こだわりのつっこみ -13ページ目

こだわりのつっこみ

素人が音楽、小説、映画などを自己中心的に語ります。

レベル:若干長めですが中学2~3年生レベルなので1日くらいで読めると思います。


ジャンル:犯罪物


あらすじ(背表紙から):

Everybody wants to win the lottery.A million pounds, perhaps five million, even ten million.
How wonderful!

Emma Cater buys a ticket for the lottery every week, and puts the ticket carefully in her bag.
She is seventy-three years old and does not have much money.
She would like to visit her son in Australia, but aeroplane tickets are very expensive.

Jason Williams buys lottery tickets every week too.
But he is not a very nice young man.He steals things.
He hits old ladies in the street, snatches their bags and run away...


面白さ:★☆


※以下、結末まで話します。嫌な方は見ないでください。












The Lottery Winner: Level 1 (Bookworms Series)/Rosemary Border
¥565
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内容:
あまり裕福ではない老女エマは、ある日靴を買いに街に出かけます。
その帰り道に男にバッグを盗まれてしまうのです。
そのバッグには大金は入っていなかったものの、毎週買い続けている宝くじが入っていました。

大事をとって入院した先で、エマは自分の宝くじが見事当選していたことを知るのです。

さて、バッグを盗んだ男、ジェイソンは仕事もせずにフラフラし、親に暴力を振るうようなひどい奴したが、エマと同じくテレビで宝くじの当選発表を見てエマから盗んだ宝くじが当選していたことを知り、全ての当選金を自分のものにしようとするのです。

当選者としてジェイソンがテレビでインタビューを受けていた様子を見たエマは、愕然。
自分のバッグを盗んだのはまさにテレビでニヤニヤしながらテレビに映っていた男であり、即座に警察に通報、一時換金はストップされることになります。

とはいえ、当選した宝くじがエマから盗んだものとはいえ、証拠がありません。
一方でジェイソン側にも彼が犯行時刻に家にいたことを証明できなかったことから、ジェイソンはサリーという弁護士をつけ、なんとか自分の金にしようと画策します。

例えば、当選金をもらった際にその一部を寄付に回すということを考え出します。
なぜなら、ジェイソンは裁判での心証が悪いことは明らかだったからです。

というのも彼は実は既婚で、彼の暴力を耐えかねた彼との子供もいた妻は、弁護士をつけて慰謝料として当選金の半分をもらうことを主張、
さらに彼は母への暴力やその身なりや生活態度によって、裁判では不利に働くと思われたからです。

さて、エマも弁護士をつけ、ジェイソンと徹底抗戦を続ける構え。

しかし、裁判が終わって得をするのは誰なのでしょう?
仮に裁判でエマが勝っても、ジェイソンが勝っても得はないのだ、とジェイソンの弁護士、エリーは思っていました。

というのも、得をするのは弁護士だからです。
エマもジェイソンも、そして彼の妻も、彼が寄付をするといった慈善団体も、宝くじ販売会社も、
各々が多額の弁護料を支払って弁護士を雇っています。
弁護士らは裁判所で話し合い、そして裁判の後に当選金並みの高い弁護料を分け合おうということを決めていたのでした。

最後にエリーは夫コリンにこういうのです。
「コリン、新しい車を買うのはどう?メルセデスなんかは?」


  感想:
もう、あまりにもエマが可哀想ですガーン
そして弁護士が悪徳過ぎます。彼らにとっては、どちらが本当のことを言っており、どちらが嘘をついているのかはどうでもいいことだったのです。

しかし、確かに読み手側としてはエマが盗まれたことは分かっていても、警察や裁判所側は知る由もなく、エマが嘘を言っている可能性も十分ありうるわけで・・・

それにしても、妙に読後感が悪く、実際こういう事件があるのだろうなぁと思うと、切なくなります汗



レベル:若干長めで、単語もちょっと難しいものもあります。高校初級レベルで1~3日で読める分量でしょうか。


ジャンル:ヒューマン・青春


あらすじ(背表紙から):

"You don't want me!" cried Anne.
"You don't want me because I'm not a boy! Oh, what shall I do?"

Marilla and Matthew Cuthbert want a boy from the orphanage to help them on their farm.
But a thin little girl is waiting for Matthew at Bright River Station.
Anne, a funny and sometimes difficult child, changes everybody's life and wins everybody's love.


面白さ:★★★★☆


※以下、結末まで話します。嫌な方は見ないでください。










Anne of Green Gables, Level 2, Penguin Readers .../Montgomery
¥587
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内容:
心臓に不安をもつ年老いたMatthewは、妹のMarillaと2人でプリンス・エドワード島に暮らしていました。農業を続けていくために、2人は孤児院から男の子を引き取って、彼らの手助けをしてもらおうとします。

しかし、そこで間違いが起こってしまい、Matthewが迎えに行った先には赤毛の女の子が。その子の名前がアンであり、2人はアンを孤児院に戻して、新たに男の子を迎えようとしますが、アンの無邪気で純真無垢な性格、そして彼女の悲しい生い立ち(散々色々な家をたらい回しにされ、なかなか大人からの愛情を得れなかったこと)を聞いて、2人はアンを育てることを決心します。

アンは活発でよくしゃべる女の子で、時に失敗したり、誤解を生んだりもしますが、最後は街の人々もアンのその性格を知って、
彼女に心を開き、愛情を与えていくのです。

さて、しかしアンの怒りのスイッチが入ってしまうのは
「赤毛」
と、馬鹿にされること。

学校の女の子たちに人気のギルバートでさえも、かつて「赤毛」と馬鹿にしたことにより、アンは絶交します。たとえ命を助けられても。

さて、アンは(ギルバートもですが)、優秀な成績を修めていたことから進学し、そこでも2人はトップクラスの成績。
ギルバートは家が貧しいことから進学をせず、アンの暮らす地元で学校の先生になるとのことですが、アンは進学を希望します。

しかし、そんな折、Matthewが心臓の病で倒れ、亡くなってしまうという不幸が。
さらに、Marillaも働けない身なので、家を売らなければならない、ということを聞かされたアンは、全てをしてくれた2人に対し、今こそ自分がしてあげる番だ、という決意をし、進学を断念し、教職に就くことを決めます。
ただし、地元の学校はギルバートが赴任することになっており、アンは別の学校を探さなくてはなりません。

ですが、そのアンの置かれた状況を知ったギルバートは、自らが遠い学校へ赴任し、アンに地元の学校に赴任できるようにしたのです。
進学した先でも一切口をきかなかったにもかかわらず、ギルバートのなんとも粋なプレゼント。

それから2日後、アンはギルバートと道で出会います。
「どうもありがとう、今までのことすべて本当にごめんなさい。今からお友達になってくれませんか」とアン。
「もちろん」とギルバート。

暮れていく日を見ながら、すべてが、うまくいくとアンは思うのでした。


感想:
邦題は「赤毛のアン」。読んでいなくても、誰しもがそのタイトルは聞いたことがあるでしょう。

とっても面白く読めました。

細かいエピソードはあらすじでは省きましたが、展開は

 アンが失敗する、もしくは誤解される。
            ↓
 しかし失敗を取り返そうと奮起する、もしくは誤解が解ける。
            ↓
 結果、アンはそれまで以上に好かれる。

というものがほとんどです。
でも、サザエさんのように、このワンパターンな感じがすごくいいんですよニコニコ
引っ張ってきたギルバートの仲も睦まじい方向になりつつあるので、とっても後味がよい。

しかし、意外だったのが、「赤毛」って結構向こうの人にとって見たら、バカにした言葉なんですねぇ~。

そうそう、この本で一番胸がきゅんとなった部分を最後に紹介しますね。

それは、アンがMatthew家にやってきた日の、MatthewとMarillaの会話。
アンの性格を知って一緒に暮らそうとMatthewは提案しますが、Marillaは反対します。

「でも、マシュー、あの子はここには置いておけないわ。女の子は農場であなたの手助けをすることはできないもの。」

「でも、多分私たちがあの子を助けることができるかもしれない。」

いいですねぇ。
子供を愛する、ということを知ったMatthewとMarillaは幸せだったろうな合格

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 その美しい旋律は遠い昔、いつもそうして、音を見ていたような、そんな甘い気持ちをよびさました。私は目を閉じ、耳を傾け、みどりの海底にいるようだと 思った。世界中が明るいみどりに光って見えた。水流はゆるやかに透け、どんなにつらいことも、その中では肌をかすめてゆく魚の群れくらいに思えた。行きく れてそのままひとり、遠くの潮流に迷い込んでしまいそうな、哀しい予感がした。
 19の私の、初夏の物語である。
(p20より)

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洋書だけでなく、日本の小説も読んでおくもんですね。
いやー、かなり面白い小説です。
今回は哀しい予感の紹介です。

かつて、『キッチン』『満月』『ムーンライト・シャドウ』を読んできましたが、共通点も垣間見えるし、新たな展開に、胸が詰まりました。
かといって、タイトルとは異なって、哀しい物語ではなく、切ないけれど明るい希望が見える作品なのです。

ではあらすじです。

主人公弥生は、なんの不自由もなく幸せな家庭で育ってきました。
両親ともに優しく、明るい人たちで、弟の哲生とも仲が良すぎるくらい良い。
しかし、そんな生活であっても、弥生にはふと気になり、悩ませることが。

それは、「幼い頃の記憶がない」ということ。
もちろん、多くの人が幼い頃の記憶を明確に覚えていることはないと思いますが、弥生の場合、そうではなく、「大事な記憶であったはずなのに忘れてしまっている」ということが、多くの人とは異なっています。

しかし、あることをきっかけにして、弥生は徐々にその記憶を思い出していきます。
そして、真実を知ります。哀しい真実を。

そのことで、1人で怪しげな家に暮らす、高校で音楽を教えているおば、ゆきの、との関係、そして仲良しな弟の哲生、さらには両親など、弥生を取り巻く環境に大きな変化が訪れることになります。


では以下にネタバレ含むあらすじと感想を。
 








哀しい予感 (角川文庫)/吉本 ばなな
¥420
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~1回目 2010.4.26~

あらすじの続きです。

さて、弥生が思い出した過去。
それは、今一緒に暮らしている両親とは血がつながっていないということ
さらに、あの風変わりなおばこそが、実は自分の本当の姉なのだということ
でした。

弥生が幼い頃、家族で向かった旅行先にて、自動車事故で両親は死んでしまい、姉とともに現在の弥生の家に引き取られることになったのです。
弥生は事故のショックで記憶をなくし、そのまま引き取られますが、もはや別の誰かと暮らしてはいけないと考えられるほどの年齢だった姉ゆきのは、育ての母親の妹(つまり弥生にとってのおば)という関係となり、1人で暮らすことを決意したのです。


さて、ここで弥生に関して、2人の登場人物との関係が大きく変わっていくことになります。
 ① おばだと思っていた、姉ゆきのとの関係。
 ② 弟だと思っていたが、血縁関係にないと分かった弟哲夫

まず①の姉との関係ですが、弥生が記憶を取り戻して、向かった姉の家でそのことを告白した後、姉は不意に家を出て行ってしまいます。
「もしかしたら、このまま姉は帰ってこないのではないか?」と予感した弥生は、弟の哲生とともに、姉探しに向かうのです。

向かった先、軽井沢の別荘には、確かにゆきのがいた形跡がありました。しかし、本人はいなくなっており、
同じく彼女を追ってきたゆきのの元彼氏正彦くん(自分との子どもを一方的に堕ろし、一方的に別れを切り出されたが、不意に彼女から軽井沢の住所を電話で告げられ、急いでやってきた元教え子)とともに、ゆきのの行方は分からぬまま帰路に着きます。

さて、この軽井沢では、もう一つの②哲生との関係も変化を見せます。
実は哲生は、弥生があの家の娘でないことも、そして自身もあの家の子ではないことをかなり前から気づいており、必死に恋心を隠して弟を演じていたのです。
しかし、弥生が思い出した以上、隠し続けることはないわけで、軽井沢旅行にて、彼は弥生に告白をするのです。

姉の家に戻った弥生は、姉の部屋で、青森のガイドブックを見つけ、まさにそれが2人が生みの両親を失った旅行先だったことを思い出し、急いで青森に駆けつけます。
家族旅行では、事故のためにたどり着くことができなかった青森県恐山。
そこにゆきのは行く、と確信していた弥生が向かうと、やはりそこには姉の姿が。

ゆきのも旅すがら、再び家に戻ること、そして正彦君とやり直すことを考えており、もう大丈夫だと弥生に告げます。
東京では、弥生は弟が待っています。弟は弥生と姉弟ではなく、恋人として向き合うことを考えています。
この先、困難が待ち受けてはいると思いますが、弥生は前を向いて歩いていこうと決めるのです。


あらすじが若干長くなってしまいましたが、それだけ熱く語りたくなってしまったということでしょうか。。。
かなり面白い作品でしたビックリマーク

まず登場人物が非常に愛らしいのです。
素敵な箇所の引用とともに語りたいと思います。

その生活はズボラで、怪しい家で汚い家に住んでいるのに、実は一番多感なんじゃないのかな、という気がしてしまう姉ゆきの。
実在するとしたら、どんな人物なのだろうか、と気になってしまうくらい、魅力的な人です。
自分で決めたら、きっぱりと“なかったこと”にする、というのは強い感じもしますが、実は弱い人じゃないかなという弱さを感じてしまうのです。

引用ですが、弥生と哲生が軽井沢へ行ったものの、ゆきのの姿はなく、置手紙が残されていました。

「弥生ちゃん、
 本当にここまで来てしまいましたか、嬉しいな。
 旅は愛を深めますね。
                                    ゆきの」(p92)
全てを思い出し、自分を追ってくれた弥生に対し、素直に嬉しかったと語るゆきのは愛おしいのです。


その彼女とは正反対の、元恋人正彦。
実直であり、精悍な彼は弥生とは正反対な感じもします。
が、彼も妾の子として生まれ、忘れていた情けなく、誰とも分かち合えない懐かしく、胸の痛む思い出があり、同じくその胸の痛む過去をもっていたゆきのと結びついたのでしょう。

「僕の中には、もう自分すら忘れてしまった何年間かが眠っている。ほんの子供が、 お母さんを守ろうと心をくだいた、実に強くて情けなかった時代があったんだ。……(中略)……ゆきのさんに出会うまではそんなことすっかり忘れていたから だ。あの人は、そういったなつかしいものや、胸の痛むことや、どうしようもなく歯ぎしりをするようなことのすべてだった。」(p106)

表面は正反対だけれども、根は同じ2人の行く末を想像すると、良い方向に行ってほしいなぁと思うのです。


さて、忘れちゃいけない生まれながらに人格が高いと言わしめる、いい男哲生。
読んでいながら、「あぁ、なんてこいつはいい奴なんだろう」という思いを強く持ちます。
特に、弥生との関係を先の先まで考えていて、それがなんとも言えぬくらい気持ちが伝わってくるところが素敵なのです。

「夏が来るからっておかしくなってるわけじゃないわよね、私達。ずっと、こうだったよね。」
 私は言った。確かめたかった。
 子供の頃から。
 他の人と比べるたびに。
 この子でないと思うとつまらなかった。
「あたりまえだ!」
 と言って哲生が笑った。
「じゃあ楽しいね。これからは。」
「そうだよ、楽しいよ。」
 私が言い、哲生がそう答えた。恋人同士の会話なのに、弟の顔でまた笑った。それが何だかこたえられないくらい甘ずっぱかった。待っていたから。同じ家の中で、知らないふりをしてずっとこういうことを待っていたから。
(p140)

これから始まる、恋物語。それを想像するのも楽しいですニコニコ


そして、一気に読めてしまう、綺麗な文章を書く、作者にも脱帽です。

弥生が記憶を思い出していくというところから始まりますが、そもそも記憶を失くすというのは

「思い出したくないほどにショックなこと、もしくは思い出すことでショックが生まれてしまうこと」

なもので、この作品では、それを徐々に、丁寧に描いているので、まさに「哀しい予感」が「哀しい現実」となり、それを弥生が受け止める過程を、あたかも自分が弥生になったように読み進めることができるのです。


語りすぎましたが、では最後に、弥生の想像を引用して、それを私自身も思う願いだということにします。

「 いつの日か彼(正彦君-引用者注)はあの恐ろしい家に手を入れ、粗大ゴミのト ラックにあのゴミの山を持って行かせ、窓や門は修理される。あの家は、新居として生まれ変わるのだ。そこでおばと正彦くんは共に暮らす。お互いのやりいい ように、好き勝手に楽しく生きている。庭木は整えられ、日が射すベランダには子供もごろごろいる。もしも、私と哲生が姉弟としてではなくそこをたずねてゆ けたなら、そこだけでは、私とおばは当然のように姉妹として話をすることができたなら……(中略)……一瞬、私はつよく思った。それは許されることだ、そ ういう日は来てもいいはずだと。」
(p128-129)




   
総合評価:★★★★
読みやすさ:★★★★☆
キャラ:★★★★☆
読み返したい度:★★★☆
BOLERO/Mr.Children
¥3,059
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概要:1997年に発表された、Mr.Childrenの6枚目のアルバム。前作「深海」ではシングル曲が2曲しか含まれていなかったのに対し、このアルバムでは5曲のシングル曲が含まれており、直後に活動休止に入ったことから、いわば「ベストアルバム」のような、それまでのミスチルを締めくくるものとなっている。


総論:
非常にコンセプト色が強かったためにシングル曲が2曲のみしか入っていなかった前作「深海」と比べて、この作品はコンセプト抜きの「ごった煮」のような印象を受けます。「深海」で漏れたそれまでのシングル曲を詰め込んだみたいな汗
なので、1枚のアルバムとしてのストーリーは薄いと思っています。
活動休止寸前だったために、バンドとしての方向性を各々が悩んでいたのかなぁという気もします。
ただ皮肉なことに、楽曲の力はものすごいものがあるので(とはいえ、あまり好きでない歌もあるのですが)、私自身はよ~く聴いたものです。
ええ、ゆうに100回以上は聴いた気がします。
ミスチルが青春の1ページでしたからね宝石白

抄説:★は5つが満点で☆は0.5点。さらに違う色のタイトルにクリックしていただくと偏狭な思い入れの記事に飛びます。
1.prologue  ★
 オーケストラのチューニングから、不意に音楽が始まります。この始まり方、なかなか面白い。
 0:41からは、11曲目、「ボレロ」でも刻まれるリズムがスネアドラムで打ち続けられ、盛り上がりの中、2曲目につながります。


2.Everything(It's you)  ★★★★ 
これ以前のミスチルによく聴かれた、作りこまれた音、というよりは、割とライヴのような音

例えば、アコースティック・ギターはこれ以前、「カチャカチャ」といわば打楽器・リズムのような音でさりげなく聴こえる感じが多かったのですが、この曲では割にストレートに響き、エレキ・ギターもアルペジオ(左)とリズム(右)がうまく重なっています。

間奏のギターがピックアップされて、きちんとソロっぽいソロを弾いていることも、なんだか当時のミスチルとしては新鮮な印象を受けました
特に、このギターはラストのサビでもオラオラうなっていますドンッ


3.タイムマシーンに乗って  ★★★
「Everything(It's you)」よりも乾いた音がします。

しかし、ただ乾いているだけでなく、小林武史アレンジの真骨頂である、丁寧なブラス・セクションのバッキングがあることにより、サバサバ加減も抑えられて、いいバランスです。
このブラス・セクション、バッキングだけでなく、間奏では空虚なファンファーレが聴かれるのでなお面白い音譜

でも、アコギやピアノは結構乾いた感じで暴れているんですけどね。
しっかし、2曲続けてギターソロですか。

なんとなく聴いたことがあるなぁと思っていたら、前作「深海」の「臨時ニュース」でチラッと入っていたメロディでした。


4.Brandnew my lover  ★☆

タイトルのさわやかな感じを裏切る、なんだか怖いロック
前々作「Atomic Heart」の「ジェラシー」と「Asia」を足して、焦がした感じでしょうか。

でもですね、まあかっこいいといえばかっこいいんだけど、社会風刺的な歌詞が続くと、いくらメロディやアレンジが変わってもなんだか面白みに欠けるわけですよ。

Bメロのビブラフォンはなんだか印象的な不気味さがあって好きなんですが。


5.【es】~Theme of es~  ★★★★★
ストリングスを効果的に使い、かなり壮大なバラードに仕上がっています。
実は、私がミスチルを好きになった思い出の歌なのですニコニコ
ストリングスに限らず、この歌は非常に多彩な楽器が登場し、豪華なんですが、「無駄遣い」がないような気がします。

 ①サビで出てくる、「ピヤン」っていう音のスチールドラム、これが曲を壊すことなく、いい感じに使われている。このスチールドラムは、すぐ後に、「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」でも効果的に使われているし、確か小泉今日子の「あなたに会えてよかった」でも使われていたんじゃなかったかなぁ。小林武史さんのお家芸でしょうか。

 ②2番のBメロ「愛とは~」から少し大きめな音でハープの音色。

 ③間奏が切なくもあり、かといってポップスとよく調和するソプラノサックス。「抱きしめたい」でも使われているので、これも得意技でしょうか。

 ④展開部、ギターが打って変わってワウで演奏され、「展開」しているパートとして、かなり曲の印象を変えるのに一役買っています。展開部でいえば、それまでのべーっと弾かれていたベースもリズミカルになるので、より◎。

 ⑤最後は転調し、さらにギターが別のメロディ(オブリガード)を奏で、存在感をアピール。

うーん、ごちそうさまでした!!


6.シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~  ★☆
この歌、すごく人気ですよね~、嫌いとかいう人は聴いたことがありません。
・・・私くらいでしょうか?

個人的にはあまりサビのメロディが好きでないので、星が低めなのです。
なんかリズムも「タンタカ タンタカ …」の繰り返しで、単調な感じがしてしまって。

アレンジ的には「メインストリートに行こうよ」的な軽やかなピアノや、同じく軽快なストリングスもありますが、何となく売れ線的な作り物感があるんだよなぁ。。。ガーン

展開部は物静かで結構素敵なのですが、ソロがテナーサックスごりごりで、若干浮き気味な感じがします。

まあ、終わり方はミスチルっぽいですがね。


7.傘の下の君に告ぐ  ★☆
もういいよ、社会風刺は~あせる

ここまでで3曲も社会を風刺している曲があるなんて、苦い薬を何杯も飲まされているような…

この曲に関しては、サビで明るく長調なのがあんまり好きではなくて、その前のアコースティックギターが緊迫感を醸していてなかなかよかったので、残念です。

この曲では、アコースティックギターと、ソプラノサックスがなかなかの役回りを演じていますが、特にソプラノサックスはいい音をサビでオブリガードしてます。
間奏の崩れた音色はあんまりですが。


8.ALIVE  ★★★★ 
雄大なシンセサイザー、羽ばたくようなバタバタしているドラム、高音でハモリを効かせたベースから始まる、「おっ目ビックリマーク」と思わせる始まり。

前曲のように、AメロBメロ部分は短調、サビは長調なのですが、こちらの方が歌詞の「空しさと再生」に合っているように感じます。

2番からはバタバタドラムは乾いた音に変わり、ベースも無機質なゆったりとしたベースになり、サビではエレキ・ギターが「ジャーン」とコードを鳴らします。
展開部を経てラストのサビになると、ギターはアルペジオとなり、さらに転調によって、上昇気分がさらに歌詞と調和。

さて、しかしなんといっても個人的に大好きな部分は、アウトロ、右から聴こえるギターのソロアップ
フェードアウトしていく曲ですが、音量をあげて聴こえなくなるまでじっくり鑑賞をおすすめします。

個人的には、なんとなく全体的にもったりしているので、もう少し速いテンポだったら良かったなかぁとは思います。



9.幸せのカテゴリー  ★★★★
ギターとスチールドラムの重なった前奏から始まります。「Atomic Heart」の「クラスメイト」のような魅惑的なエレキ・ピアノもなかなかです。

この曲では、間奏も含めてビブラフォンがピックアップされていますが、
2番のBメロで始まり、サビでもお家芸のシンセ・フルートと重なった音が、確かに作り込まれた音が得意のミスチルなんだけれども、新しく聴く一面のようにも感じました。

確かに曲の構成は、「versus」などのようにきっちりしたもので、あまり個性がないベース音やドラムの響きを消している感じも以前聴いたものだったのですが、
この曲に関して、歌詞や演奏を聴いてみると、随分大人なサウンドに変化していっているなぁという風に感じました。

まあ、歌詞も結構男には良く分かる、ストレート過ぎる歌詞です。
ラブラブ真っ只中のカップル、彼氏がこの歌をカラオケで歌ったらどうなるのかしら。


10.everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-  ★
「Atomic Heart」の項でも、この「BOLERO」でもしばしば言及しましたが、ミスチルの音は、情熱がほとばしている乾いたロックというよりも、作り込まれた湿ったポップというものだと思っています。
少なくとも、この時期の音は。

しかし、この歌は、作り込まれた湿った感じでロックを演奏しようとしている感じが、どちらの良さも消しているように感じました。
まあ、何度も言うようですが、社会風刺はもういい!!ってって言う気もするし。

個人的には飛ばしてしまう歌です。

まあしいて耳につくところは、
 ①1番2回目のAメロ(1:01~)にピアノが入っているところ。
 ②女性コーラスにMY LITTLE LOVERのAKKOがいるビックリマーク
 ③間奏が終わってBメロに入るとき、ちょこっとベースが面白い音になる。


11.ボレロ  ★★★★★
タイトル曲ともあって、物憂げなピアノと、こもったドラム(個人的に好きです)で入り、1曲目で登場したオーケストラが伴奏として徐々に登場する雄大なバラード。

曲の壮大さとは異なり、歌詞はかなり個人的な愛について歌っているという、比例していない感じも好きです。

さらに、おそらく参考にしたであろう、クラシックの名曲、ラヴェル作曲の「ボレロ」のように、一定に刻まれたスネアドラムのリズム音も次第に強くなっていくのもいいですねぇ~。
ただ、このドラムのリズムって水戸黄門なんだよなぁ。

1番や間奏は、弦楽器と木管楽器が主体なのですが、2回目のサビからは金管楽器や打楽器も加わることにより、スケールがどんどん大きくなります。

3:53や4:07付近では、中国の楽器でおなじみの「ジャーンジャーン」というドラの音色が聴こえます。
この音、個人的にすごくすごく好きなので、星も甘めになってしまいました。

ただ、ベースとギターの音が聴こえません。ライヴではどうなるんでしょうはてなマーク
・・・そして、なぜこの歌がラストではないのでしょうはてなマークはてなマーク


12.Tomorrow never knows  ★★★★★
ああそうです。この歌は確かに好きですよ
それだけではなく、この歌はMr.Childrenの代表作として、そしてこの1990年代の傑作として、後世も語り継がれる名曲でしょう。

しかし、「ボレロ」の項でも指摘しましたが、なぜこの「ボレロ」がアルバムの締めではなく、この歌が最後の歌になってしまうのでしょう?
まるで、ボーナストラック、または食後のデザートのような扱いになっているじゃないですかビックリマーク
あ~、勿体無い勿体無いシラー(笑)

ただ、その1点のみをもって、この歌の評価を落とすことはないでしょう。

これぞミスチル!!
「CROSS ROAD」や「innocent world」のような若さは抜け(いい意味で)、アレンジも秀逸で展開も構成も面白い


では、まずイントロ~1番から。

イントロ、それはピアノと時折入る鉄琴、スネアドラムの縁を叩くリムショットが静けさと緊張感を生み、歌が始まると、0:45~は歪んでいないクリアーな音色のエレキ・ギターが加わり、サビからはオルガンによってコードが奏でられるのです。

そして、サビ終わりでアコースティック・ギターも入り、2番に突入します。

オーケストラではないのだけれど、それに匹敵するような音の厚みをもたせる作り方が見事です。


さて、次は2番
Aメロはバンド + ピアノ +(鉄琴)といったもので、Bメロにはシンセ・フルートが加わります。
ミスチルサウンドの完成ですね。

特に素敵なのでは左から聞こえるエレキ・ギター。AメロBメロでは8分で刻まれた、リズムのようなミュート音なのですが、サビ直前の2:39の「タララー」という音と共にオープンなサウンドに。
曲を壊さない音量が抜群です。


2番の勢いのまま間奏に入りますが、この間奏のソロを受け持つのがテナー・サックス。
そして展開部に入ると、いったんそのテンションを下げ、最後のサビに向け、急激に盛り上げ始めます。
とくにこの部分で必聴なのが、3:33から入ってくるシンセフルート
もちろん、シンセフルート自体は、何度も言っているようにミスチルサウンドにはあるあるなんですが、ここではなんとまさかの1オクターブ低い音が加わった、オクターブユニゾンを聴かせるのです。
低いことが入ることによって、「ぐぐっ」と厚みが増して「あぁ、盛り上がっていくんだろうな」という気分になります。


さてさて、ラストのサビですが、ここも手を抜いていません。
まずテナーサックスがオブリガードを演奏し、ここの音色・旋律ともにすばらしい。

このすばらしさが引き立つのが4:14、印象的な「誰かの たーめーに~」の部分。
歌、バンドともに同じリズムで「ザザザザ ジャージャージャー~」と演奏されているにもかかわらず、テナーサックスだけは唯一「パーッ」と伸ばす音。曲が途切れないので安心して聴けますね。

アウトロはコードを変えて、印象的なイントロのメロディを奏でて幕を閉じます。
いや~、よくできたものだにひひ
レベル:若干長めですが中学2~3年生レベルなので1日くらいで読めると思います。


ジャンル:アクション?


あらすじ(背表紙から):

Nick Lortz is sitting outside a cafe in Whistler, a village in the Canadian mountains, when a stranger comes and sits next to him.
She is young, pretty, and has a beautiful smile.
Nick is happy to sit and talk with her.

But why does she call Nick 'Mr.Hollywood'?
Why does she give him a big kiss when she leaves?
And who is the man at the next table - the man with sort white hair?

Nick learns the answers to these questions three long days later - in a police on Vancouver Island.


面白さ:★★☆


※以下、結末まで話します。嫌な方は見ないでください。











Goodbye Mr Hollywood (Oxford Bookworms Library)/著者不明
¥678
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内容:
美しいカナダのある村のカフェ。トラベルライターとしてこの地を訪れていたニックは、朝食後コーヒーを楽しんでいた際、見知らぬ綺麗な女性に話しかけられました。

彼女はニックに不意に“Mr.Hollywood”とのあだ名をつけ、自らはMystery girlと名乗り、彼女の後に入ってきた謎の60歳位の白髪の男を気にするように、ニックにキスをし、足早に去っていきました。

ニックは彼女が親しげに話してきたことや、最後にキスをして去っていったことを不思議に思うのですが、まんざらでもない様子で、次の目的地、バンクーバーへ向かうのでした。

しかし、バンクーバーに着いたニックを待っていたのは、訳の分からないことばかり。
まず、ホテルに帰る道すがら、急に背中を押されて車に轢かれそうになります。
さらに、帰ったホテルでふと目にした記事に、Mystery girlの写真が。どうやら金持ちのお嬢様らしいのです。
極めつけは、散歩の途中、急に鉄砲で狙われ、追いかけられてしまう。

そして、ニックは思い出していきます。
どうやら、自分を狙っているのが、カフェで見た、60歳くらいの白髪の男らしいこと。
そして、Mystery girlと話した際、彼女の半開きのバックの中から見えた、
「金曜の午後、バンクーバー島のヴィクトリア、エンプレスホテルで会おう」と書かれた手紙。
ニックは、全ての謎を解くべく、バンクーバー島に向かいます。

さて、バンクーバー島に着いたニックは、エンプレスホテルで、男と談笑しているMystery girlを発見。どうやらその男が真の“Mr.Hollywood”だったようで、Mystery girlと交際しているとのこと。
そのことが判明したつかの間、あの白髪の男もホテル内に入り、“Mr.Hollywood”をニックと勘違いしたまま、ニックを銃殺しようとします。

しかし、あわやのところでニックは助かり、白髪の男は警察につかまります。

さて、警察署で事件の全貌が判明しました。

Mr.Hollywoodは、いわば結婚詐欺のような男で、白髪の男は、かつて彼と交際して騙した女性の父親でした。
その女性は裏切りを知った後に自殺したため、その復讐を企てようとして“Mr.Hollywood”を狙ったのでした。

Mr.Hollywoodが結婚詐欺師だということを知っていたMystery girlの父親は、彼との交際を止めるべく、奔走していたのですが、「恋は盲目」状態に陥っていた彼女は、父親から逃げ、さらに父親の雇った追っ手だと思っていた白髪の男性を騙そうという意図から、ニックを“Mr.Hollywood”に仕立て上げたのでした。


感想:

 Mystery girlと、その父親の馬鹿っぷりにはただただ呆れます。

なんの罪もなく殺されかかったニックに対し、なんのお詫びもしません。
しないばかりか、馬鹿親は、
なんの興味もないようにニックを一瞥。

ニックもニックで、もっと怒れよむっ

ストーリーはなかなか面白かったのですが、ラストがイライラしすぎて、なんだか後味が悪かったです爆弾