
『ホームラン軒』 という語感がとても良い。
脳が痺れるようなノスタルジーに包まれる。
私が勝手にそう感じているだけだが-。
ということで初訪。
住宅街の中にポツンという立地ながら、
次々と来客が途絶えず外待ちが出来ている。
地元に愛されている人気店のようだ。
中に入ると、想像より広い店内。
カウンターの一角に簡単な“やぐら”を設け、
"のれん" と "提灯" を掲げている。
その アミューズメント・センス、
店名同様、とてもナイス!
客層は、まさに老若男女。
子供からお年寄りまで一所に集う光景を見るのは
意外に久しぶりだ。
メニューを見ると、チャーハンや天津丼まである。
定食的なセット・メニューも充実。
『ネギバラチャーシュー(塩)』 を麺固めで。
辛さが選べるとのことで、辛口でお願いする。
とはいうものの、上に載る豆板醤が多いだけ。
このシンプル思想、ある意味 “王道”。
溶かすほどにスープがどんどん塩辛くなるのだが、
それもまた一興なのだ!
スープ + カツオだし粉末 の構成。
足し算しただけのシンプルさ。
舌にざらつく感触が、逆に心地良かったりして。
加水率高めの “中太ちぢれ麺”
佐野ラーを連想させる、薄いリボン形状の麺。
少し頼りない感じだが、スープの持ち上げは良い。
どっさり盛られた白髪ネギ。
状態はとても良く、期待通りの食感。
味わい系のチャー。これはかなり◎だ。
そして、ただの茹で玉子が半分。
ひとことでいえば、味はビジュアルのまんまだ。
唸らせるような融合やふくらみなど、
プラスアルファは感じない(私は)。
しかしながら-、
すぐ近くの人気店(海老●)に引けをとらない
大きな支持を受けている事実は、
昨今の 「モダン・ラー至上主義」 に対する、
何事かの啓示のような気もする。
(脳が痺れるようなノスタルジー)

誰もが口を揃えて、この店の”無愛想”を言い、
<愛想は悪いが味は良い>を堂々自称してる、
なんていう情報もあって、中々足が向かなかった
のだが、果たしてホントにそれほどのものかぃ?
と、ようやく初訪。
夕方6時からの営業、開店直後に到着。
既に常連さんがカウンター奥でとぐろをまく。
が、イチゲンの私も 「らっしゃい!」 と迎え入れる
(あたりまえだが) 至ってフツーの応対だ。
確かに少々の荒っぽい空気を感じるものの、
”下町ノリ” と思えば、別に奇異ではない。
『シナチク・ラー(醤油)』 をデフォでオーダー。
目の前では、
店主が丼の上に覆いかぶさるような姿勢で、
まさに ”一滴入魂” でスープを組み立て、
同時に、”気” を込めて麺を茹で上げる。
その緊張感、「これは間違いない」 と予感。
期待の初口。
これぁ旨いぃ! 初口からノック・アウト!!
鶏(ガラ+もみじ)の風味が強く立つ醤油スープ、
甘辛い濃い口で、輪郭明快。
溢れんばかりにぎゅぎゅーっと詰め込まれた、
そのふくよかさ、奥深さはまさに絶品!
表層を ”熱く”覆う透明な鶏油の層と相まって
深遠な ”照り” を持つ芸術品である。
麺は伝統的な美しい 「細縮れ」。
茹で加減完璧。
余計な調整(固めなど)を頼まないで良かった。
そして-、
丁寧に下処理された細裂きシナチクで覆われる。
このラーに於いてシナチクは”トッピング”にあらず
麺と同次元、同時に味わうもの。
しなやかな歯応えが、麺の満足感を倍加させる。
ラーにして、1,100円(!)という価格も、
ホンモノの ”職人の技” を楽しむ対価としては、
決して高いものではなかろう。
看板に偽りなし。間違いなく名店!
おそるべき店である。
(伝統ラーにしてモダンな外観)

佐野実氏の「支那そばや」で修行した店主が、
暖簾分けで出した店と聞く。
充分な期待を持って初訪。
駐車場 ”ほぼ” 一杯で、店内も ”ほぼ” 満席。
開店当初は連日行列だったそうだが、
最近は、良い感じに落ち着いてきている模様。
料理人の立居振舞がキビキビ美しく気持ち良い。
デラックス・ラーを、塩/麺固めでオーダー。
期待通りのビジュアル。
ビシッと一本スジの通った”カオ”
鶏と魚介を中心に組み立てられたスープ。
バランスとふくらみが絶妙で、まさに黄金比!
塩気もジャストでピント明快。
浅く揚げたニンニクが「2階建て」のコクを構成し、
細かく刻んだ生ネギが更に変化と清涼感を演出。
『調和』を最も重視し、
『調和』により最大効果を得んとする 『正統の技』。
これが”プロ”の仕事だ! 心から嬉しくなる。
自家製という ”ストレート細麺”は、
ちょっとめずらしい位の強い ”コシ”
食べ終わるまでずっと変わらぬ食感を実現。
そして、デラックス・ラーたる所以の役者連-、
”味玉” は名古屋コーチン。
素材の良さを伝えたいという意図なのだろう、
塩気がほとんどないが、状態極めて良好。
”ワンタン” は大きな具玉(海老?)と、
ツルンとした羽根の対比が面白く、
”チャー” は、”とろける” と ”歯応え” という、
相反する命題を同時解決していて見事!
”メンマ” は、しなやかな歯応え、
わずかに濃い目の味わい -。
それぞれが ”納得” のハイ・レベル。
プロの仕事とは、実に気持ちの良いものである。
(本気の期待を裏切らない)






