よくある質問 4  N電 | レールは、こころをつなぐ道。

● 京都電気鉄道はN電

 

1895(明治28)年2月1日開業の日本最初の電気鉄道、京都電気鉄道の23年の歴史の中で「N電」と呼ばれたことはありません。

 

京都電気鉄道の車両は大別して、開業時の主に7枚窓の初期型と、1910(明治43)年から作られた、長さを伸ばした主として9枚窓の後期型の2種類が有ります。

 

では「N電」と呼ばれるようになった経緯はと言うと…

1918(大正7)年に狭軌の京電が広軌の京都市電に買収される時、譲渡された長尺の後期型133両は、既存の京都市電広軌1型と車番が重複しないように狭軌(Narrow)の頭文字「N」を付して「N1」~「N133」の狭軌1型として登録されました。

それ以後狭軌1型は「N電」と呼ばれるようになったので京電時代には「N電」は存在しなかった事になります。

京電では運転席の前面覆いはなく吹き曝しでしたが、京都市電となってから前面覆いが付けられN電の原型が完成しました。

 

※なお引き継がれた長尺車両のうちN1~N3は初期型車両を長尺化改造していた車両で側面が一枚板でした。

「⽴命館⼤学アート・リサーチセンター(略称 ARC)」京都の鉄道・バス 写真データベース より

 

狭軌1型車両は「N」を付けて広軌1型と車番の重複を避けていましたが広軌1型全車を譲渡や廃車したため、昭和30年に残存車両28両は数字だけで1~28の連番に改番されました。

 

京都市電として走った京都電気鉄道の車両に「N電」が適用されたと解釈すると…

市電に所属しなかった小型の初期型車両は「N電」とは呼べない車両で、買収され京都市電として残った車両が「N電」という事になりますが…いずれにせよ京都電気鉄道時代に「N電」と呼ばれたことはありません。

京都府立京都学・歴彩館『京の記憶アーカイブ』より