様々な携帯端末の能力に応じたコンテンツ再生を可能にする方法について、特許適格性が否定された事例となります。
GoTV Streaming, LLC v. Netflix, Inc. (Fed. Cir. 2026/2/9) Precedential
本件特許は、サーバがワイヤレスデバイス(携帯端末)からコンテンツのリクエストを受けとり、そのデバイスの能力(画面サイズや解像度など)に合わせて、表示仕様(幅や高さなどのパラメータや描画コマンド等)を調整して配信するシステムおよび方法に関するものです 。
問題となった方法クレーム(U.S. Patent 8,103,865, 読みやすさ重視で一部編集、太字部分が機能的ポイント)
1. ワイヤレスデバイス向けのデータ処理を行う、サーバーにより実行される方法であって、
ワイヤレスデバイスから、アプリケーション(コンテンツ生成)プログラムに対するリクエスト(ワイヤレスデバイスの機種情報などを含む)を受信するステップと、
前記リクエストの受信に応じて前記アプリケーションプログラムを実行し、複数のコンテンツ項目を含むワイヤレスデバイス汎用テンプレート(generic template, 特定デバイスに依存しない)を生成するステップと、
前記アプリケーションプログラム固有のカスタム構成(custom configuration, アプリの外観などの情報)を前記ワイヤレスデバイスに送信するステップと、
生成した前記汎用テンプレートと前記ワイヤレスデバイスの能力に基づいてページ記述(page description, ワイヤレスデバイスの描画能力に収まるよう調整されたコマンドやパラメータを含む描画用記述)を生成するステップと、
生成した前記ページ記述を前記ワイヤレスデバイスへ送信するステップと、
を有する、方法。
地裁は、上記クレームは抽象的アイデアに向けられたものではないと判断していましたが、CAFCはこの判断を覆しました。
Alice Step 1(抽象的アイデアか?) YES
Alice Step 2(発明概念があるか?) NO
クレームは、通常のコンピュータやネットワークの機能(情報の収集、保存、処理、送信)を単に使用しているに過ぎず、コンピュータ自体の機能に対する具体的な技術的改善を含んでいない 。
また、速度や効率の向上は、通常のコンピュータ機能の使用による結果に過ぎず、特許適格性を付与するものではない。
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携帯端末の能力に応じた動的処理が、ドレスの型紙によるカスタムオーダーと同じ括りにされている点、違和感がなくもないです。しかしながら、問題の根底は、他の多くの事件と同様、クレームが抽象的で、人間によって行われてきた基本的慣習や、コンピュータ自体が有する機能の域をでてきない点にあります。
本件では、汎用テンプレート(generic template)、custom configuration(カスタム構成)、ページ記述(page description)のように、一見、テクニカルな表現が用いられてはいますが、「技術的改善」をもたらすためにこれらがどのように(how)処理されるのか、クレーム上で具体的に記述されていなかった点が、適格性が認められなかった要因となっています。
先日ご紹介した案件(下記参照)と同じコメントとなりますが、この技術的改善/課題については、基礎出願で開示されていないと、米国の出願手続きにおいて手詰まりとなり得ます。ソフトウェア関連発明についての明細書作成の際には、何らかの技術的課題とこれを解決する要素が開示されているか確認されることを推奨いたします。

