現状、今の実力で司法試験に合格できるのか。

令和6年度の司法試験の合格発表がありました。

 

合格された方、不合格だった方、様々な思いがあるかと思います。

自分の同じ職場の職員が今年、法科大学院を卒業して受験資格を取り、令和6年度の司法試験を受験し、合格することができました。新たな道を作ってくれた功績は大きく、とても嬉しく思います。

ただ、自分は未だに司法試験の受験資格すらない状況で、悔しくもあります。

 

これから司法試験に挑戦される方向けにいうと

 

予備試験にこだわる必要はない

法科大学院に進学できる条件があるのなら、法科大学院に進学したほうが早く合格できる可能性は高いということです。

 

例えば

過去、cambiarelmundoさんは、おそらく自分と同じ時期に司法試験・予備試験の学習をしています。cambiarelmundoさんは自分で進学できる法科大学院を見つけ、リスクを取って、進学され、令和5年度の司法試験に合格しています。法科大学院に進学できる条件があるのなら、その選択肢を取るほうが、早く法曹になり、自分のやりたいことを実現できると思います。

 

 

  受験資格さえあれば、俺も司法試験に合格できる

去年くらいまでは万能感がありました。

司法試験の受験資格さえあれば、自分も司法試験に合格できるのだと。

 

しかし、令和5年度の予備試験合格者の飛翔さんや、同800番代のCARASUMAさんも残念ながら不合格となっています。正直、この二人には合格してほしかったのですが、とても残念な気持ちです。

 

また、今の自分の実力はこの二人には及ばないことから、今の自分が司法試験の受験資格を得ても、合格できないだろうことは相対的に理解できました。

 

リーガルエイリアンさんがツイートで以下のように発言しており

 

まさしく、そのとおりだと思います。

つまり、結局は司法試験に合格できるだけの実力をつけないと意味がないということです。

 

そのためには、日々淡々と学習を継続することが重要だということです。

周りと比べても、過去の判断を悔いても、将来のリスクにおびえてもしょうがないです。

 

目の前のことを淡々と、こなしていくことが重要だと感じる、今日このごろです。

 

  面接試験について

(前回の記事)

 

面接試験では以下のようなことを聞かれました(順不同)。

Q合格したら今の職場はどうするのか

Q琉球大学法科大学院を志望する理由

Q予備試験ルートで法曹を目指さず、法科大学院に進学する理由

Q資格をたくさん取っているが、行政書士試験に複数回合格している理由は

Q高校卒業から、大学入学まで2年のブランクがある理由は

Q大学卒業から、公務員になるまでの1年のブランクの理由は

Q予備試験の学習をしていて伸び悩みがある科目について、どのような対策をしたのか

Q複数回予備試験を受験しているが、なぜ予備試験に合格できなかったのか

Q琉球大学法科大学院の特徴などについて知っているか。

Q同大学院は少人数教育を行っているが、合う合わないがあるが、合いそうか?

Q留年した場合、同大学院を中退しないか?

Q今の実力で、これから同大学院で学習して、司法試験に合格できそうか

Q他大の法科大学院を受験していないか?

Q勉強する際は、大学に来て学習するのか、自宅で学習するのか

 

  どんな学生を採りたいのか

ざっと、上記のような感じです。

試験後、周りの学生に話を聞いても同じようなことを聞かれていたようです。

ひとつ、試験官から言われて嬉しかったことが、「あなたのような学生にきて欲しい」と言われたことです。

 

この「あなたのような」について

GLOCALという地域にこだわるという観点で、沖縄で仕事をしながら、勉強をしている社会人受験生を受け入れるという多様性を重視している同大学院の意向もあると感じました。

 

 

一方で、少なくとも予備試験の短答式試験に合格し、論文も多少かける、R8年司法試験合格見込みの学生を採りたいという意思もあるのかなと感じました。

 

在学中受験をする場合、R8年の司法試験を受験する場合、ロー入学時から1年と3ヶ月しかありません。つまり、時間的な制約が厳しい中、ある程度、基礎学力がある学生を法科大学院側も採りたいのだなと感じました。

 

  実際に琉大ローを受験してみて

いろいろ書いてきましたが

結論として、琉球大学法科大学院を受験してよかったです。

自分の中で吹っ切れたものがあります。

 

当初、令和6年の司法試験予備試験の論文式試験で絶望的な気分を味わい

もう勉強をやめようかと思っていました。そんな中、ブログのコメント欄やメッセージなどをいただきました。

 

 

 

その中で、印象に残っているのが、ある方から頂いたコメント

「貴殿も「こうすれば受かる」といった光が見えなくなって苦しんでいるのかなと思っています。めいいっぱやって、どうすれば受かるんだ。という心境ではないかと思います。こうすれば受かるといった光があれば変わらず勉強を続けるのではないかと思います」

 

まさしく、R6年の予備試験の論文式試験を終えた後は、上記のような気持ちでした。

本当に精一杯やりました。でも、自分が思うような答案がかけなかった。とても悔しい気持ちと、これ以上、やっても結果が出ないのではないかという「光が見えない」状態でした。

 

ただ、自分なりに気持ちを整理して

目標をひとつ設定しました

琉球大学の法科大学院を受験する。

 

そして、上記の「光の見えない」状態を打破するため

パンダさんの個別指導を申し込みました。

 

 

パンダさんは、R5年度の予備試験合格者で、R6年度の司法試験に合格されています。

自分がR5年度の受験をしていた時から、知っていたこと、答案をたくさん書く自分のスタイルにあっていると感じたから、パンダさんに個別指導を申し込みました

 

結果として、パンダさんは自分にあっていました。

とにかく、自分の場合は、答案を書かないと、知識を整理できないタイプだとわかりました。

答案を大量に書く中で、民法については、自分なりの答案の型を身につけることができました。

過去3回の予備論文Fで苦手意識があった民法については、自分なりの型で今回の琉大ローB日程に挑戦することができました。

 

  今後の目標

今回の上記の試験の結果は、実際にどうでるかわかりませんが、次の目標として

・同大学院のC日程(令和7年1月25日(土))

・R7予備試験短答式試験(令和7年7月20日(日))

・R8司法試験(令和8年7月15日(水))※法科大学院に進学できた場合、また日程も(仮)

 

今日も淡々と続けていく予定です。

 

  試験当日

令和7年度琉大ローB日程を受験してきました。

 

 

当日は、沖縄本島北部で大雨に関する警報が出ていました(今この記事を書いている時点でも、沖縄本島北部に緊急安全確保が発令されています)。

 

当日は、高速バスを利用する予定だったので、バスが通常運行できるか不安でしたが、なんとか、試験会場である琉球大学法学研究科の試験会場まで到着できました。早めに行ったため、試験会場に一番乗りでした。試験当日の法学既習者の人数は10名でした。そのうち、3名が既習者専願でした。

 

実はすでに未修者試験に合格している自分の友人もおり、その彼も過去予備試験の短答式試験に合格しています。また、当日関東から来た大学生もおり、その彼も令和6年度の予備試験の短答式試験に合格していたので、自分の知る限り、今回の令和7年度の琉大ローB日程の受験者は、10人中3人が予備試験の短答式試験に合格経験のある方でした。

 

 

  法律試験の内容

実際の試験問題は著作権の関係で、自分が公開してしまうとまずいと思うので

問題の傾向などを説明すると、以下のようになります。基本的に各科目の典型論点が中心で、

予備試験の論文式試験の難易度を100とすると、琉大ローの既習者試験は30~35くらいといったところです。

 

民法

不法行為、共同不法行為

不動産の物権変動、背信的悪意者、背信的悪意者からの譲受人

 

刑法

殺人罪

正当防衛の可否

 

憲法

公務員の政治的表現の自由

 

商法

譲渡制限会社における、譲渡等承認請求及び名義書換未了の株主に対して配当金を支払った場合の株式譲渡人の会社に対する配当請求の可否

 

民訴法

明文なき任意的訴訟担当

 

 

試験会場で、関東からきた大学生から

もしかして「パンデクテンやっし」さんですかと聞かれ

身バレしてしまいました(別にいいのです)。

 

面接試験の内容については

今日(11/10)未修者試験を実施しているので、明日以降公開したいと思います。

みなさん、今日も頑張っていきましょう!

 

  5ちゃんねる予想

毎年恒例の予備試験の論文式試験の成績予想ですが

5ちゃんねるだと以下のようになるようです。

 

やっしさんの定量的な評価をまとめました。

科目 評価
憲法 F
行政 E
刑法 E
刑訴 F
民法 F
商法 E
民訴 E
※ジェミニに5ちゃんねるのスレッドを読み込ませて、定量的にまとめさせました。
 
まぁ、EやFばっかですが、こんなもんですよ。
 
ちなみに、論文直後の自己評価ですが以下のような感じ

  予備試験のEとは

これは、以前、飛翔さんがまとめていましたが

上記科目の成績でEとFが大半を占めていますが

Eでも予備試験であれば全体順位の半分ほどです。

 

学習初期はEとかとらんわアホ
少なくともCくらいはあるわと騒いでいましたが
Cは全体順位の上位30%で、合格答案の水準です。
 
全科目Cを揃えることができれば、予備試験のボーダーである上位20%に達する程度の成績(400番台後半)になります。
 

  成績予想者に敬意を払い

令和3年度試験から行っていますが

成績表は点数や順位、科目の評価などはすべて開示します。

これが成績予想者に対する敬意だと思っております。

 

ちなみに、来月は令和6年度の司法試験の合格発表ですね。

R6司法試験の最終合格発表:2024年11月6日(水)16:00

今日も引き続き頑張っていきましょう!

 

  いろいろできるジェミニ

前回の記事で、ジェミニで参考答案がない問題でも答案作れるぜと紹介しました。

 

 

そこで、「採点基準がざっくりでおおまかな場合」参考答案の作成がやりにくいのでは、と記載しました。それをふまえて、自分なりに、いろいろ試してみると

 

 

以下の方法だとかなりうまくいきます。

 

①問題、出題趣旨、採点基準を学習させる。

②①を踏まえて、採点基準を分析させる。

③②を踏まえて参考答案を導出させる。

 

 

  22年琉大ローA日程民訴法:採点基準の分析

使ったのは以下の「22年琉大ローA日程 民訴法」の問題

 

http://law.skr.u-ryukyu.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2024/02/2022_R4ALaw.pdf

 

司法試験の論文の採点者

カスタム Gem

 

この問題は、民事訴訟法17条の移送規定に関する理解を問うものです。特に、専属的管轄合意がある場合でも、裁判所は職権で訴訟を他の裁判所に移送できるのか、という点がポイントとなります。

採点基準は、以下の2点で構成されています。

  1. 移送に関する規範定立(30点):

    • 民事訴訟法17条および20条1項の規定内容を正確に理解し、説明できているか。
    • 専属的管轄合意がある場合でも移送が認められる根拠を、判例・学説を踏まえて論述できているか。
    • 移送の要件である「訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」の具体的な意味を、関連する判例・学説を挙げて説明できているか。
    • 「証拠調べの便宜」、「原告・被告の所在地」などの考慮要素を具体的に説明できているか。
  2. 本件へのあてはめ(20点):

    • 問題文の事実関係を正確に把握し、上記の考慮要素を本件に当てはめて、東京地方裁判所から那覇地方裁判所への移送の可否を論理的に説明できているか。
    • X社とY社のそれぞれの主張を整理し、どちらの主張がより正当であるかを、説得力のある根拠に基づいて論述できているか。
    • 結論を明確に示し、その結論に至るまでの論理展開に矛盾がないか。

採点基準の配点から、移送に関する規範定立の部分がより重視されていることがわかります。つまり、単に結論を述べるだけでなく、移送に関する法的な知識を正確に理解し、それを具体的な事案に適用する能力が求められています。

答案を作成する際には、以下の点にも注意する必要があります。

  • 条文の正確な引用: 民事訴訟法の条文を引用する場合は、条番号、項番号などを正確に記載すること。
  • 判例の引用: 判例を引用する場合は、裁判所の名称、判決年月日などを正確に記載し、判旨の内容を要約して示すこと。
  • 学説の引用: 学説を引用する場合は、学者の氏名、著書名などを正確に記載し、学説の内容を要約して示すこと。

以上の点を踏まえ、採点基準に沿って答案を作成することで、高得点を獲得することができるでしょう。

  22年琉大ローA日程民訴法:参考答案の導出

司法試験の論文の採点者

カスタム Gem

答案

本件では、X社がY社を相手方として、東京地方裁判所にリース契約に基づく損害賠償請求訴訟を提起した事案において、Y社が那覇地方裁判所への移送を申し立てた場合に、これを認めるべきかが問題となる。

1 裁判所の移送

民事訴訟法17条は、第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、証拠調べの便宜等の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができると規定している。

 

もっとも、X・Y間の契約書には、本件リース契約に関して紛争が生じた場合には、東京地方裁判所を専属管轄裁判所とする旨の条項が含まれている。しかし、民事訴訟法20条1項括弧書は、当事者間に専属的管轄合意がある場合においても、裁判所は、同法17条の規定による移送をすることができると規定している。

したがって、本件においても、東京地方裁判所は、同法17条所定の要件を満たせば、那覇地方裁判所に移送することができる。

2 移送の要件

では、本件において、東京地方裁判所は、17条所定の要件を満たすといえるだろうか。

 

17条所定の要件は、「証拠調べの便宜等の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」である。

最高裁昭和38年7月12日判決は、「訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」とは、例えば、

  • 訴訟関係人が高齢、疾病その他の事由により遠隔の地に赴くことが困難である場合
  • 事件の性質上、特定の土地において証拠調べをすることが著しく有利であり、かつ、これを他の土地において行うことが著しく困難又は不相当に費用を要する場合
  • その他、事件の特殊事情により、特定の裁判所において審理及び裁判をすることが著しく不適当であると認められる場合

などをいうと判示している。

3 本件における事情

本件において考慮すべき事情としては、以下の点が挙げられる。

  • 証拠調べの便宜:本件リース契約の締結はX社本社がある東京で行われたものの、実際の業務は全てX社の那覇支店が行っていたことから、契約内容やY社が主張するサービス不履行の内容を把握しているA・Bは那覇にいるため、那覇地方裁判所での審理の方が証拠調べの便宜に資する。
  • 当事者の所在地:原告であるX社の本店は東京にあるものの、被告であるY社は那覇に所在しており、Y社にとって東京で訴訟追行をすることは負担が大きい。
  • 専属的管轄合意:X・Y間の契約書には、東京地方裁判所を専属管轄裁判所とする旨の条項が含まれている。

4 結論

以上の事情を総合的に考慮すると、本件においては、証拠調べの便宜及び当事者間の衡平を図るため、那覇地方裁判所に移送することが適当である。

専属的管轄合意があるものの、本件では、契約締結地が東京であること以外に東京地方裁判所で審理をする合理的な理由はなく、上記のような事情を考慮すると、移送を認めることで当事者間の衡平を図り、訴訟の効率的な審理を実現することができると考えられる。

したがって、裁判所は、本件を那覇地方裁判所に移送すべきである。

 

※ 上記答案は参考です。 実際の答案作成にあたっては、より詳細な条文の解釈や判例の引用、学説の検討などを加える必要があります。

 

  応用範囲が広い

見てのとおり

「すごい」の一言です。

 

司法試験などは「採点実感」や「問題文」など長文のものでも一旦、ジェミニに読み込ませて、答案作成にかかる抽象的なポイントや、当該問題特有のポイントなどを確認することもできます。

 

例えば、司法試験や予備試験の参考答案は予備校が作成しているものです。

よく、予備校の答案は間違っていることもあるという人がいます。

 

これについて、上記両試験の採点実感を大量に読み込ませて、ジェミニで吐き出せば、司法試験委員会が求めている答案を作成できると思います。

 

とにかく、このジェミニは応用範囲が広く

使い方次第で、いろいろな使い方ができるなと日々驚いています!

 

  ジェミニの活用事例:参考答案がない場合

前回のブログ記事で、ジェミニにPCで作成した答案を採点させるという試みを行いました。

 

 

今回は、もうひとつの活用事例である「参考答案」の作成です。

例えば、司法試験や予備試験は過去問に対して、予備校が出している参考答案が豊富にあります。各予備校ごとに参考答案を参照すれば、問題検討の方向性はずれないため、過去問学習は予備校をうまく使えば効果的に進みます。

 

一方で、私が今やっているマイナーな法科大学院

私が今年受験しようとしている「琉球大学法科大学院」だと、その問題に対する参考答案がないというケースが往々にしてあります。東大や一橋、慶應など、メジャーな法科大学院だと、伊藤塾やLECなどが、その参考答案を基に、講義なども行っており、ある意味対策がしやすい側面があります。

 

しかし、琉球大学法科大学院は問題に対する参考答案がありません。

自分で問題を解いて、この回答筋であたっているのか。参考答案を確認したいと思っても、それがないと、採点基準があってもあまり学習効率があがりませんでした。

 

そこで、ジェミニに参考答案を作成させました。

 

  22年琉大ローA日程 民法

http://law.skr.u-ryukyu.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2024/02/2022_R4ALaw.pdf

 

ジェミニで作成した回答が以下のものです。

承知いたしました。以下の民法の問題について、設問1から設問5までの参考答案を作成します。

 

設問1

Yは、Xから授与された代理権に基づき、Xの所有する別荘を自己に売却しました。この行為は、代理人が本人を代理して自己と法律行為をする自己契約にあたります(民法108条本文)。

自己契約は、代理人が本人の利益を害するおそれがあるため、原則として、本人の事前の許諾がない限り無効となります(民法108条本文)。本件では、XがYに対して別荘の売却を指示した際に、既にYに売却されていることが発覚したことから、Xの事前の許諾はなかったと考えられます。したがって、Yの行為は無権代理行為となり、Xの追認がない限り、Xに効果は帰属しません(民法113条1項)。

よって、Xの請求は認められます。

 

設問2

Yは、Xから授与された代理権に基づき、Xの所有する甲土地をPに売却しましたが、その目的は、自己の借金の返済に充てるためでした。この行為は、代理人が自己または第三者の利益を図る目的で代理権を行使する代理権の濫用にあたります(民法107条)。

代理権の濫用は、本人の利益を害するおそれがあるため、原則として、本人に対する効果は生じません。しかし、相手方が代理人の意図を知らず、かつ、知ることができなかった場合には、表見代理の規定が適用され、本人に効果が帰属します(民法107条、110条)。本件では、PはYの意図を知らず、かつ、知ることができなかったため、表見代理が成立し、Xに効果が帰属します。

よって、Xの請求は認められません。

 

設問3

Aは、Bの親権者として、Bの代理人となりますが、親権者は、自己と未成年者である子との利益が相反する行為については、代理権を行使することができません(民法826条)。本件では、AがBの所有する乙土地に抵当権を設定する行為は、Aの利益とBの利益が相反する行為にあたります。また、Cは、AがBの父であり、事業資金を借り入れる際に子の土地に抵当権を設定することは、子の利益を害するおそれがあることを知ることができたため、善意無過失とはいえません。

したがって、Aの行為は無権代理行為となり、表見代理も成立しないため、Bの請求は認められます。

 

設問4

無権代理人は、相手方に対し、履行または損害賠償の責任を負いますが、その責任を負う地位は、相続により承継されます(民法117条1項)。本件では、Bは、Aが無権代理人の責任を負う地位を単独相続しています。

無権代理人が代理権がないことを知っていた場合、相手方が知らなかったときは、無権代理人は、相手方に対し、損害賠償の責任を負います(民法117条2項)。本件では、Aは代理権がないことを知っていましたが、Cは知りませんでした。したがって、Bは、Cに対し、損害賠償の責任を負います。

しかし、履行内容が特定物の引渡しである場合には、本人は、無権代理人の相手方に対し、その責任を負わないとされています(最判昭和38年3月29日)。本件では、履行内容は乙土地の抵当権設定であり、特定物の引渡しにあたります。したがって、Bは、Cに対し、損害賠償の責任を負いません。

よって、Bの請求は認められます。

 

設問5

本人が追認、追認拒絶いずれもせずに死亡し、無権代理人が単独相続した場合には、本人が当該行為をしたのと同様の法律上の地位を生ずるとする判例があります(最判昭和34年12月22日)。本件では、Aが死亡した時点で、Bは追認も追認拒絶もしておらず、その後、DがBを単独相続しています。

したがって、Dは、Cに対し、乙土地の抵当権設定登記の抹消登記手続を請求することはできません。

よって、Dの請求は認められません。

 

  参考答案を作成しやすいもの

おそらく、上記の民法の問題と採点基準をみてもらえればわかりますが、「採点基準が細かく設定」されています。そうすると、それに沿ってAIが参考答案を作成するので、回答筋に沿った参考答案を作成してくれます。

 

これが、「採点基準がざっくりでおおまかなもの」だとAIもうまく参考答案を作成してくれいないと思います。おそらく、これからロー入試を受けるみなさんも、結構いるかと思うので、ぜひ活用なさってください。

 

ちなみに、自分は有料版のジェミニを利用し、そこにカスタムGENを組み込んで、定量的に答案を採点、答案を作成するようカスタマイズしています。

 

 

  令和8年からはじまる予定のCBT受験

もう学習を始めている人には周知のことだと思いますが、令和8年の司法試験及び予備試験の論文式試験からCBT受験が始まる見込みです。いわゆるPC受験ですね。予備試験だと手書きで10枚以上の答案を書いてきた(苦行)からすれば、PC受験は社会人にとって朗報だともいえます。

 

そのため、私も最近はPCで起案をするようになりました。

※起案というのは、論文問題の答案を書くということです。

 

手書きよりも圧倒的に処理速度が早く、手書き答案を1通作成する間にPCだと3通くらい、答案を書くことができます。答案を書くのが自分にとっては、結構楽しく、ぽんぽんと問題を解くことができるので、とても利点が大きいと感じています。

 

あと、PC受験の利点として、AIの答案添削があります。

私の過去ブログを読んでいる方は、AIによる答案作成の記事を読んだことがあると思います。

 

 

そのGoogleのAIであるジェミニに、自分が書いた答案の定量的な採点をしてもらおうと考えました。そこで、利用したのが「カスタムGEN」という機能です。

カスタムGENとは、特定の分野の専門用語や知識を学習させ、その分野に特化したジェネレーターを作成することです。つまり、司法試験や予備試験の答案の採点を専門的に行うAIを作成することができるということです。

 

 

  23年琉大ローC日程刑法

問題は以下のような問題です。

次の事実を読んで、問いに答えなさい。 
 

暴力団 A 組は内部統制の厳しさが全国に知れ渡っている暴力団であり、組長の命令は絶対に服従することが求められていた。近年、A組は暴力団B組との間の抗争を激化させていた。 
ある日、暴力団組長甲は、自らの舎弟である組員乙を呼び出し、「B組の組長 Vを殺せ。」と命じ、拳銃を与えるとともに、Vの家の見取り図、さらにはVの予定表を渡した。 


乙は、甲から渡された予定表からVが一人で在宅する日を見つけ、見取り図を使 ってV宅内に侵入し、甲から渡された拳銃を使って V に発砲した。 弾丸がそれ V に命中したものの、V がその場から逃げたことから、乙は V の殺害を遂げることは出来なかった。 

 

甲及び乙にはどのような犯罪が成立するか。

 

まぁ、刑法の学習を一通り学習した人なら、単純な問題です。

 

 

そして、以下の採点表と問題文にある解説をジェミニに学習させます。

 

【採点基準及び解説】

 1 採点基準 

(1)    乙の罪名の検討(20 点)
(2)    甲の罪名の検討(80 点)
ア    刑法 60 条の検討(「実行」と関連して検討すること)
イ    (共謀)共同正犯の成立要件
ウ    ①共謀の検討
エ    ②重要な寄与の検討
オ    ③共謀に基づく実行行為の検討

 

そして自分が書いた答案は以下のもの

 

  自分が書いた答案

 

  ジェミニの採点

答案の採点結果

全体評価:60点 / 100点

項目別評価

  • 乙の罪名の検討:20点 / 20点
  • 甲の罪名の検討:40点 / 80点
    • 刑法60条の検討:10点 / 20点
    • 共謀共同正犯の成立要件:15点 / 30点
    • 共謀の検討:5点 / 10点
    • 重要な寄与の検討:5点 / 10点
    • 共謀に基づく実行行為の検討:5点 / 10点

詳細

  • 乙の罪名:殺人未遂罪と住居侵入罪の両方に触れており、構成要件該当性についても概ね検討されている。
  • 甲の罪名
    • 刑法60条の検討:共同正犯の成立について触れているが、「実行」の意義についての検討が不足している。判例・学説を踏まえた論述が求められる。
    • 共謀共同正犯の成立要件:独自の要件を提示しているが、その根拠が明確でない。
    • 共謀の検討:甲乙間に共謀が成立していることについて触れているが、具体的な論証が不足している。
    • 重要な寄与の検討:甲の行為の重要性について触れているが、具体的な論述が不足している。拳銃の提供、見取り図・予定表の提供等に具体的に分けて論じる必要がある。
    • 共謀に基づく実行行為の検討:乙の実行行為が甲乙間の共謀に基づくものであることについて触れているが、具体的な論証が不足している。

改善点

  • 刑法60条の「実行」の意義について、判例・学説を踏まえて深く検討する。
  • 共謀共同正犯の成立要件について、判例・学説の立場を明確にした上で、本件に当てはめて論じる。
  • 甲の行為の重要性について、具体的な事実を挙げて詳細に論じる。
  • 乙の実行行為が甲乙間の共謀に基づくものであることを、より明確に論証する。

総評

基本的な法的知識は備わっているものの、論述が不足している点が散見される。特に、刑法60条の「実行」の意義、共謀共同正犯の成立要件、甲の重要な寄与、共謀に基づく実行行為の各点について、より深く検討する必要がある。

 

この採点結果をものの3秒程度で吐き出します。

採点の定量評価をすぐに確認したい時には、かなり便利だと感じます。

 

当然、答案添削の精度は完璧とはいえないものの、AIの進歩は目覚ましいものがあります。1年前のチャットGPTから、かなり進歩しており、近いうちに、本当にAI採点が実用化される日がくると考えています。司法試験や予備試験のCBT受験とAI採点は極めて相性がいいと感じます。

 

  琉大ローB日程への出願

琉球大学法科大学院(以下「琉大ロー」という。)の願書を取りよせ、B日程で出願してきました。試験日は11月9日(土)です。

 

過去問は24年と23年の問題を解いています。

起案をしたら個別指導の先生に答案を送付して、フィードバックをもらうという段取りです。上記のとおり過去問は2年分しか解いていませんが、琉大ローは1年間で3回の試験を実施するので、実質6回分の演習を行っています。

 

  既習者コースの分析

まず、既習者コースの配点として以下のようになっています。

琉球大学法科大学院の入試は、法律試験の成績が7割を占め、残りの3割は面接と提出書類で評価されます。 特に、面接試験の評価基準が不明瞭で、対策が難しいと感じています。 7~8年前に私が受験した際には、同大学院の卒業生が合格していました。司法試験の受験資格を得るために、一度同大学院を修了した人が、再度入学を許可されていたのです。このことから、法律試験の成績が合否に大きく影響すると考えられます。しかし、面接や提出書類の内容によっては、法律試験の成績が良くても不合格になる可能性も否定できません。

 

その法律試験ですが配点は以下のようになっています。

 

  科目別分析

憲法

  • 統治分野、特に国会に関する問題が多い。
  • 人権分野に比べ、採点が容易な統治分野を重視している可能性が高い。
  • 予備試験と比較して難易度は低い (予備試験を100とすると45程度) が、出題傾向が異なるため、単純比較は難しい。

刑法

  • 論文マスターレベルの難易度で、予備試験より易しい (予備試験を100とすると30~40程度)。
  • 基礎力養成に適したレベル。
  • 共犯関係の出題が多い。
  • 因果関係に関する問題では、特定の学説に基づいた解答が求められる場合があり、注意が必要。

民法

  • 予備試験に最も近い難易度。
  • 要件・論点の深い理解と、適切な論述が求められる。
  • 法科大学院の公式回答で配点が明示されており、採点基準が明確。
  • 民法の出来不出来が合否に大きく影響する。

商法

  • 全科目の中で最も易しい (予備試験を100とすると20程度)。
  • 基本的に単一論点で構成され、解答しやすい。

民訴法

  • 予備試験でも頻出の分野 (処分権主義など) も出題される。
  • マニアックな問題 (違法収集証拠排除法則など) が出題されることもあり、対策が難しい。

総評

民法を得点源とし、憲法と民訴法でどれだけ得点できるかが合格の鍵となる。刑法と商法は比較的容易なので、確実に得点を目指したい。

 

ざっと、こんな感じでしょうか。

通常だれがちな予備論文後も目標があり、勉強への意欲も湧いてきました。

ロー入試まであと28日ですが、涼しくなってきましたし、淡々と学習を続けていきたいと思います。

 

  琉球大学大学院法務研究科の評価報告書を読んでみる

 

アガルートのHP上で、公益財団法人日弁連法務研究財団 というところが出している、令和5年度の琉球大学大学院法務研究科の評価報告書があります。

 

 

この評価報告書は全部で約130ページもある大作です。

そこで、ジェミニに要約させてみました。

 

 

  琉球大学法科大学院の評価報告書(2024年3月29日発行)について

公益財団法人日弁連法務研究財団は、2024年3月29日に琉球大学大学院法務研究科の評価報告書を発行しました。この報告書は、琉球大学法科大学院の教育内容や運営体制などを多角的に評価したものです。

評価結果の概要

琉球大学大学院法務研究科は、日弁連法務研究財団が定める法科大学院評価基準に適合していると認定されました。

これは、同法科大学院が、法曹養成機関として必要な教育内容や運営体制を備えていることを示しています。

琉球大学法科大学院の特徴

琉球大学法科大学院は、沖縄県唯一の法科大学院として、地域社会に貢献できる法曹の養成を目指しています。

具体的には、以下のような特徴があります。

  • 少人数教育:入学定員が少なく、教員との距離が近い教育体制です。
  • 充実したサポート体制:学習面だけでなく、生活面でも学生をサポートする体制が整っています。
  • 地域に根ざした教育:沖縄の地域特性を活かした科目が充実しており、グローバルな視点とローカルな視点を併せ持つ法曹を養成しています。

課題

評価報告書では、いくつかの課題も指摘されています。

  • 司法試験合格率の低迷:合格率が全法科大学院平均の半分未満となる年が続いています。
  • 教員の研究活動の支援:大学全体の予算削減の影響で、教員の研究活動を支援するための経済的な支援体制が十分ではありません。
  • 地域連携の深化:地域社会との連携をさらに深める必要があります。

同法科大学院は、これらの課題を克服し、より質の高い法曹養成機関を目指していく必要があります。

まとめ

琉球大学法科大学院は、地域社会に貢献できる法曹の養成を目指し、少人数教育や充実したサポート体制など、多くの魅力的な特徴を備えています。

一方で、司法試験合格率の低迷など、いくつかの課題も抱えています。

同法科大学院がこれらの課題を克服し、さらなる発展を遂げることが期待されます。

 

  資料からわかること

そうなんですよ

琉大ローは、全国的にみても、司法試験の合格率がかなり低いです。

 

(同報告書11頁より抜粋)

 

あと、法学既習者の倍率ですが、23年で11倍となっています。

ただ、直近の24年度試験では21名から5名の合格者(辞退者3名で入学者2名)を出しており、実質的に倍率は4~5倍前後といったところです。

 

琉大ローのことをいろいろと調べる中で、この資料は表などが最新のもので、直近のデータが公開されているので、興味がある人は一読の価値ありかもですね。

 

  琉球大学大学院法務研究科の評価報告書を読んでみる

 

アガルートのHP上で、公益財団法人日弁連法務研究財団 というところが出している、令和5年度の琉球大学大学院法務研究科の評価報告書があります。

 

 

この評価報告書は全部で約130ページもある大作です。

そこで、ジェミニに要約させてみました。

 

 

  琉球大学法科大学院の評価報告書(2024年3月29日発行)について

公益財団法人日弁連法務研究財団は、2024年3月29日に琉球大学大学院法務研究科の評価報告書を発行しました。この報告書は、琉球大学法科大学院の教育内容や運営体制などを多角的に評価したものです。

評価結果の概要

琉球大学大学院法務研究科は、日弁連法務研究財団が定める法科大学院評価基準に適合していると認定されました。

これは、同法科大学院が、法曹養成機関として必要な教育内容や運営体制を備えていることを示しています。

琉球大学法科大学院の特徴

琉球大学法科大学院は、沖縄県唯一の法科大学院として、地域社会に貢献できる法曹の養成を目指しています。

具体的には、以下のような特徴があります。

  • 少人数教育:入学定員が少なく、教員との距離が近い教育体制です。
  • 充実したサポート体制:学習面だけでなく、生活面でも学生をサポートする体制が整っています。
  • 地域に根ざした教育:沖縄の地域特性を活かした科目が充実しており、グローバルな視点とローカルな視点を併せ持つ法曹を養成しています。

課題

評価報告書では、いくつかの課題も指摘されています。

  • 司法試験合格率の低迷:合格率が全法科大学院平均の半分未満となる年が続いています。
  • 教員の研究活動の支援:大学全体の予算削減の影響で、教員の研究活動を支援するための経済的な支援体制が十分ではありません。
  • 地域連携の深化:地域社会との連携をさらに深める必要があります。

同法科大学院は、これらの課題を克服し、より質の高い法曹養成機関を目指していく必要があります。

まとめ

琉球大学法科大学院は、地域社会に貢献できる法曹の養成を目指し、少人数教育や充実したサポート体制など、多くの魅力的な特徴を備えています。

一方で、司法試験合格率の低迷など、いくつかの課題も抱えています。

同法科大学院がこれらの課題を克服し、さらなる発展を遂げることが期待されます。

 

  資料からわかること

そうなんですよ

琉大ローは、全国的にみても、司法試験の合格率がかなり低いです。

 

(同報告書11頁より抜粋)

 

あと、法学既習者の倍率ですが、23年で11倍となっています。

ただ、直近の24年度試験では21名から5名の合格者(辞退者3名で入学者2名)を出しており、実質的に倍率は4~5倍前後といったところです。

 

琉大ローのことをいろいろと調べる中で、この資料は表などが最新のもので、直近のデータが公開されているので、興味がある人は一読の価値ありかもですね。