岡山県立美術館で、国宝 春日権現験記絵を見る!(前編) | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。


🍑も~もたろさん♫ももたろさん♪
お腰につけた〜きび団子、ひとつ私にくださいな♬

というわけで、岡山県立美術館 


へ行ってきました(^_^)/
三の丸尚蔵館の所蔵品を中心に、岡山ゆかりの芸術家の作品を展示していました(^_^)




国宝の展示は、1件のみです。



・国宝 春日権現験記絵 高階隆兼筆より
巻第十一( 第一・二段)

宮内庁三の丸尚蔵館所有の国宝。鎌倉時代 延慶2年(1309年)の作。
↑前期(〜8/6)で、前半の第一・二段と、後期(8/8〜8/27)で後半の第三・四段と、2回に分けて会期中に全巻展示されます。前後期訪問すれば、まるっと全巻見れるというわけです(^_^)

例によって、オリジナルの写真が無いので、東博所有の模写本を使ってレポートしていきます。
 興福寺修南院の僧 恵暁(えぎょう)の身に起こった、春日明神の摩訶不思議な物語……
↑ある日、恵暁は死んだように眠ったまま起きてくる気配がありません。
↑上げ畳の上で眠っているのが恵暁。女性に起こされていますが、起きる気配は無いようです。
実は恵暁、眠っている間に地獄で閻魔様に「法華経を読んでくれ!」と言われていたんです(゚д゚)!
↑拘束された罪人がいるので、ここが地獄とわかります。
↑オレンジの服を着た獄卒が、罪状を読み上げているようです。
↑その一方で恵暁は、閻魔大王に請われて法華経を読んでいます。真ん中の黒い袈裟のお坊さんが恵暁です。前に座っている青い服の人は、閻魔さんのお付きのエライ人。
↑その閻魔さんは左の宮殿にいるのでしょう。姿を見ることはできません。なんせ、地獄で一番偉いですからね〜(^_^;)

恵暁が現実世界に戻ってきたところは、絵巻には描かれていません。
この辺が、現代人との感覚が違うところ。起承転結で云うと、"起"←死んだように寝てる、と"転"←地獄で閻魔に経を読む、だけを描いているので、絵だけを見てるとストーリーを追えないので、消化不良になるんですよ~(^_^;)

気を取り直して、続きです。
↑時は遡って、恵暁が若い頃のお話し。所領のことで揉め事があって、恵暁は寺を辞めようと考えていました。
その夢枕に春日明神が現れます。
↑白い着物で寝ているのが、恵暁。(コイツ寝てばっかだな……)
手前の黒い束帯姿が、春日明神です。
「恵暁よ、些細な事で寺を離れるなどと考えるな。私がそばで引き立ててやろうと、考えておるのだゾ!」
ありがたいお言葉を聞いて、恵暁は思いとどまり、ついには権長官にまで上り詰めたそうです。
春日明神の顔が、蔀戸(しとみど)に隠れて見えませんね。神様の顔を描くのは憚られるためです。畏れ多いというわけです。

起承転結で云うと、"結"だけを描いています。わかりにくいね~(^_^;)


ここで第一段は終了です。

第二段は、時は流れ、恵暁が鳥羽院からの咎で、播磨国に追放された後のお話し。
書写山で、帰京を待つ恵暁ですが、何年も赦されません。春日明神に宣託を請いますが返事はありません。
そこで、祈祷僧を呼ぶことにしたのがこの場面。
↑右端が祈祷僧。
「恵暁殿は、いつ都に戻れるのか?お示し給え~キェーー!」
祈祷僧の祈祷の力により、真ん中の小坊主に春日明神が降りてきます。
「恵暁は、5年後には都に戻れるであろう……」
↑左奥に座っているのが恵暁。喜びの涙を流します。
左端のピンクの着物を着た子供がカワイイですね。経巻を振り回して大喜びです(^o^)
予言通り、5年後、都に帰ってきた恵暁は、興福寺で維摩会の講師を務めるまでに出世しました。
興福寺で行われる、壮観な維摩会の様子が描かれます。
↑お堂の中央には、奥に三尊仏、その前に維摩居士と菩薩が向かい合って、四方に四天王が、祀られています。
その手前に、向かい合う形で天蓋付きの台座があり、お坊さんが座っていますね。いずれかが恵暁です。(たぶん向かって左側)
ここで恵暁は、辛かった書写山での日々を歌にして詠みます。
それを聞いた多くの僧侶も涙(T_T)を流すのでした。
で、この僧侶たちを一人一人見るとオモシロイ(^o^)
目を覆って泣いてる人もいれば、鼻をかんでる人もいます。実に丁寧に描いています。
起承転結で云うと、"転"←祈祷僧の託宣。と、"結"←維摩会 だけを描いてて、ヤッパリわかりにくいね~(^_^;)

以上です。
後期では、第三・四段が展示されるようですよ~

国宝が春日権現験記絵だけだったのが残念ですが、皇室の名宝も眼福ものです。
特に国宝ではほぼ皆無の、明治・大正期の、絵画や工芸品は目を見張るものがあります。

平日だとぜんぜん混んでないので、ゆっくりと鑑賞できます(^_^)