米国の知財系ニュースサイト IPWatchdog のアトーニー向けの記事なのですが、Ex Parte Appeal (アピール/審判請求)で主張すべき反論について有益な情報が載っており、アピールだけでなくOAへの反論にも使えそうですので、メモしておきます。
記事はシリーズのようなので、全体を読んでから、自分の経験も含めて、改めて記事にしたいと思います。
以下は、記事の筆者による非自明性拒絶を覆すための有効な反論四選です。
非自明性による拒絶を覆すために有効な反論四選
(1) 先行技術は、審査官が教示すると主張する内容を教示していない。
(2) 自明性拒絶において引用文献を組み合わせるために審査官が示した理由付けは、結論的 (conclusory) かつ / または 合理的な裏付けを欠いている (lacks a rational underpinning)。
(3) 審査官が示したクレームの解釈は不合理 (unreasonable) である。
(4) 自明性拒絶において引用文献を組み合わせるために審査官が示した理由付けは、推測的 (speculative) かつ / または 事実の根拠を欠いている (lacks a facutual basis)。
アピールでは、上述の理由により、審査官が、特許性がないという一応の根拠 (a prima facie case of unpatentability) を提示する責任を果たしていないと主張することになります。
MPEP 2142 Legal Concept of Prima Facie Obviousness
(このトピックも記事にしたいと思います)
日本企業は、コストがかかることから、米国での審判請求には消極的だと言われています(私もそう実感しますし、一般論としては正しいと思います)。アトーニーの立場から言うと、どうしてもポジショントークのように聞こえてしまうのですが、元審査官を含む複数のアトーニーが、審判請求は、少なくとも選択肢として常にテーブルの上にのせておくべきと主張していますし、私もそう思います。
もちろん何でもアピールすればよいというものではなく、明らかに法的に誤りと言えるような内容のみが対象となることは言うまでもあれません。明らかな誤りを看過し、安易にRCEを繰り返していると、同じ審査官によるさらなる不合理な判断を許してしまうことにつながりかねません。明らかに誤っていると思われる事例に遭遇したら、アピールする価値があるか否か、実務担当者と率直に意見交換することが重要だと思います。