X方向 | The U.S. Patent Practice

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今日は、日本出願明細書の翻訳文のレビューとリバイズをしていたのですが、いつも目にしては悩んでしまう用語をみかけました。

 

X方向 (+X方向、-X方向)

Y方向 (+Y方向、-Y方向)

Z方向 (+Z方向、-Z方向)

 

翻訳語は、だいたい "an X direction" ("a +X direction", "a -X direction") のようになっていることが多いように思います。

 

もし数学の文脈で考えるなら、x軸の方向という意味で、"the x-direction" または "the x direction" とするのが最も一般的なように思います。

 

ただ、ここでは正方向 (+) と負の方向 (-) を含んで表現しているため、不定冠詞で表現することに理解はできます・・・が、やっぱり違和感があります。リバイズ作業の際には、苦肉の策(理由付け)として、大文字で始まっていることから、固有名詞的に冠詞を削除することもあります。

 

日本語で表現すると違和感のない用語でも、英語にすると、不自然であったり、異なる意味になる用語はたくさんあります。上述の「X方向」については、不自然であっても、技術的・法的な問題につながるとは考えにくいので、悩むのは私のような出願担当者だけでよいと思います。

 

一方で、翻訳後に意味が異なる可能性のある用語については、現地の担当者が検出して修正するのはもちろんですが、日本語の書類作成時にも、頭の片隅においておいたほうが良いと考えています。結局、英語で考えろということか!と怒られそうですが、実際、クレームを作るときは日英両方で作っているという弁理士さんもいらっしゃいます。すべての用語に精通する必要はないにしても、いくつかの要注意表現についてはケアしておいても損はないかなと思います。

 

要注意表現については、機会を改めて、例をご紹介させていただきたいと思います。