荷物はどこへ? サカイ引越しセンターの闇を暴く裁判傍聴記 -6ページ目

誠意のかけらもない対応

○引越し後、3カ月経過

 遅くとも1週間以内には連絡があるだろう……。しかし、待てど暮らせど、連絡はまったく来ない。それならば、こちらから連絡を取るしかない。そう思った今中さんは、3回ほどサカイに電話をしたが、担当者不在で空振りばかりに終わった。

 

ようやく、サカイ側から連絡が来たのは、3カ月後のことだ。好意的に解釈すれば、もしかすると、お客の大事な鏡だから修理に慎重をきたし、時間がかかったのかもしれない。

とにかく、鏡は戻ってくる。安堵した今中さんだったが、その気持ちは1本の電話によって、不安に変わった。

「今中さんですか? サカイ引越センターのものです。じつは、鏡を運搬していた車が事故に遭い、鏡が破損してしまったんですよ。ですから、鏡をもう1度修理させていただきます。またご連絡しますので、もうしばらく待っていただけませんか?」

 自動車事故というなら、仕方がない。もし、大きな事故であれば、人命を心配すべきだし、鏡のことは強く言えない。今中さんにしてみれば、サカイの言葉を信じ、また待つしかなかった。ただ、自動車事故であっても、今中さんには、何の落ち度もない。その後、何らかの連絡があるのが当然だ。しかし、サカイからは何の音沙汰もなし。しびれをきらした今中さんは何度もサカイに連絡したが、折り返しの電話などはひとつもなかった。

 どうしようか……。そう思っていた矢先、サカイから「鏡を届ける」という電話があったのだ。実に、引越しから半年後のことである。

 やっと鏡が戻ってくる。でも、前回の例があるから、この目で鏡を確認するまでは安心できない。今中さんは、素直に喜ぶことはできず、むしろ、いやな予感すら覚えた。

 実際、その“いやな予感”は当たっていた。鏡は、届くには届いた……。しかし、その鏡は予想だにしなかったものだったのだ。

つづく