徳川美術館「特別公開 国宝 初音の調度」 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

名古屋にあります、徳川美術館で開催中の「特別公開 国宝 初音の調度」に行ってきました(^-^)/
"特別公開"とついていますが、特集展示の規模です。
第5展示室をまるごと千代姫婚礼品で埋め尽くしての展示です。

この第5展示室で見られる国宝は、

・国宝 婚礼調度類(徳川光友夫人千代姫所用)として、
初音蒔絵調度から7点
胡蝶蒔絵調度から4点
蒔絵香箱五合のうち宇治香箱
の12点が展示されていました。

このブログでも何度も紹介していますが、国宝 婚礼調度類(徳川光友夫人千代姫所用)は、徳川家三代将軍 家光の長女"千代姫"の花嫁道具です(^o^)
なんせ、将軍のお姫様の花嫁道具なので、常軌を逸する豪華さです。
中でも有名なのが、源氏物語"初音の帖"をモチーフにした、初音の調度でしょう。
そのすべてに超絶技巧で、豪華な蒔絵が施されています。技巧に関してはこちらの記事が詳しいので参照してみてください。

今年は、子年ということもあって初音の調度の展示が多いですね(^_^;)
このブログでも紹介した九博での展示と今回の徳川美術館での展示と、連続しています。初音の調度全47点の鑑賞でコンプリートを目指す私にとっても都合が良いです。
では、さっそく初音蒔絵調度からレポートしましょう(^_^)

初音蒔絵調度 貝桶(かいおけ)

貝桶は、婚礼用具の中でも最も重要な品だそうで、花嫁行列の先頭に配置されるほどだそうです(^o^;)
一対の桶で、中には"貝合わせ"用の貝が360個入っていたそうです。
この"貝合わせ"ってところが重要で、貝合わせで使う2枚貝の"はまぐり"は、同じ一つの貝でないとピッタリ合わないそうです。その事から"貝合わせ"は夫婦和合の象徴となったのです。
だから、花嫁行列の先頭なんですねぇ~

初音蒔絵調度 鏡台
お化粧するのに必要ですね(^_-)-☆
今だとドレッサーって云うのかな?鏡を置く台です。引き出しが付いていて、その他の化粧道具が納められるようになっています。
写真だと鏡台の向かって左に、赤い小箱が2つ並んでますよね。後に紹介する"小角赤手箱"のミニチュア版です。


初音蒔絵調度 寄り掛り
初めて見ました(^o^;)
寄り掛かるためのクッションです。天面のカマボコ型の部分がクッションになってます。脇息(きょうそく)は良く見ますが、"寄り掛り"っていうのは初めてですね~
クッション部分の裂(きれ)は、おそらく南蛮物。コウモリと龍が図像化されていて楽しいです。写真だと天面の左短辺に2匹バットマンのマークみたいなのがいるの、わかるかな?


初音蒔絵調度 文台・硯箱
初音の調度の"文台・硯箱"は2セットあって、それぞれ図像が異なります。その内の一つです。(ちなみにもう一つはこちら)
文台は、文書を書くときの机。硯箱はお習字セット。この二つがセットになっているのがミソです。
「年月を 松にひかれて経(ふ)る人に
今日鴬の 初音聞かせよ」
の上の句を硯箱蓋の表に、下の句を文台に葦手書きで表しています。
"葦手書き"とは、文字をデザイン化して隠し絵のようにする描き方。蓋の表を見てみましょう(^_^)
右端中央より少し下に「年月」、左端中央より少し下に「ふる」、左下角に「人」、その右に「れ」があります(^o^)
連綿(続け字)で書かれているので解りづらいですが、見つけると楽しいです。


初音蒔絵調度 薫物壺・台
薫物壺(たきものつぼ)は、香木の粉末を練り合わせたものを入れる銀製の壺です。
セットのは、梅の花を桃色サンゴで表していてとってもキレイですよー


初音蒔絵調度 沈箱
コイツは精緻です(^o^)
香木を入れる箱で、中に6つの小箱ご入っています。その6つも、"紅葉賀"では紅葉を、"葵"では葵をモチーフにと、源氏物語の各帖をモチーフにしています。


初音蒔絵調度 小角赤手箱
"角の赤い"手箱のことです。 赤い部分は布の上に漆を塗っています。良く見ると布の織り目が見えます。
さて次は、胡蝶の調度に移りましょう。

胡蝶蒔絵調度 
胡蝶の調度では、池の風景が蒔絵で描かれています。水鳥や対の鼉太鼓(だだいこ)、同じく対の竜頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)の船などを、蒔絵で表しています。
写真で見ると、右下に鼉太鼓が対であるのは分かりますよね(^_^)
左中央あたりに、竜頭鷁首の船が2そう並んでいるのわかるかなぁ(^o^;)


胡蝶蒔絵調度 掛硯箱
携帯用のお習字セットです。天面にハンドルが付いて持ち歩きできるようになってますね。
竜頭鷁首の船は、こっちのが分かりやすいかな?写真の"Archives"の文字のとこに竜頭の船が、その奥に鷁首の船が見えます。

胡蝶蒔絵調度 将棋盤
将棋盤は、駒と共に残っています。駒がちゃんと残ってるのは良いですね。

胡蝶蒔絵調度 枕香炉
初音の枕香炉は以前見ましたが、胡蝶は初めてです。
高枕の内部が引き出し式になっていて、そこに香炉を納められます。良い香りに包まれて眠るんですね~(^_^)今で云うアロマテラピーです。
最後は、
蒔絵香箱五合のうち宇治香箱
"香合わせ"という遊びに使う道具ですが、イマイチどう使うのか?わかりません(^_^;)

千代姫婚礼調度品は以上です。まとまって、これらの国宝が見られる「特別公開 国宝 初音の調度」は、2月2日までです。
後僅かで申し訳ないのですが、見ていて飽きないですよ~(^_^)
そうだ!もう1件国宝が展示されています。

第1室で、
が展示されています。

太刀ですので、刃を下に展示してあります。
"銘 長光(ながみつ)"とあるように、茎(なかご)に小さく"長光"と刻まれ、目釘穴は3つもあります。茎の末端に2つの穴が連続しているので、相当摺り上げられたと思われます。
織田信長の愛刀で、明智光秀が織田信長から奪い取った刀です。(というか、安土城を攻略したら付いてきた)
麒麟がくる」がらみの展示かな?
こちらは3月29日までの展示です。

最後にちょっとだけおトク情報。
徳川美術館の「前売り券情報」では、展覧会開始後でも前売り券が買える場合があります(^o^)
どうやら"展覧会の開始前か後か?"ではなくて、"予定発行枚数を越えたか否か?"で判断されているようで、展覧会開始後でも前売り券が買えちゃったりします(^o^)/
私もローチケで買ってから行きました\(^o^)/