例年この時期は仕事が忙しく、あまり遠出はできないので、近場で国宝が見られるところというと、ほぼ四天王寺一択なんですよ(^_^;)
毎年、新春は「新春名宝展」が開催され、国宝の扇面法華経冊子が公開されてます。
今回展示されている国宝は2件、3点です。
・国宝 扇面法華経冊子 法華経巻一より
「蓮池舟遊図」(~1/14)
・国宝 懸守より
「桜折枝文」「松喰鶴文(オレンジ)」
(~2/9)
では、国宝 扇面法華経冊子からレポートします。
国宝の扇面法華経冊子は、2件あります。
1件は東京国立博物館が所有するもの。そして、四天王寺が所有するものです。
四天王寺所有の扇面法華経冊子は5冊あります。
①法華経 巻一
②法華経 巻六
③法華経 巻七
④無量義経
⑤観普賢経
過去のレポートにも書いていますが、最大の特徴は"扇形"であることです。
描かれた(書かれた)時代は平安時代後期。そのため、登場人物は皆 源氏物語絵巻のような"引き目かぎ鼻"で描かれています。
さらに、その上からお経が書かれている、いわゆる装飾経というヤツです。
絵の具の剥落も少なく、保存状態は良いです。(しかし、それを維持するために公開期間は短い……1/14までです)
「蓮池舟遊図」は、その名のとおり蓮池に浮かぶ遊覧船を描いています。
船頭の男性が一人、乗客の女性が三人。
船頭の着物の白と青の市松模様の柄が鮮やかです(^_^)
三人の女性は、池の水で遊んだり、蓮の葉を傘のようにさしたりして楽しそうです。岸には柳が二本、風に葉を揺らしています。
当時、貴族たちはこのように船遊びを楽しんだのでしょう。
扇面法華経冊子は、当時の日常生活・風俗を伺い知ることができる一級資料なのです。
昨年展示の「戯児の図(ぎじのず)」では子供たちのあそびを、「干物図」では貴族の屋敷での洗濯の様子といった、珍しい風景が描かれていました。
しかもそれを、金銀箔、金銀砂子を贅沢に散らした料紙に描いています。
あまりにゴージャス過ぎて、絵が目立たない位です。
そして、丁寧に書かれてもいます。
絵の上にお経(この場合法華経)が書かれていますが、髪の毛のように黒い箇所には、墨に変えて金泥で書いています。そのまま墨で髪の毛の上に書くと見えないじゃないですか。そこも考えているんですねぇ。また、扇の端から中央の要(かなめ)に行くにしたがって字を少しずつ小さくしていっているという、芸の細かさ。画像でわかりますでしょうか?
・国宝 懸守(かけまもり)より、「桜折枝文」「松喰鶴文(オレンジ)」
まずは、「桜折枝文」から。
ですが、今年の展示は同じ「桜折枝文」にもかかわらず、まったく仏龕には触れていませんでした。なぜ?f(^_^;
さて、そもそも懸守って何でしょう?
それは、平安時代のペンダント型御守りです。
首から懸けて使用します。主に女性や子供が懸けていたようです。
素材は桧で、形作った後に錦でそれを覆います。様々な形のものがあり、四天王寺には7個が伝わっています。
「松喰鶴文(オレンジ)」
同型のものが二つあります。覆っている錦の色が異なります。今回の展示はオレンジです。
その他、復元品ではありますが、国宝の七星剣、丙子椒林剣が展示されていました。オリジナルは東京国立博物館に寄託されていて、私も未見です。
これも予習の意味でも見ておいたほうがいいと思います(^_^)
七星剣は直刀で、二本 樋が走っています。そこに北斗七星が金の象篏で施されていました。
聖徳太子の絵伝や聖徳太子像も、多く展示されていました。
特に聖徳太子絵伝は、太子の一生を様々なエピソードで描いているので、見ていて飽きません。最近も国宝の聖徳太子絵伝を紹介しましたねぇ~
新春名宝展には昨年から訪問していますが、扇面法華経冊子も懸守も毎年内容を替えて出展されています。
扇面法華経冊子は5冊全ページを、懸守は7個すべてコンプリートしたいものです(^_^)