いろいろできるジェミニ
前回の記事で、ジェミニで参考答案がない問題でも答案作れるぜと紹介しました。
そこで、「採点基準がざっくりでおおまかな場合」参考答案の作成がやりにくいのでは、と記載しました。それをふまえて、自分なりに、いろいろ試してみると
以下の方法だとかなりうまくいきます。
①問題、出題趣旨、採点基準を学習させる。
②①を踏まえて、採点基準を分析させる。
③②を踏まえて参考答案を導出させる。
22年琉大ローA日程民訴法:採点基準の分析
使ったのは以下の「22年琉大ローA日程 民訴法」の問題
http://law.skr.u-ryukyu.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2024/02/2022_R4ALaw.pdf
司法試験の論文の採点者
カスタム Gem
この問題は、民事訴訟法17条の移送規定に関する理解を問うものです。特に、専属的管轄合意がある場合でも、裁判所は職権で訴訟を他の裁判所に移送できるのか、という点がポイントとなります。
採点基準は、以下の2点で構成されています。
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移送に関する規範定立(30点):
- 民事訴訟法17条および20条1項の規定内容を正確に理解し、説明できているか。
- 専属的管轄合意がある場合でも移送が認められる根拠を、判例・学説を踏まえて論述できているか。
- 移送の要件である「訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」の具体的な意味を、関連する判例・学説を挙げて説明できているか。
- 「証拠調べの便宜」、「原告・被告の所在地」などの考慮要素を具体的に説明できているか。
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本件へのあてはめ(20点):
- 問題文の事実関係を正確に把握し、上記の考慮要素を本件に当てはめて、東京地方裁判所から那覇地方裁判所への移送の可否を論理的に説明できているか。
- X社とY社のそれぞれの主張を整理し、どちらの主張がより正当であるかを、説得力のある根拠に基づいて論述できているか。
- 結論を明確に示し、その結論に至るまでの論理展開に矛盾がないか。
採点基準の配点から、移送に関する規範定立の部分がより重視されていることがわかります。つまり、単に結論を述べるだけでなく、移送に関する法的な知識を正確に理解し、それを具体的な事案に適用する能力が求められています。
答案を作成する際には、以下の点にも注意する必要があります。
- 条文の正確な引用: 民事訴訟法の条文を引用する場合は、条番号、項番号などを正確に記載すること。
- 判例の引用: 判例を引用する場合は、裁判所の名称、判決年月日などを正確に記載し、判旨の内容を要約して示すこと。
- 学説の引用: 学説を引用する場合は、学者の氏名、著書名などを正確に記載し、学説の内容を要約して示すこと。
以上の点を踏まえ、採点基準に沿って答案を作成することで、高得点を獲得することができるでしょう。
22年琉大ローA日程民訴法:参考答案の導出
司法試験の論文の採点者
カスタム Gem
答案
本件では、X社がY社を相手方として、東京地方裁判所にリース契約に基づく損害賠償請求訴訟を提起した事案において、Y社が那覇地方裁判所への移送を申し立てた場合に、これを認めるべきかが問題となる。
1 裁判所の移送
民事訴訟法17条は、第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、証拠調べの便宜等の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができると規定している。
もっとも、X・Y間の契約書には、本件リース契約に関して紛争が生じた場合には、東京地方裁判所を専属管轄裁判所とする旨の条項が含まれている。しかし、民事訴訟法20条1項括弧書は、当事者間に専属的管轄合意がある場合においても、裁判所は、同法17条の規定による移送をすることができると規定している。
したがって、本件においても、東京地方裁判所は、同法17条所定の要件を満たせば、那覇地方裁判所に移送することができる。
2 移送の要件
では、本件において、東京地方裁判所は、17条所定の要件を満たすといえるだろうか。
17条所定の要件は、「証拠調べの便宜等の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」である。
最高裁昭和38年7月12日判決は、「訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」とは、例えば、
- 訴訟関係人が高齢、疾病その他の事由により遠隔の地に赴くことが困難である場合
- 事件の性質上、特定の土地において証拠調べをすることが著しく有利であり、かつ、これを他の土地において行うことが著しく困難又は不相当に費用を要する場合
- その他、事件の特殊事情により、特定の裁判所において審理及び裁判をすることが著しく不適当であると認められる場合
などをいうと判示している。
3 本件における事情
本件において考慮すべき事情としては、以下の点が挙げられる。
- 証拠調べの便宜:本件リース契約の締結はX社本社がある東京で行われたものの、実際の業務は全てX社の那覇支店が行っていたことから、契約内容やY社が主張するサービス不履行の内容を把握しているA・Bは那覇にいるため、那覇地方裁判所での審理の方が証拠調べの便宜に資する。
- 当事者の所在地:原告であるX社の本店は東京にあるものの、被告であるY社は那覇に所在しており、Y社にとって東京で訴訟追行をすることは負担が大きい。
- 専属的管轄合意:X・Y間の契約書には、東京地方裁判所を専属管轄裁判所とする旨の条項が含まれている。
4 結論
以上の事情を総合的に考慮すると、本件においては、証拠調べの便宜及び当事者間の衡平を図るため、那覇地方裁判所に移送することが適当である。
専属的管轄合意があるものの、本件では、契約締結地が東京であること以外に東京地方裁判所で審理をする合理的な理由はなく、上記のような事情を考慮すると、移送を認めることで当事者間の衡平を図り、訴訟の効率的な審理を実現することができると考えられる。
したがって、裁判所は、本件を那覇地方裁判所に移送すべきである。
※ 上記答案は参考です。 実際の答案作成にあたっては、より詳細な条文の解釈や判例の引用、学説の検討などを加える必要があります。
応用範囲が広い
見てのとおり
「すごい」の一言です。
司法試験などは「採点実感」や「問題文」など長文のものでも一旦、ジェミニに読み込ませて、答案作成にかかる抽象的なポイントや、当該問題特有のポイントなどを確認することもできます。
例えば、司法試験や予備試験の参考答案は予備校が作成しているものです。
よく、予備校の答案は間違っていることもあるという人がいます。
これについて、上記両試験の採点実感を大量に読み込ませて、ジェミニで吐き出せば、司法試験委員会が求めている答案を作成できると思います。
とにかく、このジェミニは応用範囲が広く
使い方次第で、いろいろな使い方ができるなと日々驚いています!