奈良博 名品展「珠玉の仏教美術」8/4 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

前回エントリーの「いのりの世界のどうぶつえん」と同時に、奈良博の常設展である、名品展「珠玉の仏教美術」にも行ってきましたよ(^_^)
今回はたんまりと国宝が展示されています。

・国宝 賢愚経巻第十五(大聖武)[東大寺]
・国宝 一字蓮台法華経[龍興寺/福島]
・国宝 十二天像から 伊舎那天日天月天[西大寺]
以上、8/18までの展示。

・国宝 幡頭[中尊寺金色院/岩手]
・国宝 五瓶形外容器[西大寺]
・国宝 火焰宝珠形舎利容器[西大寺]
・国宝 鉄宝塔[西大寺]
・国宝 宝相華文透彫華籠[神照寺/滋賀]
・国宝 粟原寺三重塔伏鉢[談山神社]
以上、9/23までの展示。
それでは、順に紹介していきましょう。

8/18まで展示の国宝から紹介していきますね(^з^)-☆

国宝 賢愚経巻第十五(大聖武)

東大寺所有の国宝です。
大聖武の名がついているのは、聖武天皇の直筆とされているものだから。
一般的に写経は、一行17文字で書かれることが多いのですが、この大聖武は大きな文字で書かれています。そのため、1行12文字になってます(^o^)
ちなみに↑の写真の「奈良国立博物館」の文字も聖武天皇の筆です。



お経ですが、一文字一文字を仏様に見立てて、文字を蓮台に座らせています。
法華経のすべての文字に蓮台を書き入れているのですから、それはもう凄い労力です(^o^;)
さらに蓮台は、色も変えています。緑青・群青・朱・黄土・金泥・銀泥の6色を使い分けています。
お経の内容によっても、蓮台を一重のものと二重のものと使い分けています。
(一行17文字の部分は二重。5文字×4段の部分は一重と分けられている)
福島県の龍興寺の所有する国宝ですが、一字蓮台法華経の国宝は、全国で2件あり、もうひとつは奈良の大和文華館が所有しています。
2件並べて鑑賞してみたいものです((^_^)/


国宝 十二天像から 伊舎那天日天月天

西大寺所有の国宝です。1.5×1.5mほどのおお振りの掛け軸です。
奈良博に6点、京博に3点、東博に3点寄託されています。
平安時代初期のものなので、いずれも絵の具の剥落が激しく、見えづらいのが残念です(>_<)
伊舎那天ほ水牛に、日天は赤毛の3体の馬に、月天は3体の白馬に乗ってます。
春に東博で見た、東寺の国宝 十二天像は動物に乗ってはいませんでしたので、そこが大きく違いますね。あと東寺のものの方が、絵の具の剥落も少なく状態が良かったです。

以上が、8/18までの展示です。


続いて、

国宝 幡頭

中尊寺金色院が所有する、国宝 中尊寺金色堂堂内具の内の一つです。
幡頭は3枚あるはずですが、展示は1枚でした。3枚を状態の良さで松竹梅に分けると、今回展示分は"竹"。幡身が欠失して頭の三角形部分だけが残ったものです。


国宝 五瓶形外容器

これ、2つで1件の国宝です。
国宝指定名称は、国宝 舎利瓶。
入れ子状になっていて、五瓶形外容器の中に火焰宝珠形舎利容器が入っています。これが5セット分あります。
これがまぁ良くできていて、1つづつデザインを変えてあるんですよ(^_^)
五瓶形外容器は写真がありませんが、花瓶に蓮の花(つぼみ)が生けてあるようなデザイン。つぼみの花びらのデザインが一つ一つ変えて、5セット作られてあります。
その中に入れる火焰宝珠形舎利容器も繊細にデザインされています。
そして、両方とも状態が良い!
ぜひとも実物を見て欲しいと思います。


国宝 鉄宝塔
鉄製の宝塔で高さが172cmと私の身長と同じ大きさ(^o^)
実はこれも先の2つとセットです。
鉄宝塔>五瓶形外容器>火焰宝珠形舎利容器と入れ子になっています。
現地でそれを頭に置いて鑑賞していただくとより楽しめると思いますよ(^_^)v



ほうそうげもんすかしぼりけこ  と読みます。
国宝指定名称は、国宝 金銀鍍透彫華籠。
滋賀県にある神照寺が所有する唯一の国宝です。全部で16枚あるはずですが、展示は2枚。表と裏をそれぞれ展示してありました。
これはデザインが凄いです。コンピューターの無い時代に、この模様を破綻無く仕上げるとは!
私は、2017年に京博の国宝展で一度見ていますが、さすがに16枚の内のどれなのかはわからないです(*_*)(おそらく京博に寄託されているもので、今回展示のものでは無さそうです)
ちなみに華籠(けこ)というのは、法会の際に行われる"散華(さんげ)"に使われる花びらを入れておく籠(かご)のことです。



こちらは、過去にレポートしていますので、そちらをご参照下さい。
大規模な展覧会と違って、平常展ですと混んでいなくて、ゆっくりと鑑賞できるのでとても良いですね~

8/20からは、一部展示替えがあり別の国宝も見られます。