国宝 信貴山縁起絵巻(尼君の巻) | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

先日、信貴山朝護孫子寺で公開中の、国宝 信貴山縁起絵巻を見に行きました(^-^)/
国宝 信貴山縁起絵巻は、通常 奈良国立博物館に寄託されていますが、秋のこのシーズンには、信貴山朝護孫子寺に里帰りして展示されます(^o^)
展示場所は↑の霊宝館

国宝 信貴山縁起絵巻は3巻あるのですが、里帰りするのはその内の1巻で、毎年ローテーションしています。
今年は「尼君の巻」。

レポートの前に耳寄り情報を。
今年は、こちら↑の飛倉館でボランティアガイドの方による、国宝 信貴山縁起絵巻の解説が実施されていました。
昨年はしていなかったと思うんで、今年からの取り組みでしょうね。

で、これ、すごく良かったです(^-^)/

何が良かったかまとめてみました。

絵巻が全場面、写真展示してある
霊宝館の本物の国宝絵巻は、全体の1/3ほどの展示ですが、ここ飛倉館では全場面見ることができます。
絵巻の各場面の見所がキャプションで、解説されていて、これがなかなかポイントを押さえています。
ボランティアガイドの方が解説してくれる
キャプション読むのは時間がかかるので、ガイドの方にお話伺うのもいいです(^-^)/質問にも答えてくれます。


さて、予習ができたところで霊宝館へ向かいましょう。


・国宝 信貴山縁起絵巻(尼君の巻)

信貴山縁起絵巻は3巻あり、共通して信貴山朝護孫子寺にいた、命蓮(みょうれん)というお坊さんの霊験譚を表しています。

今回展示の「尼君の巻」の主人公は、その命蓮のお姉さん。

20年前、弟 命蓮は「東大寺に行って、立派なお坊さんになります」といって出ていったきり音沙汰ありません。
心配になった尼君は、従者を連れ東大寺に向かうのでした。

奈良に向けて旅をする中で、尼君は様々な市中の人とふれあいます。いずれの人たちも、尼君を優しく受け入れてくれます。ただ命蓮の行方を知っている人は誰もいませんでした(>_<)

山中に鹿の姿がチラホラと見え、奈良に入った頃、東大寺に至る最後の村でも、尼君は親切な対応を受けました。しかし、命蓮の行方はやはりわからぬままです。

東大寺に到着した尼君は、ここでも命蓮の行方が知れないことに落胆します(^_^;)
そして、大仏殿の前で夜を明かすことにするのです。

すると、夢に大仏さまが現れます!
「命蓮は信貴山の方にいるよ」
夢告を受けた尼君は、信貴山へ向かいます。

大仏さまのお告げのとおり、信貴山には修行中の命蓮がいました。
ここでやっと二人は再会を果たすのです。
そして、二人は共に修行に励むのでした(^_^)


これが、ざっくりとしたストーリーです。
展示は、尼君が東大寺 大仏殿で過ごした前後の部分でした。

第一の見所は、尼君と市中の人たちとのふれあいでしょうか?
絵巻全体を通して言えることですが、登場人物がみんな優しい顔をしているんです(^o^)
怒っていたり、辛そうだったりしている人はいません。
絵巻全体がホンワカとした雰囲気を醸し出しているんですね。

第二の見所は、大仏殿です。
ポイントは2つあって、
①大仏殿が南都焼き討ちで焼失する以前のものである
②尼君を異時同図法で描いている
 です。
①は、今の大仏殿と比べてみると面白いですよ。柱と柱の間の数が、今の方が少ないのがわかります。横幅が狭くなってるんですね。

②は、国宝 玉虫厨子の捨身飼虎図(しゃしんしこず)と同じ表現方法です。
捨身飼虎は悲壮感がありますが、こちらは尼君が大仏殿でうろちょろしている様が何ともコミカルです(^o^)
(ちなみに、この場面で尼君は6人いるんですよ。わかるかな?)


その後、本道にお参りしました。
昨年同様、戒壇巡りもしましたよ(^_^)
景色もキレイ。
信貴山朝護孫子寺からJR王子駅行きの帰りの奈良交通バスの時刻表です。
本数が少ないので要チェックですよー
土日祝日は臨時バスも運行中。

11/10(日)までです!興味のある方はお早めに(^_^)/~~