Streamlined Claim Set Pilot Program | The U.S. Patent Practice

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2025/10/24付で、USPTOより新しいパイロットプログラムが発表されています。(プレスリリース, プログラムの説明ページ官報

「出願人がクレームを簡素化することで、未処理件数の削減に協力し、追加のクレームを提出する代わりに迅速なフィードバックを得ることができます。これにより、USPTOはより多くの案件をより迅速に処理できるようになります。」

by USPTO長官 ジョン・A・スクワイアーズ

 

クレーム数を減らして審査を迅速化するという、なんとも他力本願なプログラムです。より強い特許、すなわち無効化の試みに耐え、権利行使の幅が広い特許を取得するためには、できる限り多くの許可クレームを得ることが不可欠です。よって、多様な実施形態やバリエーションをカバーする多くのクレームを伴う重要案件については、本プログラムは適していないと考えられます。

 

以下、本プログラムの概要を図にまとめました。

 

 

このプログラムのメリットは、最初のオフィスアクション発行まで、優先的に審査がなされるという点です。一度、オフィスアクションが出された後は、通常の審査プロセスに戻ります。

 

ここで注意が必要なのが、最初のオフィスアクションに、限定要求が含まれる点です。独立クレームが1つであるため、クレームを選択させる限定要求が出される可能性はないと思いますが、審査対象となるべき実施形態(図面)を選択させる選択要求は出される可能性はあります。(本プログラムの趣旨に鑑み、審査官が実際に選択要求を出すかどうかは不明です)

 

独立クレームを広く定義し、その下位概念に相当する、互いに独立した実施形態を複数図面とともに開示しているような明細書の場合、もしかしたら選択要求が出されるかもしれません。そうなると、以後は通常の審査プロセスに戻りますので、先行技術との対比がなされる、より本質的なオフィスアクションまで、少し時間がかかる可能性はあります。

 

本プログラムの手数料は、ディスカウントなしでも $150 と低く設定されています。従って、出願時のクレーム数が条件を満たしており、権利化の際にクレームを増やす予定がない場合、利用を検討されてもよいと思います。

 

特に、スモールエンティティやマイクロエンティティ (これらの定義については当ブログのエントリ参照) の費用は、ほぼあってないようなものなので、試してみて損はないと思われます。(手続きのために代理人がフィーをとる可能性はありますが…)