WIPOの知的財産権に関する統計データの2025年版が発行されています。
この中から、日米出願人による米日特許庁への出願数の5年間の推移をまとめてみました。
(2024年のデータは2025年版レポートの32ページ、テーブルA19参照。他の年のデータもだいたい同じ位置にあるテーブルから取得可)
日本から米国への出願は、減少傾向にあるものの、日本国内の出願件数 (2024年は237,169件) の3割を超える規模があります。
一方、米国から日本への出願数は、米国国内の出願件数 (270,295件) の1割程度で推移しています。
最新のレポートによると、ここ10年で、特にコンピュータ技術に関連する特許出願数が伸びており (10.3%増)、全体の出願件数の13.2%を占めているとのことです (テーブルA29参照) 。
この増加に貢献しているのは中国と米国のようです (テーブルA30、以下に転載)。
この分野における(出願件数への)日本の貢献はあまり大きくないようです。
AI関連技術についての出願の増加が当面のトレンドとすると、米国国内出願の件数は増加する可能性がある一方、日本からの米国出願の件数にはあまり影響がないかもしれません。
一方、日本での損害賠償額の低さから、米国企業が日本に出願するメリットが低いと言われたりしますが、何かきっかけとなるような事件でもない限り、この傾向は変わらないと思われます。
訴訟が増えること自体が良いこととは思いませんし、産業構造の違いもあって不均衡の解消は簡単ではないと思いますが、現在の貿易赤字のような状況は改善されるとよいなと思います。


