UC v. Satco (Fed.Cir. 241204) 図面と縮尺 | The U.S. Patent Practice

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The Regents of the University of California v. Satco Products, Inc. (Fed. Cir. 2024/12/4)

 

判決文原文

https://cafc.uscourts.gov/opinions-orders/23-1356.OPINION.12-4-2024_2429938.pdf

 

無効の根拠として引用された以下の図面における太字の記載 (J字状のリード線) が、要素11aの相対的な厚さを示しているかが争点となった事件です。

 

 

PTABは、「特許の図面は、特に示されない限り、正確な縮尺ではない」 (Hockerson-Halberstadt, Inc. v. Avia Grp. Int’l, Inc. (Fed. Cir. 2000)) 。したがって、 そのような図面に基づく反論は「無益 (unavailing)」である (Nystrom v. TREX Co. (Fed. Cir. 2005))と結論付けました。

 

日本出願を基礎とする案件において、詳細な説明の冒頭で「図面は模式的または概念的なものである。各部品の大きさや比率は現実のものと同一とは限らない」というような文言をみかけます。この記載により、図面に示される部品間の相対的な大きさや位置関係に基づき、後続の特許を排除できなくなる可能性が少なくなります。

 

また、出願時においても、上述の文言は、構成要素間の大きさの違いや位置についてのサポートを弱める可能性があります(実際、(苦し紛れに)概念図のみに基づいて部品の位置関係を限定したとき、新規事項の追加と指摘されたことがあります)。

 

上記のような文言を入れること自体はよいと思うのですが、図面上の部品の大きさや配置に少しでも特徴がある場合、少なくとも関係する図面についてはその旨を文字で説明しておくか、以下のように大小関係 (M v. N v. L) を明らかにしておくとよいと思います。