荷物はどこへ? サカイ引越しセンターの闇を暴く裁判傍聴記 -3ページ目

鏡の引渡しと謝罪を求めた内容証明書を 2度も無視した、サカイ引越センター

 まさか、引越し業界で売上高日本一の会社が、ユーザーの信頼を裏切ることはしないだろう……。中村さんもそう思っていた。しかし、現実は違った。大事な鏡を破損させられたうえ、修理すると持ち帰ったあと、それが戻ってこない。いったい、鏡はどこにあるのか? そもそも、サカイ側はしかるべき修理を行ったのか? 「あと10日、待ってください」という、サカイの担当者である山本氏からは、期限を過ぎても連絡は来なかった。


 さて、どうするべきか。中村さんは思案した。これまでの経緯を振り返れば、その先の展開は容易に推測できる。


山本氏に催促の電話→山本氏は期日を先延ばし→山本氏から連絡が途絶える→山本氏に催促の電話……


 これでは、いつまでたっても解決の糸口すら見つからない。それにしても、逃げ腰ともとれる山本氏の対応だが、これは個人で判断して行っていることなのか、会社ぐるみなのか? いずれにしても誠意のかけらも見られない対応であり、この事態を軽く見ているとしか思えない。


 もはや解決策は司法の手に委ねるしかない。そう判断した中村さんは、親交のあった中島弁護士に本件を相談することにした。


 さっそく、中島弁護士は動く。中島弁護士は2度に渡り、鏡の引渡しと、誠意ある謝罪を求める内容証明書を山本氏に送付した。それが、平成25年5月のことだ。しかし、山本氏からは何の返答もなかった。内容証明書には法的な効力はないが、これを無視すれば、法的な手段に出る可能性が高いことが、相手に伝わる。裁判になれば時間も費用もかかる。そのため、内容証明書が届いた時点で、慌てて交渉の席につくパターンも少なくない。


 しかし、山本氏を含むサカイ側の反応は違った。これまで通り、何の連絡もなかったのだ。まさか裁判沙汰にしないだろうと、サカイ側も高を括っていたのではないだろうか。実際、これまでサカイによる引越しで荷物を破損された人たちも泣き寝入りをしてきたのではないだろうか。サカイ引越センターのあまりにも冷血な対処を見ていると、今中さんの件も氷山の一角に思えてくる。もちろん、このまま引き下がるつもりなど微塵もない、中村さんや今中さんは、迷うことなく、鏡を取り戻す舞台を法廷へと移した。