おはようございます!
今日もいい天気ですね!
「砂糖」
「材料選びの楽しみ方・砂糖編」のページ
で
「砂糖」全般についてお話ししたのですが具体的に砂糖の何を理解するとお菓子作りに役立つのかを、これまで感じてきた
「これかな?」
をお話ししてみます。
お菓子の材料選びの楽しみ方 その② 砂糖編⇐よかったら
製菓学校に行かずにパティシエになった若い人にも役立つように頑張ってみます。
「趣味でお菓子作りを楽しむ」よりは、少し専門的な話になります。
「砂糖」の構造や生産工程などを
正確に知りたい方は
砂糖メーカーさんのホームページをお勧めします。
うしっ
お菓子に甘味を加える食材には幾つかありますがこのページでは洋菓子で一番よく使われる
「グラニュー糖」
をベースにお話しします。
まずお菓子作りの中で砂糖を考える時
「温度」「水(水分)」
との関係はある程度理解しておく必要があります。
小学校の理科でも習った通り
砂糖は水に溶けます。
温度が高いほど素早く多く溶けます。
煮詰め温度によって常温(約20℃)に戻した時の状態も大きく変わります。
この砂糖の変化を
製菓理論的に知っていればお菓子作りの精度が上がり、将来新しいお菓子を想像してレシピにするのがスムーズになります。
目的によって
「砂糖に水を加えて煮詰める」
「砂糖と水の割合を変えシロップを作る」
「砂糖だけに熱を加え溶かす(焦す)」
があります。
煮詰める場合は基本
砂糖1㎏に対して水300~400cc
を加えて加熱します。
だいたい水は砂糖の1/3と覚えます。
※「水の量」は砂糖の粒の大きさと火加減で多少違います。
砂糖の粒が大きいと溶けきる前に沸いてしまうのでやや水を多めに、砂糖の粒が小さければ直ぐに溶けますので少量の水でかまいません。
水が多ければそれだけ
〈沸くまで〉と
〈沸いた後〉に温度が上がり始めるまでの時間がかかるだけで煮上がった状態に違いはありません。
煮詰めて
温度が上昇するにつれ
水分が蒸発するのは理解して頂けると思いますがシロップが沸騰した時に全ての水分が蒸発して無くなっているわけではありません。
温度によって残っている
水分量も違います。
そして火加減が一定でも
温度の上昇は一定ではなく
温度帯によって温度上昇が
止まるタイミングとグンと
上昇するタイミングがあります。
それぞれのタイミングの状態を知る事でおおよその温度がわかるようになります。
状態はシロップの
「濃度」
「泡」
「色」
で見極めます。
沸いた直後は100℃。
ココで一端温度上昇は止まります。
↗→
水分が蒸発している状態で
「シャバシャバ」な感じ。
冷ましても
再結晶化はしません。
更に煮詰め
水分含有量が減ると徐々に
温度が上昇し始め濃度が付いていきます。
→ ↗
大小の泡が混在していたのが徐々に小さな
泡になって
「ネチネチ」したように見えて来ます。
音も聞こえます
※マシュマロはこの状態を利用します。
ゼラチンを加え冷ましながらミキサーで泡立てて作ります。
レシピによって多少違いますが大体
105℃~110℃くらいです。
砂糖とフルーツピューレを煮詰めて作った〈マシュマロ〉
※イタリアンメレンゲを利用してマシュマロを作るレシピもあります
フリュイコンフィ
【Fruits Confits】(フルーツの砂糖漬け)
パート・ド・フリュイ
【Pâte de Fruit】(フルーツのハードゼリー)
もこの温度
(105℃)位からです。
〈パート・ド・フリュイ〉
115℃では糸を引く状態になります。
冷ますと結晶化しやすくなっています。
静かに40℃くらいまで冷ましてから強く攪拌すると微細な結晶が出来て
〈白く〉なり
「フォンダン」
【fondant 】(糖衣)
は作られます。
多くのレシピで水飴が入ります。結晶がより小さくなるためです。
「エクレア」⇐のページでフォンダンの事も少し話していますのでもし良かったら見て下さい。
煮詰めたシロップが
糸を引く状態
の特性を活かして卵白を泡立てながら加えて行くと
イタリアンメレンゲになります。
レシピには115℃~121℃くらいの幅で書かれています。
これは配合によって求められる状態がそれぞれなのでレシピに従えば良いと思いますがフランスの一般的なレシピで
「イタリアンメレンゲ」
とだけ書かれていれば
117℃のシロップで作ります。
マジパンを作るときのシロップもこの温度帯です。
117℃くらいで温度上昇が緩やかになります。
マジパン【Marzipan】の話をしたページです⇐よかったらどうぞ。
※パータボンブについてはレシピが様々あります135℃と書かれているレシピもあります。
粘りがあり冷めると柔らかい固形になる
120℃~130℃くらいが
「キャラメル」を作る時の温度帯です。
※ミルクキャラメル
この温度になると冷めても
再結晶化はしません。
「キャラメル」はこの温度でも
砂糖に乳製品が加わる事で茶色くなります。
「キャラメル」のページです。⇐よかったらどうぞ。
「ヌガーモンテリマール」
はレシピにもよりますが
130℃位までを使います。
ミキサーにかけながら余分な水分を飛ばすため加熱も続けます。
空気が含まれている事で柔らかい
「ネチッ」っとした食感が生まれます。
〈ヌガーモンテリマール〉
分かりづらい写真でスイマセン
140℃を越えるとシロップに残る水分もだいぶ少なくなり冷めると
「パリンッ」と割れる
ガラス状態になります。
この時の色はまだ透明なままです。
150℃を越えると少しずつ
黄色くなってきます。
「アメ🍬🍭」(キャンディー)
を作る時はこの温度帯が使われます。
※このタイミングで温度上昇がまた緩やかになります。
↗→
煙も少し出始めます。
飴細工では流しアメに使う温度帯です。
160℃を越えると
黄色から茶色に変化してきます。👀
飴細工の引きアメに使う温度帯は
〈目的〉(オブジェ・花・リボンなど)や
〈引きやすい好み〉もありますが
155℃~170℃くらいです。
濃い茶褐色になると香りが出て
〈プリン〉に使ったり
〈焼き菓子〉の生地に混ぜ、香り付けに好まれます。
※「カラメル」に生クリームなどを加えるレシピの場合は水は加えず砂糖だけを
溶かして焦します。
〈カラメルのパウンドケーキ〉
155℃くらいではサントノーレやクロカンブッシュを組み立てる接着にも使います。
※余熱で色が濃くなるので注意が必要です
〈サクランボのサントノーレ〉
165℃くらいになるとだいぶカラメル化が進み
〈ヌガチン〉や〈プラリネ〉を作る温度帯です。
180℃になると色は
黒褐色になりかなり
苦い状態です。
190℃
「カラメル」と呼ばれる状態です。
煙も沢山もくもく出ます。🌋
更に加熱を続けると発火しますので注意して下さい
以上がお菓子作りで知っておいた方が良いと思われる
砂糖を煮詰めた時の状態です。
「砂糖と水を沸かしたシロップ」
割合によって使い途はいろいろありますが製菓で基本的によく使われるのが
「30度ボーメシロップ」
よく知られていますが一応書いておきます
{水1㍑に対して1350gの砂糖}
で作ったシロップが大体30度ボーメです。
この30度ボーメが製菓の基本材料として使われる理由としては
「保存性が高く室温でも結晶化しにくい」
事があります。
※パティスリーではまとめて沢山作ってバケツなどに入れておきます。
ケーキに染み込ませるシロップなどはこの
30度ボーメに
水やリキュール
フルーツピューレなどを加えて作ります。🍊
また
パータボンブ
【pâte à bombe】
を泡立てる場合などは煮詰めたシロップやそのまま30度ボーメと書かれているレシピも多くあります。
※レシピによって〈1:1〉や〈1:1.5〉や〈1:2〉などもあります。
※卵黄とシロップの割合はレシピによります。
デギゼ【Fruits déguisés】は高い糖度のシロップにマジパンとドライフルーツやフリュイコンフィを浸け、時間をかけ表面に糖分が結晶化して大きくなることで作られます。
「デギゼ」の事をマジパンのページで少しお話ししています。もし興味があれば見て下さい。⇒マジパンを使ったお菓子 「カリソン」など
飴細工の
シュークルクリスタリゼ
【Le sucre cristallisé】
もこの作り方の応用です。
この「結晶の大きさ」は
〈糖度〉と〈時間〉によって変化させられ
細かくキラキラした感じや
大きくゴツゴツした感じなど作れます。
シュークルクリスタリゼ【Le sucre cristallisé】は直訳するとグラニュー糖です。
木の細い棒に糖分を結晶化させ紅茶など好みの甘さまでクルクルさせるお砂糖などあります。
マロングラッセもシロップの扱いを理解する事で美味しく作れます。
🌰数回に分けて糖度を徐々に上げて煮ていきます。
フリュイコンフィやジャムなどは高い糖度
(砂糖)によって菌の繁殖を防ぎ保存に向いています。
粉砂糖(グラニュー糖の粉末)をパイ生地にふりかけ高温のオーブンで溶かしてコーティングする事を
「キャラメリゼ」と言いパイ生地を湿気から守りサクサク感を持続させます。
砂糖にはフルーツの
脱水作用もあります。
フルーツに砂糖をまぶして暫く置いておくと果物から水分が出て来ます。
フルーツにもよりますがジャム作りでこの作業をすると作業性も上がって
「味が良く」
「色もキレイ」🍑🍓🍐
に仕上がります。🍞
いかがでしょうか?
正直、内容をどう表現すれば良いのか難しく分かり難いページになってしまったと思います。
・・・・
一覧表のような物があればわかりやすい?のかも知れません。
それでは皆さん
愛ある一日を!
🍭
デギゼ【Fruits déguisés】
製菓学校でアメの状態「フィレ」「ブーレ」「プチカッセ」「グランカッセ」などを答えさせるテスト的な事があります。・・・・・?
「単語覚えたところで・・・どうなの?」・・・と
少し違和感が。
卒業生でそれらをしっかり暗記して有効に仕事に結び付けている人と出会った事がありません。
歴史で例えると
「起こった出来事」
「○○○の変」「1×××年」
と記憶していても
具体的に何が起きたのか?
ソコから現在何を学んだのか?
が何も無い状態です。・・・・
考え方、物事の順番は人それぞれなので間違っているとは言っていません。
あくまで違和感です。
~追記~2024.6
先にカラメルを作ってから生地を仕込みます。
お店で出す場合、色と風味が安定しないと問題なので砂糖の焦がし加減には気を使います。