学級通信「オレンジ」No.3
先週の「みんなへつうしん」で特集していた
「新型コロナウイルスって?」のシリーズが
難しかったという声が聞こえてきたので,
すごく簡単に説明した以下の文を紹介します。
やっぱり,「そういうことなんだー」と納得できないと,
不安ばかりが広がって,よくない行動に出たり,
逆に,面倒になってしまったりして,
自分の行動を上手にコントロールできなくなったりしてしまいます。
賢い生き方は,まず知識からです。
***ここから
●「新型コロナウィルス」ってどんなヤツ!?
新型コロナウィルスってどんなヤツなのかを,
授業をイメージして,
できるだけみんなに話しているみたいに書いてみます。
まずそもそもコイツね,名字が「新型」なの。
新型ってどういう意味?
・・・そう「ニュータイプ」って意味です。
つまりニュータイプの“コロナウィルス”ってわけ。
じゃあ旧型もあんの??
・・・あります。
ウィルスにはたくさんの種類があって,
今までに無かったニュータイプのヤツが
今回の新型コロナなんです。
略して「新コロ」ね。
●「かぜ」ってなあに?
ほとんどの人は人生で
一回くらいは「風邪」ひくじゃん。
あれ「バカはひかない」とかないんです。
バカもひきます(笑)
そもそも「かぜ」っていうのはどういう病気かと言うと,
この世に存在する,
いろんな〈ウィルス〉とか〈細菌(さいきん)〉のどれかに
体がやられた状態のことを「かぜ」って言うんです。
だから「かぜ」と言うけど,
正確には「〇〇ウイルスに感染」とか
「〇〇の細菌に感染」っていうことなのです。
で,だいたいのウイルスや細菌に感染すると,
人間の体が反応して
「のど痛」「鼻水」「せき」「熱」っていうのが出てくるのね。
たいていの場合は
それで体の中でウィルスなり細菌に勝利して終わるわけ。
で,感染するともっと他の辛い症状が出ちゃうウイルスや細菌には
ちゃんとした「かぜ」以外の病名が付いているというわけです。
つまり科学者が解明しているウイルスや 細菌には
ちゃんとした「溶連菌」とか「手足口病」とかいう
立派なお名前がつけられているというイメージ。
それ以外のそのへんのウィルスは
「かぜ」ってことでひとまとめにしときましょう
っていう感じなんだね。かわいそうに。
●【ウィルスと細菌のちがい】
ところで,〈ウィルス〉と〈細菌〉って違うんです。
全然「細菌」の英語バージョンが 「ウィルス」
って勘違いしている大人も多いんですが違います。
細菌っていうのは「生物」です。
「生物」の4条件は,
① 呼吸をする
②子孫を残す
③栄養をとって成長する
④生まれて死ぬ。
これに合せて考えると,「細菌」は生物なの。
だから呼吸もするし,栄養があれば成長するし,子孫も残す。
あの学校の食パンをさ,
そのまま放っておくとカビが生えるでしょ。
あのカビの正体が「細菌」。
食パンに細菌がくっついて,
呼吸をしながら,
食パンという栄養をとりながら,
子孫を増やしていっているわけ。
ところがウイルスってヤツは,「生物」とは言えないのね。
なぜかと言うと,「子孫を残せない」の自力では。
つまり自分だけでは,増やすことができないの。
じゃあどうするか・・・今から想像すると恐ろしい話しするね(笑)
ウイルスは,生物の体のなかに入り込むと,
生物をつくっている細胞(さいぼう)の中に入り込むの(おえぇぇぇキモチワル)。
細胞っていうのは,生物を作っているつぶね。
そのつぶが毎日分裂して増えることで,みんなは大きくなる。
細胞ってつぶは,分裂するとき,
前の細胞をコピーして同じ細胞をつくることができるの。
例えば,「みねぎし細胞」が1つ分裂すると,
「みねぎし細胞」が2つになるの。
決して「みねぎし細胞」が分裂して「キムタク細胞」になることはない。
だからオレは大きくなっても「みねぎし細胞」が増えただけだから「みねぎし」なわけ。
だからキムタクにはなれない(涙)。
ウィルスはその細胞に侵入して,
細胞の分裂を利用して自分のコピーを増やすわけ。
つまり「みねぎし細胞」に1つ入り込んで,
「みねぎしウィルス細胞」にしといて,
それが分裂すると「みねぎしウィルス細胞」が2つになるという仕組み。
そうしてどんどん生物の体の中で自分の子孫を増やしていくというのが「ウィルス」です。
●【新型コロナウィルスのとくちょう】
では,この「新コロ」の怖い特徴を紹介します。
まず1つ目は「①肺でも増える」ということ。
さっき言ったように,
ウイルスっていうのは新コロ以外にもたくさんいるんだけど,
たいていのウイルスっていうのは,肺では増えないのね。
でもコイツは肺でも増えることができるってこと。
「肺」っていうのは何するところかと言うと
人間が吸い込んだ酸素(空気)を血液にのせるところなの。
血管が電車だとすると,
血管の電車に酸素が乗るための駅なの。
血管にのった酸素が全身に行き渡って,
二酸化炭素に変身して,
また肺にもどってきて,口からまた出されるのね。
つまり「肺」がないと,全身に酸素を行き渡らすことができなくなる。
だから「肺」って超重要なわけ。
そこでウィルスが増えて,肺がダメになるのが肺炎というわけです。
お年寄りや,もとから体に病気をもった人なんかが感染すると,
この肺にまでウィルスがしんにゅうする可能性が大です。
だから新コロが肺でも増えるというのは,強敵たるゆえんなの。
二つ目は「②無症状でも感染する」。
これが世界中に広がった最大の理由!
新コロは,人によっては感染しても症状が出ない場合もあるの。
症状がでなかったらさ,「自分がコロナです」って分からないよね。
自分がコロナなのに分かってなくて街を歩くとどうなるか。
街中にコロナをまき散らして,
接触した人たちみんなにウイルスをつけてまわることになるわけ。
他のウイルスの場合はさ,
症状に出るから「熱が超ある」とか
「のどがいてぇ」とか
「咳がとまらん」とかなると,
自分がかかっているから外出歩かないじゃん。
でも新コロの場合は,
「元気な感染者」っていう無敵の敵状態になったやつが
世界中に今広げているわけ。
だから地球規模の感染になってしまったということです。
この「元気な感染者」は大人とか子どもとか関係なく,
誰でもなりうるわけで,
もしかしたら今自分たちがまさにその状態かもしれないんです。
だから!必死でみんな
「元気でも元気じゃなくても関係なく外出しないでくださいよ~」
って言っているんだね。
最後三つ目は「③新型」であること。
「新型」っていうのは,なんで新型なのかというと,
「今だ人間が知らなかった」から新型なんだね。
誰かが前から知り合いだったら「新型」じゃないわけよ。
「知らなかった」ということはつまり,「治し方が分からない」んです。
今世界中の科学者が
それこそ24時間必死になって
このウイルスをやつけるための研究をしています。
すんごーい頭いい人もたくさんやっている。
でも新コロを倒す薬などの方法が見つかっていないのです。
さっきも話したように,
ウイルスは「細胞の分裂で増えている」から,
へたに「はいできた~!」って簡単にできた薬を使うと,
逆に元気な細胞までをも傷つけてしまうことになりかねないの。
だって「みねぎし細胞」と「みねぎしウィルス細胞」はすごく似ているから,
それを区別して,「みねぎしウィルス細胞」だけにきく薬をつくるのは
すんごい大変なんだそうです。
オレが1年間机をキレイにしているくらい大変。
世界中で「この薬きくかもしれないよ」っていう薬があげられているんだけど
(例えば日本ではアビガンって薬),
科学者たちも,なぜそれがきくのかがよく分からないそうです。
だからあまりきたいしてはいけないと。
今の予想だとお薬つくるのにかるく1年以上はかかると言われています。
● 【じゃあどうすりゃええのよ・・・】
じゃあどうすりゃいいのよ・・・って思うよね。
じゃあどうするかを教えましょう。
ウイルスが他の生物の細胞に飛び移るチャンスを減らせば
かくじつに感染者が減ります。
イメージで言うと「ふえ鬼」みたいなもんね。
タッチされるとその人も鬼になるあれ。
ふえ鬼に参加していればいずれは鬼になりますよ。
ある程度鬼が増えたらもう一気に鬼が増えて,逃げようがなくなるでしょ。
今の日本は,おそらく6年生28人で体育でふえ鬼やったとして,
今は鬼が6人くらいってとこかな。
6人ならまだ逃げられても,
これが10人になったらそうとう辛いでしょ。
でも10人まではあとたったの4人だよ。どうする。
無敵の方法・・・それは「ふえ鬼」に参加しないこと。
体育見学しちゃえばいいんです。
つまり家にいることで,鬼に出会わなくなる。
鬼に出会わなければ,
自分が鬼になる可能性が限りなく0になる。ってわけ。
ウイルスは移る細胞がなくなれば消滅します。
アイツ生物じゃないから,自分だけでは子孫が増やせないからね。
●【まずは病院によゆうを】
でもここまで広がった新コロはなかなか簡単には減らせません。
なのでとりあえず,
いま大変な病院によゆうをもたせるまではがんばらねばなりません。
いま病院は新コロになった人たちでいっぱいです。
とてもとても余裕なんかない。
余裕がなくなると,病人をお世話する人がへるでしょ。
入院したくても入院できなきゃ死んじゃう可能性もそりゃ出てくる。
病院で働いている人たちはオレたちよりも,
何百倍も感染するキケンがある中でひっしになってがんばってくれています。
でも感染すると,どうしてもまた病院で働く人の数がへるわけです。
そういう無限ループにはまるのを「いりょうほうかい」って言うんだね。
今はその「いりょうほうかい」が起こりつつあるから,
まずは病院に,ちゃんと働ける人がたくさんいて,
入院できるベッドや機械があって,
という状態まで患者さんを減らさなきゃいけないの。
病院によゆうが出来れば,
もし感染者が出ても落ち着いて対応ができて,
助かる可能性がグ~ン!と上がるからね。
そうなって初めて,
いつもの生活にだんだん直せる時がやってくるというわけです。
みんなが家に今いるってことはそういう理由なの。
だから,人の多いところにいくのは今はやようねって。
もちろん友達と遊ぶのも今はガマンです(外でも中でも)。
体動かすためとか,外にでるときは,できるだけお家の人と一緒に,
人の少ないところで体をうごかしましょうね。
自分がうつらないのもそうですが,
自分が「元気な感染者」に なって人にうつす可能性もあるんですから。
人と会うことをさければ,
それだけ早く今の状態が変わるのも早くなります。
逆にそれぞれみんなが「わたしは大丈夫」とか
「少しなら大丈夫」って考えると,
それがたばになって感染を確実に広げます。
どうか大切なみんなのために,
このお話が少しでも届きますように。
***
今回の文章は,東京で小学校の先生をしている
ばんのたいちさんの学級通信を引用させてもらいました。