僕が死ぬ日・・生まれる日 -77ページ目

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

「晃!新しいかあ~ちゃんが出来るぞ!」


その日の晩、義明は既に深い眠りについている晃を無理矢理起こし嬉しそうにそう言った。


晃は寝ぼけた表情をしながら、そんな久々に見る嬉しそうな顔の父に一言、呟く・・


「良かったね!とおちゃん・・」と


それから数日後、義明は小雪の全ての借金を返済した。


それが住むと近所の住人を集めてささやかな披露宴を開催した。


大いに盛り上がる会場・・


「今夜は美味い酒だ!」と長屋の男達はたらふくただ酒を飲み干した。


そんな中・・


義明は妙な視線を感じていた。


それは会場の入り口のドアの辺りから感じる冷たい視線・・・


ふとその場所を見つめると・・


悔しそうに顔をしかめる小池の姿があった。


これが義明と小池との長い戦いの合図だとも知らずに・・


義明は自分に訪れた小さな幸せに酔っていた・・


3人での生活が始まった。


別に今までの生活と何一つ変わるわけでは無かった。


ただ、今まで夜になると帰って行った小雪が帰らないだけであった。


ただ、晃はそんな生活を幸せだと感じていた。


ただ1つ変わったのは、悦子が死んで毎晩のように二人で言っていた言葉が消えた。


小雪はあの晩に義明に言った・・


「結婚する条件は一つだけ・・

もう、山田屋さんを怨むのは止めて欲しい・・

悦子さんもきっとそんな事は望んで居ないと思うから・・」


義明はその小雪の条件に小さく頷いた。


しかし、大人の義明にとって毎晩の言葉はある意味、行事であっても・・


幼い晃にとっては生活の一部であった。


何年も寝る前に呟いて来た言葉・・


「絶対に山田屋の人間を許さない・・」


そんな恨みの言葉・・


晃がその言葉を寝る前に念じようとすると義明はもの凄い剣幕で晃を叱った!


晃はそんな父親を見ながら何とも言い表せない憤りを感じていた。


今まで自分達が人生の目標として目指して居た事・・


それを否定された気持ちになったのだ。


今まで厚い絆で結ばれてきた親子の間に・・


小さな溝が生まれた瞬間であった。


しかし、晃は賢い子供であった。


そんな気持ちを押し隠すように笑顔で父に言った。


「ごめん・・もう言わない・・」と


義明はそんな晃の言葉に安心をしたように微笑んだ。


それから数年後、毎日のように新聞やニュースが書き立てる大事件が起こった。


「オイルショック!トイレットペーパーが消える日・・」


そんな見出しのニュースが毎日のように世の中に不安を仰いだ・・・


晃が8歳になろうとしていた・・そんな頃の話である・・


※今回のお話はこれでお終いです!

それでは皆様!ごきげんよ~~う(=^_^=)

義明はつがれたビールを再び飲み干して言った。


「小雪さん・・

良かったら、借金、俺が肩代わりしようか??」


そんな義明の言葉に


「えっ?またまた・・そんな冗談を・・」と小雪は微笑みながら言った。


「金額を見せてもらったけど払えない額ではない。

それに今の私があるのも君が居てくれたおかげだと本気で思っている。

それの恩返しだと簡単に思ってくれれば良い。」


そんな彼の言葉に小雪は少し考え言った・・


「遠慮しておくわ・・」と


「な・・何でだ!何で・・」


「私・・あなたに借りを作りたくないの・・あなただけには・・」


「別に肩代わりをしたからと言って君に何をしろと言う訳ではない!

私はそんな卑怯な人間ではないぞ!」


少し興奮気味に義明はそう叫んだ・・


「解っているよ!そんな事・・解っている・・」


「なら、何で何だ!」


「えっ・・

それは・・

あなたの事が・・好きだから・・」


頬を赤く染めながら・・


小雪はまるで少女のようにそう呟いた・・・


「えっ・・・え・・ええ~~~~~~~~っ!」


義明はそんな突然の小雪の告白に動揺した・・・


「だから・・

私は不器用な女だから・・

大好きな男に借りを作りたくないの!

だってその為に好きだと言ったみたいでやじゃない!

そんなの・・」


そう呟きながら小雪は微笑んだ・・


「それに、私、この店を閉めようと思っているのよ!

ここもばれてしまったみたいだし・・

皆にも迷惑をかけたくないし・・

明日の朝にこの街を出るわ!

どうせ、身寄りなんか無いんだし!

女だから・・

お金を稼ごうと思えば幾らでも方法はあるしね!

ありがとう!義明さん・・

私、悦子さんに会えてよかった。

彼女が死んだ時に私も死のうと思ったのよ!

でも、あの日の晩に・・

悦子さんが私に会いに来たの・・

夢の中で・・

そして言ったの!彼と晃を頼みます・・って

そうか~私は悦子さんに恩返しなんか何もしてなかったって!

その時に思った・・

だから死ぬのを止めたのよ!

私の悦子さんへの恩返しは・・

義明さんと晃君が不住なく暮らせて行ける様に助ける事!だってね!

でも、これ以上、ここに居たらあなたにきっと、迷惑をかけるわ!

だから私はこの街を去ります・・

ありがとう!義明さん・・

私にもう一度・・笑顔をくれて。

晃君とあなたと一緒に居られて何時も笑っている自分がいた!


あ~私も笑えるだって本気で嬉しかったよ!

あなたには、あなたに相応しい女性が絶対に居る!

私の役目はこれで終わりみたい・・」


「な・・何が俺に相応しい女だよ!

そんな奴!そんな奴・・・見つけられないよ!

それに・・そんな奴は悦子以外に居るとすれば・・


小雪・・きっと、お前だけだ!

小雪!俺と結婚してくれ!」


義明は顔を真っ赤にしながらそう叫んだ・・


小雪の目に一筋の涙・・・


「ばかね・・

さっき、私の過去を話したじゃない・・

私は夜の街で体を売っていた女なんだよ・・

ばかね・・

私は汚れてしまった女なんだよ!

あなたには似合わないわ・・」


「お前の何処が汚れているんだ!

もしも、お前が汚れているのなら・・

俺と晃の笑顔で洗い流してやるよ!

お前が何時も笑っていられるように・・・」


それは義明の心からの言葉であった。


そして最後にもう一度・・呟いた。


「小雪!俺はお前を愛している・・

だから結婚をしてくれ!」と・・


小雪は目にいっぱい涙を溜めてうつむきながら言った・・


「馬鹿ね・・こんな女に・・・ありがとう!」と・・


義明は笑顔で言った・・


「俺は馬鹿な男だけど・・

女運だけはあるようだ・・」と


※今回のお話はこれでお終いです。

それでは皆様!ごきげんよ~~う(=^_^=)

人には必ず忘れられない相手の1人や2人の相手が居るのもである。


ただ、その相手への想いが必ずしも幸せな想いとは限らない。


いや・・不幸な想いの方が多いのかもしれない。


人間とは面白い生き物だ。


幸せな想い出は何時か陽炎のように消えて行く・・


しかし、憎しみと言う名の想いは永遠に消える事はないからだ。


しかし、それが人間と言う物なんかもしれない。


だから・・


忘れられない大切な相手が居る人間は・・


そんな簡単な事を幸せだと思わなければいけないのかもしれない・・


「随分と騒がしいな・・・」


そんな義明の言葉に店の中で騒いでいる男達が一成に彼を睨みつけた。


店の中で飲んでいた数人の常連客は何時の間にテーブルに代金を置くと・・


面倒な事は御免だ!と言いたげに次々と店を後にした。


「部外者は黙ってろ!」


そんな言葉が義明に投げかけられる・・・


「一応・・関係者なんだが・・」


そう義明が言うと・・


「ほぉ~そうなのか!なら、この女の借金、お前が払ってくれよ!

大分、溜まってるんだ!

そうじゃないと、この女には沈んでもらう事になる・・

これだけの良い女だ!5年も沈んでもらえば払える金額なんでね・・」


借金取りのリーダーっぽい男がそう義明を睨みつけながらそうい呟いた。


「それで・・金額は?借用書を見せてくれよ!」


義明のそんな言葉に彼は胸元のポケットから一枚の紙を彼に手渡した。


義明はその金額を見て一瞬、驚いたような顔をした。


それは大金であった。しかし、今の彼なら払えない金額では無かった。


「そうか!少し、彼女と話をしないといけない。

金額が金額だからな!

必ず後で連絡をするから今夜の所は帰ってくれないか?

俺は浅田商店の義明って言う者だ!

逃げも隠れもしないから・・頼むよ!」


そんな義明の言葉に・・


「浅田商店・・・

そうか!お前があの浅田か!

俺たちは別に金さえ返してもらえればそれで良いんだ!

これが俺の名刺だから・・

明日にでも連絡をくれ!」


そう彼は言うと数人の部下に帰るように言った・・・


彼らが消えた後・・・


狭い小雪の店に義明と小雪の2人が残された。


お互いに言葉が見つからない。


ただ、重い沈黙が流れる・・


シュポ・・・


小雪が珍しくタバコに火をつける。


「たまには私も一杯、飲もうかしら・・

どう?義明さん!

一杯だけ付き合ってくれない??」


義明はそんな小雪の想を理解したようにグラスを受け取った。


久々のビールを義明は喉を鳴らしながら一気に飲み干した。


「昔ね!ある1人の18歳の少女がある男に恋をした・・

彼には奥さんが居て温かい家庭があって・・

でも、若かった少女はそんな事はお構いなし・・

いや・・何時か自分だけを愛してくれると・・

彼が絶対に自分だけを愛してくれると信じていた。


小さな会社の事務を彼女はやっていた。

両親は彼女が16歳の時に離婚をして彼女は父親に引き取られた。

その父親が酒乱のなまけ者で・・

彼女は高校にも行かずに夜の世界で生活を守るために働き始める・・

そんな時に職場のスナックで30歳も年の離れたある男と出会った。

それが不幸の始まり・・

ギャンブル好きのその男は彼女にお金を貢がせ始める。

でも、彼女はそんなくだらない男に・・

理想の父親の面影を夢見ていたのか・・

彼から離れる事は無かった。

スナックの稼ぎでは足りなくって・・

少女は・・・少女は・・」


「もう!話さなくて良い!解ったから・・・」


義明がそう怒鳴りつける!


しかし、小雪はそんな言葉が聞こえないように話を続けた・・


「体を売るために街角に立ち始める・・

飲み屋と売春と昼間は事務の仕事・・

彼女は悪夢を忘れるかのように働き続けた・・

それから、3年・・・

その男は彼女に莫大な借金を残して突然に姿を消した・・

彼女に残されたのは・・

忘れられない悪夢と言う思い出と・・・

莫大な借金だけだった。

人には必ず、1人や2人の忘れられない相手が居る。

でも、彼女にとってその男は・・

忘れられない相手ではなく・・

忘れてはいけない相手になっていた・・

それは凄く、寂しい事だと思う。

彼女は自分の住んでいた街を捨てた・・

借金取りから逃げるように・・・

誰も見送ってくれる人も居ない・・

夜行列車にこっそりと乗り込み・・・

そして、とある温泉街に・・・

彼女は死を覚悟していた。

その晩、お酒を浴びるほど飲み・・

ある橋の橋げたに足をかけた・・・

「何をしているの??あなた・・」

そんな声が聞こえて振り向くと・・

そこには1人の女性が立っていた・・

彼女の名前は悦子と言った・・・

どうしょうない・・飲んだくれの馬鹿旦那の妻であった。

彼女はその悦子に救われた・・

悦子の胸の中で無く叫ぶ事で・・・」


そう話し終わると小雪は深いため息を1度つき・・


もう一本・・タバコに火をつけた・・


「ビールをもう一杯、もらえないか??」


そんな義明の言葉に小雪は笑いながら言った・・


「これが・・最後よ!」と・・


※今回のお話はこれで終わりです!

皆様!ごきげんよ~~~う(=⌒▽⌒=)