荷物はどこへ? サカイ引越しセンターの闇を暴く裁判傍聴記 -4ページ目

横浜行きの荷物が函館へ。次は函館から千葉へ……。 サカイ引越センターは地理がわからないのか?

 人生の坂は3つある。上り坂、下り坂、そして「まさか」だと。その「まさか」の電話がサカイ引越センターの山本氏から今中さんのもとに届いた。
「もしもし、中村さんですか? 今中さんの鏡ですが、誤って函館支社に送ってしまいました。手続きの関係上、鏡が戻すにはあ3~4日かかります」


 今中さんの自宅は、横浜である。鏡が送られたのは、函館だ。どこをどう間違えれば、横浜に届ける品物を、函館に届けてしまうのだろうか? まったくもって、理解不能である。それとも、サカイ引越センターでは、こうした信じられないような誤配は珍しくないのだろうか。いずれにしても、開いた口がふさがらない、というのは、このようなことを言うのだろう。

 
 その後も、「まさか」は止まらない。山本氏が約束した3~4日が経過しても、彼からは何の連絡もない。しかたなく、中村さんは山本氏に電話し、状況説明を求めた。返ってきた答えがこうだ。


「実は、また手違いがありまして今度は函館支社から、千葉支社へ配送してしまいました。ですから、今、千葉支社に行って、鏡を探しています」


 繰り返しになるが、どこをどう間違えれば、函館から横浜に送るものを、千葉に届けてしまうのだろうか?


 その後、山本氏からの連絡は途絶える。おかしな話だ。千葉支社に鏡を送ったなら、千葉支社にあるはずだ。山本氏が千葉支社に出向いたなら、その鏡を横浜の今中さん宅に配送すれば、済む話である。それにも関わらず、山本氏からは一向に連絡がない。不審に思った中村さんは、山本氏に電話してみた。


「中村さん、鏡をいくら探しても、見つからないんですよ。もう少し、待っていただけますか?」


 これ以上、山本氏を信用できないと思うのは、中村さんだけではないだろう。読者のほとんどの方も同じ気持ちに違いない。


 仮に、山本氏の言うように鏡がないのならば、それは「盗難事件」だ。盗まれたら盗難届、あるいは被害届を出すのが当然だ。中村さんもそう考え、山本氏に対し、警察に盗難届を提出し、提出したことを証明する書類を、中村さんに送付するよう、伝えた。


 2013年3月8日、山本氏から中村さん宛てにFAXが届いた。それには、警察に遺失届を出したことが書かれており、その受理番号表が添付されていた。


 中村さんは、山本氏が警察に届けたのは盗難届ではなく、遺失届であったことから、「これでは警察が動かないのでは?」という疑問がわき、それを山本氏にぶつけた。それに対し、山本氏は「警察は確実に動いているから、2週間程度、待ってほしい」と、中村さんに伝えた。


 落し物扱いの遺失届で、警察は確実に動いているのだろうか。2週間程度という期間は、どこから出てきた見通しなのか。疑問は残るが、それでも中村さんは待った。しかし2週間を経過しても山本氏から連絡はなく、中村さんは再度、問い合わせの電話をかけた。その答えは、「あと10日、待ってほしい」だった。


 いったいいつまで待てば、よいのだろうか? しかし、これ以上は待てないと判断した中村さんは、次の一手を打つのであった。



つづく