
出張で読んだ本
5週間で3週間海外にいた。韓国・フランス(パドカレー)・アメリカ(カリフォルニア)。ということで機内及びホテルでの読書は進む。
「森の中に埋めた」「母の日に死んだ」(ネレ・ノイハウス)
ドイツミステリの女王、ノイハウスの近作。買ったのはコロナ前とか最中。だけど出張がないので読む時間がなく、今更。ちなみに新作が2つもう出ているらしくて、うち1つは翻訳中とのことで、楽しみだ。このシリーズは最初に翻訳された「深い疵」からハマってしまって、全部読んでいる。フランクフルト周辺の土地で起きる事件をオリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン(伯爵)首席警部とピア・ザンダー(旧姓フライターク→キルヒホッフ→)首席警部が難事件を解決するわけだが、毎作テーマが近代の諸相を切り取った(すくい取った)もので、最近はミステリの形をとった人間理解のようなものになってきて(これは次に紹介する作品も同じ)、ますます次作が楽しみだ。
「ノーカントリー・フォー・オールドメン」(コーマック・マッカーシー)
最近亡くなったマッカーシーの作品で、自分は知らなかったが映画化もされて(「ノーカントリー」)、アカデミー賞にもノミネートされたらしい。これもミステリの形をとっているが、アメリカ社会の深刻な深淵に切り込んだ傑作だ、という印象。映画は相当に陰惨らしく二度と見たくないという人もいるらしいが、見てみたいなぁ。
「動物農場」(ジョージ・オーウェル)
言わずとしれた「1984」で有名なオーウェルの激烈な共産主義批判の書。文面は平易で童話調だが、内容は重い(そして笑える、これこそ寓話文学)。「カタロニア讃歌」で右翼独裁と戦ったコミュニストが、そこで左右を問わず「独裁」というものの問題性を肌で理解して真の民主主義・自由主義の守護者となった到達点が記されている。これは必読。
その後
ウーヴェと中野が外れて、ファカタバと下川が登録。
ファカタバのジョインは大きい。前記事でも書いたが走れるFWは貴重(特にタタフ不在だし)。下川は派手じゃないけど堅実。ウーヴェはちょっと残念だけど中野は残念じゃないよ。メンバー的にもBK15人の最下位だったはずだし、サモアに通用しないCTBは不要。出られるのかどうか不明だけどフィフィタは本来CTBだし、長田がなんとかなりそうだ、ってことで外したんでしょうね(コンディション不良とは言っているけど)。
前回は直前の南アフリカ戦までずっと茂野を使っておいて、本番で一回も登録させしなかったジェイミー。意外と策士なんだよね、という印象で(願望込み)、いざ始まってみるとフィフィタとかディアンズとか出てきたりしてね・・・。
とはいえ、とにかくイタリア戦はひどかった(みたい)。五郎丸が冷めた辛口コメント連発してたそうだが、まぁ夜更かしして観戦しなくてよかった。とにかくキックが2/6ってどうよ・・・。まさかキッカーで苦しむことになるとは・・・。松田がここまで外すとは・・・。トップリーグの準決勝まで完璧だったのに、決勝でリズム狂ってそれっきりですか。広瀬も五郎丸も同意見だったらしいけど、とにかく現代ラグビーでキック外してたら試合にならん。とはいえ今のジャパンで他にうまいキッカーって山沢くらいで、もう取り替え効かないし(野口が大学時代は上手かった記憶あるけど)、奇跡でも起こって突然入ってくれるのを祈るしかない。
良くて2勝2敗、全敗すら可能性ゼロじゃない気がする。
ジャパン代表発表
トンガ戦は冴えない辛勝、フィジーには完敗、ということで「その2」がなかった代表戦シリーズ。ということでいよいよ代表発表の日だ!
予想どおり33人全員は発表せず。予想された理由はひとえにラピースの処分次第なのか、と。以下、メンバー。まずはFW。
PR1:稲垣、ミラー、ハラシリ
PR3:具、垣永、バル
HO:堀江、坂手、堀越
LO:ムーア、コーネルセン
FL:ガンター、姫野、リーチ、福井
PR6人はやや多いと思うが専門職なのとメンバー変えながら勝つというのが今回の使命なので仕方ないか。HOも3人は多いように思うが、ここはPRのケースとは違って受け身な理由か(堀江に八面六臂の活躍はもうお願いできない一方で、坂手の信頼感がない)。ディアンズは外れたが直前5試合で一回もメンバーに入っていないので、これはもう仕方ない(コンディション不良で間に合えばand/orラピースの処分が軽減されなければ入る、かも?)。タタフも外れて、これは攻撃力という意味では痛いんだが、ディフェンスが不安なのでこちらはこのまま外れたままかも。ヘル・ウーべが外れたのはやや意外だが、これも追加ある?同じくファカタバも(走れるFWは貴重)?ではHB/BK。
SH:流、斎藤、福田
SO:李、松田、小倉
WTB:フィフィタ、ナイカブラ、マシレワ、レメキ
CTB:中村、長田、中野、ライリー
FB:松島
1試合も先発じゃなかった福田、小倉、レメキ、フィフィタが入った。(小倉は1試合リザーブあり、だけど他は全部メンバー外だったはず)。SHも毎回3人なのでこれは順当。やっと茂野を切ってくれたよ・・・。SOはやはり2人じゃ厳しいんだろう(とはいえ小倉は基本出ないか、チリ戦リザーブくらい?)。フィフィタはいないと困る人なので本番ではなんとかしてくれる、と信じてる。レメキが入ったということは松島をWTBでは使わないという決意表明とみた(実際FB登録だし、キック処理の上手さから考えてもFBは適任)。同時に、ということは山中を切ったということ(追加でも呼ばれないとみた)。あのプレーの不安定性とチーム全体のディフェンス力の低さからはFB山中は(大当たりするかもしれないけど)怖くて使えない。一方でWTB陣のディフェンスの弱さも不安ではある(特にマシレワ)。CTBは概ね順当だが、中野を選ばないといけない、というところに台所事情の苦しさがあるなぁ。マッカランじゃダメだったの?ラグビー理解では中野より上な気が・・。
とここまで書いて、FW・HB/BK共に15人づつということに気づいた。3人残りの枠があるので・・。3人ともFW、とかあるのかなぁ。だとすると(ラピース/タタフ/ウーヴェ/ディアンズ/ファカタバ)から3人か?1人BKからだと消去法で山中だなぁ。松島を休ませたいときにいきなり小倉FBは怖すぎる(チリ戦なら可能?でもそれなら山中FBでも十分か?でも1試合しか使わない山中を入れるよりSOでも使える小倉を入れるほうが順当という判断なんでしょうね)。ポジション的にも他は十分だしもう1人増やすチョイスはなさそうだし・・・。でも1人BKとなると入る山中を今回選んでいない、ということは選ばない方向なんでしょうね。ラピースを入れられるなら山中もいれる、ラピースがダメならFW3人って感じ?
全体に前回より戦力ダウン感は大きい。結局4年かけて大きなメンバーの新陳代謝もなかったし、福岡の代役も探せなかった(ついでにFBの後任も・・・。だからなんで野口を・・(ブツブツ))。アルゼンチンに勝てる雰囲気、ないよなぁ・・・・。
(追記)
山中は正式に外れたみたいだね。これで追加の3人はFWで確定ですか。「試合に出してなんで落選」とか出てるけど、出た試合の出来が酷すぎた、ということがなんでわからないのかね。
ジャパン代表戦〜その1〜
いよいよW杯イヤー到来だね!4年って早い。
思えば前回はコロナ炸裂直前で、まぁ本当にいいタイミングだった。日本大会が流れていたら泣くに泣けなかったよ・・。で、今年はフランス大会。相手はイングランド・アルゼンチン・サモア・チリってことでなんとかアルゼンチンには勝ってベスト8には入ってほしいわけなんだが・・・。
昨日はその同じグループの相手、サモアとテストマッチ@札幌。先発メンバーはやっぱり手の内を完全には見せない感じで、フィフィタやディアンズ、中村は欠場(なんとなくコロナが流行してる感じもあるんだけど)。先週までのNZ Bチーム相手でそろそろふるい落としは明確になってきた感じで、マシレワや小倉、サウマキ、堀越、福田、マッカラン、木田はもう使われないんじゃないか、というところ。まぁ怪我や病気が理由であればあと2試合で復帰もあるかも、だけど。で、試合だが、目を覆いたくなるような不出来な試合で、ノックオンの異常な多さ、FWが前半やられまくったこと、チームに芯がなく落ち着きがないこと、BKに全体に前回のような流れるような鮮烈なサインプレーが無いこと、などなどもはや本選での不安しかない。全体にコロナのせいもあるんだろうけど練習時間が足らない感じ。個別に見ると、山中と中野はもう使わなくていい。山中は元々サイズの割にキック処理で下手で松島のような正確性も駆け引きもなくて、ただデカいだけ。おまけにプレーにも波が大きく、昨日も無人の広野に蹴ればいいだけのキックをダイレクトに出してしまって・・。中野は早稲田のときから評価してなかったが国内ではBKにしてはデカいので脅威になっているものの、同じ感覚でテストマッチでも相手に突っ込むので昨日なんかはSOに青天喰らってみっともないこと甚だしい。ジャパンのCTBはパスもランもサインプレーも極限までの精緻さが求められる(前回の中村・ラファエレのコンビはそこを研ぎ澄ましたことが成功の秘訣かと)のに、それが欠如してるんだから・・・。スクラムは後半メンバー変えて安定したが、どうやら坂手がダメだったの・・?坂手はスローも安定しないし、かといって堀江が80分は出られないし、でHOも頭痛いポジションだ・・・。
全体に(何人か新戦力もいるものの決定的なピースになりきれていなくて)前回大会の主力がそのまま残っていて世代交代に失敗している印象で、おまけにわかってはいたけど福岡の穴は4年かけても埋められず、これは2勝2敗どころか1勝3敗すらありえる、相当にまずい状況。昨日は本当に暗い気持ちになった・・・。
最近読んだ本
「スピノザ 人間の自由の哲学」(吉田量彦)
スピノザは國分功一郎の「暇と退屈の倫理学」で一気に興味が増したところに、斎藤幸平の「人新世の資本論」にも思想的親和性が匂わされていて、閉塞したこの21世紀をなんとかできる思想的バックボーンになりうるんじゃないか、と思ってる。ということでこれも読んでみた。全15章立てになっていて、要するに大学の講義半期分。コンパクトかつ、細かいところはうまく捨てて本質的なところをミニマムに伝えている良書。「自分に固執する力=コナートゥス」を起源に、人が自由に思想を考え論じることがいかに人間の自然権として重要でそれを侵食する国家が以下に邪悪で潰れるか、明確にしてくれる。最近ことに引退後(といっても10年以上先だけど)になにかをしっかり勉強してもう一度博士号をとりたいと思っているので、哲学とか美学とか倫理学とかに興味がさらに湧いているんだけど、そろそろ受験先を考えないとね!
「ツバメのひみつ」(長谷川克)
近所にいくつもツバメの巣があって5月くらいから7月初旬まで楽しませてくれるんだが、その生態を知りたいなと思っていたらちょうど新聞書評で見つけたので即購入。著者は動物学研究者でもちろんツバメの専門家。自分は生物との親和性が古文並に悪くて、学生時代はマトモに、というか全く勉強しなかったわけだが、そういうわけでこのくらいの解説書が実に自分にはちょうどいい。益々ツバメへの関心が高まると共に、その寿命の短さ(長くても3年くらい)とせっかく巣立っても生存率が極端に低いこと(越冬して戻ってこられるのが5%)故に愛着が湧いた。動物好きな人にはオススメ。
「テロルの原点」(中島岳志)
昨今いろいろ物騒な事件も多くて世情も騒がしいが(とはいえ凶悪犯罪の件数は戦後一貫して下がり続けていて、体感治安の悪化は統計とは全く一致していないのに、印象操作でプライバシー的に危険性のある防犯カメラの大量装備やら盗聴やら、民主主義の根幹を切り崩す動きには騙されないようにしないといけないんだけど)、それに関連して一冊読んでみた。初版は2009年だそうで(「朝日平吾の鬱屈」が初版タイトル)、今年加筆再版という感じになったみたいだが、昭和初期の安田善次郎(安田財閥創始者)暗殺事件にフォーカスして、社会に格差と閉塞感が溢れたときに吹き出すテロリズムとそれを踏み台にして権力側が統制を強めていくさまを読み解いた一冊。一応?それを批判的にとらえて批判的メッセージを発信しているんだが、一方で安田暗殺と安倍暗殺の背景が全然違う上に、初版発行時の秋葉原大量殺人事件は背景は同じだが権力者や所謂俗世の成功者を狙ったわけじゃないという方向性の違いもあって、もう一つ隔靴掻痒感がないわけじゃない。止むに止まれぬテロリズムの発出をいかに抑えて権力者のさらなる横暴をさけるか、という方法論まで掘り下げてほしかったなぁ、というのが感想。
名将・吉田洸二、再び
もう完全に旧聞に属するけど、選抜で優勝した山梨学院大付属。監督の吉田さんといえば清峰高校を一世風靡した名将。本紙でも2009年の初優勝(選抜)のときに記事にしてる。
コーチだった清水さんと訣別して山梨に異動して(出身が山梨学院大)いい選手はいるのになぜか勝てずに苦労している感じだった。相棒の清水さんは佐世保実業で甲子園に行くも熱すぎる指導で馘首に。でも再度、大崎高校で甲子園に出て、訣別後は清水さんのほうが成功してる感じだったわけだが、遂に吉田さん復活でめでたい限り。
諸事多忙だったのであまりちゃんと全貌をフォローできてはいないが、チームづくりも戦術も清峰高校時代を彷彿とさせる丁寧で些事まで徹底した野球という感じがした。清峰高校初出場のときから名将として評価していたので大変うれしいです。おめでとうございます。夏も楽しみ、だけど投手1人だとさすがに厳しいか・・。
久々の演奏会
6年ぶりに京大オケの演奏会に行った。集客ピンチ情報もあったので・・・。
振り返ると200期以来、予定が合わなかったり指揮者and/or選曲が合わなかったりですっかりご無沙汰。コロナからの暫定復帰演奏会も足が向かず、ましてやライブ放送を見る気にもならず・・・。相当に引きこもり状態だったんだなぁ、と。今回はどうやらメンバーが人数的にも質的にも限定されるらしく、プログラムがやたら保守的。まるで自分が現役だったときみたい。
演奏のほうは、前半のマイスタージンガーとベー1は音はまずまずキレイなものの、入りが微妙に揃わなかったりところどころアンサンブルの精度が落ちたり。あとなんだかすごく薄口の演奏で、おとなしいのか実力相当なのかよくわからず。全体にあまり鳴らないオケだなぁ、という印象。さらに近くに「頭に浮かんだことを全部言語化して発声する」奇矯な御仁がいて、さすがに演奏中は喋らないものの、そういう方の常でゴソゴソ落ち着きがない。ということで後半は席を移動してブラ4に臨む。ブラ4は立ち上がりからオケ全体がよく鳴っていて、ようやく暖機運転終了か、という感じ。指揮(大友直人)は初めて見るが、ものすごく動きが少なく、解釈も良く言えば本流、悪く言うと平凡、でオートパイロット的指揮。自分がこれで弾くとなるとかなり大変そうだな、よくこれでできるな、と思いながら、しかし演奏は白熱して完。まぁここぞというところは指示も出てそこでオケも反応してるので、まぁいいのかな。好みでいうと、コーダで減速して解決音が長いブラ4は好みじゃないんだが(クライバーの影響)、演奏としては熱演でなかなかのいい演奏だった。
これでようやく普通に活動できるそうなんだけど、メンバー的にはいろいろ大変そう。弦楽器はずいぶん上手いと思うが、メンツの数が不足気味みたいで、管楽器はObとTbが危ない感じ。Flは若いから仕方ないけどまだ生硬だし、傑出したスターが不足かなぁ。フランスものとかのセンスがいる曲とか、マーラー系の極限勝負系は苦しいんじゃないか。これでよく前期ブルックナーやったなぁ、と(あ、ブルックナーはこれでもいいのか?!)。
サロメ@ザルツブルグ
しばらくそういう気にならなかったのでオペラを見なかったんだが、ようやく精神的にゆとりが出てきて昨年末に買ってあったサロメを見た。2019年のザルツブルグの公演ライブ。
サロメは別記事でも書いたように人類の宝である大傑作にもちろん入る大傑作オペラで、たいてい何を聴いても感動しちゃう。今回もそう。メストの指揮・ウィーンフィルの演奏は、いまひとつキレというか切断力に欠ける演奏で、テンポもやや遅め。さらにヘロディアス役がいい人そうで、声にもルックスにも演技にも変態性が薄い。なんだけど名演になったのはひとえにアスミク・グリゴリアンのパフォーマンスが素晴らしかったから。当時30台でルックスもスタイルもサロメに合っている上に声質がよくておまけに響く響く。堪能できた。演出は演劇畑の人(カステルッツィ)なので、あまり奇をてらうこともなく、象徴的な小道具が比較的わかりやすい形で散りばめられた邪魔にならないけど象徴性もあってまずまずいい演出だった。