関連エントリ:新USPTO長官 John A. Squires 氏
以前より、新長官の下では、特許法101条(特許適格性)の問題について進展が期待できると言われてきました。本日、USPTOがプレスリリースを出しており、Squires長官が、就任後、最初に発行した2つの特許についてのコメントを掲載しています。
この2つの特許のうち、一つは診断方法に関する発明 (US Patent No. 12,419,201) で、もう一つはビジネス手法に関する発明(US Patent No. 12,419,202)で、共に特許適格性に疑義があると判断されがちな分野のものです。
Patent No. 12,419,202 "SYSTEMS AND METHODS FOR GENERATING AN ARCHITECTURE FOR PRODUCTION OF GOODS AND SERVICES," Fig. 1
これらの分野は、大きな議論を呼んできましたが、私の見解では不毛なものでした。あまりにも頻繁に「単なるビジネス方法」または「特許適格性のない診断方法」として片付けられてきたのです。
トランプ大統領が最近、カルビン・クーリッジの不朽の名言「アメリカの神髄はビジネスである」を再確認されたように、私も、在任中に最初に発行された2つの特許をもって明確なメッセージを送りたいと考えました。すなわち、米国特許庁はビジネスの門戸を開いており、特に未来のテクノロジーを歓迎する、というメッセージです。
(長官のコメントより)
このコメントが示す通り、長らく不安定にあった特許適格性の審査について、8月に当時の副長官から出された通知もあわせて(過去のエントリ)、改善の見込みがこれまでになく高まっているといってよいと思います。
また、裁判所による特許適格性の判断はUSPTOの運用とは独立しているため、これらの判断を統一させるべく、条文の改正(現在審議中)についても推進されることになるはずです。
現政権の強力なトップダウンによる政策は議論を生むこともありますが、こと特許適格性問題については、特許実務家にとってとても有益な結果をもたらすことになりそうです。
とはいえ、何らかの制度変更がなされるにしても、少し時間かかかると思われます。私の元にも、現在進行形で、101条の拒絶理由がどしどしと送られてきています。おそらく、8月の通知を出す要因となった、101条拒絶の乱発に相当するものと思われます。101条問題の夜明けに期待を膨らませつつ、今は耐え忍んで、意見書の作成に勤しみたいと思います。