子どもの頃の想い出に重ねて

 小学生の頃、親に連れられて木下大サーカスを観に行ったことがあります。猛獣たちに調教師が襲われないか心配し、球形のケージの中を逆さまになりながらぐるぐる回るオートバイや空中ブランコの大技に度肝を抜かれた記憶は半世紀近くたった今でも鮮明に残っています。そんな木下大サーカスが3年ぶりに大阪にやってきました。今回は2月24日から5月27日までの開催です。新聞購読者向けの前売り発売の告知を見て、子どもの頃の想い出も重なり、ぜひ息子くんを連れていってあげたいと前売りチケットを購入することにしました。

チケットの罠

 新聞購読者向けのお得なチケットは「優先入場付き自由席」が前売り3,500円となるというものでした。自由席はどこになるのか調べてみました。
 
※画像引用:木下大サーカス公式ページ
 

 自由席は端のほうで、結構横からみる感じになってしまうのですね。せっかくならいい条件で見せてあげたいと、指定席はいくらぐらいするんだろうと調べてみることにしました。公式ページをろくに読まずに(これがいけなかった)さっさとチケットぴあの販売ページに飛びました。指定席料金はこう記載されていました。

  • リングサイドA:4,500円
  • リングサイドB:3,000円
  • リングサイドC:2,500円
  • ロイヤルブルー:2,500円
  • ロイヤルイエロー:2,000円
  • ロイヤルグリーン:1,500円

指定席、意外と安いやん。っていうか先ほどの新聞前売りチケットは自由席なのにぼったくりやんとその時は思いました。リングサイドAは売り切れていましたが、リングサイドBはまだ残っていたのでこちらをポチっと購入しました。

 

そして前日になって開場時間などを確認するために、コンビニで引きかえを済ませていたチケットをよく見て唖然とします。

 

<<指定席のみのチケットです。別途入場券が必要となります>>

 

 

え?

 

別途入場券が必要?

 

調べてみると自由席入場券に指定席料金を加算する料金体系でした。入場券(当日券)は大人4,000円、子供2,500円。我々の場合、結局大人一人あたり合計7,000円の出費になる計算です。結構な出費ですね。指定席券だけ買ってしまっているのでいまさらどうするわけにもいかず、せめてもう少し安くならないかと各種割引を調べてみるとJAFやアソビューなどの割引がみつかりましたが、最終的に会社の福利厚生のBenefit Stationのクーポンが安かった(4,000円→3,300円)のでそれを利用することにしました。直前なので窓口に並んで買うしかなく、せっかく指定席なのに早めに出ることになってしまいました。

 

後で調べるとこんなセットもありました。これ、結構お得かもしれません。

 

 

息子くんに黙って

 実は息子くん、ピエロが怖いんです。というのも2歳ぐらいのころに「ピエロの足ってどんな色?」と不思議な質問をされたことがありました。「一緒に調べてみよう!」とスマホの画像検索でキーワードを打ち込んだところ、ハロウィンの時期だったせいかホラーな感じのピエロがズラーっと表示されて大泣きしたことがありました。それ以来ピエロを怖がるようになったのです。そんな息子くんも4歳となり、トラウマはとっくに克服しているかもしれません。しかしサーカスに行くというと全拒否される可能性もあったので黙って「森ノ宮に遊びに行くよ」とだけ告げて連れ出します。森ノ宮自体はたまに遊びに連れて行ったのでなじみの地なのです。
 
当日はあいにくの雨、駅から結構歩くようなので車で行こうかと嫁さんに相談すると「今日は大阪マラソンやから車はあかんで」とのこと。そうでした。雨のなか外出したくないとグズる息子くんをなだめすかして家を出ました。
 
 地下鉄森ノ宮駅を出て歩くこと十数分。テントが見えてきました。息子くん「これサーカス?」と気づいた模様。そしてぽつりとつぶやきました。
 
「ピエロ怖い」
 
やばい。「大丈夫、悪いピエロはいないから」と気休めのことばをかけます。彼も雨の中電車を乗り継いではるばる歩いて来たので「見ないで帰る」というカードを切るほどではなかったようで一安心です。
 
 開演は10:00。ネット情報によると開場は30分前の9:30とのことでした。9:00ちょうどぐらいに会場に到着しましたが、すでに自由席の入場待ちの長い行列ができていました。いい席を確保するために朝早くから並んでいるのですね。あとから調べてみると良席を確保するには2時間前から並ぶ必要があるとのこと。さすがに子供連れでこれは辛いですね。チケット売り場にも行列ができていましたがこちらは窓口が開いていないためでした。息子くん、入場ゲートにある大きなトラの看板を見て「トラ大好き」とすっかり乗り気になっていました。(ちなみにトラは出演しません)
 
 
館内で購入したもの以外は飲食不可ということなので、チケット売り場に並んでいる間に嫁さんがポップコーンとジュース、お茶などを購入してくれていました。
 
無時入場券を購入し、9:30をすぎて指定席の人から入場が始まりました。我々の指定席はリングサイド B-65~67で前から2列目。思ったよりも舞台かぶりつきでした。背の低い子ども用の分厚いクッションも貸し出されていて鑑賞環境は申し分ありません。参考にスマホで座席の写真を撮っていたら「フィナーレ以外撮影禁止です」と注意されてしまったので残念ながらこちらで紹介することはできません。

いざ開演

 いきなりピエロ登場ですが、ピエロ感おさえめのメイクと衣装とコミカルな表情としぐさに息子くん大笑い。これで一安心です。ロープを使ったアクロバティックな演技に続き、シマウマやポニーの愛らしい演技、ジャグリングなどの大道芸っぽいものから、大がかりな舞台マジックショーまで観客を飽きさせないようにうまく演目をつないでいて大人も十分楽しめます。息子くんも歓声をあげて大はしゃぎです。演目が1時間近く続き、息子くんの集中力が切れてきたころに20分間の途中休憩時間となりました。「眠い、帰る」という息子くんに「これからライオンやで」とハッパをかけて持ちこたえさせます。休憩時間の間に舞台を囲う巨大な檻が完成。お待ちかねのホワイトライオンの登場です。
 
ん?なんか動きが緩慢ですね。3匹のライオンさんたち、あまりやる気が感じられません。本来夜行性だからでしょうか?かろうじてその中の1匹が軽くジャンプなどを見せてくれてそそくさと退場となりました。まぁ、こんなにライオンを手なずけているだけですごいんでしょうけどね。
 
逆に芸達者な象さんたちに魅了されました。
 
そしてフィナーレに向けて、大きな演目がたたみかけるように続きます。大がかりなセットを使った空中大車輪、オートバイがぐるぐる回るショーも幼少の記憶そのままでした。そしてラストのサーカスの華、空中ブランコ。座席が前すぎて落下防止ネット越しに真上を見上げる感じの鑑賞となりましたが迫力は伝わってきました。
 

結局どうだった?

 今回リングサイドB席での鑑賞となりましたが、十分楽しめました。ショー全体を楽しみたいのであればロイヤルブルー席もいいかもしれません。
 
 途中の休憩時間に「帰る」発言が出るなど4歳の息子くんには早すぎたのかと一瞬思いましたが、全部見終わって彼の感想は「面白かった」。そしてその思いは夜になって、翌日になってさらに強まっていったようで「サーカス面白かった」発言を連発していました。ちなみに今回、最も印象に残ったのは動物でも空中ブランコなどの大技でもなく答えはこれでした。
 
「マッチョなお兄さん!」「カッコよかった」
 
極限まで鍛え上げられた肉体、ギリシャ彫刻のように整った美形の方やEXILEにでもいそうな今時感のあるカッコいお兄さんたちに嫁さんも鼻の下をのばしていたのを私は知っています。
 
 それはさておき、かつての私がそうだったように、この瞬間が息子くんの想い出の1ページに一生忘れない記憶として刻まれたことを願うばかりです。