上記noteに令和7年度の予備試験の再現答案を全科目掲載しております。
あと、ブログのコメント欄に、私の再現答案の各科目に評価等をしていただいた「通りすがりの方」、おそらく昨年に引き続きですが、ありがとうございます。参考にさせてください。
上記noteに令和7年度の予備試験の再現答案を全科目掲載しております。
あと、ブログのコメント欄に、私の再現答案の各科目に評価等をしていただいた「通りすがりの方」、おそらく昨年に引き続きですが、ありがとうございます。参考にさせてください。
廃掃法は条文が複雑で、それほど専門的はないので、出題趣旨や、採点実感などを見て、答案を作成しました。本番で廃掃法が出たら、出題趣旨にある通りの処理ができるかなとも思いました。
廃掃法は、条文の適用や参照、準用などが複雑。緊張している本番環境では、慣れていないとできないものだと思うので(逆に練習すれば得意になりそうな気がする)、あらかじめの廃掃法の訓練は必要かなとも思いました。
【R6司法試験 環境法 第2問】
第1. 設問1
1 本件工場における廃棄物は、「事業活動に伴って生じた廃棄物」(廃掃法2条4項1号)に該当するため、「産業廃棄物」(廃掃法11条1項)に該当する。そのため、同工場からの廃棄物は、甲社が「自ら処理」(廃掃法11条1項)をする必要がある。
2 甲社が当該廃棄物を「自ら処理」するにあたって、産業廃棄物の収集運搬業の許可を受けた業者に委託することができる。この場合、産業廃棄物は20種類の類型が定められており、当該20種類の類型ごとに市町村長から許可を受けている。
3 本件工場から排出される廃棄物としては魚の残渣や野菜くずがある。これらの廃棄物は食品廃棄物であり、「食料品製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物」(法施行令2条1項4号)に該当する。この類型の産業廃棄物の収集運搬業の許可を受けている業者であれば、当該食品廃棄物を収集・運搬することができる。
4 しかし、甲社がその処理を委託しようとしていたC社は、金属くずと廃プラスチックの収集運搬及び中間処理の許可を得ていた。そのため、C社は食品廃棄物の収集・運搬業の業許可を受けていないため、甲社がC社に対し、現時点で本件工場から排出される食品廃棄物の収集・運搬を委託することは違法である。
第2. 設問2
1 小問(1)
(1) 前記のとおり本件工場から排出される廃棄物は産業廃棄物に該当する。一方で、社員食堂において発生する廃棄物は、事業系の一般廃棄物に該当するため、その処理責任は市町村が担うこととなる。
(2) 一般廃棄物の処理業の許可は、市町村の廃棄物処理計画に適合する場合に、業許可を行うことになるため(廃掃法7条5項2号)、一般廃棄物処理業の許可は市町村長の裁量の幅が広い。一方で、産業廃棄物の処理業の許可は、前記の一般廃棄物の処理業の許可に比べて市町村長の裁量が比較的狭いため、C社は「それについては、許可が得られるかどうかを予測することは難しい」と述べている。
2 小問(2)
(1) 乙社は、B市内において、すでに本件許可と同種の許可を得て営業をしている同業者である。乙社は、本件許可の名宛人でないことから、このような乙社についても、本件許可を取り消す「法律上の利益」(行政事件訴訟法(以下法令名を略す)9条1項)が認められるか問題となる。
(2) 「法律上の利益を有する者」(9条1項)とは、当該処分によって自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者のことをいう。そして、当該処分を定めた行政法規が不特定又は多数人の具体的利益を、専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、これが帰属する個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むときは、当該利益も法律上保護された利益といえる。
また、処分の名宛人以外の第三者にあっては、9条2項によって、その法律上の利益が認められるか判断を行う。
(3) 前記のとおり乙社は、B市内においてすでにC社と同種の許可を得て廃棄物を収集・運搬していた業者である。一般廃棄物は市町村内において、その排出量がほぼ一定であることから、同一市町村内で許可業者が増えてしまうと、その分、既存業者の取り分が減ってしまう。そのため、乙社の利益は、既存業者の営業利益である。
(4) では、当該利益は法律上保護された利益といえるか。本件許可処分の根拠法規である廃掃法7条5項2号では、その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであることが要求されている。一般廃棄物処理計画は、市町村長が作成するものであり(廃掃法6条1項)、当該計画の中には、一般廃棄物の発生量及び処理量の見込みを記載する必要がある(廃掃法6条2項1号)。
その理由として、一般廃棄物の発生量及び処理量は、当該市町村の人口や産業構造の状況によって変動がある。これらの変数を市町村が考慮し、一般廃棄物の発生量及び処理量を予測し、それを踏まえて、一般廃棄物の処理業の許可をするか否かを市町村長の裁量にゆだねているのである。
そのため、既存業者の営業利益は、廃掃法において具体的利益として保護される。
(5) また、市町村長が、当該一般廃棄物処理計画を見誤って、廃棄物処理業の許可を出した場合、既存業者による共倒れの危険がある。一般廃棄物の排出量が一定にもかかわらず、市町村長の許可が濫立してしまい、既存業者による共倒れが発生し、ひいては当該市町村において、一般廃棄物を収集・運搬するような事業者が存在しなくなってしまう。そうなると、当該市町村は、ゴミであふれかえり、廃掃法が目的とする生活環境の保全及び公衆衛生の向上とは、程遠い結果となってしまう。
このように一般廃棄物の処理業の許可は自由競争に委ねてしまっては問題がある性質のものである。また、廃掃法7条12項では、一般廃棄物処理業の収集及び運搬に関する費用について、上限額が設定されている。これは、許可業者が不当に高い価額で、処分費用を徴収することのないように規制しているものである。当該規定があることは、廃掃法は一般廃棄物の収集・運搬業の許可は公益的性格があるということを意味している。
そのため、既存業者の営業利益は、一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、これが帰属する個々人の個別的利益としてもなお保護される。よって、廃掃法7条5項の「一般廃棄物処理業の許可」では、既存業者の営業利益は、法律上保護された利益といえる。
(6) そして、前記のとおり、乙社は、B市内において、すでにC社と同じ一般廃棄物の処理業の許可を得て営業を行っていた。B市長が、C社に対しても、一般廃棄物処理業の許可を行った場合、B市内での乙社の営業利益が害される可能性がある。そのため、本件許可によって、乙社は自己の営業利益が侵害される可能性があることから、乙社は当該処分によって、法律上保護された利益を侵害されるものといえる。
したがって、乙社は、B市長が行ったC社に対する本件許可処分の取消しを求めることについて「法律上の利益を有する者」といえる。よって、乙社は、本件許可処分の取消訴訟の原告適格を有する。乙社は、当該訴訟を提起できる資格があると認められる。
第3. 設問3
1 Gは、現在傷害罪で勾留されている。そのため、Gが「役員」(廃掃法14条5項2号二)に該当するため、同法14条の3の2の許可の取消事由にならないか問題となる。
2 Gは、C社の取締役会にも出席して積極的に発言し、同社の意思決定にも影響力を保持している。そのため、Gは「法人に対し業務を執行する~取締役又はこれに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」(廃掃法通達、資料2)に該当する。よって、Gは「役員」(廃掃法7条5項4号)に該当する。
3 廃掃法7条5項4号の役員と廃掃法14条5項2号二の「役員」は同義であることから、Gは「役員」(廃掃法14条5項2号二)にはあたる。一方で、当該役員が「イ又はロ」の要件に該当した場合は、取消し事由(廃掃法14条の3の2)に該当する。しかしながら、Gは、傷害という廃掃法以外の法律での勾留にあたるため、前記(イ又はロ)の要件には該当しない。そのため、Gは、「役員のうちイ又はロのいずれかに該当する者」(廃掃法14条5項2号二)の要件に該当しない。よって、本件のGの事案は、廃掃法14条5項の要件には該当しないと回答した。
第4. 設問4
1 小問(1)
(1) 本件では、甲社から搬入された廃棄物が保管上限を超えるまで施設内に堆積してしまった。そのため、「産業廃棄物処分業者」(廃掃法14条13項)であるC社は、「現に委託を受けている産業廃棄物の処分が困難とな」(廃掃法14条3項)っていることから、「当該委託をした者」(廃掃法14条3項)である甲社に対して、遅滞なく、その旨を書面により通知をする必要がある。
(2) そして、その措置を受けた甲社は、産業廃棄物管理票交付者として、「適切な措置」(廃掃法12条の3第8項)を講じる必要がある。具体的に、廃棄物のC社への搬入を一時的に停止する、又は、他の許可業者に対して甲社からできる廃棄物の処理を委託するなどの「適切な措置」を行う必要がある。
2 小問(2)
(1) 本件では、C社の中間処理施設内に堆積された産業廃棄物である廃プラスチックが人通りのある全面道路に崩落し始めている。産業廃棄物は、産業廃棄物保管基準に適合するように保管しなければならない(廃掃法19条の5第1項柱書)。しかし、前記のように人通りに崩落し始めているような廃プラスチックの体積は、保管基準に適合したものではない。
(2) そして、人の通行や身体に影響が出る可能性がある。そのため、本件では「生活環境の保全上支障が生じ」ているものといえる。そのため、B市長は、C社に対して、期限を定めて、「その支障の除去等の措置を講ずるべきことを命ずる」(廃掃法19条の5第1項柱書)ことが考えられる。
(3) 一方で、C社は、かかる支障の除去等の措置、この場合だと廃プラスチックの除去を独自には行うことができない状況にあった。そこで、B市長は、甲社に対して、当該支障の除去等の措置等を命じることが考えられる。
(4) しかしながら、本件の廃プラスチックは、甲社が排出したものではない。甲社から廃棄される廃棄物は、食品廃棄物であり廃プラスチック類ではない。そのため、甲社は、かかる廃プラスチックの堆積については、排出事業者責任(廃掃法11条1項)は負わないものと考える。
(5) したがって、B市長は甲社に対して、上記の「支障の除去等の措置」を廃掃法19条の5第1項3号により命じることはできないものと考える。
以上
あと、上記参考答案をPDFの形式にしました。
前回公開した第一問も出題趣旨・採点実感を踏まえて赤字にて修正しています。
自分の参考答案は、一番最後のページに掲載しています。
いや温対法は2021年の改正が出るとか、自分も改めて調べた内容でした。
しかも許可要件の緩和の手続など、結構抜本的な内容で、行政の側が再エネを促進しようという気概を感じるものでした。
以下の内容を事前に頭に入れたうえで、本問に取り組むと、結構取り組みやすいかと。
上記の要件の緩和は、自分が持っている以下の書籍には記載がありませんでした。
『図解でわかる!環境法・条例 基本のキ』
『環境法Basic第二版』
【問題・趣旨・採点実感はこちら】
第1. 設問1
1 小問(1)
(1) 甲社は本件工作物を設置するためには、自然公園法33条1項の届出、電気事業法47条1項の許可、森林法10条の2の許可を得る必要がある。
(2) 甲社は「地域脱炭素化促進事業を行おうとする者」(温対法22条の2第1項)として、「地域脱炭素化促進事業計画」(温対法22条の2第1項)を作成し、、「地方公共団体実行計画を策定した市」(温対法22条の2第1項)であるB町に対し、認定を申請することが考えられる。かかる、手続きを採ることで、上記の許可について「許可があったものとみなす」制度があり、手続の特例が認められている。
2 小問(2)
(1) 21年の温対法改正により設けられた手続きを利用すれば、本来必要な許可等の手続きをまとめて得ることができる。
(2) 具体的に、上記の申請を行いB町がから温対法22条の2第3項の認定を得た場合は、温対法22条の3第1項により認定地域脱炭素化促進事業者として、B町において事業を行うことができる。そして、本件工作物は風力発電を行うための電気工作物であり、B町は再生可能エネルギーのうち風力発電を促進することから、同工作物は、「認定地域脱炭素化促進事業計画に従って」(温対法22条の6第1項)行う事業であるといえる。そのため、森林法10条の2の許可は、「許可があったものとみな」される。
(3) 同様に、本件工作物の設置予定地域は、C国定公園の普通地域に設置予定であることから、本来ならば自然公園法33条1項の届出を行う必要がある。そこで、自然公園法の特例として温対法22条の8第1項の規定により、「許可があったものとみな」される。
(4) 上記のように、本来許可を得なければならない行政手続を、甲社が「認定地域脱炭素化促進事業者」として、「地域脱炭素化促進事業計画」を作成し、B町に提出することで、複数の法律で必要な許可等の手続きをまとめて処理できるという規制緩和がなされている。
第2. 設問2
1 小問(1)
(1) 温対法では、大量に温室効果ガスを排出事業者を「特定排出者」として、排出量の報告を義務付けている(温対法26条1項)。かかる排出量削減策とは、温室効果ガスの算定・排出を確認し、それを行政に報告させ、行政の側から公表、特定排出者から開示させる制度である。
(2) かかる手法は情報的手法と呼ばれ、関係者を環境配慮行動に誘導する手法のことである。上記手法の長所としては、柔軟性があり対象者の創意工夫を引き出せることから、目標をクリアした後のインセンティブが続くこと、行政コストがかからないという点がある。
2 小問(2)
(1) 例えば、地方公共団体の条例において、一定規模以上の事業者に対し、事業所ごとに温室効果ガスの排出量を削減する義務を課すというものがある。かかる温室効果ガスの削減を義務化することで、罰則なども予定されている。
(2) 一般に、規制的手法とは、水質汚濁防止法で規定するような排出規制などがある。かかる水質汚濁防止法による排水規制に違反した場合などは、行政の側から行政指導、処分、罰則の適用など、効果に即効性がある。しかし、短所として、行政の対応に硬直性があり、基準をクリアした後のインセンティブがないことから、行政の取締費用がかかるというデメリットがある。
(3) 一方で、上記の温室効果ガスの削減条例では、上記のような規制的手法を導入しつつも、排出量を大きく削減した事業者には、表彰を行ったり、公表をしたりするなどして温室効果ガス削減に取り組んでいる事業者といったインセンティブがあることもある。
(4) このように、地方公共団体の条例では、規制的手法を修正し、優れた事業者に対しては、インセンティブを与えるような取り組みがなされている。
第3. 設問3
1 公害防止処理法上の対象として、処理する案件が、典型7公害に限定されている。大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭(環境基本法2条3項)。このうように公害防止処理法上の対象が限定されていることから、大規模に温室効果ガスをい排出している事業者がいたとしても、上記の典型7公害の類型に本問は該当しないことから、上記申請が公害防止処理法上の調停の対象とならないのだと考える。
【R7司法試験 設問2】
第1. 設問2
1 小問(1)
(1) 乙事業は第二種事業として法4条1項の規定に基づき、届出がなされている。
(2) 「第二種事業」とは、法2条2項各号に掲げる要件を満たしている事業であって、「第1種事業に準ずる規模を有するもののうち、環境影響の程度が著しいもの」(法2条3項)の中で、環境アセスを行うかどうかスクリーニングの手続を経て、必要と判断されたものだけ、環境アセスを行うこととなる。
(3) そこで、「環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの判定」(法2条3項)を行うにあたっては、環境影響評価施行令で定める基準により、当該判定を行うこととなる。当該判定に適合しているのであれば、経済産業大臣は乙事業について、第二種事業として環境影響評価を行うこととなる。
(4) 具体的に、環境影響評価法施行令7条で規定する別表第一より、太陽光発電の「出力が三万キロワット以上四万キロワット未満である太陽電池発電所の設置の工事の事業」については、「第二種事業」として、環境影響評価の対象となる事業の対象となる。
(5) Aは、本件土地において、太陽光発電施設乙の設置工事を検討しているため、乙事業の出力が「出力が三万キロワット以上四万キロワット未満である太陽電池発電所の設置の工事の事業」であれば、第二種事業として、環境アセスの対象となる。
2 小問(2)
(1) 法に第一種事業のほかに、第二種事業(法4条1項)の類型が設けられた理由は、第二種事業のような類型であっても「土地の形状の変更、工作物の新設等の事業」(法1条)を行う場合に、「環境影響の程度が著しい」(法1条)可能性があるからである。
(2) 第一種事業で規定する空港を建設するための埋め立て事業などでは、青草藻場の生育環境や土砂の組成など、環境に対する影響が生じる。このように「事業」(法1条)を行う際に、周辺の自然環境に対して影響が生じてしまうと、そこで生態系を形成している生物相にも影響が生じてしまう。これは、規模の大きい第一種事業のみならず、第二種事業でも同様のことがいえるからである。
(3) しかしながら、「環境影響評価」(法1条)を行うにあたっては、費用や時間などかなりの負担が事業者にかかってくる。環境影響評価は専門家の意見を聞きながら、実際に環境をモニタリングしながら事業を実施する必要があることから、環境影響評価をしないで事業を行うことができるのであれば、事業者にとっては、前記の費用や時間などの負担が発生しなくて済む。そのため、「第一種事業」と比較し規模の小さい「事業」である「第二種事業」を事業者が行うにあたっては、当該「第二種事業」を行う際に、実際に「環境影響評価」を行う必要があるのか、「判定」(法4条1項、スクリーニング)をすることで、事業者に過度な負担がかからないようにしている。
(4) そのため、法では、「第一種事業」のほかに、「第二種事業」の類型が設けられている。
第2. 設問2
1 小問(1)
(1) 環境基本法(以下「基本法」という。)では、基本法20条において、国に対し、環境影響評価の推進をするよう義務付けている。そして、基本法20条で規定する「環境への影響」については、「健全で恵み豊かな環境の恵沢」(基本法3条)とあるように、自然環境を意味するものと考える。
(2) 「歴史的・文化的環境」は自然環境とは異なることから、「環境への影響」(基本法20条)を検討するにあたって、「歴史的・文化的環境」は考慮に入れる必要はない。そのため、事業者であるAは、方法書において、当該項目を入れる必要はないと考えた。
(3) では、B県で規定する条例において、「歴史的・文化的環境」について考慮するよう事業者に義務付けることができるか。
ア. 法61条1項柱書では、地方公共団体が法61条1項各号の事項に関し条例で必要な規定を妨げるものではないと規定している。そして、事業者に対しし新たな考慮要素として「歴史的・文化的環境」を考慮させることは、法61条1項2号の問題となる。
イ. 法61条1項2号の文言より、「第二種事業に係る環境影響評価」について地方公共団体の条例で規定することを妨げないと読むことができる。法はナショナルミニマムを定めていることから、最低限の環境影響に対する評価を行うものである。これについて、地方公共団体独自の固有の生物相や歴史的環境、地理的条件などから、独自の評価項目を条例で追加に規定することは可能だと考える。
ウ. そのため、B県の環境影響評価条例において、「歴史的・文化的環境」などの人工的環境要素を条例中に評価項目として規定することは、法61条1項2号の規定から許容されるものと考える。
2 小問(2)
(1) 設問前段の「方法書」の段階について
ア. 方法書の段階では、事業者は、方法書についての公告及び縦覧をする必要がある(法7条)。また、事業者は環境省令で定めるところにより、方法書説明会を開催する必要がある(法7条の2第1項)。なお、同説明会は法7条の2第4項で規定する場合には、当該説明会を行わなくてもよい。
イ. 次に、事業者は前記の方法書を公告及び縦覧した後は、「環境保全の見地からの意見を有する者」からの意見を法8条1項で規定する期間内の期間は、受け付ける必要がある。
ウ. さらに、同期間の経過後は、法9条により、法6条1項に規定する地域を管轄する都道府県知事及び当該地域を管轄する市町村長に対し、法8条1項で受けた意見の概要を送付する義務がある。
(2) 設問後段の「環境影響評価準備書」の段階
ア. まず、事業者は法14条の規定により準備書を作成する。そして、事業者は、作成した準備書を「関係都道府県知事」(法15条)及び「関係市町村長」(法15条)に対し、準備書及びこれを要約した書類として要約書を送付する必要がある(法15条)。
イ. 次に、事業者は法14条の規定により作成した準備書を、法18条1項で定める期間の間公告を行い、縦覧する必要がある(法16条)。その公告をしている間に、「環境の保全の見地からの意見を有する者」(法16条)からの意見の提出を受けることとなる。
ウ. また、これと並行して、事業者は法17条1項で規定するように、準備書説明会を開催する必要がある。そして、法18条で求めた意見の概要及び当該意見についての事業者の意見を記載した書類を法19条の規定により、関係都道府県知事、関係市町村長に送付する義務を負うこととなる。
(3) 法の規定に基づきB県知事が方法書について環境の保全の見地から意見を述べるにあたり、公聴会を開催することをB県知事に義務付けることができるか。
ア. B県知事が方法書について、「環境の保全の見地からの意見」を述べるにあたり、法では、「書面」(法10条1項)により述べるものと規定している。これをB県の条例において、B県の県民が参加する「公聴会」を開催し、事業者に対し、その意見を述べることは、前記法61条2号との関係から許容されるか。
イ. 法61条1項2号では、「この法律の規定に反しないものに限る」(法61条1項2号括弧書)としている。法10条1項において、「書面」で意見を述べるものとされているのに、これを「公聴会」という一般市民が参加できる意見聴取の機会を設けること(以下「本件規定」という。)をB県の条例で規定することができるかという点が問題である。
ウ. この点について、環境省は、アセス条例が、法よりも大きな手続的負担を「自治体側」に課す場合は違法ではない。しかし、このような手続き的負担を「事業者側」に課す場合は違法であると考える。その理由として、「事業者側」にアセス条例により手続き的負担を加重する場合、事業の進捗状況に支障が生じたり、事業者に対しさらなる金銭的負担が生じる可能性があることから、このような手続的負担を加重させることを「事業者側」に強いることは、「この法律の規定に反」(法61条1項2号括弧書)するものと考える。
エ. 本件規定は、アセス条例において、法10条1項における「書面」での意見提出を、B県知事が「公聴会」を開催し、住民の意見を聴取し述べることを、義務付けるものである。これは、アセス条例により「自治体側」に手続的負担を課すものであるから、「この法律の規定に反しない」(法61条1項2号括弧書)といえる。
オ. したがって、アセス条例において、本件規定を設けることは、法に抵触しない。
第3. 設問3
1 原告適格(行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。))について
(1) B県知事はAに対して、本件条例に基づき乙の設置の許可を行っている。そして、Cは本件許可の名宛人ではなく、本件土地が属する地域の住民で第三者にあたる。そこで、Cは本件許可処分の取消(行訴法3条2項)を求めるにつき「法律上の利益を有する者」(9条1項)にあたるか問題となる。
(2) 「法律上の利益を有する者」とは、当該処分によって自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者のことをいう。そして、当該処分を定めた行政法規が不特定又は多数人の具体的利益を、専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、これが帰属する個々人の個別的利益として、これを保護すべきものとする趣旨を含むときは、当該利益も法律上保護された利益といえる。
また、処分の名宛人以外の第三者にあたっては、9条2項によって、当該法律上の利益の有無を判断する。
(3) Cは、乙の建設及び運営によって甲川の景観が損なわれることを憂慮しているため、Cの利益は、甲川の良好な景観を享受する利益である。では、当該利益は、法律上保護された利益といえるか。
(4) この点について、「法律」(9条1項)とは国会が制定する狭義の法律だけでなく、地方公共団体の議会が制定する条例も含まれる。そして、B県甲川流域保全条例(以下「本件条例」という。)では、甲川の生態系や景観を保全することが重要な地区として指定されている。また、このような景観を保護するために、区域内での工作物の建築等を行う場合には、事前にB県知事に許可を得なければならないという許可制が採用されている。
また、本件条例の許可の基準として、「工作物の建築等により当該土地及びその周辺における生態系及び景観を著しく悪化させるおそれがないこと」と規定しており、甲川の流域における「景観」を保護する規定が読み取れる。
そのため、本件条例では、甲川における良好な景観を保護しているといえる。
(5) では、当該利益は個別的利益として保護されるか。確かに、良好な景観を享受する利益は、公益性が高く一般的公益の中に吸収解消される性質を有している。しかし、本件条例は、同許可を行う際に、住民の意見を聞くというプロセスをB県側に課している。このような行政上の手続は稀であり、行政側に事務手続上の負担を課してまで、甲川流域における良好な景観を保護すべきという、本件条例の目的を読み取れる。
(6) 地方公共団体が制定する条例(憲法94条)の規範の宛先は、行政主体としての地方公共団体である。その地方公共団体に対し、住民の意見を聞くようなプロセスを、工作物の建築を行う者に対する許可の際に設けることは、甲川の良好な景観を、甲川の流域の住民に対し、個別的利益としても保護していると読み取れる。そのため、本件許可により、Cは、甲川における良好な景観を享受する利益が侵害されることから、「法律上の利益を有する者」にあたる。
2 したがって、Cは、本件許可処分の取消訴訟にあたり、原告適格を有する。
以上
第1問と比較して、第2問はあまり自信がありません。
環境影響評価法の個別法の問題ですが、一定規模以上の太陽光発電がアセスの対象になるというのは、本問を通じて初めて知りました。
環境影響評価法と条例の関係は、あらためて考えてみると面白いテーマだなとも思いました。
設問3については、完全に行政法の答案になっています。
予備試験の対策として、司法試験の環境法の問題を起案してみました。
PCで書いているので、自署している本試験の方よりは分量多めだと思いますが、おそらく正解筋で答案を書いていると思います。
【問題】
https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html
個人的に気になった箇所は、小問(3)で運搬の届出(土対法16条)に気づけたかは結構大事なポイントだと思います。あと、自然由来特定区域と通常の形質変更時要届出区域の違いは、法には掲載がなく、自分は環境省が発行している『土壌汚染対策法のガイドライン』などを読んで、学習したので、通常の受験生がこんなこと知っているのかなとも思いました。
ただ、小問(1)~(4)までは、土壌汚染対策法の基礎的な問題だと思います。
小問(5)はこの書き方であっているかわかりませんが、おそらく要措置区域に対する汚染除去計画書を出した場合の、費用償還請求との対比で論じてほしいのかなと作問者の意図を感じました。
化役人さんあたりから、アドバイスなどいただければと思います。
XがA県知事に届出をする契機となったのは、土壌汚染対策法(以下「土対法」という。)4条1項の3,000㎡以上の土地の形質変更にあたるためである。
Xは、地上5階のトラックターミナルの建設を行う(以下「本件事業」という。)ため、5,000㎡以上の土地を掘削する工事や地盤改良のための土砂の搬出・搬入作業を予定していた。土対法4条1項では、「環境省令で定める規模以上」(土対法4条1項)の「土地の形質の変更」(土対法4条1項)をする場合は、都道府県知事に届出をしなければならないと規定している。
そして、「環境省令で定める規模以上」とは、土壌汚染対策法施行規則(以下「土対法規則」という。)22条により、3,000㎡以上とされている。そのため、Xは本件事業を行うために、「土地の形質の変更に着手する30日前までに」(土対法4条1項)の届出を行う必要がある。
次に、当該届出が必要とされている理由として、大規模な土地の形質変更をする場合は、土壌の汚染が拡散する可能性があるからである。土対法の目的は「土壌の特定有害物質による~人の健康に係る被害の防止に関する措置を定め~国民の健康を保護することを目的」(土対法1条)としている。
上記のような大規模な土地の形質変更を行う場合は、当該形質変更の対象となっている土地が「特定有害物質」(土対法2条1項)によって汚染されていたり、自然由来の汚染があった場合、当該土地に対して切土や盛土、土砂の運搬などをすることにより、汚染が拡散されてしまう。
そのため、土対法は、4条1項において、土対法22条で規定する3,000㎡以上の土地の形質変更を行う場合は、事業者に対し、都道府県知事に対する届出の義務を課している。
本件事業はA県に所在する甲土地で行われている。そのため、上記届出の対象となる行政庁はA県知事である。そして、A県知事が当該届出を受けた結果、甲土地が土壌の汚染に係る環境基準を超える砒素が検出されている。そのため、甲土地は「当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しない」(土対法6条1項1号)といえる。そのため、「土地が第6条1項1号に該当し」(土対法11条1項)の要件に該当する。
次に、甲土地は、健康被害が生ずるおれがあるものとして政令で定める基準には該当しないと判断できるとあることから、土対法6条1項2号の要件にも該当しない。
つまり、甲土地は、環境基準を超える砒素が検出されてはいるものの、人の健康に影響がない状態の土地といえる。したがって、A県知事は、甲土地について、形質変更時要届出区域(11条1項)に指定することができる。
甲土地が形質変更時要届出区域に指定された場合、当該土地に対し、「土地の形質の変更をしようとする」(土対法12条1項柱書)をする場合、その土地の形質変更を行うとする者は、A県知事に対し、14日前に、土対法12条1項柱書で規定する届出をする必要が生じる。
具体的に、本件事業の中身は、①土地の掘削をする工事、②地盤改良等のための土砂の搬出、③地盤改良等のための土砂の搬入作業が予定されている。本件で、①~③の事業の中で、土対法12条1項柱書の「土地の形質の変更」に該当するのはどれだろうか。
まず、③は、別の場所から土砂を搬入するだけであるので、それについての届出は不要である。
次に、①の土砂の掘削は、少なくとも50cm以上の土地の掘削を伴うことが想定されるため、「土地の形質の変更」にあたり、A県知事に届出が必要である。
また、当該土地は、すでに特定有害物質で汚染されていることがA県知事に確認されているため、当該土地の土砂を搬出する場合、16条1項の「要措置区域等外へ搬出」(土対法16条1項柱書)に該当するため、その届出も必要となる。
仮に、甲土地の汚染が自然由来の汚染であった場合は、どうなるだろうか。まず、甲土地の汚染が自然由来の砒素で汚染されていた場合、当該土地は、自然由来の特定有害物質による汚染(自然由来特定区域)として、形質変更時要届出区域に指定される。
次に、通常の形質変更時要届出区域の場合、「土地の形質変更をする」たびごとにA県知事に届出をすることになる。届出をするにあたっても、書類の準備や届出の事務負担などで事業者の事業に支障が生ずることになる。
そこで、自然由来特定区域の場合は、その届出を年に1回の届出として、まとめて取り扱うことで、届出者の事務負担を軽減させることができる(土壌汚染対策法ガイドライン、環境省)。その理由は、自然由来汚染の基準は、通常の特定有害物質による汚染よりも溶出量基準などが低いため、人の健康に対する影響が小さいためである。
そのため、上記のように、年に1回だけでの届出として扱うことで、届出者の事務負担を軽減させているという規制の違いが生じている。
土対法では、当該土地が要措置区域(6条1項)に指定された場合で、都道府県知事が「汚染の除去等の措置」(土対法7条1項柱書)を土地の所有者等に命じた場合、当該土地の所有者は、実施措置の内容などを記載した汚染除去等計画書を提出することを命じることができる(土対法7条1項柱書)。
そして、当該汚染の除去等の措置を受けた者は、「示措置に係る汚染除去等計画の作成及び変更並びに指示措置に要する費用の額の限度」(土対法8条1項)として、汚染原因者に対して、その費用を土対法8条1項に基づき請求をすることができる。
まず、本件では、前記のとおり甲土地は、形質変更時要届出区域に指定されているだけで、要措置区域には指定されていない。また、甲土地の所有者であるXは「他に対策方法を検討することもなく自主的」に汚染土壌を掘削し除去している。そのため、土対法7条~8条1項本文の規定の適用はない。
そこで、XはYに対して、民法709条に基づき不法行為に基づく損害賠償請求を行っている。汚染原因者であるYが行った「故意又は過失によって」行った行為と、相当因果関係が認められるXに発生した「損害」(709条)の分だけ、Yに対して、その費用を損害賠償請求としてすることができる。
本件では、「他に対策方法を検討することもなく」とある。汚染の除去の措置として、特定有害物質により汚染された土壌を掘削除去することは、費用的に高額になりがちで、過剰な負担となることもある。例えば、本件では、甲土地はトラックターミナルの建設を予定しており、その土地は、コンクリートなどで被覆されることが想定される。仮に、コンクリートで当該土地を被覆してしまえば、当該土地から汚染土壌が大気中に拡散することもない。
前記のとおり、甲土地の周辺では、地下水を飲用水として飲用している者も存在しないことから、掘削除去の措置は過剰とも思える。そのため、このような過剰な措置により発生したXの損害は、汚染原因者であるYとの間において相当因果関係を有する損害とはいえないことが「全額」の請求はできないと考える。
今年もやります。
開催日: 25年 9 月 7 日(日)論文二日目終了あと 午後6時~
開催地: 南近代ビル近く 焼鳥陣屋 (南近代ビル近くの)を予定
費用:割り勘で3,000円~4,000円程度を想定
※遅くとも、午後8時30分には解散しようかと考えています。お酒飲めない人も歓迎です!
早く着いた方は先に入って飲んでいてもかまいません。予約名は「くによし」です。
https://forms.gle/enioLgsef4USzTYt6
CBTで来年以降、予備試験も各都道府県に会場が設置されるとすると、今年で最後かもですね。
こんにちは、パンデクテンやっしです。
さて、今年も令和7年度(2025年)の予備試験・短答式試験の結果が出ましたね。
今年の自分の得点は、自己採点の段階ではボーダー付近との予想でしたが、見事ボーダー付近で「運」よく合格することができました。当初予測の155±2点から、上昇し、実際の合格点は159点でした。
伊藤塾やLEC、辰巳の短答リサーチの結果やヒストグラム、過去の予備試験の短答式試験の合格点や平均点の推移などをAIに学習させ、2025年の合格点を予想させましたが、AIはずばり的中させていましたね。
— パンデクテンやっし (@Pandekuten_Y) July 25, 2025
恐るべしAI
伊藤塾の解答速報から、一般教養が▲3点、法律科目(憲法)が+4点となっており、一応、法律科目で140点以上は死守することができました。この法律科目140点以上が短答合格の底力になったと感じています。
福岡会場で一緒に打ち上げをした方から「予備校解答間違ってるぜ!」と教えてもらい、実際に予備校解答との差が生じています。運も実力のうち、と言いたいところですが、
今回は**「運」が有利に働いた合格**だったと思います。
過去記事
(2024年)
(2023年)
|
科目 |
得点 |
|
法律科目 |
142点(67.6%) |
|
一般教養 |
18点 |
|
合計 |
160点 |
|
合格点 |
159点 |
|
合格余裕 |
+1点 |
危なかった...。
過去の経験からも、法律で140点を取れていれば合格の可能性は高まりますが、今年のように一般教養が平均点高めの年では、法律科目だけで逃げ切るのは相当厳しいです。
以下、2025年も含めた、過去の自分の予備試験の短答式試験の点数です。
以下のデータは、スタディングさんが公開している予備試験短答の過去15年分の平均点・合格点推移です。
このデータから、2025年は法律科目難化、一般教養易化傾向という事実が読み取れます。
※赤色が濃ければ点数が低い、緑色が濃ければ点数が高い
こういう年は、一般教養試験で点数が取れない、自分のような一般教養苦手な人は、短答合格に苦労すると思います。
一方で、2025年は、一般教養が得意な一般教養特性がある人は、法律科目で6割満たなくても、一般教養で36点以上取り、合格などということも発生するかと思います。
そのため、予備試験の短答、あまり勉強しなかったけど、合格したぜという人も、数多出現すると思います。
予備試験の短答は、法律科目6.5割くらいまでは普通に予備校を利用すれば得点することができますが、そこから7.5~8割前後まで伸ばすのは結構しんどいです。
ただ、一般教養で36点取れるような人というのは、過去大学受験などで結構頑張った方だと思うので、その努力を以前していたか否かとという考えもできます。
以下は上記の予備試験の合格点等のデータ(2011~2025年)に基づき、Pythonで重回帰分析を行った場合の予備試験合格点予測の回帰分析モデルです。
変数①:法律平均(予備試験短答式試験の法律科目の平均点:210点満点)
変数②:教養平均(同短答式試験の教養科目の平均点:60点満点)
変数が①、②と2つあるので重回帰分析となります。
🎓 回帰式(最適モデル):上記重回帰分析の式に、各年度の平均点を入力し検算
📊 モデル比較と誤差(予測値 vs 実測値)
|
年度 |
合格点(実測) |
改良モデル |
誤差 |
|
2011 |
165 |
165.29 |
+0.29 |
|
2012 |
165 |
165.89 |
+0.89 |
|
2013 |
170 |
170.16 |
+0.16 |
|
2014 |
170 |
169.71 |
−0.29 |
|
2015 |
170 |
169.88 |
−0.12 |
|
2016 |
166 |
165.24 |
−0.76 |
|
2017 |
164 |
163.38 |
−0.62 |
|
2018 |
164 |
163.27 |
−0.73 |
|
2019 |
161 |
161.42 |
+0.42 |
|
2020 |
161 |
161.06 |
+0.06 |
|
2021 |
160 |
159.37 |
−0.63 |
|
2022 |
157 |
156.46 |
−0.54 |
|
2023 |
157 |
156.53 |
−0.47 |
|
2024 |
155 |
154.08 |
−0.92 |
|
2025 |
159 |
159.49 |
+0.49 |
📌 評価
上記の回帰分析の式より、合格点は、法律科目よりも、一般教養試験の点数のほうに影響を受けている(✕1.2)ことがわかります。この点からも、予備試験の短答式試験に合格するためには、法律科目145点前後、一般教養で24点前後をとる力は必要だということがわかります。
自分の過去の点数などを分析してみます。
まずは、私の得点データをざっくり比較してみます。
| 区分 | 法律科目平均 | 教養平均 | 総合平均 | 合格点平均 | 超過点平均 |
|---|---|---|---|---|---|
| 合格年(2021〜2025) | 147.4点(70.2%) | 25.8点 | 173.2点 | 162.2点 | +11点 |
| 不合格年(2017〜2020) | 122.8点(58.4%) | 22.5点 | 145.3点 | 160.5点 | ▲15.2点 |
この表からも明らかなように、勝負を分けたのは「法律科目の得点率」です。しかしながら、今年のように一般教養が易化した場合、一般教養が苦手な自分の場合、一般教養の得点次第で合否が分かれるというリスクもあります。
ボーダー付近の人ならわかると思うのですが、一般教養の3点は結構大きいものがあります。あの一般教養の1問が取れていれば、あの2問が取れていればという人が、ボーダー付近にはうじゃじゃいます。
なお自己分析として、以下は、各科目の自分の得点とその傾向です。
| 科目 | 平均点 | 得点率 | 評価・傾向 |
|---|---|---|---|
| 民法 | 21.8 | 72.6% | ◎ 非常に安定した主力科目(毎年20点超) |
| 刑訴法 | 21.3 | 71.1% | ◎ こちらも常に安定、穴がない |
| 憲法 | 20.2 | 67.4% | ◯ 波はあるが基本はしっかり |
| 民訴法 | 18.9 | 63.0% | ◯ 中堅、2023〜2025年で高得点化 |
| 刑法 | 18.8 | 62.6% | ◯ 安定感あり、実力がある |
| 行政法 | 18.3 | 61.1% | △ 伸び悩み気味。2021年以降やや横ばい |
| 商法 | 17.1 | 57.0% | △ 不安定。特に2022年・2025年に落ち込み |
短答式試験は、法律科目210点+教養科目60点の合計270点満点。そのうち法律科目で140点(≒67%)を超えられるかが、合否を分ける一つのボーダーになります。
私の過去の得点を見ると、
2021年以降:毎年法律科目 140点超え
2017〜2020年:140点未満(平均122.8点)
この差が、合格・不合格を最も明確に分けた要素です。
2024年は法律154点+教養33点で**187点(合格点163点)と、過去最高の得点でした。逆に、2025年は法律142点+教養18点で160点(合格点159点)**というギリギリの合格。
つまり、教養で24点以上を取れた年は「余裕の合格」、20点未満だと「ギリギリ or 不合格」になります。
不合格だった4年間(2017〜2020)は、いずれも**法律科目の得点率が60%未満(112〜137点)**でした。
特に2020年(コロナ禍だったので実際に会場に行っては受験せず)は、民法で「8点」、商法で「12点」と、主要科目で崩れてしまい、法律112点・教養18点=合計130点と壊滅的でした。
このように、「科目崩壊」が起こった年は合格が遠のくのです。
2017年は教養で33点と大きく稼いだものの、法律が112点では焼け石に水でした。教養だけで勝負を決めるのは不安定すぎます。
教養はあくまで「加点要素」。法律7科目の安定感があってこそ、教養のボーナスが活きるという構造になっています。
| 項目 | 合格の目安ライン |
|---|---|
| 法律科目得点率 | 70%以上(147点以上) |
| 教養得点 | 24点以上をキープ |
| 法律崩壊科目の回避 | 10点未満は避ける |
教養は**「捨てない」「落とさない」意識で24点確保**
私のように、商法や行政法(主観的にはめっちゃ得意ですよ、ただ短答の点数には不安定さがあります。)にやや波がある人でも、民法や民訴法、刑訴法などで得点源をしっかり作ることで合格ラインを支えることができました。
令和7年は、「運」が味方した年でした。ですが、運任せではなく、数字をもとに戦略を立てることが、来年以降の合格につながると思います。
自分の予備試験の得点データ、そして全体の合格点推移を「数値化して振り返る」ことで、なぜ今年は合格できたのか、なぜ今年はうまくいかなかったのかということが正確に分析することができます。
さて、短答試験に合格しただけでは、予備試験の輪廻からは解脱できません。今年こそ、論文合格目指して、残り約1ヶ月、最高の準備をしていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
令和7年の司法試験予備試験・短答式試験、お疲れさまでした。
毎年恒例ではありますが、今年もドキドキしながら自己採点をしました。
その結果、法律科目が136点/210点(約64%)、総合計が157点/270点(約58%)でした。
【R7予備短答自己採点】民事・公法はLEC、刑事はアガ
— パンデクテンやっし (@Pandekuten_Y) July 20, 2025
憲法19
行政19
民法20
商法14
民訴22
刑法16
刑訴26
一般21(ロースクールタイムズ)
合計(法律):136/210(64%)
総合計:157/270(58%)
なんかボーダーっぽいな・・・。
昨年よりも知識の精度を高め、体調もほぼ万全で試験に臨めた実感はありました。にもかかわらず、法律科目は昨年より約10点下がる結果に。自分の実力がその程度なのかもしれませんが、全体的に法律科目の難易度が上がっていた印象を受けています。おそらく、法律科目の平均点も昨年より下がるのではないでしょうか。
一方、一般教養については「易化した」との声をよく耳にします。
試験後、福岡会場で受験した4人(4人とも予備試験の短答式試験の複数回合格者、うち2人は旧司法試験の短答合格者)で飲みに行きましたが、その席でもある方は、「今年の一般教養は解きやすかった」という話が出ました。
私自身は、昨年と同程度か、やや難しく感じたのですが、「できる人」にとっては取りやすい問題が多く、40点以上得点した方も少なくないのではと予想しています。
羊さんも、一般教養は簡単だと述べています!
体感難易度
— 羊 (@Law_sheep) July 20, 2025
民事→普通
公法→難
刑事→激難
一般教養→文系科目(英語除く)が激易
仮に上位20%が合格すると仮定すると、一般教養による“底上げ”があるぶん、合格最低点が昨年と同程度に留まる可能性もあるかもしれません。
受験前は「今年は短答で落ちない」と思えるところまで詰めたつもりでしたが、やはり自己採点は毎年の恒例行事。ドキドキしながら一般教養の採点をするこの感覚、脳から変な汁が出ているような気がします。もしかすると、パチンコなどのギャンブル依存症に近い感覚かもしれません(苦笑)。
「そこそこ解けた」と思っていたのですが、商法で思ったほど点が取れておらず、民法でも細かい失点が目立ちました。
ただ、民訴法はある程度耐えた感触があります。解答時間は例年通りか、やや余裕があるくらいでしたので、もっと得点できてもよかったはず。結局のところ、知識の精度に課題が残ったということでしょう。
憲法については、部分点をもぎ取る形で、自分なりに粘れたと思います。
行政法は、もう少し得点していてもよかったのではと感じています。LECの解答と合っているのかな?という疑問も一部にはありますが、大きく崩れた印象はありません。
加えて、事前にTwitterに投稿したのですが、仮の義務付けの「本案について理由があるとみえる」の積極要件(原告側が主張しなければ裁判所は当該決定はできない)の主張は、ズバリ的中していましたね。
【行政法短答】
— パンデクテンやっし (@Pandekuten_Y) July 19, 2025
誰が疎明責任負いますか問題。
今年、これ出そう。 pic.twitter.com/42tNUn4EfZ
不満の声が多い刑法。あの問題を真面目に解こうとすると、1時間では足りないと感じました。
ただ、旧Twitterを見ていると、満点近く取れている方も多く、「解き方のコツ」があるのかもしれません。刑法の16点はかなり低いですが、憲法と同じく「自分なりには守った点数」と評価しています。
前記の旧司法試験の短答合格者の方が、旧試験の刑法みたいだねと話していました。試験終了あと、福岡工業大学の入口で騒いでいたのは、自分たちです。
一方で、刑訴法はしっかり頑張れたと思います。
あの限られた時間の中で高速処理し、26点を取れたのは上出来です。運もあるかもしれませんが、民訴法と刑訴法の安定感が、これまで4回の短答合格につながっていると実感しています。今年も5回目の合格を狙いたいところです。
今年の予備試験・短答式試験を総合的に振り返ると、
法律科目は全体的に難化傾向
一般教養は「できる人」にとっては易化傾向
という構図。ただし、この「できる人」がどの程度存在するかによって、合格最低点の変動幅は変わってきます。
私の予想としては、期待も込めて、例年より若干下がる可能性はあり、
**「155点 ±2点」**が今年の合格最低点ではないかと考えています。
試験本番から飲み会、そして自己採点まで、今年もやっぱり楽しかったです。
「今年は落ちない」という手応えを持って臨みましたが、本試験はやはり何が起こるか分かりません。
引き続き、自分の弱点を見つめ直しつつ、論文対策へと進んでいきたいと思います。