イットリウム (Yttrium) | The U.S. Patent Practice

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とあるクレームをレビューしているとき、

 

"a yttrium layer"

 

という表現を見つけました。MS Wordが誤りを指摘しています。

 

 

審査官は、この表現については特にこだわりはなかったようで、オブジェクションは通知していません。

 

これを "an yttrium layer"に直すべきでしょうか。

 

結論としては、セオリー通り、読み方の音([triəm])に従って、"an"とするのが正しそうです。この修正による特許上の不利益もないといっていいと思います。

 

なんだそれだけか、ということなのですが、yという文字が母音となる法則について調べていて、興味深い記事を見つけたので、ここにメモしておきたいと思います。

 

The Truth About 'Y': It's Mostly a Vowel

 

"Mostly"とあるように、y は時々母音になると学校でも教わるようです。

 

yが母音となる典型的な例が紹介されているのですが、それは

 

  • 他の母音を含まない場合 gym, my
  • 単語か音節の最後にくる場合 candy, deny, bicycle
  • 音節の途中にくる場合 system, borborygmus (腹鳴)
 
Yが先頭に来るパターンだと、year, yet, youなど、子音の"y"サウンド (発音記号の ji, je, ju)が多いように思いますし、イットリウムは例外的なのかもしれません。というより、そもそもこの物質は、発見されたスウェーデンの地名 Ytterby (イッテルビー)に由来するようなので、英語の発音規則にはのっとらないのかもしれません。
 

英単語の読み方をカタカナ表記することによる弊害は大きいですが、イットリウムに関してはカタカナに頼ってよさそうです(*)。何かのご参考になれば幸いです。

 

(*) 厳密には、短母音のiやrも日本語にはありませんが、ここではご容赦ください。