一級建築士である私が設計した物件をはじめ、インテリアや家づくりについて情報発信しています。
また、築52年の中古住宅を購入しリノベした記録、日々の暮らしについても書いています。
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築35年の木造住宅、リノベーションのご相談をいただき現地確認してきました。
まずは建物外部ですが外壁の劣化が酷かったですね。
十数年前に一度塗装しているとのことでしたが、部分的に塗膜がパリパリと剥がれており外壁材の地が露出しています。
こうなると再塗装は厳しく、外壁の張り替えもしくは今の外壁の上に新しい外壁を重ね張りする必要があります。
この状態を放置すると外壁が雨を吸い込んで劣化はどんどん進み、雨水が壁の中まで到達する危険性があります。
そうすると壁の中でカビが発生したり、柱や土台などを腐らせる原因にもなるので早めの対策が必要です。
一般的には窓まわりから劣化することが多いので、不安な方は自宅の外壁をチェックしてみてくださいね。
続いてお部屋の中を見させていただきました。
二階以外の全部屋の壁にこのようなカビが発生。
原因は換気不足と思われます。
この年代の住宅にはまだ24時間換気が義務付けられておらず、換気不足によって常に多湿になっていたのでしょう。
冬は石油ファンヒーターを使っており、更に洗濯物を部屋干しするので冬場の湿度は相当高くなっていたはずです。
その湿気が壁に集まりカビの原因となった可能性が高いですね。
毎冬、窓も玄関ドアも結露でびしょびしょだったそうです。
古いお家で24時間換気扇が付いてない場合、例えばキッチンの換気扇を弱で数時間回し続けるなど換気する手段はあります。
手っ取り早いのは窓を開けてしまえばいいんですけど、真冬はさすが寒いですからね。
そしてこれからの季節、湿気(湿度)は熱中症にも大きく関係してきます。
下の表は気温と相対湿度の組み合わせによって、熱中症危険度を表しています。
例えば、気温32℃湿度85%の状態ではWBGT値が31となり、熱中症の危険性が高いことが分かります。
確かに気温が高くなれば熱中症の危険度は高まるのですが、湿度もかなり影響しているのがこの表から見て取れます。
気温37℃でも湿度が50%ならWBGT値は同じく31です。
32℃より37℃のほうが危険度が上のような気もしますが、実際は湿度も考慮して熱中症危険度は決まってくるのです。
では夏場の湿度をどのように管理すればいいのか。
もう一択ですね、
エアコンです。

除湿機とエアコン、除湿能力は雲泥の差です。
ただしエアコン冷房では湿度と一緒に温度も下がるので、ちょうどいい快適空間に保つのは実はなかなか難しいんですよね。
特にこれからの梅雨時期は気温もまだそこまで高くないので、エアコン冷房では寒く感じる人も多いかもしれません。
そんな時には除湿機を使うのもありですが、除湿能力が低い機器では思ったほどの効果は得られないと思います。
上にも書きましたが、紛らわしい除湿能力の表示をしている商品も多いので注意が必要です。
そして部屋に湿度計を置いてたまにチェックしてみましょう。
実際に数値を目で見ることで湿度に対する意識も変わってくると思います。
スイッチボットの温湿度計は住環境オタク(?)の間でも定番のアイテムです。
私も家で3台使ってますが、スマホで湿度変化の推移なども見れ重宝しています。
湿度管理が建物と人間どちらにも大切だというのが分かっていただけたでしょうか。
高温多湿の日本で快適かつ安全に暮らすには避けて通れぬ道ですね。