好き?
※ 以前から書いているばしゅばる阿呆りーまんとは別の二人、の妄想です ※社員食堂の、徒に明るい色彩と尻に優しくないプラスチックの椅子に座り込み、眼を瞑る。この時間は厨房も閉まってしまい、何も出ないし誰もいない。背中を丸め肘を付き、腰をずらして足をだらしなく広げて、…つまり人前では決してしないような格好で、固い椅子の端に引っ掛かっているオレは相当疲れているんだろう。さっきの会議はなんなんだ。アイデアも展望も、やりたい事も能力も、何も持たない奴らになんであんなに気を遣う。オレの怒りの矛先は、会議を進行していた男目指して一直線。なかなか決まらぬ担当振り分けについ業を煮やし、オレに任せろと言ってしまった。社歴が浅い若造がと、数名のじじぃどもは眉を潜め、手は出さない癖に不満は一人前の若手グループはほっとしたような不快そうな、微妙な顔つきでこちらを見ていた。ただ一人、進行役のおっさんだけが、「任せる」と一言、真剣な眼差しをオレに向けていた。任せろと言っては見たものの、その言葉に詰まった業務の重さを思うと…やれやれだ。毎度ながら、オレは自分の意地の張り具合に振り回される。テーブルにだらりと半身を投げ出して、腹が減ったと呟いた途端、後ろから「疲れているな」と声が掛かった。いつの間にやら進行役のおっさんが、手に美味そうなサンドイッチを持って立っている。黙ってサンドイッチをひったくる、と、すかさず奪い返され礼儀知らずだな、と睨まれた。怖くない。蒼い瞳の奥に暖かい灯が小さく揺れる。「金なら後で払うから」と、もう一度手を伸ばせば、その手をぎゅっと握って「金はいらない」と引き寄せられた。じゃぁ、何で…言いかけた唇に、唇が近づく。「一切れにキス一つで取引しよう。もっと欲しければ…わたしをおっさんではなく名前で呼んでくれ」オレの腹がくぅ、と鳴る。お安い御用。キスも名前もどちらも、だ。「OK,商談成立。契約の締結を記念して、食べさせてくれ。バッシュ」名前を呼ばれたおっさんは、嬉しそうにオレの頭をそうっと撫でる。素直にしていると可愛いんだが…。ぼやきが、オレの耳をくすぐる。髪に触れる指先が、心地良い。眼を閉じ、顔を上げキスを強請る。ちゅ、と音でも立てそうなキス。子供相手にするようで、甘やかされている気分になる。もう一度、おっさんの名を声を出さずに吐息で呼んだ。身体ががくんと倒れる気配に、おいおい、ここでSEXはまずいだろ、つかオレ達まだ付き合ってもいないだろうと、慌てて背筋を伸ばした所で、自分が一人で社員食堂に座っているのに気がついた。椅子から半分ケツが落ちている。なんなんだ…夢か?どうやら一瞬居眠りをしてしまったらしい。そういえば、昨夜は会議の資料を読み込んでいてあまり眠っていなかった。とんでもない夢を見ちまった自分に腹が立つ。あの堅物のおっさんとオレが付き合う?想像した事もなかったし、望んだ事も、もちろんない。それこそ夢のまた夢だ。頭を振っておっさんの事を脳から追い払う。前髪が、いつになく乱れてうざい。これじゃ色男が台無しだぜ。手ぐしで整えながら、ふとテーブルを見るとやけに美味そうなサンドイッチが、ぽつんとオレを待っていた。( 2011.07・14 再録/ちょこちょこ修正 )これも…花丸ばるちゃんに出会い一気にイメージ爆裂。気に入らないのに気にかかるあの男。会社では喧嘩腰、なのに気づけば…おうちでは甘えたちゃんと甘々おやじCP、という感じでしょうか…。まぁね、とにかくね、リーマンバシュバルが好きなのさ、いえぁ!だって…本篇と違い、心置きなく愛し合えるし、幸せになっていいんだもん。ま、本篇でも自由気ままに好きなだけ愛し合ってるとは思うんだけど。