徒然時事日記 -10ページ目

『ひとすじの蛍火』を読んで。

  SANKEI EX PRESSに連載されていた関厚夫氏の『ひとすじの蛍火』が3月30日で終わった。

  


  2006年11月1日、SANKEI EX PRESSの発刊と同時に連載が始まって、5ヶ月の後であった(毎週月~金掲載)。

  内容も良かったし、写真も良かった。最初の写真は確か【渡海の浜】(下田市)の記念像だ。門人金子重之助が跪き、立った松蔭の右手が遥か彼方を指している。この地は松蔭が黒船に乗らんとして失敗したかの浜であり、M/C/Perry(マシュウ・カルブレイス・ペリー)が開国の第一歩を印したところでもあった。この『私家版松蔭』(関氏)の再終稿の写真は、松蔭が座っている肖像画である。そして、私家版は「人は唯だ真(まこと)なれ。真愛すべく敬すべし」(松蔭)で結ばれている。

  関氏が自ら言う『私家版松蔭』は、最近にはない内容であった。歴史的事項の誤謬がない。小説ではないが小説風である。歴史書のようで歴史書ではない。啓蒙書には違いないが、肩肘張らずに読むことができた。これは松蔭の「人となり」を視座にした『松蔭論』であろう。

  私はかつて研究の途路、岩波書店の『吉田松陰全集』(全10巻)や徳富蘇峰の『吉田松陰』、ほかいろいろの松蔭に関する文献を渉猟したことがある。『吉田松陰全集』(全10巻)は研究者の第一次資料であり小説家の定本である。『私家版松蔭』もこれを座右にしていたと考えられる。よく解読されていると思う。


  吉田松蔭は「松下村塾」を開いて、維新の有意な志士を教育した人物とされている。高杉晋作、山形有朋、伊藤博文、井上聞多、品川弥二郎そして山田顕義等々である。彼は、維新の史的展開において避けて通ることができない思想家の代表であると私は考えている。


  登場人物が多いから、ずいぶんと楽しむことができた。かつてを思い出したりして毎日が楽しかった。もう一度『吉田松陰全集』を紐解こうと思う。

国会の議長は籠の鳥か。


日本国憲法第4章 国会 には下記のようにある。

第四十一条【国会の地位、立法権】 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第四十二条【両院制】 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第四十三条【両議院の組織】 1 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。 2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
第四十四条【議員及び選挙人の資格】 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
第四十五条【衆議院議員の任期】 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第四十六条【参議院議員の任期】 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに、議員の半数を改選する。
第四十七条【選挙に関する事項の法定】 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第四十八条【両議院議員兼職禁止】 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
第四十九条【議員の歳費】 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第五十条【議員の不逮捕特権】 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
第五十一条【議員の発言・票決の無責任】 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

第五十二条【常会】 国会の常会は、毎年一回これを召集する。
第五十三条【臨時会】 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第五十四条【衆議院の解散、特別会、参議院の緊急集会】 1 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。 2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。 3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
第五十五条【議員の資格争訟】 両議院は各〃その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十六条【定足数・票決】 1 両議院は、各〃その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。 2 両議員の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第五十七条【会議の公開、秘密会】 1 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。 2 両議院は、各〃その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。 3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第五十八条【役員の選任、議院規則、懲罰】 1 両議院は、各〃その議長その他の役員を選任する。 2 両議院は、各〃その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十九条【法律案の議決、衆議院の優越】 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。 2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したとき、法律となる。 3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを妨げない。 4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第六十条【衆議院の予算先議と優越】 1 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。 2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第六十一条【条約の国会承認と衆議院の優越】 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
第六十二条【議院の国政調査権】
 両議院は、各〃国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
第六十三条【国務大臣の議院出席】 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第六十四条【弾劾裁判所】 1 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。 2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。


戦後のわが国の民主政治は立法・行政・司法の三権分立に則って、前文にあるように「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。」ことを高らかに謳ったのである。そして、政党政治のもと、議員内閣制によって首班が決定され、国政を担うこととなった。その行政権の執行においては、「第六十五条【行政権と内閣】 行政権は、内閣に属する。」とし、 「第七十二条【内閣総理大臣の職務】 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」と規定されている。また、司法権は第6章を参照していただきたいが、以下の条文のみ記しておきたい。「 第七十六条【司法権、裁判所、特別裁判所の禁止、裁判官の独立】 1 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と。即ち、行政権と司法権は、明確に憲法に規定されているのである。内閣は首相をトップとして行政権を行使する。個々人が独立した裁判官としてその職務を執行する。いずれも権力の行使においては正当性が明白に付与されているのである。しからば、「国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」「国会」はどうか。ないのであろうか。


近代国家における「議会(Parliament)」は、そもそもイギリスにおいて発達してきたものであり、絶対主義国家の「王権」、正確に言えば「国王の課税権」に対抗する過程で醸成されてきた機関であった。王権と議会の権力(正確に言えば、諸侯の権力)の拮抗関係の成果として議会が存在していたのである。国民の王権に対する権力関係ではなかったのである。それが議会への代表選出過程で国民の「納税者」としての地位が叫ばれ、納税者の意思決定権が重要視され次第にその代表者が議会での多数を占めることとなった。直接的の権力関係で王権に対抗しながら、長い史的展開過程で法によって納税者の権利と義務が立憲的に保証され、政党政治の発達にともなって、国民代表の地位を議会に与え成長してきたのである。


国権の最高機関としての国会は、「政治的美称」であるとも揶揄されるが、本来的には「対国民」ではなく、「対王権」から発生してきたことを深く考えるべきでる。税が王によって独善的に決定され課税されることのないように議会に代表を送り、その立法過程で王権を封じ込めようとしたのである。と言うことを考えれば、わが国の憲法に規定される「国会」が「国の唯一の立法機関」とは実に近代国家観の表出であろう。国権の「唯一最高」の機関でないことが重要なのである。行政権も司法権も三権分立から言えばそれぞれが「国権の最高機関」であることから、議会=国会が2院制(衆議院と参議院)であることによって行政権の独断・独善を排することができる仕組みとなっていると考えるべきであろう。ここにおいて、立法権は国民代表の権力であることが規定されているのである。


近代政党政治による議会は、なかんずく国民の直接選挙よって選出された議員が議会=国会と言う「機関」において、行政権の執行者である首班=首相を選出し、これが「内閣」と言う機関を構成して福利を国民が享受すべく権力行使することに正当性を承認しているのである。


斯様の理論を前提にして見るならば、昨今の安倍政権はどうかである。伝統的議会運営を蔑ろにしているのではないかと批判されている。メディアや野党、あるいは与党の一部から安倍政権の批判が出ていることは、見方を変えれば「議会」=「国会」の安倍政権(=行政権=内閣)に対する脆弱さが問われていることを意味しているとも言える。
 

衆議院懲罰委員会でのことだが、懲罰委員会横光克彦委員長(民主)の不信任動議を可決するとともに、先月30日の厚生労働委での年金時効停止特措法案の採決で、桜田義孝委員長を委員長席から引きずり下ろした民主党の内山晃衆院議員を登院停止30日間とする懲罰動議を自民、公明両党の賛成多数で可決した(かって、自民党の強行採決では、委員長の衣類が破れたり、はがいじめなどは普通だったが、誰一人として懲罰されていない)。議員の身分を左右する懲罰委員長への不信任動議の提出は1953年以来で、可決したのは現憲法下で初である。内山氏は18日の記者会見で「国民の不利益となる法案審議に抗議した行動で、恥じることは一つもない」と語った。登院停止は除名に次ぐ重い処分だと毎日新聞電子版が伝えている【野口武則】。
(国会法第122条には、 懲罰は、左の通りだとしている。 1.公開議場における戒告 2.公開議場における陳謝 3.一定期間の登院停止 4.除名)


野党は、河野衆議院議長の国会運営が与党よりだと批判するが、国会法や衆議院規則によって処理されるべきことを議長が慣例的に粛々と手続きを踏んだだけである。国会法や衆議院規則のどこを読んでも議長の職権や権能は書いてないのであるから。ただ、国会法の第15章に「第121条 各議院において懲罰事犯があるときは、議長は、先ずこれを懲罰委員会に付し審査させ、議院の議を経てこれを宣告する。2 委員会において懲罰事犯があるときは、委員長は、これを議長に報告し処分を求めなければならない。」と手続きの方法が規定されているだけだ。国民的感情から言えば、「国権の最高機関の衆議院議長、何をやっているんだ」と言えようが、現行法規と規則からは議長の権能が読み取れないから斯様の有様となるのである。はっきり言えば、議長は「お気の毒」なのである。


戦後の衆議院議長は慣例として与党第一党から、副議長は野党第一党の所属議員から選出される。また、1973年5月29日以降、慣例として正副議長は党籍を離脱し無所属となる。が、自民党長期政権下で両院の議長は「上がりのポスト」とされてきた。このような人事慣行が長い間問題視されずに来たところにこそわが国の政党政治の病根があり、2院制とともに国民の批判が絶えないのである。恥じを知るべきは、政党人であり議員その人である。議長に優れた権能や職権がないばかりに、却って今議員の身分が脅かされているのである。そして同時に議会構成員の懐がいかにも浅いと言わざるを得ない。


最近の産経新聞紙上で国会議員の鈴木宗男氏は、国会の改革を主張していた。特に参議院改革は必須であると。参議院は「再考の府」にすべきだと言っている。代議士を一線から退いた者、議長経験者などなどを「再考の府」の構成員として、いわば「上院」的存在ならしめることが改革の一歩だと言う。私はある面では賛成したい。それは、簡単ではないからだ。理想ではあるが、今は非現実的であるからだ。



わが国の上院的存在としては戦前の「貴族院」を想起する。が、歴史的事実としてわが国の旧軍部の独善を排することができなかったではないか。国民への啓蒙活動の如何であろう。イギリスの「議会(Parliament)」や米国議会のCongress(連邦議会)の議長は、名誉職ではない。上院院内総務の力ですらも大きいものがある。然るに、わが国の「議長」は憐れにも籠の鳥的存在なのである。国民代表の議会の長たる議長に、立法府の長としての何らかの強い権限が求められるのである。選挙を通じて国民多数の英知を結集し、国会の構造改革を強力にやらねば、真の政党政治が熟成されないのである。



「日本の法を守れ」と教導すべきは元長官である。

公安調査庁元長官の緒方重威(しげたけ)氏(73)が<朝鮮総連>本部の土地と建物の売却に深く関与していたと報じられたのが、6月11日であった。朝鮮総連とは、在日本朝鮮人総連合会の略称である。6月19日現在、朝鮮総連のホームページにはアクセスできない状態が続いている。

公安調査庁(以下、「公安」と言う。)とはどのような機関なのかは、破壊活動防止法やそのホームページをご覧いただくとして、その性格は対北朝鮮であり朝鮮総連の活動を監視することが任務である。はっきり言えば、朝鮮総連とは敵対関係にある法務省の外局なのである。



公安は、「内外情勢の回顧と展望 -核・テロの脅威及び複雑化する国際情勢と日本-」(平成18年1月)第2 平成17年の国際情勢 では、1 北朝鮮・朝鮮総聯 (1)北朝鮮核問題は,共同声明後むしろ複雑化の様相 (2)「ニセ遺骨」問題で日朝関係が膠着する中,政府間協議が再開 (3) 中国・韓国の援助,外交成果の活用及び統制強化により安定確保に懸命の北朝鮮 (4) 胡錦濤国家主席訪朝で更に緊密さを増す中朝関係 (5) 南北関係発展の雰囲気作りに努める北朝鮮 (6) 組織力の回復・強化に努める朝鮮総聯 と報告している。



それが昨年の1月だと言うのに、この約1年有半で朝鮮総連は朝銀に融資された公的資金の回収問題において法的手段をとった整理回収機構(RCC)に敗訴という状況直前に、「本部の土地と建物」を密かに売却していたことは何を意味するのかである。公安の「(6) 組織力の回復・強化に努める朝鮮総聯」との報告は真実なのだろうか。一体何を公安は見て、聞いて、調査したのだろうかと思う。それとも、内実を相当把握しているが故にH.P.にはデスクローズされないのだろか。私は後者だと信じたい。



公安はさらに、「取組と今後の課題」の中で、「北朝鮮・朝鮮総聯関係でも,現場における情報収集体制の強化を図り,北朝鮮の国内情勢,対外・対日政策,日本人拉致問題や不法活動,核兵器開発問題及びこれらに係る朝鮮総聯の各種活動,組織強化活動などに重点をおいて調査を実施した。」としている。公安が念を押しているところをみると、この元長官の緒方重威(しげたけ)氏の問題に関してもかなり以前から知っていたと見るべきが妥当である。



例えば、朝鮮総連関係でその施設に対する課税をめぐっては、メディアを通じて社会に知れ渡っているし、東京都が平成15年から固定資産税などの減免を廃止して総連の反発を買っていることも重要である。平成18年7月には、北朝鮮によるミサイル発射を受けて、横浜市が朝鮮総連関連施設への減免措置を取り消している。これらの事情をしっかりと調査するのが公安の本来の任務であるから知らないわけがなかろう。「元長官」、「退職した一私人」とは言え、国家公務員法上の問題もある。売買の約1カ月前の緒方氏の社長就任、そして同時に行われた会社の緒方氏の自宅への移転。財政難が伝えられる朝鮮総連と、元長官の会社の取り引きにどんな経緯があったのか謎がさらに深まった。



6月19日付の毎日新聞WEB速報では、緒方元長官は「売買は白紙、判決は仮執行宣言も付いた。私の手で売買が完成できなかったのは残念。差し押さえで在日朝鮮人が圧迫を受けることは目に見えている。一番恐れていたことだ。」と確信的に記者会見をしている。


緒方元長官は、対朝鮮総連のエキスパートであったと言う。「在日朝鮮人が圧迫を受ける」とは何を血迷っているかである。朝鮮総連がわが国において、わが国の法と正義の下に平安な日常活動をしていれば何の問題もないはずだ。圧迫を受けているのは我が国民ではないのか。不当な固定資産税逃れ、拉致問題どれをとっても民主主義の敵である。緒方氏は朝鮮総連に先ずもって「日本の法を守れ」と教導すべきであった。