初詣の四天王寺で国宝「扇面法華経冊子」と「懸守」を見る | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

今年も初詣に四天王寺へ行ってきました(^-^)/
例年この時期は仕事が忙しく、あまり遠出はできないので、近場で国宝が見られるところというと、ほぼ四天王寺一択なんですよ(^_^;)
正月も5日ともなると、初詣客も落ち着き、ゆっくり訪問できました(^o^)
向かうは、宝物館です。
今回の展示のテーマは、「聖徳太子の姿」。聖徳太子創建の四天王寺ならではですね。
では、レポートしますね。
毎年、新春は「新春名宝展」が開催され、国宝の扇面法華経冊子が公開されてます。
昨年のレポートはこちらこちら

今回展示されている国宝は2件、3点です。
・国宝 扇面法華経冊子 法華経巻一より
蓮池舟遊図」(~1/14)
・国宝 懸守より
「桜折枝文」「松喰鶴文(オレンジ)」
(~2/9)

では、国宝 扇面法華経冊子からレポートします。

国宝の扇面法華経冊子は、2件あります。
1件は東京国立博物館が所有するもの。そして、四天王寺が所有するものです。

四天王寺所有の扇面法華経冊子は5冊あります。
①法華経 巻一
②法華経 巻六
③法華経 巻七
④無量義経
⑤観普賢経
今回展示されているのは、この内の法華経 巻一からの見開き1ページ蓮池舟遊図」です。

過去のレポートにも書いていますが、最大の特徴は"扇形"であることです。
描かれた(書かれた)時代は平安時代後期。そのため、登場人物は皆 源氏物語絵巻のような"引き目かぎ鼻"で描かれています。
さらに、その上からお経が書かれている、いわゆる装飾経というヤツです。

絵の具の剥落も少なく、保存状態は良いです。(しかし、それを維持するために公開期間は短い……1/14までです)

蓮池舟遊図」は、その名のとおり蓮池に浮かぶ遊覧船を描いています。
船頭の男性が一人、乗客の女性が三人。
船頭の着物の白と青の市松模様の柄が鮮やかです(^_^)
三人の女性は、池の水で遊んだり、蓮の葉を傘のようにさしたりして楽しそうです。岸には柳が二本、風に葉を揺らしています。

当時、貴族たちはこのように船遊びを楽しんだのでしょう。
扇面法華経冊子は、当時の日常生活・風俗を伺い知ることができる一級資料なのです。
昨年展示の「戯児の図(ぎじのず)」では子供たちのあそびを、「干物図」では貴族の屋敷での洗濯の様子といった、珍しい風景が描かれていました。
しかもそれを、金銀箔、金銀砂子を贅沢に散らした料紙に描いています。
あまりにゴージャス過ぎて、絵が目立たない位です。

そして、丁寧に書かれてもいます。
絵の上にお経(この場合法華経)が書かれていますが、髪の毛のように黒い箇所には、墨に変えて金泥で書いています。そのまま墨で髪の毛の上に書くと見えないじゃないですか。そこも考えているんですねぇ。また、扇の端から中央の要(かなめ)に行くにしたがって字を少しずつ小さくしていっているという、芸の細かさ。画像でわかりますでしょうか?


・国宝 懸守(かけまもり)より、「桜折枝文」「松喰鶴文(オレンジ)」

まずは、「桜折枝文」から。
昨年も展示されていました。昨年は懸守(桜折枝文)は、内部に仏龕(ぶつがん)が納入されていたことが発見され、その事がフューチャーされていました。
ですが、今年の展示は同じ「桜折枝文」にもかかわらず、まったく仏龕には触れていませんでした。なぜ?f(^_^;

さて、そもそも懸守って何でしょう?
それは、平安時代のペンダント型御守りです。
首から懸けて使用します。主に女性や子供が懸けていたようです。
素材は桧で、形作った後に錦でそれを覆います。様々な形のものがあり、四天王寺には7個が伝わっています。

「松喰鶴文(オレンジ)」
同型のものが二つあります。覆っている錦の色が異なります。今回の展示はオレンジです。

その他、復元品ではありますが、国宝の七星剣、丙子椒林剣が展示されていました。オリジナルは東京国立博物館に寄託されていて、私も未見です。
これも予習の意味でも見ておいたほうがいいと思います(^_^)
七星剣は直刀で、二本 樋が走っています。そこに北斗七星が金の象篏で施されていました。

聖徳太子の絵伝や聖徳太子像も、多く展示されていました。
特に聖徳太子絵伝は、太子の一生を様々なエピソードで描いているので、見ていて飽きません。最近も国宝の聖徳太子絵伝を紹介しましたねぇ~

新春名宝展には昨年から訪問していますが、扇面法華経冊子も懸守も毎年内容を替えて出展されています。
扇面法華経冊子は5冊全ページを、懸守は7個すべてコンプリートしたいものです(^_^)