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自傷癖が止まらない。アーメダバード旅行①

本当に全然アーメダバードなんて行きたくなかったんだ。
本当は。
週末は家でゆっくりひきこもってお笑い動画を見ていたかったんだ。
私は。
なのに、やめたいのに、やめられないこれは、
もう自分ではどうしようもできないこれは、
自傷癖みたいなこれは、
この放浪癖は、
また私を旅行に駆り立ててしまった。

あの悪夢のハンピからたった2週間しか経っていないのに懲りない。

今度はインド西部の街、アーメダバードへ。
木曜日の夜、できたばかりのムンバイメトロに、カバンひとつを抱えて乗り込んだ。



温度設定を担当している人間は恐らく気がふれたのだと思う。
南極ぐらいの車内の温度で、鉄道の駅まで。
そこから今度はドアもないいつもの鉄道で、長距離列車のターミナルとなる、
ムンバイセントラルへ。

まだここの、インドの、予想を裏切ってくる感じになれないので、
余裕を持ちすぎて到着したものの、あまりにも時間があるため、
構内のカフェ(と言ったら日本のカフェ連盟に怒られるほどのただのお茶を出す小屋)
でチャイを飲んでいたら、飲み終わるやいなや、
店員のおっさんに「さっさと帰りやがれ」みたいなことを言われた。
東大阪のラーメン屋だってさすがにもうちょっと愛想いいでしょうに。
信じらんない!
ぷんぷんしながら有料トイレに入ると入り口に2ルピーって書いてあるのに、
門番に3ルピーって言われてそれを「あほなん?」って言いながら
笑顔で2ルピーしか渡さない程度には私も強くなった。

そしてアーメダバード直通の寝台列車がやって来た。
今日は♡なんと♡
1等車です♡
通常のクラスの10倍の金額を払っている。
だって私ブルジョアジーだから。
ブルジョアって化粧品以外何の意味か知らんけどそうだから。



そして乗り込んだファーストAC(エアコンね。)の車内が



寒いorz

寒いわ!
あほか!
さっきのメトロか!

冗談抜きに温度設定がたぶん16度とかのキンキンの車内。
バナナで釘が打てる。

同じコーチの老夫婦やなんかと「しばれるのお」などと言いながら、
すぐに消灯して、私は凍えながら列車に揺られた。

そして早朝にすんなりアーメダバードに到着。

アーメダバード。
-インド北西、グジャラート州にある工業都市
-ジャイナ教の影響で州全体が禁酒
-イスラムの影響を強く受けている

俺のオートに乗れ祭り、またの名をぼったくり祭りを遮って、
いつも通り声をかけてこないオートの運転手を捕まえる。
日は登っているもののまだお店も開いていないので、
雨の降っていない今のうちにと、
もうそのまま今回の旅行の目的地へと向かう。



20キロほど走った小さな村にそれはある。

ゲートが開くまでチャイを飲んで、

ヒンドゥーの下品なお寺で瞑想して、

そして門が開いた。


アダラジ・ヴァヴ。

日本のとある番組でも紹介されていた、
この世で最も美しい階段井戸。

ざっと言ってしまうと、
500年前、イスラム勢力がヒンドゥーのある王国を倒して、
倒された方の王妃がイスラムの王の后にされることになって、
この階段井戸を完成させてくれたら結婚しますって約束して、
20年かけてやっと完成した途端、
そのお后様は元の夫との約束を果たしたので、
彼を追って、井戸に飛び込んでしまった、とか。

なので途中までヒンドゥー様式で、途中からイスラム様式、
つまり途中から偶像崇拝が無くなるんだけれども、
とにかく、ただただ、
美しい。

細かい彫刻ひとつひとつに、
緻密に計算された造り。



地下深くへ階段を降りていくと、観光客も全くいないので、
静かな空間の中にひんやりとした空気が流れて、
天から光が差し込んでくる。

上から見る。


下から見る。


お掃除中のおじさんにお願いして、本当は入ってはいけない柵も超える。

保存状態も良好。
何より世界遺産でも何でも無いから人が居ない上に入場料も無い。

2時間たっぷり、舐め回す様に見る。
さわる。

そしてやっぱり写真には全然これが残らない。


だからこうやって来るしか無い。
続く。

とうとう行ってきた。

いやな予感はずっとしていた。
数ヶ月前から。
だから日本に行った時に何が何でも、と思って、
「すいません1回で何とかしてくださいもう私日本にいられないんです
ちょっと悪いことをしたから。
悪いことったって法をおかすとかそんなのではないんだけど、
まあ妹ぶった、みたいなぐらいのものだろうけど、
とにかくここにはもういられないからお金なら払うからあああああ」
って言って、
鹿しかいない様な県の歯科に行った。
鹿の歯科。

そしたらその痛いのは虫歯ではない、とはっきり言った。
あの茶髪の歯医者は。
それを信じていたのに。
日本人だからって信じちゃいけないんだ。
むしろ人間なんて信じちゃいけない。
信じられるのはお金だけだ。
ほんとそう。

余裕で痛みが増してきたので、
私は歯は本当すぐ治さないといやなんです。
自然治癒力の及ばないものは早く対処しないと良いことがない。
理にかなっている。
珍しく私が理にかなっている。

しかしインドで歯医者って、上野駅のトイレに筋肉質の男性が入る、
ぐらい危ないって聞いた。

どっかで読んだ旅行記には麻酔無しで歯を抜かれたって書いていた。

歯の神経と17歳の初恋の思い出だけはお墓まで持っていくって決めている。

だけど先月帰ったばっかりで日本に帰る予定もないし、
このままやすやすと虫歯菌に、
バイキンマンみたいなあんなやつに私の口の中を占拠されているのを放ってはおけない。

インドのことはインド人に聞け。
ということで同僚に聞いたら、
「私が通ってるところはねー、ちょっと高いの、600ルピーぐらい。
でもね、器具を使い回すのよねー。そこが問題よ。」






うつけもの!
ご乱心じゃ!
殿が!殿が!




ネットで調べ倒して、
日本人御用達!みたいなところに行った。

死ぬほど遠かった。
死ぬほど遠くて、
死ぬほど愛想の良い歯医者は、
日本と変わらないぐらい清潔な場所で迎えてくれた。

治療前に、単語が難しくて覚えられないので
-麻酔を使え
-神経と歯は抜くな
-器具は消毒しろ
これだけ紙に書いて渡すと笑われた。
そんなわけないじゃん、全部最新だから安心してよ、って言われた。

実際、助手の女が、私の口に入れるホースみたいのがちょっと雑いぐらいで、
日本と変わらない様なちゃんとした治療で、
ほとんど痛みもなく2本が処置された。
ちょっと削って白いのでちょちょっと治した。

インドを今までナメていた。
なんだ、結構進んでんじゃん。

そして麻酔でしびれた顎をさすりながら受付へ戻り、
お支払いは1本5500ルピーと言われた。
そうか、そりゃ愛想よくなるよね。
虫歯1本8000円超えてきたかー。
2本で2万近くかー。
まあまあちゃんとした家が1ヶ月借りられるなーこの辺で。

国民皆保険ってすごいなー。
石油産出国行こうかなー。
医療費がただの国にもう変更しようかなー。
クウェート行こうクウェート。

ってちょっと思いました。

支払いがかさんでどうしたらいいのかわからないので、
週末を今度は謎の井戸で過ごすために、
ちょっと旅行してきます。
貞子に会えるだろうか。

こんなに旅行は嫌やって言ってるのにまたです。
テツandトモだってきっとなんでやねん!って言うでしょうよ。
なんでだろう、じゃなくてなんでやねん!って言うよ。
間違えて。
いや、今だって行きたくない。
雨季だしだらだら家から一歩も出ずに本を読んでいたい。

本当に嫌すぎて朝から胃が痛い。

引きこもってたいのに。


ことり/小川洋子

暗い。
どうしようもなく暗かった。
鳥のぴーちくぱーちく鮮やかな表現があほほど出てくるのに、
もう全部灰色。
救いのないことないこと。
だけど、人とおるからってそれが孤独じゃなくて、
一人だから孤独って絶対言いきれるのか。
誰かと一緒にいる方が寂しいって思ったことなんて何度もある。
もっと言えば、誰かといると一人になりたくなってしまって、
一人でいると誰かといたくなったりする。
日本にいるとインドに行きたくなるし、
インドにいると日本に帰りたくなる。
もうこうなったら間をとってタイぐらいにいるのがいいのかも知れない。
以上。

とうとう来た

とうとうやって来た。
来てしまった。

雨季が。

毎日バケツをひっくり返したみたいな雨。

これから10月まで毎日雨です。

少し涼しくなった。

傘をさすのはだいたい2割ぐらいで、あとはみんなびしょ濡れでも気にしない。
長靴を履いているのは私ぐらいなもので、
みんなビーサンで構わず水たまりを進む。

怖い怖い怖い。
バクテリアとかが怖いからもうこれから毎日長靴。

週末、バンドラにある和食のお店、幸福へ行ってきた。



イラッシャイマセー
と言われるのがちょっと嬉しい。
やっぱり。

お寿司も角煮もコロッケもえび天もお腹いっぱい食べた。

ちょっと満足。

実家から盗んできた上等なおそうめんを自分でゆがいて、
日本で買って来た椎茸の煮たやつと一緒に食べてるのが
本当は一番おいしいんだけれども、
おそうめんもうあと1袋しか無いし。

おそうめん、日本にいる時は楽ちんだからって夏はいつも食べていて、
何なら飽きるぐらい食べて、
もうええっつーの、なんて思っていたけど、
とんでもなかった。

こんなおいしくて涼しい夏の麺を、
もっとリスペクトしなきゃいけなかった。

日本から持ち込んだ食料が少しずつ消費される度に
どうしようもない虚無感に襲われる。
小さな恋を失ってしまった時の様な寂しさにさらわれる。
おマミーの送ってくれたと言う救援物資が待ちきれない。
どうか無事届きます様に。