翻訳文を米国出願向けにリバイズする上で、修正に絡む頻度が最も高いといっても過言ではない単語が "configure" だと思います。
訳文の修正だけでなく、クレームの構成要素の機能的表現の修正(よく知られているMPFの限定)でも頻繁に扱います。
日本語でとても便利な「構成する」という表現の訳語の一つがこの "configure" だと思いますが、英語の "configure" の意味の広がりは、日本語の「構成する」より狭いため、文脈によっては意味が通じなくなることがあります。
configure /kənˈfɪgə-ˈfɪgjər/ verb [transitive]
to arrange something, especially computer equipment or software, so that it can work in a particular way
(From Longman Business Dictionary、強調は筆者による)
ある装置の動作を、スイッチ的な機構やソフトウェアなどによって、設定あるいは変更するような場合に、「構成する」= "configure" として使用可能です。
・あるローカルエリアネットワークに接続するよう構成された(設定された)ネットワークインターフェース
a netowkr interface configured to connect to a local area network . . .
・オブジェクト認識処理を実行するよう構成されたプロセッサ
a processor configured to execute an object recognition process . . .
一方、よくある不適切な例は以下の通りです。
・プロセッサとメモリモジュールによりコントローラーが構成される
a controller is configured by/with a processor and a memory module
or
a processor and a memory module configure a controller
(formやmake upがベター。ちなみに constitute でも意味は通じますが、テクニカルな文脈での使用頻度は高くないように思います)
・(物理的に)折り曲げ可能に構成されたシャフト
a shaft configured to be bent
(a shaft formed to be bendable あるいはシンプルに a bendable shaft)
翻訳の段階においては、原文との対応付けが求められる関係で、"configure" を使用せざるを得ないことも多いのではないかと推察します。ただ、出願時や中間対応の際、実際にクレームを英文として解釈する際には、意味の違いが致命的となることもあるので、注意が必要です。