令和7年度琉球大学法科大学院のC日程入試の結果

 

先日行われた令和7年度琉球大学法科大学院のC日程入試の結果と、試験内容についての分析をご報告します。

 

試験結果

  • 合否: 不合格
  • 成績: 総合順位は2位でしたが、法律科目の合計得点が6割に届かず、合格基準を満たすことができませんでした。
  • 備考: 今回のC日程では、法学既修者を対象とした合格者はいなかったようです。

各科目の難易度と所感

実際に試験問題を解いた感想として、各科目の難易度は以下の通りです。

  • 憲法: 試験時間が足りず、出題の仕方も少し変えており、時間的な制約の面と問いの仕方から、非常に難しいと感じました。
  • 刑法: 複数の異なる学説を踏まえて論述する必要があり、こちらも難問でした。
    • 実際の試験本番ではドツボにはまってしまいました。
  • 民法: 解答の方向性さえ掴めれば正解に近づける問題のようでしたが(実際には試験本番はテンパっているのでそこまでの余裕はない)、その糸口を見つけるまでに時間を要し、満足のいく答案を作成できませんでした。
  • 商法: B日程では基本的に一つの論点が問われたのに対し、C日程では大きく二つの法律上の瑕疵について論じる必要があり、論述の分量が多いと感じました。
  • 民事訴訟法: 比較的、基礎的な知識が問われているという印象でした。

  B日程との比較:難易度と採点について

 

B日程の難易度を100と仮定した場合、C日程の難易度は130~150程度で、30~50%ほど難しくなっていると感じました。

 

一方で、採点基準については、C日程の方がB日程よりも甘めになっている印象を受けました。具体的には、15~20%程度、点数が付きやすくなっているように感じます。

 

特に採点基準の変化を感じたのは憲法です。B日程では「政治的行為」という特定の枠組みで論じなければほとんど点数が付かなかったのに対し、C日程では目的手段審査で検討しても点数が与えられていました。

 

民法に関しても、B日程・C日程ともに得点率は4割台でしたが、内容には違いがありました。

  • B日程: 自分としては75~80%程度の出来栄えと感じましたが、実際の得点は46%(70点/150点満点)でした。
  • C日程: 主観的な出来栄えは40%程度と感じていましたが、実際の得点は40%(60点/150点満点)でした。 この結果から、C日程の方が採点が甘めになっているのではないかと推測しています。

  学習の成果:民事訴訟法

今回の試験で大きな成果があったのは民事訴訟法です。年末から重点的に対策を進めてきた結果、50点満点中44点(得点率88%)という高得点を獲得できました。

 

実は試験本番で「既判力」の正確な定義を書くことができませんでした。しかし、民事訴訟法114条1項(確定判決の主文における訴訟物の存否の判断に既判力が生じる)と114条2項(相殺に供した反対債権の不存在に既判力が生じる)の知識を基に、伊藤塾の完全マスター民事訴訟法で学んだ内容を論述し、得点に繋げることができました。

 

従前から民訴法は苦手科目でした。公務員試験でも行政書士試験でも、他の国家資格でも民訴法は使っていませんでした。そのため、学習の量が他の民法や憲法などと比較して少ないことから、科目自体に苦手意識がありました。

 

しかし、以前受けた答練(コンプリート論文答練)も含め、民事訴訟法を集中的に学習したことが、実際の試験の点数という形で明確に表れ、自身の成長を実感する貴重な機会となりました。

 

ちなみに以下は自分の再現答案です。

実際に自分が書いた答案

 

  参考答案など

加えて、参考答案も作成してみました。

参考書などを読んで、おそらく回答筋であろう答案

※この記事を書いている2025年3月30日現在では、琉大ローに出題趣旨や問題などが掲載されていないため、おそらくこんなことを書くのではないかということを答案として作成しています。
 

  答案構成(上記参考答案をチャットGPT4Oで作成しました。)

【民法】

問題1(抵当権抹消登記請求)

  • 請求要件:①Xの所有権、②Y名義の抵当権登記の存在、③Yが登記を対抗できない。

  • Xの主張:Bの無権代理行為(113条1項)であり、追認がないので無効。

  • Yの反論:94条2項の「第三者」として保護される。

  • Xの再反論:虚偽の外観はあるが、Yに過失があり、善意無過失ではないため保護されない。

  • 結論:Yの登記は無効であり、Xの抹消請求は認められる。

問題2 設問1・2(法定地上権の成否)

  • 設問1(Q抵当権)

    • Y1の視点では土地建物が同一所有。

    • 建物が共有でも法定地上権は成立。

  • 設問2(P抵当権)

    • 抵当権設定時に土地建物が別人所有。

    • 法定地上権は成立せず、Xの明渡請求認容。


【刑法】

設問1(強盗殺人の共同正犯)

  • Xの行為:暴行によりVを死亡させ、強盗殺人成立。

  • Yの行為:V死亡後に財物奪取。Xの行為を利用し犯行遂行。

  • 結論:承継的共同正犯としてYにも強盗殺人罪成立。

設問2(窃盗罪または占有離脱物横領罪)

  • ポイント:YはV死亡後に行為。暴行との因果性なし。

  • 結論:強盗罪は成立せず、窃盗罪または占有離脱物横領罪が成立。

設問3(因果的共犯論)

  • 主張:共犯の処罰根拠は因果的寄与の程度。

  • 結論:Yには強盗殺人罪は重すぎる。窃盗罪の共同正犯にとどまる。


【憲法】

  • 争点:風俗案内所の表現行為(広告・ビラ等)への条例による制限。

  • 21条1項適用性:性表現も「その他一切の表現の自由」として保障。

  • 制約の合憲性審査

    • 表現の自由は重要権利 → 慎重な審査要。

    • ただし、性表現であるため、中間審査基準を採用。

  • 中間審査基準の適用

    • α目的(青少年保護)は重要。

    • β手段(区域・罰則付き規制)は、適合性・必要性・相当性あり。

  • 結論:本件条例は21条1項に反せず、合憲。


【商法】

瑕疵①(取締役会の定足数欠如)

  • 違法性:369条1項違反、招集手続きの法令違反。

  • 裁量棄却の可否:60%もの株主が決議に参加していることから → 裁量棄却。

瑕疵②(招集通知期間の不足)

  • 違法性:299条1項違反。

  • 裁量棄却の可否:2日間の軽微な違反で決議に影響なし → 訴えは認められない。

 
※加筆ですが、もしかしたら瑕疵①は決議不存在(830条1項)とか、決議無効(830条2項)で検討できるかもですね。個人的には定足数不足は、そもそも取締役会決議自体が存在しないことになるので、重大な法令違反な気がするんですよね・・・。
参考答案では、決議取消(830条1項)で裁量棄却の検討を行っておりますが。

【民訴法】

  • 争点:既判力の範囲(114条2項)と乙債権主張の可否。

  • Xの主張:乙債権は400万円→残額100万円。

  • Yの主張:乙債権は500万円→残額200万円。

  • 判断

    • 既判力は「相殺に供した額」に限定。

    • 乙債権の残額200万円については既判力は及ばない。

  • 結論:Xの主張は正当でない。Yの請求可能。

 

  24年伊藤塾コンプリ答練の点数一覧

 

1. 論文答練って?

まず、「論文答練」って何?

という方のために簡単にご説明します。論文答練とは、法律の試験で出題される「論文形式」の問題を解いて、添削指導を受けられる講座のことです。伊藤塾のコンプリート論文答練は、本番の試験に向けた実践的なトレーニングができる人気の講座です。

 

 

 

2. 現在の進捗状況

私は、1stタームの答案は全て提出済みです。2ndタームは、行政法と民法が解き終わっていて、残りは憲法と商法です。

 

実は、1月中旬まで琉球大学の法科大学院の入試対策をしていたため、この答練を始めたのは2月中旬からです。少し遅れてのスタートになりましたが、頑張って追いついています!

 

3. 民事訴訟法で大躍進!

今回の答練で、結果が出たのが民事訴訟法です!

上記の表のとおり、4回のうち3回も平均点を超えることができました!🎉

民事訴訟法は、これまでずっと苦手で、他の資格試験でも対策をしていない科目でした。論文試験でもずっとF評価…。それが、伊藤塾の呉講師の「完全マスター民事訴訟法」を移動時間やスキマ時間にひたすら視聴したおかげで、一気に成績が伸びました!苦手意識も少しずつ消えていくような感じがします。

 

4. 他の科目も着実に成長中!

以前に対策をお話しした刑法も、今回の民事訴訟法も、しっかり結果に繋がってきています。「対策をすれば、ちゃんと結果が出るんだ!」と自信になりました。

 

ちなみに、行政法は点数がはねた時は高得点が出せます。40点台も2年位前から何度かあります。得意科目の行政法は本試験でも、安定して高得点を取れるようにしたいですね。

 

5. 残念なお知らせと、SNSとの付き合い方

実は、先日受けた琉球大学法科大学院(C日程)の入試は、残念ながら不合格でした。詳しい成績は後日届くので、また改めて感想などを書きたいと思います。

 

加えて、今までX(旧Twitter)で学習の進捗状況を公開していましたが、その更新をするにあたり、1日あたり10~15分位時間を浪費していることに気づいたので、学習の進捗状況の報告はストップします。Twitterのアルゴリズムが強力で自分の場合、気になる投稿やショート動画に引っ張られてしまい、時間を浪費していると感じました。

 

SNSは情報の速報性には優れていますが、そこにどっぷり使ってしまうと、本来すべき学習のための時間を溶かされてしまうと思います。何事も適正な利用が大事ですね。

 

  令和6年度 九州弁護士連合会統一模試とは

2024年12月1日(日)、沖縄県那覇市松尾の弁護士会館で「九州弁護士連合会統一模試」を受験しました。その結果と、自己評価について、まとめています。

 

ちなみに、同模試は、九州弁護士連合会主催で行っています。

 

 

毎年、12月の第1週目の日曜日に行っています。沖縄だと、NAHAマラソンの日ですね。那覇市内の会場は国際通り周辺に交通規制がかかるので要注意です。

 

また、受験料は、ロースクール生が1,000円

外部生が3,000円と破格の設定です。

これに添削、解説講義がついています。問題は司法試験を意識した問題で1科目あたり、2時間という制限になります。

 

  模試の結果など

 

模試の結果

  • 民法: 39点/100点 (85人中21位、上位24.7%)
  • 刑法: 58点/100点 (85人中20位、上位23.5%)
  • 合計: 98点/200点 (85人中20位、上位23.5%)
自分の答案

模試のレベルと受験者の特徴

ロースクール生は、法律の専門的な勉強をしている人たちなので、今回の模試は、自分が過去受験した琉球大学のロースクール入試よりも母集団のレベル(少なくとも皆法科大学院生ばかり)が高いのではないかと考えました。

 

実際、受験者全体で85人おり、来年度の司法試験の受験予定者が58人いるそうです。

この58人はすでに司法試験の受験資格を持っていることを考えると、全体的な母集団のレベルはそれなりに高いものと考えます。

 

結果の自己評価

総合で上位2割という順位は、まずまずの結果だったと思います。

 

私の過去の予備試験(司法試験の前に受ける試験)の論文試験の成績を見ていただければわかるように、民法も刑法も苦手科目で、2021年から2024年まで

  • 民法:FFFF
  • 刑法:FFEF
※Aが最高で、Fは6段階のうち最低評価を意味します。
 

という成績でした。

 

今回の模試の時期は、個別指導の先生の指導で、特に刑法を集中的に勉強していました。具体的には、LECの大塚先生の基本刑法読み込み講座を受講していました。また、実際にたくさんの答案を書いて練習していました。

 

 

上記の成果からか、司法試験をすでに受験した経験のある受験生(令和7年度の司法試験の受験予定者を含め)の中で、刑法で上位2割に入れたのは、自分としては大きな成果だと感じています。

 

実は、刑法については、問題の解答筋を間違えてしまい、本来「横領罪」で考えるべきところを「詐欺利得罪」で論じてしまいました。自分の再現を見てもらえばわかるのですが、本来横領罪で論述しなければならないところを、かなり厚めに詐欺利得罪で論述しています。

 

それでも、司法試験受験経験者もいる中で上位2割に入れたということは、ある程度の実力がついてきた証拠だと考えています。

 

  今日は、令和7年度 琉大ローC日程の合格発表

 

今後の予定

今日は琉球大学ロースクールのC日程の合格発表があります。合否については、成績開示の結果と合わせて、きちんと公開したいと思います。

 

一応、やった分の成果は出ているということでしょう。

琉大ローのB日程では民法が5割いかないという点数でしたが、おそらく自分の場合、ロー入試の採点の相性が悪いのでしょうね。

 

実際にロー入試よりも母集団の高い上記模試で上位2割の成果を出したので、これもひとつの結果として、次の目標に向かって頑張ります。

 

【用語説明】

  • ロースクール(法科大学院)とは?: 弁護士や裁判官、検察官などの法律の専門家になるための学校です。
  • 予備試験とは?: ロースクールに通わなくても、司法試験を受ける資格を得るための試験です。
  • 横領罪・詐欺利得罪とは?: どちらも刑法の犯罪です。簡単に言うと、横領罪は「預かっている他人の物を自分の物にしてしまうこと」、詐欺利得罪は「人をだまして、相手に財産上の利益を与えさせてしまうこと」です。
  • 成績開示とは?: 試験の結果(点数など)を大学院に請求し、開示することです。

 

 

  目次

  • 法科大学院はローリスク?
  • 法科大学院に進学したほうが早く司法試験に合格できる
  • 自分のこころのうち
  • これから法科大学院の未習に進学しようかと考えている方へ
    • 参考動画紹介
  • 最後の選択は自分

 

  法科大学院はローリスク?

BEXAの矢島先生が法科大学院はローリスクだというツイートをされていたので、ずっと予備試験の受験をやってきた自分が、法科大学院の進学を検討する際に、いろいろ考慮にいれたことをまとめてみたいと思います。

 

 

ちなみに、私は自分の意見が100%正しいと思っていません。ある予備試験のベテラン社会人受験生は、このように考えたということをまとめています。

 

まず、結論から、法科大学院は本当にローリスクかという点について

私は、法科大学院の進学は社会人受験生にとって、ハイリスクであると考えます。

 

例えば、社会人受験生が法科大学院に進学する場合、仕事を辞めるか、仕事を休職しなければなりません。仮に休職できる職場であるとしても、この2年間は無収入となります。1年間で年収500万円の人が、2年間法科大学院に行くとすると、その場合の機会損失(本来働けば得られるはずの金銭)は1,000万円です。これに、国立大学の場合、入学金や授業料の約190万円がのっかります。この時点で約1190万円です。

 

私の職場は、幸い休職できる制度があったのですが

この休職中は、給料が一切出ず、社会保険料の自己負担が発生するというものでした。通常給料をもらっていれば天引きされる社会保険料ですが、給料が支払われないと、その分を自分の貯蓄から支払われなければなります。この負担が結構重く、私の場合、2年間で約200万円の出費となる計算でした。通常の生活費以外にこれらの費用が発生するため、どうしても、貯蓄だけでは、まかないきれず、奨学金を借りる必要があると判断しました。

 

そうすると、2年間で約200万円の借り入れ(奨学金)が必要だとすると、前記の約1190万円に加え、1390万円、おおむね約1,400万円の費用負担が発生することになります。ただ、この1,400万円の費用負担についても、標準修了年限で修了できた場合です。法科大学院によっては、この標準修了年限の終了率が文部科学省から公表されています。

 

例えば、自分がB日程とC日程を受けた琉球大学の法科大学院は、その標準で修了できる確率がわずか15%でした。この点について、実はC日程の面接官に聞いたのですが、母集団が少ないこと、コロナの影響があること、長期履修者がいることなどにより、公表されている数値がかなり低いとのことでした。平均すると40%くらいではないかという話もしてくれました。

 

ただ、この40%も自分としては、かなり低いと感じました。つまり、10人いれば、4名しか標準修了年限で修了しない。加えて、留年率についても、文部科学省のサイトに公表されています。例えば、1年次→2年次に審級する際の留年率も約40%と高く、前記の機会費用が大幅に増える可能性は確率的に高いと考えました。

 

 

確かに、法科大学院に進学し、ちゃんと適切に単位を取れば、司法試験の受験資格を得ることができます。しかし、その司法試験の受験資格を得ようとすると、自分のような普通の社会人だと失う物がかなり多いと定量的に分析しました。

 

さらにいえば、法科大学院に進学し司法試験の受験資格を得たとしても、司法試験に必ず合格できるわけではありません。あくまで5回の司法試験の受験資格を得ることができるだけです。前記のようなコストやリスクを考えてみれば、自分は法科大学院の進学はそれに見合うリターンは少ないのではないかとも考えました。

 

  法科大学院に進学したほうが早く司法試験に合格できる

 

自分の職場で、同じ時期に司法試験の勉強をしていた人がおり、その人は数年前に法科大学院に進学し、令和6年度の司法試験に合格することができました。一方、自分は予備試験に合格できず、司法試験の受験資格すらない状態です。つまり、法科大学院に進学したほうが、早く司法試験に合格する可能性は高い。

 

また、法科大学院に行けば、周りは同じような目標を持った仲間が多くおり、教員や弁護士会などのサポートがあるところもあるため、独学で学習をしている人にとっては魅力的な選択肢となります。

 

ただ、法科大学院に進学したからといって、司法試験に確実に合格できるかというとそうではないと考えます。

 

例えば、Takaさんは、法科大学院に進学されるそうです。Takaさんと以前、自主ゼミを組んでいたことがあり、かなり知識もあり説得的な文章を書かれる方だという印象があります。令和6年度の予備論文も自分の再現とTakaさんの再現を見比べてみれば、かなりTakaさんに差をつけられたと実感したところです。このような予備試験ガチ勢で、CBT受験(PC受験)に相性のいい人なら、進学すれば、令和8年度の司法試験に一発合格できる(合格してほしい)と思います。

 

しかし、そうではない人で、たんに司法試験の受験資格を得るためと考えている人は、本当に「この選択肢を選ぶことのリスクやコストとリターンを適切に分析」したほうがいいと思います。

 

  自分のこころのうち

 

自分は、過去のブログ記事で琉大のC日程に落ちたら勉強辞めるかもと述べました。この点について、法科大学院の志望理由書を書いている過程で、自分は別に法曹になりたいわけではないとわかりました。

 

自分の心の底にあったのは「自分の得意を活かして、自分の周りの人や、自分を応援してくれる人の助けになりたい」という思いでした。

 

実は、職場でも「自分が法律の勉強をしていること」を知っている友人から、時たま法律相談を受けることがあります。自分の知識を活かして、人の役に立てるなら、それはとても嬉しいことです。

 

ただ、これは必ずしも法曹にならなくても実現できます。自分は自分の内面を分析する過程で、自分にとって法曹になることは必須の要件ではないと考えました。自分の得意の先に法曹があったかもしれません。

 

しかし、予備試験の合格率も3%台で、このまま働きながら予備試験の学習をしても、自分の能力では、予備試験の合格は難しいことが、だんだんとわかってきました。ただ、勉強自体は引き続き、自己啓発の一貫で続ける予定です。もしかしたら、法律以外の学習をしたり、別のことをやったりするかもしれません。

 

自分にとって、気持ちの整理がついたので、自分のペースでやりたいことをやろうと思います。

 

  これから法科大学院の未習に進学しようかと考えている方へ

 

あと、これはアラフォーのおっさんの独り言です。

すでに、法科大学院に進学している人は読まないほうがよいと思います。

 

これから法科大学院の未習等に進学される方は、本当にその選択肢を取ったほうがいいのかあらためて考えたほうがいいと思います。法科大学院の未習は、おそらく純粋な法学未修者を対象にしたものではないと思います。SNSを見る限りでも、留年する人も結構多い印象です。また、なんとか、司法試験の受験資格を得たとしても、司法試験に合格できるかは全くの別物だと思います。

 

前記のような予備試験の学習をガチでやった人たちと比べ、法科大学院ルートなどで、受験資格を得た場合、「予備試験ガチ勢の人に勝てますか」ということです。法律の学習はそれなりに時間のかかるものです。やはり、ある程度、長期間学習してきた人のほうが、基礎力という点では優れているものがあります。「論文の書き方」や「その人なりのくせ」を修正する必要があるかもしれませんが、やはりいままでの学習量がものをいうのが法律学習だと思います。

 

もっと言ってしまえば、あなたは、上三法しかない司法試験の短答式試験と比較し、下四法+一般教養も含めて試験科目にある予備試験の短答式試験に合格できますか?

これから、あなたが勝負しようとしている人は、上記の壁を突破してきた人たちです。少なくとも、自分も過去4回は予備試験の短答式試験には合格しています。

 

また、参考までに自分の民法と刑法の実力は九州地区の法科大学院生の上位2割のようです。

 

 

もうひとついうと、法科大学院に進学した場合の自分の失権確率を計算したことがありますか?

 

法務省が、大学ごとに司法試験の合格率を未習、既習で分けて掲載していると思います。例えば、未修者の司法試験の合格率が15%だった場合、5回全部落ちる確率は何%でしょうか?

 

1回目落ちる:85%

2回目落ちる:85%

3回目落ちる:85%

4回目落ちる:85%

5回目落ちる:85%

85%✕85%✕85%✕85%✕85%=44.3%

 

つまり、未修者コースの司法試験合格率が15%の法科大学院の場合、おおむね2人に1人は5回受けても確率的には失権するということです。

 

例えば、3~4年法科大学院で学習して、そこから5年間毎年司法試験を受けて、5回受けたにも関わらず、おおむね2人に1人は失権するのは、かなりのリスクだと思います。法科大学院に進学した時点から起算して10年経過して、ほぼ無職とか、フリーターというのは精神的にも、金銭的にも結構辛いものがあると思います。

 

自分の友人で、一度、失権した後に、予備試験ルートで復権し、再度司法試験を受験し直し、合格するというメンタルタフな人もいます。しかし、普通の精神力だと、そういう人はかなり稀だと思います。

 

もちろん、法学を勉強したという知識の面は社会で活かせると思いますが、それなら必ずしも、「法科大学院に行かずに予備校を使って、働きながら予備試験受けたほうがいいのではないか」という考え方もあるかと思います。

 

今は、民間も公務員も給与はあがっています。新卒で月額30万円を出す民間企業も結構あります。このアメーバブログを運営しているサイバーエージェントは新卒で42万円です。また、自分が以前ブログで紹介したように、弁護士などの業務の一部もAIが代替できる可能性があります。そのような状況下で、これらのリスクを負ってまで、本当に未修者で法科大学院に進学しますかということです。

 

既習者で学費免除を取れたり、今まで予備試験の学習をして、少なくとも短答式試験に合格できるという人なら、自分のような予備試験しか選択肢のない人よりも確実に早く司法試験に合格し、早く実務に就くことができると思います。しかし、安易な気持ちで法科大学院の未修者を選択すると、あとで痛い目をみるような気がします。

 

この記事書いている過程で、以下のようなブログを発見したのですが、かなりの闇ですね。

 

加えて、参考動画として、自分が見て、なるほどと思った動画について

 

「【ハイリスク】ロースクール未修をおすすめしない理由… No.84」

 

「法科大学院はきつすぎる…?留年率からみるロースクールの注意点!」

 

あと、確率的にロールプレイできるモデルとして、以下のゲームをやってみると、自分の合格年と年齢が具体的にイメージできるかもですね。

 

タダスケさんのブログにて、未修者に特化した最新のロールプレイがあるので、これも参考までに。自分もプレイしましたが、確率論から行くと、進級し、ロー卒の資格を取るまででかなり時間がかかり、そこから司法試験合格となると、普通に30歳を超えました。また、最初プレイした時は、ロー未習卒業後に31歳で失権してしまいました。

 

 

 

  最後の選択は自分

結局は自分で選択することになると思いますが、上記のような最悪のケースなども想定し、進学の可否、もしくは進路選択を決めることも一案かと思います。

 

ただ、法曹は、法曹しかできない仕事があるというのも事実です。

自分は、法律の知識はあまりないけど、法科大学院に進学して、立派な法曹になって社会のため、周りのために役に立ちたいという人は、ぜひとも頑張ってほしいし、自分はそういう人を応援したいです。

 

あと付けですが、そういう人にこそ、コストやリスクを考えて挑戦してほしいと思っています。ロー選択をすることは、それなりにリスクやコストがかかることなので、ちゃんと自分なりにリスクをヘッジ(途中で公務員試験受けるとか、民間企業の法務職とか)するような方策を取りながら挑戦してください!

 

頑張ってください。

応援しています😊

 

  契約書レビューの続き

 

 

前回こんな記事を書きまして

ジェミニのAIがアップグレード(使用したモデルはGemini 2.0 Pro Experimental(25年2月6日最新版))されたので、同じようば質問をしてみました。

 

    

①あなたは民法、借地借家法に詳しい弁護士です。

②以下の契約書で賃借人に不利な内容の条項を指摘し、その理由を簡潔に説明をして

 

 

 

賃借人に不利な内容の条項は以下のとおりです。

  1. 第9条1項後段(契約期間中の修繕):

    • 理由:本来、賃貸物件の修繕義務は原則として賃貸人にありますが、この条項では「乙の責めに帰すべき事由」以外でも乙が費用負担する場合があり、乙の負担範囲が広すぎる可能性があります。
  2. 第9条5項(契約期間中の修繕):

    • 理由:別表第4の内容次第では、本来は貸主が負担すべき修繕費用を借主が負担することになりかねません。また、通知・承諾不要で乙が修繕できる点も、修繕の範囲や質のコントロールが難しく、後のトラブルの原因となりえます
  3. 第15条1項(明渡し時の原状回復):

    • 理由:通常損耗・経年変化まで乙の負担とすることは、国土交通省のガイドライン及び最高裁判例に反し、乙に不利です。(最判平成17年12月16日)。 *別表第5の内容によっては、通常損耗や経年劣化の範囲を超えて賃借人に原状回復義務を負わせる可能性があり、注意が必要です

これらの条項は、いずれも貸主(甲)に有利で、借主(乙)に不利な内容となっています。 特に、修繕義務と原状回復義務については、民法や判例、ガイドラインに照らして、借主の負担が過大にならないよう、協議・修正が必要となる可能性があります。

 

元の契約書をみると、15条1項は特に賃借人に不利な内容ではないと考えたので、改めて、以下の質問をしました。特に、自分としては、とりわけ賃借人に不利ではないと思っていました。

 

ちなみに、15条1項はこんな書き方です。

 

(明渡し時の原状回復)

第15条 乙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗及び本物件の経年変化を除き、本物件を原状回復しなければならない。ただし、乙の責めに帰することができない事由により生じたものについては、原状回復を要しない。

2 甲及び乙は、本物件の明渡し時において、契約時に特約を定めた場合は当該特約を含め、別表第5の規定に基づき乙が行う原状回復の内容及び方法について協議するものとする。

 

 

    

15条1項は「除き」となっているので

賃借人の不利ではないと思いますが、その点はどうですか。

 

ご指摘ありがとうございます。

第15条1項の「通常の使用に伴い生じた本物件の損耗及び本物件の経年変化を除き、本物件を原状回復しなければならない。」という部分は、文言上は通常損耗・経年変化については賃借人(乙)が原状回復義務を負わないことを意味します。

しかし、私が不利な条項として指摘した意図は以下の2点です。

 

  1. 「通常損耗」「経年変化」の解釈の不明確さ

    • 「通常損耗」「経年変化」の具体的な範囲は、法律上明確な定義がありません。そのため、貸主(甲)と借主(乙)の間で解釈に争いが生じる可能性があります。
    • 例えば、壁の軽微な傷や日焼けによる変色などが「通常損耗」に含まれるか否か、といった点で争いが生じ、結果的に乙が不利な解釈を押し付けられるリスクがあります。
  2. 「ただし書き」による例外

  • 条文には「ただし、乙の責めに帰することができない事由により生じたものについては、原状回復を要しない。」とあります。
  • 一見すると、賃借人に有利な内容に見えます。しかし、「乙の責めに帰することができない事由」とは具体的に何か不明確であり、立証責任が賃借人に事実上あると解されると、結局賃借人に不利に働く可能性があります。

上記より、文言上は通常損耗・経年変化を除外していても、解釈や運用によっては、乙に不利になる可能性があるため、指摘しました。

より明確にするためには、

  • 「通常損耗」や「経年変化」、「乙の責めに帰することができない事由」の具体的な内容を、別表や特約で明記すること。
  • 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に、原状回復の負担区分を明確化すること。

などが必要と考えます。

 

 

ちなみに、色をつけているのは自分ですが、回答の内容は変えていません。

自分が補足的に質問した内容について、具体的に例をあげながら、回答をしており、行政書士や宅建士試験、管理業務主任者試験に合格している自分でも、かなり説得的な内容だと感心するくらいです。

 

しかも、立証責任を意識するとか・・・。

 

おそらく、使い方によっては今まで弁護士など法律専門家に相談していた内容が、自社や内部の組織の中で、ある程度完結するくらいの精度はあるのかなと感じました。

 

ちなみにですが、自分のブログは、弁護士など、法律専門家の方も結構見ていると思います。上記の回答の精度や感想など、コメントに頂ければ嬉しいです。

 

  生成AIの得意なこと、苦手なこと

みなさんは、生成AIを利用していますか。チャットGPTやGeminiといった生成AIです。3年位前に、チャットGPTの有料版が出始めたころ、令和4年度の行政法の問題を解かせました。

 

 

その時は、すげーなこんなことまでできるんだと関心した記憶があります。

それから、わずか2年の間に飛躍的に進歩しています。自分が実際に使用しての感覚ですが、契約書のレビュー、書類の作成など、かなり実用的になっています。

 

まず、生成AIの得意なこと、苦手なことについて

 

生成AIの得意なこと:

  • 大量の文章の解析や要約: 契約書や判例の分析、法律文書の作成支援
  • 法律情報の検索や整理: 過去の判例や法律、関連情報を迅速に検索
  • 定型的な事務作業の自動化: 書類作成、データ入力などの効率化

生成AIの苦手なこと:

  • 複雑な事実認定や法的解釈: 訴訟戦略の立案、交渉、顧客とのコミュニケーション
  • 倫理的な判断や責任: 人間の感情や社会情勢に合わせた柔軟な対応
  • 秘匿性の高い情報の取り扱い: 個人情報や企業秘密の保護

  契約書のレビュー

 

例えば、国土交通省のHPに賃貸住宅標準契約書なるものが掲載されています。

 

 

 

当該契約書をGoogleの生成AIジェミニ(有料版)にレビューしてもらいます。

この場合、生成AIを利用する方法として、①役割を与え、それについて②具体的に指示をすることが重要です。

 

例えば

①あなたは、民法及び借地借家法に精通している弁護士です。

②以下の契約書について、賃借人(借りている人)に不利な条項があれば、それについて理由をつけて説明して

 

それについて、上記の契約書のレビューの抜粋が以下のとおりです。

 

1. 第2条 契約期間及び更新

  • 不利な点: 契約期間満了後の更新について、「甲及び乙は、協議の上、本契約を更新することができる。」と規定されているのみで、更新拒絶に関する正当な事由や、更新料についての定めがありません。
  • 理由: 借地借家法第28条は、賃貸借契約の更新について、賃貸人(甲)は正当な事由がなければ更新を拒絶できないと定めています。正当な事由がないにもかかわらず更新を拒絶したり、高額な更新料を要求することはできません。本契約書では更新に関する規定が曖昧なため、乙は更新を拒絶されたり、高額な更新料を請求される可能性があります。

2. 第4条 賃料

  • 不利な点: 賃料の改定について、「甲及び乙は、協議の上、賃料を改定することができる。」と規定されていますが、賃料減額請求権についての定めがありません。
  • 理由: 借地借家法第32条は、賃料が近傍同種の建物の賃料に比べて不相当に高い場合、借主は賃料の減額を請求できると定めています。本契約書のように、賃料減額請求権について明記していない場合、乙は賃料が不相当に高くても減額を請求できない可能性があります。

3. 第6条 敷金

  • 不利な点: 敷金の返還について、「本物件の明渡し時に、賃料の滞納、第15条に規定する原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、甲は、当該債務の額を敷金から差し引いた額を返還するものとする。」と規定されていますが、敷金の充当範囲が限定されていません。
  • 理由: 敷金は、賃料の不払いなど、賃貸借契約から生じる債務の担保として預け入れるものです。しかし、原状回復費用を敷金から差し引くことは、特約で明記されている場合を除き、認められません。本契約書では敷金の充当範囲が曖昧なため、乙は原状回復費用を敷金から差し引かれる可能性があります。

4. 第8条 禁止又は制限される行為

  • 不利な点: 乙が行うことが禁止または制限される行為が、別表に記載されており、契約書本体に明記されていません。
  • 理由: 賃貸借契約において、借主の行為を制限することは、借主の権利を制限することになります。そのため、禁止または制限される行為は、契約書本体に具体的に明記する必要があります。別表に記載するだけでは、乙が禁止または制限される行為を事前に十分に理解できない可能性があります。

5. 第9条 契約期間中の修繕

  • 不利な点: 乙が修繕を要する箇所を発見したときは、甲に通知し修繕の必要について協議するものとされていますが、甲が修繕義務を履行しない場合の乙の対応について明記されていません。
  • 理由: 賃貸人は、借主が目的物を使用するために必要な修繕を行う義務があります。甲が正当な理由なく修繕義務を履行しない場合、乙は自ら修繕を行い、その費用を甲に請求することができます。しかし、本契約書では、甲が修繕義務を履行しない場合の乙の対応について明記されていないため、乙は適切な対応をとることができない可能性があります。

6. 第15条 明渡し時の原状回復

  • 不利な点: 原状回復の範囲について、「通常の使用に伴い生じた本物件の損耗及び本物件の経年変化を除き、本物件を原状回復しなければならない。」と規定されているのみで、具体的な範囲が明確ではありません。
  • 理由: 原状回復義務の範囲は、通常の使用による損耗を超える部分であり、経年劣化や通常の使用による損耗は借主の負担範囲ではありません。本契約書では原状回復の範囲が曖昧なため、乙は過大な原状回復費用を請求される可能性があります。

7. 第16条 立入り

  • 不利な点: 甲が本物件内に立ち入ることができる条件として、「本物件の防火、本物件の構造の保全その他の本物件の管理上特に必要があるとき」と規定されており、広範な解釈が可能です。
  • 理由: 賃貸人の立入権は、借主のプライバシーを侵害する可能性があるため、正当な理由がある場合に限定されるべきです。本契約書のように、立入権の範囲が曖昧な場合、乙はプライバシーを侵害される可能性があります。

改善点:

上記のような不利な条項を改善するためには、以下の点に注意する必要があります。

  • 契約期間満了後の更新について、正当な事由がない限り更新を拒絶できない旨、及び更新料を請求できる範囲を明確に定める。
  • 賃料減額請求権について明記する。
  • 敷金の充当範囲を限定し、原状回復費用を敷金から差し引くことはできない旨を明記する。
  • 乙が行うことが禁止または制限される行為を契約書本体に具体的に明記する。
  • 甲が修繕義務を履行しない場合の乙の対応について明記する。
  • 原状回復義務の範囲を具体的に明記し、経年劣化や通常の使用による損耗は借主の負担範囲ではないことを明確にする。
  • 賃貸人の立入権の範囲を限定し、借主のプライバシーを保護する。

「本当かよ」というところもありますが、最初のレビューとしては十分ではないでしょうか。ある程度、民法や借地借家法の基礎知識があれば、上記のレビューを受けて、それを再度、構成し直すこともできます。

 

  生成AIが代替する弁護士業務

 

これはあくまで一例ですが、すでに契約書のレビューは、上記のようにできます。

本職の方からすると、まだまだというかもしれませんが、おそらくこの数年でより進化することは確実だと考えます。

 

前記のチャットGPT4有料版(2023年)から、わずか2年しか経っていないので、AIの進化は凄まじいものがあります。

 

加えて、生成AIは書面をまとめることも得意です。例えば、準備書面の作成や主張書面の作成などは、生成AIを利用することで、かなり精度の高い文書を書くことができます

 

当初の案があれば、それについて、反論を想定して、当該反論を踏まえて、文章を作成することもできるます。そのため、今後は、生成AIの影響で、弁護士の業務の一部がAIに代替される可能性は大きいと考えます。

 

一方で、交渉や訴訟、市民からの法律相談などは、現状生成AIでは対応できません。しかし、前記のような生成AIが得意とすることと、弁護士などの法曹が今まで行ってきた仕事というのは、相性がよい部分もあります

 

例えば、今までボス弁がイソ弁に書面の作成をまかせていたのが、生成AIを利用すれば「瞬時に作成することができる」ということも現実に起こり得ることだと考えます。

 

少なくとも、自分のような一般人でも、弁護士などの業務が生成AIの影響をもろに受けるということが容易に想像することができます。生成AIの進化と弁護士業界の賃金水準がどう変化していくのは注意深く見守っていく必要があると思います。

 

  実際の試験

筆記試験

 

面接試験

 

 

  結果

 

結果:不合格

 

成績開示:筆記4位、総合2位

 

 

  問題分析

 

刑法

 

憲法

 

商法

 

 

  令和7年度琉球大学法科大学院C日程の再現答案

 

 

 

前回のブログ記事でC日程は、B日程と比較して難易度高かったですと書きました。

上記は、本試験当日に書いた再現答案です。本試験の翌日に再現したので、本来は再現率は高いはずですが、試験問題が難しく、本番の試験時間もかなり切迫した状態だったことから、実際の再現率はこれよりも、10~20%程度落ちるものと考えます。

 

また、上記再現はPCで再現されているので、多少は読みやすいのですが、試験本番は手書きであることから、実際の紙面はかなり読みにくいと思います。

 

 

再現答案も作成し、添削者にフィードバックなども得たことから、軽く試験の問題を振り返りたいと思います。

 

  R7C日程民法

問題文を要約すると、ざっと以下のような感じです。

 

問題1

XはAからお金を借り、担保に自分の不動産を提供した。しかし、AはXの書類を金融を得る目的で、Bに渡し、Bはそれを利用してYからお金を借り、Xの不動産を担保に抵当権を設定した。XはYに対し、抵当権の抹消を求めている。

 

問題2

Y1は甲土地を、Y1の父Aは甲土地上の乙建物を所有していた。Y1は甲土地に抵当権(P抵当権)を設定した。Aが死亡し、Y1を含む3人が乙建物を相続した。その後、Y1は甲土地に別の抵当権(Q抵当権)を設定した。

  • 設問1: P抵当権が抹消された後、2つ目の抵当権(Q抵当権)が実行され、Xが甲土地を競売で取得した場合、Xは乙建物の収去明渡を請求できるか。
  • 設問2: 1つ目の抵当権(P抵当権)が実行され、Xが甲土地を取得した場合、Xは乙建物の収去明渡を請求できるか。

 

問題1について
当初、110条の権限外の表見代理で考えましたが、問題文の事情からうまく論じることができず、途中で94条2項、94条2項の類推で答案を作成しました。添削の結果、AB間には代理関係がないため、110条の権限外の表見代理にはならないとのことでした。 「金融を得る目的」という表現が「?」でした、AB間には代理関係がないことから、110条の適用はできないようです。

問題2について
法定地上権は想起できましたが、論文で書く機会が少なかったため、条文の要件に当てはめたり、短答知識を駆使してなんとか回答しました。

全体的に
時間が足りず、論証も雑になってしまいました。例えば、当初の請求段階で、要件事実的に「①Xが甲不動産の所有権を有すること、②Y名義の抵当権設定登記がなされていること、③Yが登記保持権限をXに対抗できないこと」と記載すべきでした。他にも、様々な指摘を受けました。

得点について
B日程の民法は5割に達していないので、今回のC日程では4割取れていれば良い方でしょう。6割にはほど遠いという感じです。
 

先日、琉球大学法科大学院のC日程の法学既習者試験を受験してきました。

試験の内容は、B日程と比べてかなり難しく、特に法律試験の難易度は4~5割増しといった印象でした。

 

具体的には、民法では表見代理と94条2項のどちらを適用すべきか迷い、刑法も自信を持って解答することができませんでした。憲法は問題文が長く、答案構成に15分もかかってしまったため、論述の質も低くなってしまいました。

 

B日程の試験は予備試験と比較して易しいと感じましたが、C日程は選抜のハードルが高く、本当に優秀な受験者を選抜する意図があるように思われました。

 

実は、B日程の成績開示が届きました。以下のとおりです。

結果として、憲法で足切り点に達しておらず、法律科目全体でも5割に届いていません。法学既習者試験の合格基準は、法律科目でおおむね6割と募集要項に記載されています。

 

 

直接の敗因は憲法の点数が低いことですが、民法も5割を切っているので、実力不足であることは否めません。B日程で足切りになっている以上、C日程での合格は難しいでしょう。

 

とはいえ、C日程を受験したことで、自分としてはやりきったという気持ちです。

 

正月休みや仕事の忙しさなど、ある程度自分でコントロールできる状態で受験したにもかかわらず、結果を出すことができませんでした。おそらく、これが現時点での私の実力だと思います。

 

やりきった充実感があるので、明日から、また頑張ります!

挑戦できることに感謝して😊

 

  司法試験合格者からのアドバイス

この憲法の問題は良問だと思います。5ちゃんねるの掲示板でも指摘されていましたが、予備試験などにも出題されてもおかしくないレベルだと感じます。

0736 氏名黙秘 2025/01/06(月) 23:20:41.39

やっしさんが受けた琉球ローの入試問題、憲法はそのまんま予備で出てもおかしくないな。(2025年B日程法律試験)

(5ちゃんねる予備試験スレ28より引用)

【琉大ロー過去問】

 


出題趣旨や採点実感を見る限り、本問は猿払事件、堀越事件を参考にして解答を作成する問題のようです。私は、上記判例の理解というよりも、基本的な「保障→制約→正当化」の枠組みで検討しました。

 


憲法は公務員試験の時から学習しているため、学習経験は長いのですが、いまいち答案の書き方が分かりません。正直、今も模索中です。

司法試験合格者の方から、私の答案は点数にならない部分に5行も費やしていて無駄が多いとアドバイスを頂きました。確かに、採点基準を見ると、「政治的行為」の解釈に最大配点の40点が充てられており、私の答案は保障の部分を厚く書きすぎていたため、書いた労力の割に点数が低いのではないかと分析しています。また、審査基準も独自のものになっていたため、修正が必要とのことでした。

 

  行為の区別による高得点獲得の可能性(予備論文合格を見据えた場合)

さらに、この問題では、出題趣旨や採点基準に直接記載されていませんが、以下の2点を区別して論じることで、より高得点が得られるのではないかと考えています。

  • Q市内の職員を対象とした勉強会での発言
  • 「顕名で新聞に投書」をした行為

この出題は、令和3年度の予備試験の憲法問題のように、行為の重さや状況の違いを意識することが、真の出題意図ではないかと感じています。私も答案を書き終えた後にこのことに気づき、試験会場で他の受験生と話した記憶があります。

実際、R7年B日程の合格者でも、この点の検討はできていませんでした。ロー入試合格レベルでは、上記の差異を意識することは必須ではないのかもしれません。しかし、予備試験合格を目指すのであれば、両行為の差を明確に論じることが重要になるでしょう。

今回のB日程憲法の問題を予備試験受験生に解かせると、できる受験生は両行為の違いを意識して論述してくると思います。

 

  出題ミスの可能性について

加えて、一点、残念な点があります。本文中の「国側」の反論は、「Q市側」の反論とすべきだと考えます。戒告処分を行ったのはQ市の人事委員会であるため、「取消訴訟」(行政事件訴訟法3条2項)の被告は、行訴法11条1項1号より、「当該処分をした行政庁の所属する~公共団体」であるQ市となります。

よって、本問は以下のように修正すべきだと考えます。

誤:国側から予想される反論
正:Q市側から予想される反論

実は、上記の点について、大学側に疑義照会をしています。このような出題ミスと思われる箇所が、同大学の入試問題では度々見受けられます。私が見つけたものだけでも5~6箇所あります。せっかくの良問なので、もったいないと感じます。