今わの際に聞こえる声は
「……っつ…」「バルフレア…良かった、気がついたか」「……ここは?…みんなはどうした…」「ゼルテニアン洞窟だ。みんなは先に街に帰ってもらった。心配するな。周囲のモンスターは殆ど片付けてから、帰らせた」「先に?オレはどうして……」「まだ起きてはいけない、痛むだろう。横になっていてくれ」「あぁ、くそ!…そうだ、アドラメレクと戦って…」「キミが前衛で頑張ってくれたお陰で討伐出来た。ただ…キミの傷が酷くて…」「なんだよ、アンタがそんな顔する事ないだろ」「…………」「……やけに寒いな……」「すまない、火を熾す道具を持たずに来てしまった。大丈夫か?」「フランはどうした?相棒を残して…さっさと…かえ…っつ!」「あまり話してはいけない。キミは自分で思っているよりも大きな傷を負っている」「アンタは…残ってくれたのか?」「ああ。自分から志願した」「何故?お姫様はいいのか?」「今は。今はキミの方が…大切だ」「こりゃまた、聞き捨てならない。まるで…」「もういいだろう。少し黙って」「…………黙ると、眠っちまいそうだ………」「かなり痛むか?」「い、や。なぁ、そんなに酷いのか、オレのケガ」「…そうだな…。ケアルガも効かない程に」「…そう、か…」「ああ。可哀そうだが、その内熱が出るだろう」「あんまり嬉しくない予想だな…」「唇も瞼も重くなり、全身に力がはいらなくなる。高熱で、起きているのか眠っているのか、悪夢なのか現実なのか。何もわからなくなる。そうすれば…痛みも感じなくなるだろう」「おいおい、人の事だと思って簡単に言ってくれるな」「人の事?バルフレア…わたしの感情に気づいていないのか?」「感情?何を言い出す。話が……わからない…」「今のキミは身動きすら辛いはずだから、殴られる心配がない。だから正直に言おう。キミはわたしの情欲の対象だった」「……なんだよ、じゃ…こ…のチャンス…に…襲うか?」「今はまだ。もう少ししたらキミは頭がぼうっとしてくる。身体中どこも動かない。意識が遠のき、何もわからなくなるその直前にわたしはキミに口付ける。キミの最後の息を飲み込む。動けない腕を抑えこみ、首筋に顔を埋め、全身をしゃぶる。幾ら嫌がっても、その時キミには抵抗する力が残っていない。ほら、もうわたしの声も聞こえない何を言っているか分からない。視力も聴力も失って、感じるのはわたしの唇だけだ。瞼を降ろす直前の、キミのこの世の最後の記憶はわたしだ。バルフレア…出会った瞬間から、キミを想って生きてきた…」「そういう事は…もっと、早く…言って、く…れ…」「…バルフレア…?」「ああ、そういうこった…。くそ、アンタの言ったとおりだな、もう眼を開けているのが辛い…。どうせなら、意識がある内にキスしてくれよ…。冥土の土産に持ってくぜ」「あ~。酷い目にあったわ」「ホンットに嫌ですよね、ここの雨季。いきなり土砂降りなんだもん」「俺、パンツまでびしょ濡れ。な~ここで脱いで乾かしてもいい?」「どうぞ、ご自由に」「良かったよな、ちょうどいいトコに洞窟があってさ~」「つか、ここ最初の洞窟じゃないですか?」「え~じゃ思いっ切りぐるっと廻って俺ら元に戻って来た、って事なのか?」「やだわ、じゃぁあの二人もいるって事じゃない」「うっわ…その辺でやってんのに出っ食わしたら、俺やだな」「でもバルフレアさんの怪我が酷いって事で二手に別れたんですよね?出来ないんじゃないですか?」「嘘よ、嘘嘘。そんなの嘘に決まっているじゃない」「バルフレアの怪我って、あの指先の切り傷一つだろ?」「それを見たバッシュの方が青ざめてたのよ」「馬鹿だよな~。あの二人ってホンットの馬鹿」「そこらで瀕死のバルフレアごっこでもしているんじゃない?」「え~、それはおもしろそうですね!」「じゃ、みんなでちょっくら捜してみようぜ!」抗えぬ睡魔に身を任せ、閉じる瞼沈む意識のしかかる熱い身体。最後の瞬間に聞こえる声は、アンタ一人の声でいい。( いつかわかんないけど日記の再録/若干修正、最後付け足し)馬鹿な二人を馬鹿なおばちゃんが書くとこんな話になりました、的な。いつUPしたか、元の日記を削除しちゃったらしくわからんし、馬鹿だから思い出せん。ファイル色々開けてたら出てきた、ので再録させて頂きます。もちろん最後の瞬間に聞こえるのは、『いたいた~!』『なんだ、やってないんですね、がっかり…』『主君を置いて何をしている、バッシュ!!(ばし!)』『あら、バルフレア。もうおねむなのね』なんてうるさい声である。