晩酌しながらの「渡鬼鑑賞」。今も続いている。
観始めた1年半前にブログに書いた。
全く飽きることがない。当初観ていたのはYouTubeへの違法アップロードだった。そこでU-NEXTを契約し、堂々と観ている。一日一話を週に3日くらいのペースだろうか。
昨夜観たのは、いよいよ、幸楽の娘、愛(吉村涼)が将来旦那となる田口誠(村田雄浩)を突然、自宅に連れてくるシーン。
このシーン覚えていた。
大事な娘をこんなおじさんに盗られるなんて絶対に許せない五月(泉ピン子)に反して、勇(角野卓造)が誠を気に入ってしまい。結婚を許してしまう。橋田寿賀子の脚本にはいつも驚かされる。
実に歳の差16歳!!
「うちと一緒じゃん」と夫婦で笑った。そういえば私も義母に当初反対されたっけ(^-^;
このペースでは後、半年~1年くらいは続きそう。こっから先のストーリーはほぼ記憶にあるが、それでも楽しみだ。
さて、師走となり、ご挨拶の為の来客が多い。
昨日は仕入先(上場企業)の社長様がお見えになられた。
半年前に就任されたばかりらしい。他愛もない話を少しした後、
「激動の一年でした」
と仰る。聴けば、TOBを2回受けたと。1回目はアクティビストファンドによる完全なる敵対的買収。
それを何とか退けた後に外資系の企業再生ファンドが現在TOBを宣言していると。それには経営陣として賛同しておられる。成立すれば上場廃止になる。その後、会社を立て直し、必ず再上場を目指しますと。
私にとって退屈な仕入先の年末の表敬訪問が、ぶっ飛んで、興味深々のお客様に変わる、、
お忙しい中、久留米までご足労頂いた、この東証プライム上場の代表取締役を質問攻めにした。すべての質問に丁寧にお答え頂いた。
「どういう経緯で代表取締役に選ばれたのか?」
「2回のTOBの経緯、各ファンドの目的」
「今後どのように企業再生させるのか?」
「失礼ですが、今、社長は御幾つですか?」
え!同級生!
驚いた。30代後半でリーマンショックで大混乱となった海外法人を立て直した実績等を大きく評価され、指名委員会や社外取締役から白羽の矢を立てられたのだと。凄い方なのだ。
とても勉強になる。
最も驚いたのは最初のクソ(失礼)ファンドのTOBの目的。
TOB成立後に会社を切り売りし、清算しようと目論んでいたのだと。
PBR(株価純資産倍率)が低い企業は清算価値の方が時価総額より高い。よって買収してしまって、不動産などの有形資産や事業そのものやノウハウ、特許などの無形資産を切り売りすれば買収価格を大きく上回る利益が得られる。
つまり、そこで働いている人やその会社の製品を待っている顧客などを完全に無視して、只々「ぼろ儲け」を目論んでいたのだ。
少し前に、同業で1社新規上場した会社がある。経営規模は当社より少し大きいくらい。業界では誰もが知る優良企業だ。
特定できないように少し数字を丸めるが、現在は
時価総額 約40億、PBR 約0.35倍
本気で金融機関にお願いしたら、自己資金プラス借入でひょっとすると40億くらい調達できるかもしれない。理論上は40億あればこの会社を買収できる。
そして、買収後、資産を切り売り。
仮に純資産でしか売れなかったとしても、このディールで得られる利益は理論上、
利益=切り売りした価格(40億÷0.35)-買収価格40億 ≒ 74.2億円
濡れ手に粟で70億以上手にする。もちろん安定株主がいたり、TOB時は株価が上がるからこの通りにはいかない。恐らく一般的な金融機関は貸さないが外資投資銀行などは融資するのだろう。
映画プリティウーマンでリチャードギアが演じていたのはまさにこんな仕事ではなかったかな。米国では何十年も前からあった手法だ。
まさに先出のファンドがやろうとしたことだ。
こんな所に目を付けて、アービトラージ(サヤ取り)を狙っているハイエナがいるということだ。
上場は怖い。
類似業種として構造的不況産業である印刷業を選べば尚更だ。
色んなハードルをクリアしてやっと上場まで漕ぎつけても、上場後は株価や被買収リスクを心配しなければならない。
この商談に同席していた工場の幹部社員T君は
「社長、絶対上場だけはやめてください」
私に何度も言った。
今日で、最近まで若手経営者と呼ばれた私も54歳。
色々と考えさせられた。
朝のオフィスにて