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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

しりとりでシリーズ、匝文俳句(逆読みすると別の俳句になるアソビ)を作っています。難しいのでそこそこ不出来のまま発表することが多いのです。
今日は、「(夢)み-し」と「し-み」。ノコリゑひもせす、でおわかれです。


み——し 

蚯蚓鳴く/とも無く謡ふ/腹の虫            (三秋) 
 みみずなく ともなくうたふ はらのむし 
占む野良は/豚うくなもと/句作す耳          (雑)

季語:蚯蚓鳴く・三秋。
蚯蚓(みみず)鳴く:秋の土間の片隅でじいと鳴く虫を、鳴くはずがないミミズの声だとしたところが俳諧である。
とも無く:【連語】格助詞「と」・係助詞「も」に形容詞「なし」の連用形「なく」の付いたもの。動作・状態のはっきりしないさま。
うくなも:受けるだろう。「なも」は推量の助動詞「らむ」に同じ。

 ミミズが鳴いている。誘われたわけでもないだろうが、わが腹もぐっと鳴った。
 放し飼いの豚が警戒もせず寄ってくる。いくらなんでも一見平凡にして真底賢い豚ならば、わが歌を理解してくれるだろう。ま、ひとつ作ってみようかな。

歯医者6回目。左下の歯は支障なく稼働している。右下の歯のブリッジ工事に着手。こんどは陸橋になるらしい。「歩道橋です。開かずの踏切で困っていた住民に配慮するということ」と医者は事も無げにオッシャル。寿命に合わせて3年もてばグーなんですよね、と付け加える歯医者の顔が閻魔に見えてきた。「目をあけないでください」8センチ目の前の医者のカオに怒られた。土手がゆるんで決壊しそうで苦戦している。36分、あちこちに麻酔注射をする。土留め(ドドメ)ブロックは医者の粘り勝ち。クーラーが利かないと見えて、気の毒に医者は汗をかいている。
工事が終われば四分の一が自前の歯でなくなり人工歯になる。AIにバトンタッチするわけだから、そのぶん碁も強くなる理屈だろう。ありがたいことである。
今日は、「め」「み」です。ゆめみし、ゑひもせす、で俳句駅伝完走です。ご期待ください。


め——み 

めはじきす/屋根向き傾け/踏ます闇   (初秋)
めはじきす やねむきかぶけ ふますやみ
宮相撲/毛深き胸や/好きしは眼     (初秋)

季語:めはじき・宮相撲・初秋。
めはじき:丈高い雑草。淡紅紫色の集合花。茎を短く切って瞼に貼って遊ぶことからの命名。漢名、益母草。産前産後の漢方薬。
傾く(かぶく):かたむく。没落する。
宮相撲(みやずもう):秋祭りに神社の境内で興行される相撲。

目弾き草で遊んだ。誰ももう住んでない空き家の薄気味悪い暗がりで。
祭礼の村相撲は胸毛の濃い男衆の相撲。目元の涼しい青年に好いたらしい人がいたっけ。

昨日歯科医。歯ができてきた。三枚おろしのブリッジ。歯を磨くとき、どうやって外すんですか?と訊いたら、外さなくてもいいですよ、もうご自分の歯ですよ。
餅を食ったとき入れ歯を持っていかれてフガフガになったことがある。そんなこととも「おさらば」、らしい。しっくりしている。
右歯の竣工祝にビールを抜いた。満を引きながら、左のスキマにも橋を架けてやろうと思った。

「ゆ」で始まり「め」で終わるオモテの句と「め」ではじめ「ゆ」で終わる句をウラにした二重構造の俳諧です。題材が、自然ではなくて人情ですから、俳句というより川柳ですかね。


ゆ——め 
湯に沈く/素戔嗚が屁くたし/陶炉閉め        (雑)
 ゆにしづく すさがへくたし たうろしめ
目白うた/しだくペガサス/沓師に湯         (三秋)

季語:目白・三秋。(注:三夏としている季語辞典もある。個人的には初夏だと思う)「ペガサス」が「ペガサスの大四辺形」と称して秋の星の代表格で有名だから、併せて一本、にした。
素戔嗚(すさ):スサノオノミコト。天照大神の弟。
陶炉(とうろ):茶の湯で使われる道具の一。
ペガサス:翼を持つ馬。ギリシア神話の天馬。
しだく:①壊したり状態を乱したりする。砕く。荒らす。②乱れる。荒れる。
沓師(くつし):靴職人。

湯に浸かっているスサノオが強い匂いの屁を放った。アマテラスは急いで天岩戸を閉め難を避けたとさ。東洋の神話おしまい。西洋の神話どうぞ。
メジロが美しい声で歌います。「天馬ペガサスがいら立って激しく足掻いたのでひずめを壊してしまいました。修理した蹄鉄屋さんに馬主の英雄ベレロフォンはお礼に茶の湯の接待をしました。湯は湯でも靴屋にはケロリン桶のほうだろうと飼い葉おけの旦那に言うたとか言わなかったとか…

整合性に難あり、の句ですね。捌きから文句を言われるまえにつくりかえましょう。

征く無手に/素戔嗚が屁くたし/朶は宥め    (雑)
 ゆくむてに すさがへくたし だはなだめ
女七夕/しだくペガサス/荷で報ゆ       (初秋)

征く(ゆく):戦場に向かう。
無手(むて):①手に武器などを持たないこと。素手。②なんのとりえもないこと。無芸。③収穫が無いこと。無駄。
朶(だ):垂れた花の枝。
女七夕(めたなばた):織女星。琴座の主星ヴェガのこと。白色一等星。

 素手のタケル、いくらなんでも悪さはしないと思ったら、臭い屁をこきやがった。みるみるしおれてゆく花の枝を慰める始末さ。
 ヴェガは、やたらにはやりたけるペガサスの荷駄を、お仕置きで重くしてやったとさ。

どうやら整ったようです。これにしましょう。

前回、歯医者に行く話をかきましたが、その続きです。

治療に53分かかりました。10分以上要したのははじめてです。下の歯、三本まとめてブリッジを掛けます。というや否や削岩機の音が治療室に響きました。まるで鉄橋工事です。40分ほど経ったでしょうか、くしゃみがしたくなりました。これも初めてのことです。
鼻が乾いて鼻水が固まり茶柱のようになり、鼻中隔をつつくのです。「鼻たけ」は聞いたことがありますが、鼻に茶柱が立ったのは初めてです。医者は、動かないで!というのですが、ウイーンと電気が唸り出すと茶柱が微妙に振動して鼻の粘膜をつつくのですよ。つらかったなあ。死ぬかと思いましたよ。
疲れたなあ。
鼻に茶柱と掛けて何と解く? 日当たりのいい縁側のおばさんたちと解く。そのこころは、世間ばな(鼻)しに幸せいっぱい。