Fintiv v. Paypal (Fed.Cir.25/4/30) handler=nonce | The U.S. Patent Practice

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Fintiv, Inc. v. Paypal Holdings, Inc. (Fed. Cir. 2025/4/30)  <Precedential>

 

"payment handler"という用語が、(meansの代用語としての) その場限りの用語 (nonce term) であると判断されたケースとなります。

 

U.S. Patent No. 11,120,413, claim 1 の一部抜粋

a payment handler configured to use APIs of different payment processors including one or more APIs of banks, credit and debit cards processors, and bill payment processors

"code"や"application"という表現について、ミーンズプラスファンクション(MPF)形式の限定ではないとの判断がなされたDyfan事件 (本ブログでもご紹介させていただきました)とは異なり、 "handler"にはMPFが適用されるとの判断がなされた事例となります。

Dyfan事件では、"code" / "application" という用語が当業者に対してソフトウェア構造を暗示するという専門家の証言が反論されなかったのに対し、本件ではどちらの専門家も、"payment hander" という用語が構造を暗示するという証言をしていない。

地方裁判所は、"handler" をnonce term "module"と正しく類推した。当裁判所は、この用語が「特定の機能を実行するソフトウェアまたはハードウェアの一般的な説明にすぎない」と判断した。

確かに、〇〇ハンドラといったようなソフトウェア機能をさす場合、コードやプログラムといった用語よりは、いくぶん機能よりなように感じますし、理由付けについて納得はできます。

 

しかしながら・・・少しばかりソフトウェアの世界にいた身としては、ハンドラもプログラムの一部ではという気もします(例:割り込みハンドラ)。本件の場合、"payment" ハンドラなので、反論しようもないかなとは思いますが、割り込みハンドラとかエラーハンドラなど、当業者によく知られたハンドラであれば、もしかしたら違う結果になるかもしれません。

 

当面、ソフトウェアのクレームを作るときには、 program/code/applicationを使用するようにいたしましょう。

 

ex)  a processor configured to execute a program stored in a memory to perform the steps of . . .