ouroboros-34のブログ -7ページ目

ouroboros-34のブログ

こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

「て」で始めて「あ」で終わる俳句、季は雑(ぞう)。ウラは逆に「あ」で始め「て」で終わる俳句、季節は初冬。そんな二重構造俳句です。「あ」がむずかしいのは案外でした……

て——あ   

電脳と/終日縷箱/まだ沈痾           (雑)
 でんなうと ひねもするばこ まだちんあ
アンチ魂/小春須も陳/東南で         (初冬)

季語: 小春・初冬。
電脳(でんのう):パソコンの中国語表記。   
終日(ひねもす):朝から晩まで。一日中。
縷(る):精密。ここではパソコンを比喩的に「縷箱」としたもの。
沈痾(ちんあ):長患い。宿痾。
小春(こはる):陰暦十月の異名。小六月。
須(す):①求める。②しばらく。③梵語の音訳に使用する語。
陳(ねび):陳人(ねびびと)のこと。経験豊かな老人。
東南(とうなん):巽(たつみ)の方角。東南諸国連合(アセアン)。

 パソコンに一日中はまりきってまだネットに夢中だや。
この小春日和の穏やかな日に、唯物論者のくせに親切ごかしの唱導で手懐けようとちょっかいを出す、老大国はどこのどいつだ?

言葉のせめぎ合いがめだちますね。やりかえましょう。

天津司舞/終日暇な/レクシ査「ア」      (晩春)      
 てづしまひ ひねもすひまな レクシさ「あ」
朝時雨/生干すもねび/日増しつて        (初冬)

季語:天津司舞・晩春。朝時雨・初冬。
天津司舞(てんずしまい):山梨・甲府の天津司神社で行われる傀儡田楽。木造人形の神事芸能。
レクシ:『記号学の冒険』(ロラン・バルト)のテクスト解析の手法の用語。文章を最小単位に分解しそれぞれを「読書単位(レクシ)として生成言語構造を探求する言語学用語。
つて:「とて」の転。動作・内容を話題として提供する。といって。
生干(なまび):生乾き。なまぼし。
ねび:「ねぶ」(上二動詞)の連用形。老人のようになる。ふける。大人びる。

 木偶田楽を見物したりしても暇をつぶせない。言語学入門(イロハ)でも、みながらひと眠りするかい。
 朝から、しとしとだよ。生乾きで鄙びた妙な匂いがするし、日増しに暖かく?ならいいけど……

「レクシ」。懐かしくもクルシいですね。カビにまみれた知識の総動員ですウ。
現代詩をつくり、出しました。
『幻代詩アンソロジー』Vol.4という本です。《回析散文詩/源氏物語和歌に隠されたヒ・ミ・ツ》というタイトルです。おそるおそる出したのですけど、初めての挑戦でしたが、ヒトを驚かせるのが現代詩だとおもいました。文芸アクロバットです…芸術なんかじゃなく…   ライトバース出版・刊¥1500. 投げ銭はsそちらへ。

え——て  

化偸草生の/蘊蓄ながし/義 口説いて         晩春
 えびねふの うんちくながし ぎくどいて
貞徳忌/しがなく陳宇/述ぶ盗汗冷え          仲冬

季語:化偸草・晩春。貞徳忌・仲冬。
化倫草(えびね):海老根。ラン科の多年草。根茎に節がありその形が海老に似ることからの名称。
蘊蓄(うんちく):深く研究して蓄えた知識。
貞徳(ていとく):松永貞徳江戸初期の俳人・歌人・歌学者・連歌師・狂歌師。俳諧式目書『御傘』の著者。
しがなし:①つまらない。②貧しい。
陣宇(じんう):古臭い軒・家。
盗汗(とうかん):寝汗。

エビネの園生のことになったら知識をひけらかすので話が長くなり、今の若い者は辛抱が足りないなど話が飛んだりして……
俳諧の祖、貞徳の命日。こちとらは、貧乏暇なしで悪い夢見ちゃ魘されたりして……

冒頭の宣伝は、紫式部が寝汗をかくような散文詩です。十二単がぐっしょり濡れて気持ち悪がらせた‥…そんなことはないか、アハ…
回文俳句と似ていますが、回文と違うところは正逆が違う別の俳句になるところです。回文俳句のほうが易しいです。

こ——え  

氷解/白駒乗り野馬/研ぎ鋺柄         (初春)
 ーーこほりどけ はつくのりやば とぎまりえ
襟巻と/流行りの靴は/気取り鉾        (三冬)

季語:氷解(こほりどけ)・初春。襟巻・三冬。
白駒(はっく):①白い馬。②歳月。光陰。
野馬(やば):①野飼いの馬。②陽炎。
鋺(まり):土や金属製の酒や水を盛る器。もい。
気取り(けどり):人の心を惹き付けること。魂を奪うこと。
鉾(ほこ):もともと武器でしたが現在は祭祀の色どりや景気づけの祭具。まつりぼこ。

 氷も溶けるのです。———底抜けに明るい。
歳月は陽炎のように跡形もなく忽ち消え去るのですね。酒器を手に取り傾けながらそんなことを思うのです。
 流行のブランドのマフラーと、コンビネーションのブーツで装備してわたしは今や、祭りの出番待ちの楽屋のホコですよ。

「氷」の歴史的仮名遣いは「こほり」ですが、現代仮名遣いはどうでしょうか。手元の歳時記で、「こうり」と「こおり」が入り混じっています。
氷・氷蒟蒻・氷豆腐・氷解・氷流るる・氷橋・氷柱・凍る——コウリ派
氷水——コオリ派。辞典ではすべて、氷蒟蒻も氷砂糖も氷白玉も氷汁粉も氷水もすべて、コオリでした。通常、漢字なので、どちらでも実害はありませんが、ウチらのミセでは困るのです。
 季語「氷解」は、体言では「コオリドケ」用言では「コオリトク」となって読みが清濁バラバラです。コオリドケで作った句は皆無ですから、コオリトケにするか、いっそのこと廃止したほうがいいのではないでしょうか。

母音で始まるニホンゴは少ない。「え」で始まる冬の季語は「えりまき」唯一つです。これにはオドロキました。マウスを手にしたら季語にぶつかる、と言われる季語の増殖氾濫すると言われるこの時代、ですよ。あまり驚いたのでヘン
な文になってしまいました。

すっかり春になりました。ゴワゴワした冬物をきがえました。体が軽いです。ルンルンです。

現代詩の同人誌に参加して現代詩をつくり、出しました。
『幻代詩アンソロジー』Vol.4という本です。《回析散文詩/源氏物語和歌に隠されたヒ・ミ・ツ》というタイトルです。ユニーク過ぎるし、恐々出したのですけど、プロの詩人がアッとおどろきましたよ。   ライトバース出版・刊¥1500.
マジで評判がいいので、Vol.5-6-7と続きを連載するつもりです。
内容は、源氏物語の料理解体ショー、といえばいいのかな。