところを厳正に評価する
  5. そもそも「任命」しない

=====

 

■トップが新たな施策を進めたいと思って
プロジェクトを立ち上げても、
「どうも現場のチベーションが低い」
ということがあります。

「プロジェクトのリーダーを任されたスタッフは
一生懸命やっているが、
他のスタッフにはやらされ感が漂っている」
とか、
「プロジェクトリーダーもそれほどやる気が見られれない」
というケースも、しばしばあります。

みなさんの組織においても、
みなさんが立ち上げたプロジェクトで、
「実働部隊がみんな目を輝かせて
高いモチベーションで取り組んでいる」
ということがあれば、
それは理想的な状況ではないでしょうか?

やらされ感を抱かせないためには、
どうすれば良いか?

それはたった一つ。
「やらせない」
に尽きます。

さりとて、
やらせなければ、
現場からプロジェクトが立ち上がることは稀
というのが実情でしょう。

そしてやはり仕方なく
トップが業を煮やして、
「トップ・ダウンでプロジェクトを立ち上げる」
ということになりがちです。

これが間違いの元です。

 

■そもそも、
人間のモチベーションは、
「やるか、やらないか、の選択の中」
で生まれるものです。

たとえばもし、みなさんが、
「明日、雪が降るとの予報ですが、
早朝4:00に出て、
一緒に海釣りに行きます。
頑張りましょう」
と言われて、
頑張る気になるでしょうか?

海釣りに狂っているとでも言われるくらいに
海釣り好きな人だけは喜ぶでしょう。

それ以外の人は、
迷惑でしかないでしょうから、
「最も遅くて、何時までに行けばよいですか?」
「最も早くて、何時に帰れますか?」
と訊くことでしょう。

しかし、
明日の海釣りをやるか、やらないか、の
相談の段階から関わっていた人が、
「よし、行こう」
と結論を出した場合には、
それはとてつもなく強いモチベーションであることがわかります。

やっても、やらなくてもよい、状況の中で
敢えて
「やる」
と決めるということは、
そこに強い主体性がなければできないことだからです。

そして、自分で決めたことには、
人は強い執着を持つようになりますから、
取り組み方も真剣になる傾向があります。

 

■では、組織においては、どうすればいか?

良い反応をしそうなスタッフに、
個別に、
「こういう課題を解決しなければならないと思うんだけれど、
どうかな?」
と投げかける、ということです。

そのスタッフ本人が強い関心を持っていれば、
頼まれなくても、
「ぜひ参加してみたい」
と手を上げるでしょう。
これが、
「やるか、やらないか、の選択をする」
というプロセスを与えるということです。

そうして、手を上げるスタッフを
一定数募って、
そのみんなで相談すれば、
「プロジェクトを立ち上げたい」
ということになります。

このプロジェクトのメンバーのどこにも
やらされ感が混入する余地がないことが
明らかでしょう。

 

■我が国では、
「この問題は、誰の責任か?」
と、
「人から問題を考える」
癖がついています。

まず、組織が挙げた領域があり、
そこに担当する人が割り当てられるので、
その人が
自分の担当領域を観察するので、
「担当する人が、課題を持ってくる」
人起点型組織です。

人起点型組織は、
担当する人が持ってこなければ、課題は顕在化しません。

また、世の中では、
「それは理事会のマターだ」
「委員会で協議してもらおう」
「部長会で決めてもらうべき」
といった言葉をよく聞きます。

しかし、理事や委員や部長だからといって、
全面的に前向きに捉えてくれて、
力を貸してくれるわけではないということを、
みなさんも何度となく体験してこられたのではないでしょうか。

そのテーマに関心がなければ、
たとえ理事や委員や部長であっても、
ネガティブな意見しか言わないのです。

これではブレーキばかりがかかり、
進む話も進みません。

そこで、
「人から問題を考える」
人起点型組織の発想をやめて、
これからは、
「問題に人が集まる」
という発想、すなわち、
問題起点型組織に切り替えることをお勧めします。

そもそも
「人から問題を考える」
という組織では、
「この人たちは、この領域の担当。
この領域の担当であるこの人たちが言い出さなければ
誰も問題があるということを言い出さない。
また担当以外の人たちは、関与しないのが当り前」
という文化になります。

「みんなで組織全体のことを考えよう」
という組織風土にはなり得ません。

一方、
「問題に人が集まる」
ことが体質になった組織すなわち
問題起点型組織では、
その組織のあちこちに埋もれていた問題が
その近くにいるスタッフによって
自由に、随時、大小の別なく、発掘され、
それを問題だと感じたスタッフが
みずからその問題の解消に関わる
という文化になります。

トップは、
現場から上がってくる意見を後押しして、
それぞれのプロジェクトを応援すれば良いだけです。

もしトップが感じている課題に
現場スタッフが気づいてくれる気配がなければ、
トップも一スタッフと同じように、
自由に、随時、大小の別なく、
「これ、問題だと思うんだけど、どう思う?」
と投げかければ良いでしょう。

こうした
「問題に人が集まる」
という組織体質の現場では、
やらされ感が生じることはありません。

すべてのことが、
「やるか、やらないか」
の選択をみずからしたスタッフだけが関与して
プロジェクト化してゆくため、
高いモチベーションをもって取り組まれることになるのです。

そして、自分の担当領域にとらわれることなく、
組織や社会のために大切だと思ったことを
スタッフがそれぞれ自由に発言し行動できる組織にされることを
お勧めします。

「組織全体のことを考えてほしい」
とはよく聞くことですが、
それが当り前の組織においては、
このように、
スタッフが、
自分の担当領域にとらわれることなく、
組織や社会のために大切だと思ったことを
それぞれ自由に発言し行動する、という事例が
毎月・毎週のように現場から生まれるはずなのです。

さて、みなさんの現場では、
人起点型組織の文化でしょうか?
それとも、
問題起点型組織の文化でしょうか?

それを測定する方法があります。

どちらの組織文化かは、
トップ発のプロジェクトの方が多いか?
それとも、
現場スタッフ発のプロジェクトの方が多いか?
に、明確に現れます。

みなさんの現場はいかがでしょうか?

■※なお、
「こういう課題を解決しなければならないと思うんだけれど、
どうかな?」
と投げかけても、
スタッフが反応しなかった場合は、どうすればよいのか?
という疑問をお持ちの方もいるでしょう。

この件については、また別の機会に詳説します。