晴れのち土砂降り
ラ・プティット・バンドの演奏会はこんな感じだった。
前半、ヴィオロンチェト・ダ・スパーダ(だったか)というチェロの原始楽器みたいなものでクイケンがバッハの無伴奏チェロ組曲の1番をまず演奏。「音が鳴りにくい楽器」というのが第一印象。カビが生えた、というか終始ジミ~な演奏ではあったが、5楽章から6楽章への展開が絶妙で、極端にいえば会場の空気の色彩が変わるような一瞬だった。
2曲目はヴィヴァルディのリコーダー協奏曲(ごしきひわ、という副題)でこれは大好きな曲なので十分に堪能。「バロック=ロック」と感じている私だが、ヴィヴァルディって本当にロック魂溢れているなぁ、と実感。ヴィヴァルディ以外ではプロコフィエフにロック魂を感じるな。
3曲目は音楽の捧げ物。バッハってなんて「新しい」んだろう!と感銘。
4曲目は再度ヴィヴァルディのソプラノリコーダーのための協奏曲。これが秀逸で昨日の演奏会の白眉、と言ってもいいかも。あっと驚くようなトリッキーな分散和音の連発。ソリストはすばらしかった(なんだか物理の研究者みたいな人だった)。tuttiも実にすばらしく、一陣の疾風が吹き込んだよう。
5曲目はバッハの管組の3番(弦楽合奏版)。終楽章が始まった瞬間の音楽の開き方といったら!(吉田秀和調)
と物凄く期待して最後の「四季」へ。と、これがダメだった。原因は全てソリスト(クイケンの娘?)。好みの問題があるのかもしれないが(と最大限譲歩しておいて)、とにかくあの音程の取り方が許せない。バロックは基本non vibなので音程と音色が全て。そこにきて音程があんなに下から取る音程では全くハモって聞こえない。正直tuttiのVn弾き2名(うち1名は日本人。立ち姿が美しくかっこよかった。)のほうがずっと上手いのでは?なぜこんなのがソロ?だいたい最初の音からして素人くさくて「こりゃダメだ・・・。」と慨嘆した。
ということで最後がショボくてがっかり。あれが情実人事だとしたらこの団体の未来は暗い。
合宿・演奏会
ゼミ合宿で1泊2日、みっちり勉強。今回は特定のテーマで本当に勉強になった。ゲストの先生はさすが!ご招待した甲斐があった、というもの。ESRの勉強への情熱がふつふつと。
今日は久々に演奏会へ。ラ・プティット・バンド。遂にクイケンに会う。
吉田秀和・数学
「永遠の故郷~夜~」を読了。
予想に反して(?)歌曲中心の評論だったので十分に理解した、とは言えない。どうも4部作にしたい模様で、将来的にはラヴェルなどフランス歌曲の評論もしたい由。自分は歌曲はやっとシューベルトのすばらしさとR.シュトラウスの良さが分かったくらいなので、ヴォルフとかシューマンとかはまだまだだなぁ・・・。ということで今後出版される予定の3冊を買うかどうかは微妙。しかし吉田氏の評論はどこか味があって品が良くて好き。
現在は「ポアンカレ予想を解いた数学者」を。巷でも噂になったロシア人数学者G.ペレルマンが解決したポアンカレ予想を巡るドキュメントタッチの本。とはいえ著者は数学者(位相幾何学)なので途中何箇所は集中して読まないと置いていかれそう・・・(苦笑)。記憶では教養課程で幾何学はとらなかったので(ダメ学生。微分積分・線形代数・複素関数論・数理統計学・解析学くらいだったか?あとは物理数学全般。これじゃだめだなぁ。)、感覚的にしかわかってない。読んでいて思うのはペレルマンも凄いがサーストンがそれと同じくらい天才だ、ということ。数学者ってすごい。自分は大学受験の時点で既に数学科への夢を捨てたので本当に尊敬。高校の同期で広中平祐の数学ゼミに選抜されて夏休みに行っていた天才肌の奴がいたが、そんな彼も結局数学とは別分野の研究者になったし本当に競争は激しそう・・・・。高校の後輩で1人だけプロの数学者になったのがいるけど・・・(彼は理論物理をやるはずだったが超弦理論の登場で数学に転向して成功した)。数学関係の本を読んでいると自分の非才ぶりが身に沁みて辛いなぁ(苦笑)。
仙台レポート
2箇所で今後の研究(実験)計画をどうするか、という打ち合わせを終えて帰宅。
うち1箇所は気の置けない仲間なのでかなりリラックス&楽しく。もう自分の貢献できる部分はないことを自覚し、老兵は消え去るのみ、という心境に到達して(笑い)ポスドクさんの活躍を祈ることにした。終了後、畏友T氏、T氏の恩師で私も大変(尋常ではなく)お世話になっているI先生、ポスドクのO氏と4人で食事に。ダボスというベルギービールの店。
ここは料理もビールも美味で店構えからは想像しにくいよい店。仙台にいくたびに寄ってしまい痛飲する。今回もたっぷりの味わってしまった。楽しんだのは楽しんだが、会話の中身はかなり生々しい人事の話(含む、私たちの未来)。でも大学で研究する、ということは安定と正反対の人生を歩くことなので仕方ない。(これって一般の人にあまり知られていない事実)
なんとなく重い会話だったこともあってT氏ともう1軒。となるとワインバー”Timone"。ダボスからわりに近くにある。明治屋のバイヤーだった方が独立したらしく、品揃えはよい。料理も美味しい(特にチーズ)。お店も居心地よいし、「こんなものが飲みたい」というとそれにぴったりのワインを出してくれる(しかもかなりの上物がそこそこの値段で飲める)。完全にはまった。
翌日、もう1箇所はかなり緊張して過ごす。なんとか研究計画の面白さを納得(?)してもらって終了。途中、助教の方から結構ネガティヴな意見が出て焦ったが、ともかくまずはやってみましょう!ということで幕。早速試料作りを開始。学会の申し込み締め切り直前なので、学生も焦るがこっちだって焦る。あと3週間がまずは勝負の第1幕。
最近のNHK
BSのお話だが、よい番組が多い。特にハイビジョン。うちはハイビジョン画質では見ていないが(苦笑)、ハイビジョン放送で特にいい番組が多い。
音楽面で言えば、既に書いたバレンボイムの特集や、「グレン・グールド~永遠のピアニズム~」などドキュメンタリーの秀作を放送してくれる。「グールド・・」は自分がファンであることもあって、本当に楽しめた。どこから見ても変人。で人嫌い。いいねぇ、こういうの。あこがれる。アファナシエフの特集もグールドの後継者色が出ていてこれも見ごたえがあった。
オペラのほうでも今月はずっといい番組。ペレメリ、アラベラ、トラヴァトーレ、椿姫なんか。フィガロの再放送もあって、取り直したくらい(DVDへのダビング編集をミスしたので)。HD-DVDレコーダーを買ってから、オペラのDVDを一切買わなくなったので非常にいい投資だったといえる。
音楽だけじゃなくて、社会派ドキュメンタリーもいい。今週はアフリカ特集で、ダルフール(アラブ系とアフリカ系の壮絶な殺し合い)、リベリア(ブラックホーク・ダウンという映画にもなった)などなど時代性のあるいいドキュメンタリーをやってくれる。民放系では旅行番組が意外といい(基本が低予算番組なのでうるさいタレントが出てこず、グルメだ、買い物だ、と消費に溺れる感じでもない)。
ということでどんどんHDには番組が溜まる。研究のほうも忙しいので、研究(放電)と読書・テレビ(充電)のバランスが難しい・・・。
今日から仙台。新しい実験の議論など。
論文は流転の道へ
先日から苦闘している重要論文は再チャレンジ(語感悪すぎ。あの無能宰相がフラッシュバックする。)するもあえなく轟沈。今日メールで返事がきた。
ということで流転の道をまっしぐら。さっさと本文とカバーレターを書き直して兄弟誌に投稿。ここにひっかからないとさらに大変な流転の道をたどる。もう1回アメリカ系の有名誌に行くか、諦めてPhysical Review系に行くか。でもPR系の場合は結構書き直さないとダメなんで、面倒・・・・。
さすがに2回目はショック耐性がついて、数秒だけ落ち込んで、それでおしまい。こうやって人間鈍感になるんだろう。
皇帝陛下はシカゴへ
一部報道されているみたいですが、皇帝陛下、ことムー ティがシカゴ交響楽団のシェフになる、とのこと。
スカラと喧嘩別れをして以来どこに行くのか(またはもう常任をしないのか?)と本紙をやきもきさせた陛下ですが、驚きのシカゴ行き。でも昔フィラデルフィアにもいたし、アメリカもイヤではないんだな。
シカゴといえば現在常任のバレンボイムと15年のお付き合いにピリオド。先日NHKで放送されたバレンボイムのドキュメンタリー(ちょうどエルサレムでワーグナーをやった直後に取材されたものでやや古いがそれはそれで面白かった)でシカゴのメンバーが口をそろえて絶賛していたのがやや意外だったわけだが、どうもショルティが厳しすぎて嫌気が差して適当なバレンボイムがよかったらしい、という噂も聞く。実際、バレンボイムを賞賛する台詞が「彼は我々と同じ目線でいてくれる」とか「我々の気持ちを実によく汲んでくれる」とか、「要するに厳しい練習はイヤってことなのか!?」という感じ。
ただ、結果としてサウンドは緩んだ、というのも事実なんでそろそろ厳しい人にビシビシやってもらおう、ということなんだろうか?陛下はきっと厳しいだろうなぁ。ウィーンでは楽しくやっていたようだが、それはウィーンだから、なわけで。でもシカゴに行く機会があったら是非拝謁したものだ。
しばらくぶりで
読書記録などを。
先週金曜日は論文は再投稿し、もう1つは査読中、もう1つは筆頭著者と打ち合わせを終えたのでちょっと時間ができた。今日は専門誌から依頼の解説記事を集中して書き上げた。
で読書。漸くオルハン・パムクの「雪」を読了。表現や話の展開は平易だが実に構造は複雑でよく練られた作品、という印象。あまりに繊細にくみ上げた作品なのでディテイルを把握しきっていない可能性もある感じ。その後吉田秀和の新作を開始。ドイツ語に堪能な氏らしくR.Straussの歌曲などを題材にしたエッセイで読み応え(重量感)がある。こちらも文体は平易なのに味読する価値あり、という感じ。平行しているのが「パブリッシュ・オア・ペリッシュ」。こちらは研究者の発表倫理に関するルポで、みすず書房から出ているだけあってしっかりした(過度にスキャンダラスに流れない)本。自分も直接会ったことのあるJ.S.博士の捏造事件とか、みんな知っているお隣の国の「最高科学者」(名称がダサいと思うんだが)の捏造だとかをテーマにしたサイエンスの健全性に関する内容でいろいろと勉強になります、という感じ。近年、科学(特に生物)業界で捏造とか多いんだが、他山の石としないと・・・。
連休明け
いきなり実験で筑波に出張。学生さんは居残って頑張っているが、自分は重要会議に参加しないといけなくて大学にもどる。筑波滞在中は例の茨城県沖地震で夜中に起こされビビる。結構揺れが長かったので。
今日はなんと講義が2コマもある特異日。どちらも今回だけなんだけど、同じ日になるかねぇ。1年生は今は元気、という熱心なんだけど、これもいつまでもつかなぁ、という感じ。研究室のほうもなんだか実験の進捗が悪くてそろそろキツく〆ないとだめかなぁ。
鬱々とした連休
数少ない読者諸兄姉は連休はいかがだったであろうか?
自分は、というと重要論文の返事を待ちながら鬱々と過ごした(苦笑)。おまけに連休最終日に驚愕のrejectの返事が。納得できないので、いろいろな方と相談した結果、修正して再投稿、という運びに。今日、再投稿した。まぁ期待していない(笑い)。
ただ返事を待っているのもなんなのでちょっとテニスをしたりもした。唯一の気晴らしか。あ、あと洋食を食べに 行った。「グリル小宝」という30年くらい続いている洋食屋。自分が学生時代は「おいしいけど高い」(学生の予算ではほぼ無理)、ということで1回しか行けなかった。江戸の仇を長崎で、とばかりに(実は違う。江戸で仇をとったことになるね・・)、食した。連休ということもあってすごい人。味のほうは昔のままだった。昔は量が少ない、という印象だったが、今は多い、という印象。年とった、ということかな。
食後は近くの南禅寺や疎水を散歩。若葉も美しくリフレッシュできた。帰宅したら、さっきの悲報・・・。ということで散々な連休だった。