ダーウィンが来た! | 株式会社 丸信 社長のブログ

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株式会社丸信 代表取締役 平木洋二のブログ
包装資材販売、シール・ラベルの印刷、紙器印刷加工業を営む株式会社丸信の社長のブログです。

能登半島地震でお亡くなりになられた方々、被災された皆様へは心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。一日も早く復旧が進み、皆様が穏やかな日常を取り戻せるよう願っています。

 

 

今年最初の投稿です。

本年もどうぞ宜しくお願いします。

 

働き改革や採用難のプレシャーから、会社のお正月休みが増え、これまでより長目の休暇を過ごした。社会人になって以来ずっと12月30日が仕事納め、1月4日が仕事始めだったから、これ以上に休むと焦燥感や罪悪感が湧いてくる。ホントはこれが世間並なのかも知れないが、、

 

さてさて、休暇中はお酒、お酒の毎日だったが、もちろん後半は本も読んだ。

 

 

 

ようやく9割。未だ読了には至っていない。

(実はオーディオブックでは既に3回目を聴いている)

分厚くて、カタカナが多いので前に読んだはずの用語の意味が思い出せず、何度も前のページに戻ってカタカナ語句の意味を再確認する作業が入るので中々進まない。読み終わる頃には前半の内容はすっかり忘れているだろうと思うのだ。

 

なのでアウトプットを細目(こまめ)にしている。

 

ここまでこの本に拘るのは、読んでいて面白いし、久々に自分のOSをアップグレードできそうな機会だと感じているからだ。

苦学した大前さんのビジネススクール以来だ。

 

人間が高等生物たる所以は生まれ持ったDNAを基にしながらも、生前中に自らを大きく進化させられることにあるのではないか、、

 本書後半には生態学(生物と環境の相互作用を研究する分野)をベースにした経営理論の解説がある。

 

これが面白い。

 

ダーウィンは「生物は生まれる時にランダムに遺伝子変異が起こる」と主張した。よって突然変異によって多様な生物が生まれる。(多様化)

しかし一旦誕生した生物は生前中はDNAを変化させれないので、その時や場所の外部環境に適応できる遺伝子を持つものだけが生き残り、適応できないものは自然選択により淘汰される。

 

映画「ウォーターワールド」でケビン・コスナー演じる主人公は水上・水中生活に適応して、指と指の間に「水掻き」、耳の後ろには「エラ」を生まれ持ったミュータントであるが、これも進化論によれば突然変異によって生まれ、それが水だらけの地球という環境とマッチしたため生き残ったのだ。

 さらに高等生物たる人間は生前中にも努力に応じて一定の成長を得ることができる。(DNAは変わらないので限界はあるが、、)

 

その一方で組織は遺伝子を変えられる。

採用やM&A、他企業との提携や取引によって「知の探索」が起こり、生前中に「交配できる」からだ。

 

よって、組織はできるだけ多様な人や情報を得た方が変化(進化)の振れ幅を大きくできる。今後の環境変化のトレンドを見誤らず、組織がその環境に適応できるように変化することができれば、生存の可能性は高まる。

しかしながら、ヒトや組織はホモフィリー・プレッシャー(同質化)を帯びやすい。つまり自分と同じような人を選んで採用したり、取引したりしがちだ。いつの世も変人や異端児はスポイルされ易い。

 サラリーマンを辞め家業に戻った際、色々変えようとすると激しい抵抗に遇った。初期には虐めもあった。進化という観点から会社を俯瞰したら、異文化で育った私は交配によって組織に進化をもたらす可能性のある花粉のようなものだったが、周りの花びらから雌蕊への受粉を邪魔され続けたのだ。

私が創業家の者でなければ早い段階でスポイルされていたことだろう。

大手銀行、総合商社、リクルート等大企業出身のご子息が家業を大きく進化させる例は枚挙に暇がない。(私は小規模のマイナー生保でしたが、、)



この生態学ベースの経営理論的に言えば、後継者は家業とできるだけ離れた業種で、しかも優秀な企業(環境変化に強い)で経験させた方が良いということになる。後継者は良くも悪くも組織のDNAを変えるくらいのインパクトをもたらす可能性がある。これからの変化の激しい時代には変化に適応してきたDNAを持つ種と交配させるべきだ。血統証付きの高価なお犬様より雑種の方が病気に強い。

 

そして何よりも重要なのは、動物や植物は自らの環境を変えるべく大きく移動することはできなが、人間や組織はその生態系での生存が厳しいと分かれば、自分が生存し易い場所(生態系)に移動することが可能なのだ。

 本書には大きく事業ポートフォリオを変えながら長期間発展し続けるIBMなどの事例が紹介されている。IBMがパソコン事業を中国企業に売却したのはどの競合よりも早かったのを覚えている。しかもブランド力もまだ高かった時代にだ。そこからソリューション事業に舵を切り、今も隆々と発展している。

 しかし人も組織も先ほどのホモフィリー(同質化)・プレッシャーにより放っておけば変化を嫌い、硬直化し易い。ましてや多少なりとも成功事例を経験してしまえば、それに拘泥するのも止むを得まい。変化の緩やかな時代ならば同質化がプラスに働くこともあるが、今のような時代では思考停止して座して死を待つことになるだろう。

 激しい環境変化に素早く対応していく為に組織に新しいタイプの人材採用等で交配を重ねさせる以外に生き残りの道はない。


諫早にて