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九博では、毎年 新春特別公開で国宝 初音の調度から、毎回数点を展示しています。(今年で9回目だって)
国宝「初音の調度」の正式指定名称は、
婚礼調度類(徳川光友夫人千代姫所用)。
残存する婚礼調度は、「初音の調度」のシリーズが47点「胡蝶の調度」は10点、その他数点となっていて、「初音の調度」は圧倒的にボリュームがあり、有名です。
"初音"も"胡蝶"も源氏物語に由来したデザインです。
そこには、源氏の妻 紫の上に育てられている明石の姫君が、年賀の贈り物に囲まれて女房たちと戯れていました。
源氏はその贈り物のひとつに目を留めます。
それは、明石の姫君の実の母親"明石の君"からの贈り物でした。そこには歌が添えられていました……
「年月を 松にひかれて経る人に
今日鴬の 初音聞かせよ」
(長い年月、娘であるあなたの成長を待ちわびていました。今日、私に初音(歌)を送って下さいませんか?)
同じ屋敷に住みながらも、娘は将来帝の后になる身。会うことも、目にすることさえできないその境遇。新春の今日だけでもいいから、会うことができないのなら、せめて歌でも聞かせて欲しい……
その切ない気持ちを知って、源氏も涙ぐむのでした……って、
おい!光源氏、全部あんたが決めたことやないか~い!\(>_<)/
そして娘の明石の姫君も、母親の明石の君に歌を返すんですが、それがまたイイんです(^_^)
でも、国宝とは関係無いんで、それはまたの機会に……
と、云うことで、今年は3点の展示でした。
・国宝 初音蒔絵調度から「短冊箱(たんざくばこ)」
・国宝 初音蒔絵調度から「長文箱(ながふばこ)」
・国宝 初音蒔絵調度から「乱箱(みだればこ)」
では、1点ずつレポートします。
・国宝 初音蒔絵調度から「短冊箱(たんざくばこ)」
詩や歌をしたためる"短冊(たんざく)"を入れるための箱。縦10×横40×高さ10cmほどの大きさです。
短冊って、俳句なんかを書く細長い紙のことですねf(^_^)七夕の時にお願い書くヤツ。
♪五色の短冊、わたしが書いた~♪
だから直方体。10×10×40cmくらいかな?中は二段収納になっていて、懸子(かけこ)に硯・水滴・筆がセットされています。その下に短冊が入ります。本体左右に金具が付いていて、蓋をして紐を通し、結べるようになっています。
・国宝 初音蒔絵調度から「長文箱(ながふばこ)」
長文(ながふ)って読むんですね、へぇ~。
先の短冊箱より、ひとまわり大きめです。縦10×横40×高さ10cmくらい。
書状を入れて、往復させるための箱で。お手紙BOXですね。
こちらの箱にも、本体左右に金具が付いていて、蓋をし、紐を通し、結べるようになっています。
初音の調度シリーズには、これよりひとまわり小さい、小型の文箱もあります。
・国宝 初音蒔絵調度から「乱箱(みだればこ)」
手まわり品や、衣類、化粧道具を入れるための箱だそうです。この乱箱には、白粉(おしろい)入れ、化粧水入れ、白銅製鏡とそれを入れる鏡巣などが入っています。
画像の右上に銀の延べ板みたいなのがありますね。これは、銀製の渡金(わたしがね)。
お歯黒をする時に、たらいに水を張ってするそうなんです。その時に、たらいの上に渡して、化粧道具を置くためのプレートです。
画像の真ん中へんに、6組の円筒形の筒がありますね。これは眉刷毛柄。眉毛用のアイブローです。
すべてに共通するのは、贅を尽くした蒔絵の超絶技法です\(^o^)/
ありとあらゆる蒔絵の技法が、これでもかというほど使われています。
そして、楽しいのは「葦手(あしで)」と云われる、文字をデザイン化して全体に散りばめているところ。
先に紹介した「……今日鴬の 初音聞かせよ」の中の文字が、色んなところに隠されているんです。
展示の中でも、乱箱の側面に描かれている"葦手"を、写真を使ってココに使われてますよーと、解説してくれています。
文字だけじゃなく、鴬なんかは絵で表現されています。
このあたりは、ずっと見ていても飽きないです(^_^)
蒔絵の技法については、こちらが詳しいのでリンクを貼っておきます。
1/26までの展示です。
次は、刀剣ですよ~(^o^)