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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

テーマを決めて仮名48字を1回づつ駆使して近代詩を作っています。
きょうはその3回目。自由度が比較的大きいのでその分ラクです。

月蝕 

砂舞ふ空に
鳥を見ぬ 大判絵
さちあれ—— 
月蝕へ 飛行機の
屋根越え威路もて、
世渉る夢忌む……   

——すなまふそらに
とりをみぬ おほばんゑ
さちあれ——
げつしょくへ ひかうきの
やねこえゐろもて
せわたるゆめいむ……

風は砂を巻き上げている。異変を感じて鳥も飛んでいない。 
そんな屏風絵の大作を観た。何事も起きなければいいが…
不吉な月蝕…軍用機が屋根を越えて威嚇的な轟音を上げている。何事も起きなければいいが…

慣れたわけではないのでギクシャクしていますが、作り方のコツはわかりました。そのうちご披露したいと思いますが……

きょうは「彼岸入りおこわ中日ぼた餅あけ団子」の彼岸入りでお赤飯だそうです。家人が教えてくれました。食い意地が張っているのでたのしみです。隣からもらった果実酒を開けるかもしれないのです。

台風の名残か、雨が降っています。いろは仮名文字を一度づつ遣って現代詩の変わり種ができないか,挑戦してみました。ヒルガオはパッとしない花ですが幻想を誘う不思議な花です。題して「ヒルガオ」……原文はタテ書き総読み仮名です。

ヒルガオ

濡れ縁(ぬれえん)にゐて、薔薇(ばら)
の、昼顔(ひるがほ)。…………
——房(ふさ)咲(ゑ)むおもみ 
雨土(あめつち)、をろ寝(ね)そべり
子(こ)鳴(な)き田(た)湧(わ)く泥鰌(どじやう)…
魔寄(まよ)せ柚(ゆ)。…生け(いけ)簀(す)  

をろ:悪露。粘液性の排出物。

雨も上がり縁側から見えるのは薔薇のように鮮やかなヒルガオ。その水を含んで重たげなはなぶさ。
こちらは泥濘にぬめぬめと寝そべり、子泥鰌が鳴いたり騒いで沸き返っている田んぼ。魔除けの柚子。生け簀の白い枠。——静と動、自然のコンポジション。 

あまりよくないので作り替えました。「泥鰌(どじやう」)を「泥鰌(どぜう)」にしたら、やっとよさそうなものが見えてきました。

昼顔

雨(あめ)止(や)まぬ
生簀(いけす)園(ゑん)に居(ゐ)て
支路枠(しろわく)見(み)れば
泥鰌(どぜう) 地駄(ぢだ)へ寝(ね)染(そ)む
よも 子(こ)亡(な)き長(をさ)の笛(ふえ)
昼顔(ひるがほ)ゆらり落(お)つ


止まぬ(やまぬ):「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終止形(動詞の連用形に接続)と打消しの助動詞「ず」の連体形(動詞の未然形に接続)の場合があります。ここでは生け簀園(体言)に掛かっています。ちょっと使い方の難しい助動詞です。
よも:副詞。よもや。まさか。
泥鰌(どぜう):ただしくは「どじゃう」。料理人による美称。

雨のいっかな止みそうにない生け簀園にいる。排水路の近くでは、泥鰌が寝そべり泥だらけになっている。
思いがけず、跡継ぎに先立たれた村長の吹く尺八の音が嫋々と流れてきた。
ヒルガオの花がひとつ、風も無いのに揺れて落ちた。

「金魚ギャラクシー」から「黒金魚ストーリー」にタイトルを変えました。
朝晩涼しくなりました。昼寝、返上して作らなきゃ、すこし焦っています。
イロハを1回遣った現代詩です。きょうはその2回目。難しさを楽しんでいます。原詩は振り仮名付きのタテがきです。

居囃子

朝霧(あさぎり)、つゆをむすぶ
公(こう)ゑんのわにとかめ
日向(ひなた)よ真(ま)穂(ほ)色(いろ)———
えも寝(ね)られぬぞ——
〽生(お)へて閲(けみ)せる……
———くち居囃子(ゐばやし)


居囃子(いばやし):地謡と囃子方が着座のまま略式で演奏するもの。対語「舞囃子」。

朝、霧が草の葉に露を結んでいる。もう、秋なのかな。
公園の池ではワニとカメが仲良く甲羅干し。日の当たっているところは、てらてらと地肌の物体色です。
ゆっくり転寝(うたたね)もできないぞ。
〽生へて閲せる…ほら始まった。主人の日課のお稽古が——— 

現代詩というより、仮名遣いからみると、近代詩なのかな。「ゐ」の熟語が極端に少ないので、辞書びたり、です。
ひさしぶりにDVD「海の牙」を観ました。あと、ヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーの「哀愁」を見る予定です。