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今日の仕事 8/12…1

オトメ第3話ペン入れ。
今回からペンを変えた。変えたっつっても0.3mmから0.1mmに
マイナーチェンジしただけだけど。
細すぎて書き味悪いかと思ったけどそうでもない。
きっかけは、カミさんに
「細い繊細な方がオトメにはあってる」と
間接的に今までの線にダメ出し食らったから。
カミさんの評価には弱い。
別に恐妻家ではないですよ。
とりあえずこのまま0.1mmで突き進んでみる。

オレたちアンカー


orizarot

7月20日発売の月刊ヤングジャンプに、

オレたちアンカー」が掲載されています。
ニート青年がいろいろあってデカいババアと戦う話です。
ちなみにババアを描くのは大変楽しかったです。
評価が高ければ、連載になるやもしれません。
よろしくお願いします。


「アンカー」の原稿は、岸虎次郎史上最大の書き込みをしています。
アクション作品なので、その辺りの描写にウソを付きたくなかったので
手抜きせずに頑張りました。
でもホントは、「血しぶき!」とか「瓦礫!」とか描くの好きなのです。
そういう絵はやっぱり漫画家冥利に尽きる気がします。
今までは基本的にリアルな人間描写ばかりが多くて、

フィクションと いってもせいぜいモンスターが出るぐらいだったので、

ビルを壊すとかそういうのを描い てみたかった。

ちなみにこの作品の舞台となる街は、オレの実家付近を使っている。
分かる人にはこれがどこかすぐ分かるだろう。
ところでもしこれが連載になったら、果たしてちゃんと転がしていけるのかどうか、

ちょっと心配ではある。
だからといってアシスタントを使う気は、今のところない。
やっぱり大友克洋って偉大だ。


ところで、「アンカー」に取りかかるのと同時に、透析が週2から週3になった。
リンの値がよろしくなかったためだ。
当初、オレは週3の透析というものに嫌悪というか恐怖に近い感覚を持っていた。
単純に週3より週2の方が楽だし、拘束時間も短い。
もし週3になったらそれは「完全なる透析者」ということであり、

それ はすなわち、完全なる身障者ということ。これで名実ともにポンコツだ。
ひいては仕事にも支障が出るだろう。
原稿が描けない漫画家なんて、燃えるゴミと大して変わらんですよ。
でも、リンの値が悪いという形で数字を突きつけられてしまうと、

まあ しょうがないかなと観念するわけで。
仕方がないので、朝早起きすることにした。
朝は6時に起きて7時から仕事をする。

そうすれば、夜7時までやった としてメシ時間を入れるとしても

12時間使えるわけだ。

オレはこうして早寝早起きの健康優良漫画家になったのだ。

つっても身障者だけど。
で、フタを開けてみると、週3の方が一度に引く水分量が少ないので、
その分体力も温存できて、意外に透析後でも仕事ができた。
以前は透析後は疲れて起きてもいられなかったんだけど。
まー何事もやってみることだわな。

アンカーがどうなるかは正直まだ分からないんだけど、

できればオレは
アンカーをまた描きたい。
オトメの帝国もちゃんと描いていきたい。
オレは漫画家だからねー。

オトメの帝国

言い訳とかしません。放置してました。でも生きています、おかあさん!

$orizarot

現在発売中のビジネスジャンプ増刊/ビージャン魂(こん)に、
岸虎次郎作品『オトメの帝国』が掲載されています。
女子高生が悪の軍団フェロフェロマッカチン団と戦い、
就職活動もこなして、やがてホットドッグ早食い競争のプロモーターとして
世界各国の弁護士と血で血を洗う合コンを繰り広げるという、
子供向けのなにかです。
このあらすじが本当かどうかはビージャン魂を手に取って確かめよう!

ちなみにこの『オトメの帝国』は、
来月8月4日からビジネスジャンプ本誌にて連載が開始されます。
みんな!腎不全の身障者がビージャンでフザケた漫画を描くぜ!

ということでよろしくお願いしますです。

$orizarot

今日の透析ちゃん 16

退院してから、異常に早起きになった。
漫画家のオレが、朝6時には目が覚めてしまう。
習慣恐るべし。
それよりも恐ろしいのが、朝一番で食欲がまた異常に旺盛なこと。
健常者だった頃はせいぜいヨーグルト1つ、
できれば麦茶1杯だけで済ませたい感じだったのが、パンを2枚食べても3枚食べても収まらない。
腎不全になる前と後、どっちが健康的だったのかちょっと分からん。
あまりに食欲があるオレを、父は「どっかおかしいのかもしれない」と心配した。
でもこれは、単に食欲が増したということではないのだろう。
どっちかと言うと、食べられなくなって失った部分を必死に取り返そうとしている感じだ。
体はなんとかできる限り、元の姿に戻ろうとしているらしい。

飲水量をキープするのも、なかなかめんどくさいけど慣れてきた。
意外と、それほど飲みたいとも思わない。

退院して数日後、妻/当時の婚約者とデートした。
オレは退院したら絶対にしたかったことがあった。
「メシを腹いっぱいに食う」。
家のメシではない、外食がしたかった。
それこそが、オレにとっては「退院」であり「治療の完了」を意味していたからだ。
今日ばかりは塩分量とかそういうの関係無し。食いたいものを食いたいだけ食う。
「なにを食べようかしら!」
とにかく肉が食いたかったです。
トンカツ屋に入りました。
そこで、ランチスペシャルみたいなのを頼んで、確かご飯を3杯おかわりした。
至福でした。
これ。
食べられるということ。美味しいものを美味しく食べられる。
これ以上の幸せってないんだよほんと。
満足いくまで食う、という感覚を実に4ヶ月ぶりぐらいに味わった。

ふたりで電車に乗った時、「あ、オレはこれからシルバーシートに座っていい人なんだ」と思った。
周りはなにも変わっていなくても、オレとの関係性は少しだけど変わった。
有り難いことにそれは基本的にオレに有利に働くものなので、楽しんでいこうと思う。
ちなみにシルバーシートに座るのはまだ慣れません。まあ見た目は健常者だもんで。

体を壊す前と変わらないデートをして、夜に別れる。
駅前を歩いていたら、目の前の信号が変わりかけたから走って渡った。
その時、気付いた。


「オレ、今、走れた」


入院する前は、階段を歩くことさえ辛かった。息が続かなかった。
でも今は、走れる。
走っても息も切れてない。
走ったのってどれくらいぶりだろうか。

「オレは帰ってきたんだな」
そう思った。

帰ってきたとは言え、完全に今までどおりじゃない。
明日も、これからずっと、透析を受けなくてはいけない。
シャントはまだ安定していない。穿刺も毎回痛い。
でもまあ、なんとかなるでしょ。



ここまでで一応、入院~退院までの透析ちゃんは終わりです。
退院~現在までの透析ちゃんも書こうとは思ってるのですが、
まあそのうちということにします。

今日の透析ちゃん 15

最近なにか忘れている気がしていたわけだが、思い出した。
ブログ更新してなかった。
ということで久しぶりの透析ちゃん15。

ーーーーーーーーーーー
退院間近の日、透析ルームのスタッフさんに
オレは自分の単行本を贈った。
「わー岸さんの本なんですか!」
「すごーい」
ここに入院した時から、退院する時に「単行本を渡そう」と決めていた。
漫画家である自分を病院スタッフに示すということが、

オレにとって再起を意味すると思っていたからだ。
ここに来た時のオレは、しょぼくれて死にかけの、ただの男に見えたに違いない。
でもここを出る時は、未来に怯えるのではなくきちんと期待をして、

出たい。
その日は、振り返ってみれば意外と早く来た。
いろんな人と仲良くなったけど、それももうすぐ終わりだ。

外出許可が降りたので、歩いてすぐのダイエーに血圧計と計量カップを見に行った。
ちょうど店の前に100均ショップが露店を出していて、

そこにイイ感じのカップがあったので2つ買う。
お店の人、すいません。僕はこのカップで尿を計るのです…!
血圧計はリストバンド形のシンプルなヤツがあったのでそれを購入。
今まで血圧計なんてちゃんと見たこと無かったよ。
ちなみに、主治医の外出許可は取ったものの、

外出届けを出していなかったために、

病院内ではオレが行方不明になったとして大騒ぎになってました笑

そして、退院の日。
あらかじめ、当日なにを着て帰るかは両親にリクエストしていて、

それを持って来てもらう。
オレが持っている中で当時一番高かった、バーバリーのコートを着た。
ちゃんとした格好、できるだけかっこつけた服装で帰りたかったんだよ。
パジャマではない服を着るのは久しぶりだ。
オレはこれを着て、今から帰るんだ。
自分の家に、そして社会に帰る。
不安は無い。
まあ、多分、大丈夫だ。

父の運転する車に乗り込む。
これに最後に乗ったのは、ここへ入院する時だ。
あの時はとにかく吐き気と戦ってたっけな。
寒くて仕方なくて、上に4枚、下に2枚着て、
まーどうしようもなくダサいヤツだったよ。
これからどういう診断が下されるのか、不安で仕方なかった。

「でも、今はそうじゃないぜ。かっこいい障害者(の予定)だぜ」

車窓からの景色が、だんだん見慣れた景色になってくる。
いつものように車がガレージに入った。
オレは、帰ってきた。

玄関に立ったら感動で泣くかもーなんて思ったけど、
意外とそんなこたーなかった。

隣家に住む祖母のところへ、帰宅の報告をする。
「あらまあ、おかえりなさい」
そういって92歳の祖母はしわくちゃな笑顔になった。
祖母は、オレが腎不全であることを知らない。
だからいたって普通に、ちょっとそこらまで行って帰ってきたような、
そんな言葉だった。
それでいいのだ。
なんとかオレは、祖母より先に死ぬという結末は迎えずに済んだ。


家に戻って、自分の部屋に入ってみる。

あの時のままだ。

1ヶ月前、明日は治ると信じ続けて天井を見ながら、寒さに震えて、

吐き気に飛び起きていた部屋。
苦しみの温床だった部屋は、べつに何事もなかったみたいに普通だった。
机に向かうと、まるで今までのことは全部ウソだったみたいだ。

今日から、もう眠る時に怖がらなくていい。

明日起きて、また体調の悪い自分と向き合わなくてはいけないことを、
もう恐れる必要はない。

寝てる間に脚がつることもないし、
舌を噛んで口の中が血まみれになることもない。

多分、寝てる間にトイレに起きる必要もないね笑

PCを起動したら、メールがたくさんたまっていて
そこで初めて時の流れを感じた。
確かにオレは、入院してたんだな。

まだそこそこ尿は出るので、トイレに行った。
年中カップで計量する必要も無いっちゃ無いんだが、
自分の状態を把握しておくことは習慣化しておきたいので

毎日計ると決めた。
明日から、尿は全てカップに取る。
便器に、普通の人のように用を足すのは、一応これが最後だ。
そう思って、なんか若干しみじみと放尿したオレであった。

夜。
風呂に入る。
浴槽に浸かりながら、思ってみる。
入院した時は、1ヶ月という入院期間が永遠に感じた。
一刻も早く退院したかった。
家に戻ったらきっと、感涙するんじゃないかしら。

ところが帰ってきてみれば
なにもかもが当たり前で。
懐かしさも新鮮さも、高揚感もない。
喉元過ぎれば熱さ忘れる。そんなもんなんかな?


でもオレはこうも思う。
腎不全なんて結局、オレにとってはその程度のことなのだ。
危惧したほどの、未来への切迫感もない。
それこそ風邪が治った時みたいに、
オレはいたって普通に、
元の日常に戻ったんだ。
なにも変わっていない。
まあちょっとは変わったけど。
以前を懐かしむような、ノスタルジックという名前の悲哀なんてない。

オレはこれからも、オレだ。

岸虎次郎という人間は決して楽観主義者ではない。
むしろ石橋を叩いて壊すタイプだ。
ただ、どれだけ悩んでも、考えても、反省しても、
それでも元に戻らないことに対して
限られた人生の時間を浪費するという行為は馬鹿げていると思う。
今のオレにとって揺るがない真実。
この病気は、治らないということ。
腎不全という病気を受け入れるには数年かかるとか本に書いてあったけど、
治らないことを、「もっと早く病院にいっていれば」「なぜオレが」
そんな風に悩むのは意味がない。
無駄だ。
そげなことに時間使ってるヒマなんてないずら。


オレは「腎不全を抱えた」のではない。
腎不全だけど「生きている」。


だから今日もオレは、マンガを描いているんだよ。

アメコミ「DEVIL」の件

orizarot


あけましておめでとうございます。
去年11月に最終更新して、いつの間にか年が明けていたよ。
今年ももう残すところあと11ヶ月と数十日ですね。

2010年一発目の更新は、アメコミデビューの話です!

企画が立ち上がったのはもう3年ほど前、
最初は「やったぜかあちゃん」と思い、
時が経つにつれて「おいおいかあちゃん」と思い始め、
ちゃんと走るんかよ、どうなんよ!?とハラハラしながら
去年の夏にやっと実原稿に入れたこの企画。
岸虎次郎+マッドハウス+ダークホースコミックスの国際交流作品です。

そもそもの始まりは、
かつて集英社より発刊した「ブラッディマリー」を映像化しようという
ありがたい申し出からです。
セックスを媒介として人を食う、という描写が
なかなか難しいということになり
そこをヘタに薄めるよりは
コンセプトを同じくして新しい原作を作っちゃった方が
いいのではないか?との判断で、
いろいろと大人のコネクションを介し
アメリカ/ダークホースコミックスから発表する運びとなりました。

タイトルは「DEVIL」です。

「人間の繁栄は、生命ピラミッドから外れることで成立している。
ではもし、人が食物連鎖の中に組み込まれたら、

つまり人の上に立つ捕食者が現れたらどうなるのか」
というコンセプトで「ブラッディマリー」を始めました。
しかし当時若干20そこらの虎次郎にそんな大層な概念を描き切れるはずもなく

なんとなくアメコミタッチ、な作品止まりで終わりました。

そのコンセプトを引き継ぎつつ
新しいストーリーでもう一度仕切り直したのが「DEVIL」。
登場人物も設定も全部変えてますが、
女悪魔の名前は「マリコ」にしました。
「マリー」が不完全だったぶん、思い入れがある名前なので。。

ダークホースは、「ヘルボーイ」というコミックを持つ出版社です。
そしてこの「ヘルボーイ」は、「ブラッディマリー」を描くにあたって
ペンタッチの手本として使った作品です。
「ヘルボーイ」から生まれた「マリー」が
「DEVIL」になって、ダークホースから出るというのは
ちょっと運命を感じます。

アメリカは日本とはコミックの環境が違います。
少年ジャンプのような、コミック雑誌というのがアメリカにはありません。
アメコミは、よくある、薄くてペラペラのヤツで出ます。
あれの4巻分をひとつにまとめたものがグラッフィックノベルといって
日本でいうところの単行本です。
今回はとりあえず、順次4冊出したうえで1冊にまとめたグラフィックノベルを出します。
これでヒットすれば、この後に続いていくんですけどね。
ちなみにこれはアメリカのみでの話なので、
日本では発売されません。
ただ、並行輸入でアメコミを取り扱うお店には、入るのかもしれないです。
もちろんセリフは全部英語なのですが。

下記リンクから、
1巻の冒頭5ページを見られます。
友達にもたくさん知らせよう!
http://www.comicbookresources.com/?page=preview&id=4146&disp=table

単行本は11/19です


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「i.d.」単行本が今月の19日に出ます。
単行本を出すのは「マルスのキス」以来です。
みなさんよろしくお願いします。

ちなみに今回の第一巻、

電車内の格闘前編までは僕は健常者でした。
後編は、僕が透析者になって初めて描いた漫画原稿です。
電車内で格闘が始まって、いよいよ次号激突!

というところで休載するという笑
読者にとってはもちろんですが、

僕にとってもずいぶん歯がゆかったです。
そういう意識で見ていただくと、絵がいい感じにハジけてます。
分かりやすくいうと絵の手数が多くなっている。
「やっとシャバに戻ってきたぜ!」という開放感ですね。
1ページ目の一コマ目を描いた時、
ブランク明けで描いたそのコマの絵が、

ちゃんと描けた時のあの気持ちというのは
なかなか晴れやかでした。


単行本の表紙ですけど、
アキと美雪の身体にかかっている液体の色は、割とあれこれ悩みました。
でも最終的に「女にかける液体っていったら白でしょ!」
という、担当編集との意見の一致により白になりました。
男ってヤーね。

今月のi.d.

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今月もまたi.d.の時期がやってまいりました。
今回のお話から、新章といいますか、
美雪と亜紀子が共の時間を過ごし始めていきます。
あと新キャラでギャルも出ます。
黒と茶髪のツートン髪は、最初なかなかいい思いつきだと思ったんだけど
そういうヘアスタイルのキャラって確かゼータガンダムにいたね。
今まで、美雪は伏し目がちでアキはガン飛ばしてばかりで
同じような表情しか描けなかったので
ころころ表情が変わるギャルは描いてて楽しいです。

ウチの奥さんは美雪がかわいいかわいいと言うのですが
世間的には、美雪とアキはどっちが好まれるんでしょうか。
僕としてはアキはめんどくさいです。

ところで、今回アキが着ているTシャツに描いてある犬は
ウチで飼っているフレンチブルの「あけび」です。
『こっち見んな』的に、いろんなコマから
アキのお腹越しに視線を送っているので、見てください。
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MAKA-MAKA英語版/フランス語版


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吹き出しの中のセリフが外国語になるだけで
なんだか作品自体の雰囲気も変わって見えます。

今回MAKA-MAKAがアメリカとフランス語圏諸国で発売になりました。
「MAKA-MAKA TORAJIRO」で検索してみると
海外の読者さんがレビュー書いててくれたりして面白いです。
あまり読んではいないですけど、

1巻の「月光」が評判よろしかったようです。
ちなみに日本のAMAZONでも海外版MAKA-MAKAは買えるようです。
いや、いいですよ、そんなわざわざ買ってくれなく、
あ、そう?悪いなあ。

興味深かったのは擬音のアルファベット化。
英語版はオリジナルの日本語擬音の横に英語擬音が付きますが
フランス語版はオリジナル擬音はキチンと消してあって
その上に擬音が入ってます。
オリジナルデータは擬音も絵も一緒になってるのに
どうやって抜いたんだろう??

英語版には「ADVISORY」の注意書きが入ってました。
これはよく洋物のHIPHOPのアルバムなんかに書いてあるけど、
「教育上悪い言葉が入ってます」というラベル。
これが付いてたのがなんか嬉しかった笑

MAKA-MAKAは、漫画家になって初めて
「自分がこういうの描きたい」

という個人的嗜好がかなり優先された作品です。
ビアンの世界を描きたいというより、

単に男の裸は描きたくないという理由で
ガールズラブ設定にしました。
この頃ちょうど「ちんかめ」とかオシャレエロが流行ってたんだよな。

とにかくリアルな話にしたかったので、

もしヘア描写ができなかったらMAKA-MAKAは描きませんでした。
局所を泡で隠したり、そういうのキライなんです。
あとは腹ですね、MAKA-MAKAの醍醐味は女の子の腹肉描写です。
一般論として「醜い」ものとされるお腹の段々ですけど
オレは、ここにこそ母性があると思っています。
これを美しくエロチックに描く、というのは結構毎回気を使っていた。
ということで、描いてて楽しかったのは
ジュンよりネネなんですね笑
2巻の「花火」の実写背景は、

わざわざ写真家さんにオリジナルで撮ってもらっていたり、
総扉のパンツ写真と目次写真は自宅で自分で撮ったものだったり、
割と持ち出しで頑張った部分も多いです。
ちなみに2巻の総扉/パンツ写真の床が大理石になってますが
これはもともと自分の部屋の床(フローリング)だったのを
大理石素材を手に入れて自分で合成しています。
なのでこのベッドはオレのベッドです笑

という、どうでもいい情報含めてよろしくお願いします。
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主人公ジュンとネネですが、

アルファベットだと「JUN & NENE」になり、
これを翻訳サイトで翻訳すると「6月とネニー」になります。

今日の透析ちゃん 14

大変長々と放置してしまってすみません。
ちゃんと生きています。
どこまで書いてたのかまるっきり忘れていたのは内緒だ。



シャント手術が終わったオレは、あとは退院を待つだけなのだが
そうなってくるといよいよ退院後の日常生活が現実味を帯びてくる。
今までは、全部人に任せておけばよかった。
しかも先生なり看護師さんなり、周りにいるのはみんなプロだしね。
でもこれからは自分の状況を自分で判断し、

それを維持しなくてはいけない。
もしオレが独り身だったら、未来に感じるのは希望ではなく

不安ばかりだっただろう。

この当時の、オレが人工透析に対して持っていた知識は
とにかく回数が大変/拘束時間が長い/針刺すのが痛い、この3つほど。
多分大多数の人が、この程度の知識しか持っていないだろう。
総じて思うのは、とにかく透析になんてなってしまった日には

普通の日常生活とはおさらばで、
もうホントに大変なんだぜ!御愁傷様!ということだね。
オレもここに来て一番最初に「透析です」と言われた時は、

めまいがして動けなくなったわけだから。
このまま漫画家という職業を続けていけるのだろうか。
でもサラリーマンとかの方が、逆に大変なのかな。

オレはどこまで「今までのオレ」をキープできるのか。
ーーーーーーーーー

手術担当医が、オレのシャントの状態を確かめて、言った。
「いいですね。ちょっと明日から使ってみましょう」

明日??
話では、手術から約1週間後から使用可能と聞いていましたけど?
透析は基本的に年配者がなるもので、

この「1週間」というのもその年代の回復力に基づいたものらしい。
オレは幸か不幸か若いので、早く事態が進んでいるようだ。

これまでも、シャントを太く丈夫にするための運動を

精力的に続けていた。
運動っつってもゴム人形を1日30回×3セットほど行うだけだが。
とにかく、シャントが早く使えるようになれば

それだけ早く退院できるってことだ!

同時に、不幸な知らせ。
例のカテーテルが使えなくなった。
傷口が化膿し始めたのだ。2週間程度でそうなると聞いていたので、

話の通りだな…
ちゃちゃっと抜かれた。
ということはだ、
もしこれで「やっぱシャントまだ早そうですねー」ということになれば
新規にカテーテルを埋めることになる。
おええー
あれは、あれはもうやりたくないよ!
明日は勝負です。

とはいえこれで、ついに普通に歩ける!
車椅子卒業だ!


「ではこれを、透析の2時間前に穿刺箇所に貼ってください」
オレは3×2センチほどのシールを2枚渡された。
これは「貼る麻酔」。
最近はこういう便利なものがあるのね。
ちょっと気持ちが和らぐ。
翌日の透析は9時なので、7時に起床とともに貼ることにした。

で、7時。
昨日先生にマジックで印を付けてもらっといたので、そこに貼る。
これ意外と剥がれやすい感じだ。ダメじゃん!笑
「貼ったんだから痛くないんだ!大丈夫だぜ!」
そう言い聞かせながら透析ルームへ。

「では行きますよ」

そう言って、先生が穿刺していく。
針はすっげー太い。2mm弱ほどか。
人生初の穿刺にござります。
でも麻酔してるので痛くないはずにござります。
刺さります。









も、




もんのすっごく
痛いにござります!!!!!!!!!!!




あれーーーー?
なんで?
痛くないんじゃないの?
なんかすっげ痛いんだけど!ドクター!

貼れば大丈夫というオレの願いは無惨に打ち砕かれ
穿刺は普通に痛かった。
今だから言えることだが、これは血管が慣れてないから。
刺していくと、だんだんその部分の血管が厚くなり、

「穿刺向き」の層になる。
ちなみに今は基本的には痛みは感じません。
先生の腕にもよりますけどね。

さて、アホほど痛かった最初の穿刺ですが
やはりまだ血管はそれほど成長しておらずに失敗。
さんざ痛い思いをして刺したあげくに抜いて笑、新たに刺し直し。
つまり、
1カ所は麻酔無しで刺すということですね。

まあでもぶっちゃけ貼ろうが貼るまいが変わらない痛さだった。
今後ずっとこうなのかと思うと気が重い。
刺し損なった箇所はどんどん青アザになってくるし。
ほろ苦いシャント透析デビューであった。
抜いた後もアザは取れなくて、

その日は1日腕が痛くて曲がらなかった。

これが、透析だというのか…!
オレは恐怖した。





透析をしながら、腎不全に関する教育ビデオを見た。
食事をどうするか、とか
水分の摂り方、とか
日常生活の注意点、とかそんな感じのものだ。

このビデオを見て思ったこと。

もちろん腎不全は軽いハンディではないし
気をつけるべきことはたくさんある。
でも、でもね、この手のビデオってのはどうしてこうなんだろうな、
基本的に暗いんだよね。
「こうしないとダメです。こうしなさい!みなさん大変でしょうけど、
まあ頑張ってください」的なノリに終始する。
そうじゃなくてさー。
「こうすれば大丈夫です。一見大変ですけど、慣れればどってことない
です。生きてるって素晴らしい!」って言ってほしいんだ。
それが気休めでもいいんだよ。
機械的に「すべきこと」を並べるんじゃなくて
そういうことの前に希望が欲しいんだオレたちは。

なぜならこれは、腎不全という病気は
治らない病気だからだ。

難しく言えば、進行性で不可逆性。
治らないという時点で、すでに未来はひとつ失われている。
生きてるだけで儲けモンなのは分かっているけど、
本人にしてみりゃ重要なのは生きることではなくて
どう生きるかなんだよ。

「水分を700mlに抑えないとダメです」
「水分は700ml、を意識しておくと透析が楽になります」
どっちが前向きな気持ちで聞くことができるだろう。

医者に言わせれば大事なのは確かな情報だろう。
でもこっちから言うと、情報よりまずイメージ。
オレらは本当に怖いんだよ。
腎不全になっちゃって、透析なんて背負っちゃって、
楽しく生きられるわけない!
そう思ってしまう。

身障者になっちゃったけど、でも大丈夫。
この、「でも大丈夫」が欲しい。
それがあれば、確かな情報なんていくらでもこっちから

能動的に調べに行く。
なぜなら、そうしてまで生きる理由があるからだ。

とにかくあのビデオは、
創作でメシを食う者として許せないところがあります笑



ーーーーーーーーーーーーーーーーー

つづく