みんなへつうしん  4月23日(木)

 

今日は,昨日に引き続き,「本とのつきあい方」特集です。

ぼくは「本が読めない」と言っている人の多くは,

「本とのつきあい方が下手というだけ」なのではないか,と思っています。

これから書く内容は,ぼくが考えていることですので,

教師がみんなそう考えているわけではないことを,最初に言っておきますね。

あくまでも個人的な意見です(笑)。

 

まず,「本は最初から最後までちゃんと読まなければならない」と考えている人は,

「本を読むことが苦手な人なんじゃないかな」と思っています。

本は,「自分の読みたいところだけを読むもの」です。

全部読もうとしなくていいのです。

10書いてあるうち,1~2でも読めればシメタものです。

9~10読めたとしたら,相当おもしろい本だったのでしょう。

本とは,そのくらいの付き合い方ができたら十分なのです。

 

また,「自分に合う本」というのは,人それぞれちがいます。

小説が好きだったり,伝記が好きだったり,科学本が好きだったり,

歴史が好きだったり,物語が好きだったり,エッセイが好きだったり,

図鑑が好きだったり,絵本が好きだったり,マンガが好きだったり…と様々です。

本が苦手な人は,「自分が読みやすい本」のジャンルを知らないだけ,

もしくは,こんな本が好きなんて恥ずかしい,

などと思っているだけなのかもしれません。

 

そこでまず,たとえば「6年生になって絵本?」などという固定概念は捨ててください。

図書室にある「絵本」を,本気で制覇しようと思ったら,1年くらいでは足りません。

まだまだ発掘されていないおもしろい絵本はたくさんあります。

絵本はとても奥が深いです。

あの短いページ数の中で,読者になにかしらのメッセージを伝えるのは,相当な腕前です。

自分の人生を変えてしまう絵本だってあります。

そういう絵本に出会えたらラッキーですが,そういうチャンスが本当に眠っているのだから,

本の世界は宝物でいっぱいです。

 

もしも,本を買ってもらえたなら,ぜひ自分の本棚に並べておきましょう。

ぼくの大学の先生には「本は読まなくていいんだ。買って並べておけ」と言っていた人がいました。

「ほら,背表紙だけ読んでいるだけでも勉強になるだろう」というのです。

そう考えてみると,本屋さんや図書館に行ったときには,

並んでいる本の背表紙を見ているだけで刺激があります。

「どういう意味?」という題名の本もたくさんあります。

興味がわいたら,その本を取り出してパラパラとなにげなく見てみましょう。

「はじめに」や「おわりに」,それに,「もくじ」を見てみて,

おもしろそうなところだけを読んでみるのです。

もし,少しでも「おもしろい!」と思ったり,「あ,これは知りたかったことだ」と思ったら,

その本は買ったり借りたりするといいでしょう。

もしかすると,2~3くらい読めるかもしれません。

それだけ読めたら,買ったり借りたりした甲斐(かい)があったというものです。

 

もしも,その本と「いい出会い」ができたら,必要なときにまた思い出し,

もう一度読む機会にめぐまれるかもしれません。

その本は,読みたいところだけを読んで,全部は読まずに,

そのまま本棚にしまっておきましょう(借りた本は返しましょう)。

自分と本とは,そういう付き合いでよいのです。

本は決して向こうから「読んでくれ」と押しつけてくることはありません。

みんなが開くまで,じっとそのときを待っていてくれています。

 

そんなふうに考えると,「本が読めない」のではなく

「読みたい本に出会っていないだけ」だと思うのです。

どうしたら,読みたい本に出会えるのか。

それは,「本に出会う機会を増やす」よりほかありません。

いまは図書館が閉館しているので,

学校の図書室の貸し出しを積極的に利用してみることをオススメします。

 

みんなへつうしん  4月22日(水)

 

昨日,文部科学省から

「授業がはじまっているところと,休校になっているところで学力の差が生じてしまうから,

休校のところも,教科書を見ながら〈新しいところ〉を家で進めておけるように

学校が工夫してください」というお達しがありました。

それはさすがに「ひどいなぁ」と思ったけれど,

ちょっとうわさになっている「9月を新学期にするんじゃないか」とか

「今年はみんなで留年になるんじゃないか」という予定は「ない」んだな

という意気込みが伝わりました。

つまり,学校が休みだろうが,なんだろうが,

とにかく「今年の勉強は,今年のうちに終わらせるつもり」なのです。

 

ぼくは,みんなが学校に来てからちゃんと授業をして教えていきたいし,

できなかったところは学校の責任できちんとできるようにしたいと思っています。

けれど,時間的にも制限があるから,おうちのドリルでやっておけるようなことは,

今から少しずつ進めておいてもらえると助かります。

 

例えば,6年生で習う漢字。今週から,1日2つずつノートに練習する課題を出しますね。

それから,教科書の音読もはじめてみます。

大変そうだったら,教えてください。

また,「もっと,こうしたら家でも勉強ができそう」ということがあったら,それも教えてください。

みんながやる気になるような学習方法を考えていきたいと思っています。


***


さて,昨日のつづきです。

またうちの娘の話ですが,うちの娘はほとんど本を読みません。

どうしてなのかを聞くと「おもしろくないから」とのこと。

実にシンプルな理由です(笑)

でも,そう言われてみれば子どものころのぼくも,

好きで本を読んでいたという記憶はありません。

ところが,いまのぼくは本が大好きで,

ちょっとでも時間があったら本を読んでいたい感じに変わっています。

そんな自分の経験からいくと,本が読めない子というのは

「好きな本に出会っていないだけ」というのがほとんどの場合だと思うのです。


その証拠に,自分では本を読まない娘ですが,

毎晩ぼくがやっている「寝る前の読み聞かせ」を,ことのほか楽しみにしていて,

一日のうちでこの時間を一番たのしみにしているんじゃないか,というテンションです(笑)

最近読んでいるのはあの『バッテリー』で有名な,

あさのあつこさん作の『いえでででんしゃ』シリーズです。

寝る前に1話だけ読むのですが,「お願い!もう1話!」と毎回ねだられます。

でも,絶対1話しか読まないで「続きは明日ね」というのがコツです(笑)

それが楽しみなので,寝る時間が遅くなることはなく,生活習慣が乱れることはありません。

そして,本人は続きをこっそり読んでいます(笑)

人は「知りたい」という気持ちにあらがうことはできないし,

人は自分の興味にしたがって活動しているからです。


まず最初のきっかけとして,「家族で読み聞かせの時間をつくる」というのはどうでしょう。

うちの息子は小学校6年生まで,毎晩,本の読み聞かせをたのしみにしていました。

今では,本当に本が大好きで,中学生になっても,

図書室で毎日本を借りてきては読んでいます。

(息子の場合,小さい頃から本やマンガが大好きで,よく読んでいたので,

読み聞かせの成果かどうかはわかりませんが。

娘は同じように読み聞かせを楽しみにしていますが,本やマンガは読めません)。

 

6年生にオススメの読み聞かせ本は,

なんといっても今流行りの『銭天堂』です(現在13巻まで出ています)。

おととし5年生で読み聞かせしたらブームが巻き起こりました。

昨年の3年生にも大好評でしたが,自分で読むには難しかったようです。

その点,6年生なら自分で読むこともできるでしょう。

大人も感動して涙してしまうこともある名作です。

図書室でも貸し出していますので,ぜひ試してみてください。

 

みんなへつうしん  4月21日(火)

 

職場での3密を防ぐために,教師も自宅勤務を実施しています。

その中で,ぼくが実際に家族の子どもたちと生活してみて気がついたことや,

家庭で規則正しい生活ができるポイントを見つけて,紹介していきたいと思います。

 

うちの娘はこの春4年生になりましたが,あまり勉強をしません。

「学校ではしっかりやっている方」だと思っていたのですが,

家での生活はなまけきっていて笑います(笑)。

隙あらば「テレビ」か「YouTube」。

まずは,どこのうちもそんなもんなんだ,と安心していただければと思います。
うちにはゲームがないし,彼女は本を読むことをしないので,

たのしみごとはこの2つがほとんどです。

あとは,「お菓子を食べる」か「ピアノをひく」か「倒立をする」くらいしかありません(笑)

 

でも,こういうことは学校でもよくある話なので,対応策はいろいろ思いつくものです。
まず,昨日の話に書いた「家には集団がない」というのは問題なのですが,

「集団をつくる」ことは,実は可能です。

それは,「みんなでやる」という時間をつくることです。

「朝ご飯はみんなでいただきます」がいい例です。

親だけが仕事に行く場合でも,必ず朝食を一緒に食べることにこだわってみるのです。

これを許してしまうと,とことん生活リズムが崩れます。

あっという間に子どもたちの午前中が終わってしまい,

なんだか損をしたような感じで1日が始まってしまいます。

子どもはビックリするほど生活リズムを作るのが苦手です。

だから,「朝食を一緒に食べる」くらいの理由では朝起きてきません。

「片付けちゃうよ!」と言ったところで,親が出勤してから,

自分で出して食べるくらいの生きる力は身についているからやっかいです

(それはそれでいいことだけど・笑)。

 

そこで大切にするルールは,

「家の仕事をするときは,みんなで一緒にする」ということです。

たとえば,親が朝ご飯の用意をするときは,

子どもは「洗濯物を取り込んでたたむ」とか

「玄関掃除をする」とか「ゴミ出しをする」とか,

〈みんなで仕事をする時間〉を作るのです。

ゴミ出しをするためには,着替えなければならないので好都合です。

 

学校でも,子どもたちは「係の仕事」を任されています。

「みんな,なんらかの仕事をしているんだから,これはわたしがやらないと」

という集団の力が働きます。

これまで,家では,なかなかそういうルールではやっていなかったのですが,

いまは,これまでにないほどの〈非常事態〉なので,

「家族みんなで乗り越える」という目標の下,

家の仕事をきちんと分担することをオススメします。

 

そして,「おたのしみ」の時間を作ることも大切です。

うちの娘は「散歩やサイクリングに行きたい」という気持ちがあるので,

「じゃあ,10時になったら少し散歩に行こう」と約束して,

「それまでは勉強をがんばろうね」というふうにリズムをつくるのです。

そうすると,親も「それまでにはこれをすませよう」と目標ができ,

お互いにリズムを作ることができます。


いま,学校では「子どもたちのあずかり」をしているのですが,

実はそこでも「10時15分から外で遊べる」という時間を作っています。

子どもががんばれる時間は,「15分×3の45分」というのが目安です

(15分ずつちがう課題をやって,最大45分やれたらがんばったほう)。

そこでちょこっと休憩を入れて,また続きをやる,

という感じでなんとか回しています。

おうちでの生活の参考になればいいな,と思います。

 

明日は,親子の関係をつないでくれる

「毎日の読み聞かせ」について書きたいと思います。

 

みんなへつうしん  4月20日(月)

 

ついに群馬にも緊急事態宣言が出て

自粛ムードが高まっていますが

みなさんはいかがお過ごしですか?

 

こんなにクラスの様子がわからないのは

初めてのことなので

担任としては落ち着かない日々を送っています。

みんなはどんなことを心配しているのかな,とか,

逆に,休みでどんなことをたのしんでいるのかな,とか,

とにかくみんなの様子を知りたいなぁ

と思っています。

みんなに今どんなことが必要なのか

ぼくがそれをつかめないと,

動き出せない感じです。

早く,みんながそろって

授業できるようになるといいんだけど。


先週の課題で

感想を書いてもらうような形を

多く出したのは,

少しでもみんなの様子が知りたいから。

お手紙もお待ちしています。

それが戻ってくるまでは,

ぼくが最近考えていることを

伝えていきたいと思います。


先日,NHKの番組で

「子どもたちが休校になって,最も困っていること」

のアンケートを取り上げていたんだけど,

どんな問題が上位に来ていると思う?

 

ちなみに,1位が38%,2位が15%で,

このふたつだけで半分を超えています。


子どもたちの困っている1位と2位を当ててみましょう。

 

1位

2位

 

ア 勉強ができない
イ 外に出られない
ウ 学校に行けない
エ 友だちと会えない
オ 家庭環境が悪くなった
カ 家族といる時間が増えてイヤ
キ 進級・進学が不安
ク その他(         )

 

 

 

 

 

 

 

 



結果は次の通りでした。

1位 家族といる時間が増えてイヤ 38%

2位 家庭環境が悪くなった 15%

3位 友だちと会えない 13%

4位 学校に行けない 10%

5位 外に出られない 8%

6位 勉強ができない 8%

7位 進級・進学が不安 5%

(NHK調べ)

 

これ,1位と2位はどちらも

「家族に関する問題」でした。

この質問は子どもが答えていましたが,

このような結果になるということは,

同様に,おうちの人も困っているはずです。       

 

わが家の様子を見ていてもうかがえます。

母親は「学校と同じように勉強させなきゃ」

という気持ちが強いのに対し,

子どもは学校と同じようにはできません。

そして,親は自分の教育力のなさに絶望し,

自分を責めているようにも見えます。

そして,子どもに強く当たってしまい,

子どもはそれに反発します。

 

これを見ていて思うのは,

それは親の教育力の問題ではなく,

「そこに集団がないから」というだけの問題です。

人は,「集団だから動ける」

「集団だから学べる」

ということがあります。

給食ひとつとっても,

家で一人では絶対に食べられないものも,

みんながおいしそうに食べているのを見ると

「食べてみようかな?」

と思って食べてみて,

本当に食べられるようになることがあります。

ぼくはこれを

「集団で食べる」

と考えているのですが,

勉強でも,運動でも,

これと同じことがあります。

 

ぼくら教師は,

この「集団の中での教育」

というものに長けているのですが,

いまは,その「集団」を

禁じられてしまっているので,

家庭での学習を

どう支援すればいいのか

と模索中なのです。

だから,おうちでも

「こんなふうにするとうまくいったよ」

ということを教えてください。

みんなはじめてのことなので,

誰も「こうしたらいい」ということが

わからない状態です。

今週は家での過ごし方を特集します。

 

学級通信「オレンジ」No.3

 

先週の「みんなへつうしん」で特集していた

「新型コロナウイルスって?」のシリーズが

難しかったという声が聞こえてきたので,

すごく簡単に説明した以下の文を紹介します。

 

やっぱり,「そういうことなんだー」と納得できないと,

不安ばかりが広がって,よくない行動に出たり,

逆に,面倒になってしまったりして,

自分の行動を上手にコントロールできなくなったりしてしまいます。

賢い生き方は,まず知識からです。

 

***ここから

 

●「新型コロナウィルス」ってどんなヤツ!?
新型コロナウィルスってどんなヤツなのかを,

授業をイメージして,

できるだけみんなに話しているみたいに書いてみます。
まずそもそもコイツね,名字が「新型」なの。

新型ってどういう意味?

・・・そう「ニュータイプ」って意味です。

つまりニュータイプの“コロナウィルス”ってわけ。

じゃあ旧型もあんの??

・・・あります。

ウィルスにはたくさんの種類があって,

今までに無かったニュータイプのヤツが

今回の新型コロナなんです。

略して「新コロ」ね。

 

●「かぜ」ってなあに?
ほとんどの人は人生で

一回くらいは「風邪」ひくじゃん。

あれ「バカはひかない」とかないんです。

バカもひきます(笑)

そもそも「かぜ」っていうのはどういう病気かと言うと,

この世に存在する,

いろんな〈ウィルス〉とか〈細菌(さいきん)〉のどれかに

体がやられた状態のことを「かぜ」って言うんです。

だから「かぜ」と言うけど,

正確には「〇〇ウイルスに感染」とか

「〇〇の細菌に感染」っていうことなのです。

で,だいたいのウイルスや細菌に感染すると,

人間の体が反応して

「のど痛」「鼻水」「せき」「熱」っていうのが出てくるのね。

たいていの場合は

それで体の中でウィルスなり細菌に勝利して終わるわけ。


で,感染するともっと他の辛い症状が出ちゃうウイルスや細菌には

ちゃんとした「かぜ」以外の病名が付いているというわけです。

つまり科学者が解明しているウイルスや 細菌には

ちゃんとした「溶連菌」とか「手足口病」とかいう

立派なお名前がつけられているというイメージ。

それ以外のそのへんのウィルスは

「かぜ」ってことでひとまとめにしときましょう

っていう感じなんだね。かわいそうに。
 
●【ウィルスと細菌のちがい】
ところで,〈ウィルス〉と〈細菌〉って違うんです。

全然「細菌」の英語バージョンが 「ウィルス」

って勘違いしている大人も多いんですが違います。

細菌っていうのは「生物」です。

「生物」の4条件は,

① 呼吸をする

②子孫を残す

③栄養をとって成長する

④生まれて死ぬ。

これに合せて考えると,「細菌」は生物なの。

だから呼吸もするし,栄養があれば成長するし,子孫も残す。

あの学校の食パンをさ,

そのまま放っておくとカビが生えるでしょ。

あのカビの正体が「細菌」。

食パンに細菌がくっついて,

呼吸をしながら,

食パンという栄養をとりながら,

子孫を増やしていっているわけ。

 

ところがウイルスってヤツは,「生物」とは言えないのね。

なぜかと言うと,「子孫を残せない」の自力では。

つまり自分だけでは,増やすことができないの。

じゃあどうするか・・・今から想像すると恐ろしい話しするね(笑)

 

ウイルスは,生物の体のなかに入り込むと,

生物をつくっている細胞(さいぼう)の中に入り込むの(おえぇぇぇキモチワル)。

細胞っていうのは,生物を作っているつぶね。

そのつぶが毎日分裂して増えることで,みんなは大きくなる。

細胞ってつぶは,分裂するとき,

前の細胞をコピーして同じ細胞をつくることができるの。

例えば,「みねぎし細胞」が1つ分裂すると,

「みねぎし細胞」が2つになるの。

決して「みねぎし細胞」が分裂して「キムタク細胞」になることはない。

だからオレは大きくなっても「みねぎし細胞」が増えただけだから「みねぎし」なわけ。

だからキムタクにはなれない(涙)。

 

ウィルスはその細胞に侵入して,

細胞の分裂を利用して自分のコピーを増やすわけ。

つまり「みねぎし細胞」に1つ入り込んで,

「みねぎしウィルス細胞」にしといて,

それが分裂すると「みねぎしウィルス細胞」が2つになるという仕組み。

そうしてどんどん生物の体の中で自分の子孫を増やしていくというのが「ウィルス」です。
 
●【新型コロナウィルスのとくちょう】
では,この「新コロ」の怖い特徴を紹介します。 
まず1つ目は「①肺でも増える」ということ。

さっき言ったように,

ウイルスっていうのは新コロ以外にもたくさんいるんだけど,

たいていのウイルスっていうのは,肺では増えないのね。

でもコイツは肺でも増えることができるってこと。

「肺」っていうのは何するところかと言うと

人間が吸い込んだ酸素(空気)を血液にのせるところなの。

血管が電車だとすると,

血管の電車に酸素が乗るための駅なの。

血管にのった酸素が全身に行き渡って,

二酸化炭素に変身して,

また肺にもどってきて,口からまた出されるのね。

つまり「肺」がないと,全身に酸素を行き渡らすことができなくなる。

だから「肺」って超重要なわけ。

そこでウィルスが増えて,肺がダメになるのが肺炎というわけです。

お年寄りや,もとから体に病気をもった人なんかが感染すると,

この肺にまでウィルスがしんにゅうする可能性が大です。

だから新コロが肺でも増えるというのは,強敵たるゆえんなの。

 

二つ目は「②無症状でも感染する」。

これが世界中に広がった最大の理由!

新コロは,人によっては感染しても症状が出ない場合もあるの。

症状がでなかったらさ,「自分がコロナです」って分からないよね。

自分がコロナなのに分かってなくて街を歩くとどうなるか。

街中にコロナをまき散らして,

接触した人たちみんなにウイルスをつけてまわることになるわけ。

他のウイルスの場合はさ,

症状に出るから「熱が超ある」とか

「のどがいてぇ」とか

「咳がとまらん」とかなると,

自分がかかっているから外出歩かないじゃん。

でも新コロの場合は,

「元気な感染者」っていう無敵の敵状態になったやつが

世界中に今広げているわけ。

だから地球規模の感染になってしまったということです。

この「元気な感染者」は大人とか子どもとか関係なく,

誰でもなりうるわけで,

もしかしたら今自分たちがまさにその状態かもしれないんです。

だから!必死でみんな

「元気でも元気じゃなくても関係なく外出しないでくださいよ~」

って言っているんだね。

 

最後三つ目は「③新型」であること。

「新型」っていうのは,なんで新型なのかというと,

「今だ人間が知らなかった」から新型なんだね。

誰かが前から知り合いだったら「新型」じゃないわけよ。

「知らなかった」ということはつまり,「治し方が分からない」んです。

今世界中の科学者が

それこそ24時間必死になって

このウイルスをやつけるための研究をしています。

すんごーい頭いい人もたくさんやっている。

でも新コロを倒す薬などの方法が見つかっていないのです。

 

さっきも話したように,

ウイルスは「細胞の分裂で増えている」から,

へたに「はいできた~!」って簡単にできた薬を使うと,

逆に元気な細胞までをも傷つけてしまうことになりかねないの。

だって「みねぎし細胞」と「みねぎしウィルス細胞」はすごく似ているから,

それを区別して,「みねぎしウィルス細胞」だけにきく薬をつくるのは

すんごい大変なんだそうです。

オレが1年間机をキレイにしているくらい大変。

世界中で「この薬きくかもしれないよ」っていう薬があげられているんだけど

(例えば日本ではアビガンって薬),

科学者たちも,なぜそれがきくのかがよく分からないそうです。

だからあまりきたいしてはいけないと。

今の予想だとお薬つくるのにかるく1年以上はかかると言われています。
 
● 【じゃあどうすりゃええのよ・・・】
じゃあどうすりゃいいのよ・・・って思うよね。

じゃあどうするかを教えましょう。

ウイルスが他の生物の細胞に飛び移るチャンスを減らせば

かくじつに感染者が減ります。

 

イメージで言うと「ふえ鬼」みたいなもんね。

タッチされるとその人も鬼になるあれ。

ふえ鬼に参加していればいずれは鬼になりますよ。

ある程度鬼が増えたらもう一気に鬼が増えて,逃げようがなくなるでしょ。

今の日本は,おそらく6年生28人で体育でふえ鬼やったとして,

今は鬼が6人くらいってとこかな。

6人ならまだ逃げられても,

これが10人になったらそうとう辛いでしょ。

でも10人まではあとたったの4人だよ。どうする。

 

無敵の方法・・・それは「ふえ鬼」に参加しないこと。

体育見学しちゃえばいいんです。

つまり家にいることで,鬼に出会わなくなる。

鬼に出会わなければ,

自分が鬼になる可能性が限りなく0になる。ってわけ。
ウイルスは移る細胞がなくなれば消滅します。

アイツ生物じゃないから,自分だけでは子孫が増やせないからね。
 
●【まずは病院によゆうを】
でもここまで広がった新コロはなかなか簡単には減らせません。

なのでとりあえず,

いま大変な病院によゆうをもたせるまではがんばらねばなりません。

いま病院は新コロになった人たちでいっぱいです。

とてもとても余裕なんかない。

余裕がなくなると,病人をお世話する人がへるでしょ。

入院したくても入院できなきゃ死んじゃう可能性もそりゃ出てくる。

病院で働いている人たちはオレたちよりも,

何百倍も感染するキケンがある中でひっしになってがんばってくれています。

でも感染すると,どうしてもまた病院で働く人の数がへるわけです。

そういう無限ループにはまるのを「いりょうほうかい」って言うんだね。

今はその「いりょうほうかい」が起こりつつあるから,

まずは病院に,ちゃんと働ける人がたくさんいて,

入院できるベッドや機械があって,

という状態まで患者さんを減らさなきゃいけないの。

病院によゆうが出来れば,

もし感染者が出ても落ち着いて対応ができて,

助かる可能性がグ~ン!と上がるからね。

そうなって初めて,

いつもの生活にだんだん直せる時がやってくるというわけです。

 

みんなが家に今いるってことはそういう理由なの。

だから,人の多いところにいくのは今はやようねって。

もちろん友達と遊ぶのも今はガマンです(外でも中でも)。

体動かすためとか,外にでるときは,できるだけお家の人と一緒に,

人の少ないところで体をうごかしましょうね。

自分がうつらないのもそうですが,

自分が「元気な感染者」に なって人にうつす可能性もあるんですから。

 

人と会うことをさければ,

それだけ早く今の状態が変わるのも早くなります。

逆にそれぞれみんなが「わたしは大丈夫」とか

「少しなら大丈夫」って考えると,

それがたばになって感染を確実に広げます。

どうか大切なみんなのために,

このお話が少しでも届きますように。

 

***

 

今回の文章は,東京で小学校の先生をしている

ばんのたいちさんの学級通信を引用させてもらいました。

 

 

みんなへつうしん  4月17日(金)

 

シリーズでお伝えしてきた

「新型コロナウイルスの基礎知識」も,

今日がいよいよ最終回です。

3.「そのウイルスが今まで存在しなかった〈新型〉である」

について紹介していきます。

 

***ここから

 

「新型コロナウイルス」についての基礎知識・シリーズ⑤

 中一夫さん(東京・中学校)の資料より

 

そして、今回のウイルスは「新型」であるということが、

決定的に大きな意味を持ちます。

いままで人類が経験していないウイルスだから、

どのような動きをするか、

その性質がどうかがわからないわけです。

初期に、クルーズ船の対応がかなり批判を受けましたが、

感染症治療に関しては

日本は世界のトップレベルにあります。

当然と思われる措置が取られたのに、

感染が広がったことは、

研究者にも予想外のことだったはずです。

 

そこで初めて明らかになったことが多いのです。

このウイルスは

「感染してても症状がない場合がある」

「しかも、症状がなくてもウイルスを感染させる場合がある」

というのは、決定的に重要な知見なのです。

インフルエンザのようにはっきりした症状があれば、

回復後も気を付けられますが、

かかっていることも気づかない人がいるというのは、

どうにもなりません。

本人も気づかないのなら気をつけようがないからです。

 

世界で感染爆発しているのは、

まさに新しいウイルスのこの性質によります。

そして、新しいウイルスは

人の体に免疫がありませんから、

ウイルスが入ってきたら、

みんな容易に感染してしまいます。

一般の人よりはるかに体力のある

プロスポーツ選手も感染しますし、

元気な若者もかかります。

子どもたちだって確実にかかります。

症状に出る人の割合が意外に少ないから、

みんなそれを意識しないだけで。

 

それが肺で症状が出るか、

肺まで行かないで鼻やのどあたりで終わって、

気づかず生活しているうちに治るかは、

確かに体力の問題は大きいようですが、

偶然もかなり左右していそうに思います。

ですから、

若い人の中でも確実にある割合の人は重篤になります。

実際、世界のかなりの人がかかってしまうだろうと思われます。

 

いま、〈別のウイルス用に開発された薬を使って効果があった〉

という報告もありますが、

過度な期待は禁物です。

そもそも別なウイルス対応の薬なので、

必ず効くかどうかはまだ試験中だからです。

〈ワクチン〉というものの開発が急速に進んでおり、

ワクチンの方が早くできるだろうと思いますが、

ワクチンは「予防」のための薬です。

〈すでに症状が出ている人に効くものではない〉

ということを知ってなければなりません。

 

また、「新型」のウイルスは

今後どのような変化をするのか予測がつきません。

流行の波が一回で終わるのか、

再び起こったりもするのかも、未知数です。

1918年―19年に〈スペインインフルエンザ〉という

〈新型〉インフルエンザが世界的に大流行したことがありました。

その時の死者数はいまだによくわかっていませんが、

「4000万人以上の人が亡くなった」と考えられています。

そして、その時は3回の流行の波があったことが知られています。

特に「第2波」の流行時に、

ウイルスの毒性が強まり、

死亡率が高まったと考えられています。

そのように、このウイルスの今後については、

予断を許さないと思います。

 

***ここまで

 

一番やっかいなのは,なんといっても

「自分もかかっているかもしれないのにわからない」

ということでしょう。

本当は,もっと誰でも簡単に検査ができなければ,

広がる一方だと思うのですが,

その対策が進んでいない以上,

自分がかかっていると思って行動しなければ,

感染は拡大する一方なのです。

 

こんなふうに世の中が不安でいっぱいになると,

必ず「デマにだまされる」ということが起きます。

人間は想像力が豊かなので,

悪気なく心配したことが他の人に伝わると,

きっとそうなるかも?と思い込んで,

本当にそうなってしまうとおびえてしまうのです。

そういう時には,

正しい知識を身につけ

「そうかもしれないけど,そうじゃないかもしれない」と,

自分の頭で考えられる力が必要になります。


正しい情報は,どこで手に入れられるのでしょう。

政治家やニュースのコメンテーターが言っていることでしょうか。

いいえ。こういうときには,

現場の最前線にいる「医療従事者」の発言に耳を傾けましょう。

事実に近いことを訴えているのは,現場です。

 

また,そういう中で,

僕らができる「有効な対策」とは何でしょう?

 

それは別に特別なものではなく,

繰り返し言われている以下のようなことに尽きます。

それを意識して行動することが,何より大事になるのです。

 

①集団感染のリスクの高い、3つの条件を避ける。
・換気の悪い密室空間
・多くの人が密集
・近距離での会話や発声

(特に3つの同時を避ける)
②手洗い
③せきエチケット(マスクやハンカチでおおう)
④日ごろの健康管理(体力をつける、具合が悪かったら休む)

 

マスクも大切ですが,

「感染しない」ための予防措置の一番は

「しっかり手を洗うこと」になります。

いろいろなところに触ることによって,

手にウイルスがつくことは避けられません。

それが鼻や口に入るのは,

多くの場合手で口や鼻をさわったりすることによります。

特に人は無意識に目や鼻や口を触る動きをします。

そういう動きが,感染の危険性を高めているのです。

こまめな手洗いはそれを防ぎ,

感染の危険性を大きく減らしてくれます。

実験してみるとわかりますが,

石けんで手を洗うと,びっくりするくらいウイルスは壊れます。

アルコール消毒よりよっぽど強力です。

 

また,こまめなうがいなども,

吸い込んだ小さな唾を洗い流したり,

のどの乾燥を防ぎ,感染しにくくなります。

 

私たちのまわりや体の中にも,

ウイルスや細菌はたくさんいます。

私たちはウイルス・細菌と共に生きているとも言えます。

それでもめったに病気になることはありません。

人から人へウイルスがうつっても,

ウイルスが体内で増え,症状が出るのは

他の病気や疲れ,睡眠不足などで

体の抵抗力が弱まっているときです。

ですから,栄養と休養,睡眠を十分にとって,

無理をせず体力をつけ抵抗力を高めることは

どんな場合でも基本となります。

 

大事なのは,

「どれか一つで大丈夫というものではない」ということでしょう。

「マスクをしてるから大丈夫」とか

「人込みを避けてるから大丈夫」とか

「うがいや手洗いを毎回やってるから大丈夫」

と言えるようなものではありません。

「予防法」というものは

「一つをしっかりしてたら安心」というようなものではなく

予防としてやっていくことすべての「合わせ技」

のようなものなのです。

「何段階ものバリアを張ることによって,

ウイルスの体への侵入をふせぐことができる」

ということを,

みんなはっきり意識する必要があると思うのです。

 

シリーズ・おわり

 

今週の課題にも入れましたが,

今回のシリーズはわかりやすいイラスト入りの動画で見られます!

(中村文さんによる音声も追加されました。)
みなさんやおうちの人の感想をお待ちしています!

みんなへつうしん  4月16日(木)

 

今日は,昨日に引き続き,

2.「このウイルスは肺でも増える」ということ

 について紹介していきます。

 

***ここから

 

「新型コロナウイルス」についての基礎知識・シリーズ④
中一夫さん(東京・中学校)の資料より

 

やっかいなことの2番目として、

この新型ウイルスは「肺でも増える」ということがあげられます。

ただし、ここはまだウイルスの性質が十分に判明していないので、

以下の説明にも間違っている部分もあるかもしれません。

 

もともとのコロナウイルスは

ふつうの風邪のウイルスで鼻で増えます。

たいていのみなさんは

一度はコロナウイルスのかぜにかかったことがあるはずです。

 

ところが、今回の〈新型〉コロナウイルスは

もっと奥の気管支や肺というところでも増える場合があります。

軽く済む場合は、肺までいかないで

鼻とかのどあたりで止まっている場合ではないかと思います。

 

肺でウイルスが増えて何が困るかというと、

それは「肺」の働きそのものに関わっています。

肺は酸素と二酸化炭素の交換を行う器官で、

ここで外から取り入れた酸素を血液中に送り、

不要な二酸化炭素を受け取り外に出していきます。

血液に入った酸素は全身に送られ、

全身で取り込んだ栄養分(ブドウ糖)を燃やして

エネルギーを取り出す働きに使われます。

酸素が送られなかったら、

いくら栄養があってもそこからエネルギーが取り出せなくなり、

身体が動かなくなります。

電気のブレーカーが落ちたら、

全ての電気製品が止まり停電で真っ暗になるのと同じように、

酸素が行かなくなったら身体の全ての動きが止まってしまいます。

 

そのような大事な働きをしているのが肺です。

その肺の細胞がウイルスの拡大により

どんどん殺されて行ってしまったら、

身体に酸素が運べなくなります。

だから、呼吸困難などの症状が起きます。

それは酸素を充分に体に送りこめなくなっている状態を示します。

 

インフルエンザなどでも肺炎が起こることはよくありますが、

インフルエンザウイルスは肺にはいかないので、

肺炎の原因はインフルエンザによって

体が弱って抵抗力が低下しているために、

肺に入った細菌が増えやすくなるからです。

そういう肺炎には、

細菌を殺す「抗生物質」が使えますから、

それで回復することが多いです。


けれども、今回のような「ウイルス性肺炎」には、

基本、薬がないのです。

ですから「酸素を送れるようにする」

という対処療法しかなくなります。

それで「酸素吸入」を行ったり、

さらに重い場合は「人工心肺」を使って、

器械で血液に酸素を入れて体に戻してやり、

肺を休ませます。

肺が呼吸の働きをフルにしながら

ウイルスとも戦うというのはたいへんなことですから

少しでもウイルスとの闘いを楽にしてあげるわけです。

 

そういう治療が可能になるには、

酸素吸入がどんどんできなければなりませんし、

特に「人工心肺」が無ければどうにもなりません。

感染爆発でたくさんの死亡者が出ている場所は、

そういう器機が決定的に不足してしまうから、

重症の患者を助けられないのです。

重症であっても、

そういう器機を使って手厚く看護できれば、

回復の可能性が高まります。

その意味で、「医療崩壊」になっては絶対にいけないわけです。

 

ちなみに、基礎疾患がある人や

高齢者などが重症になるというのは、

すでにほかの所で体が戦っていたり、

うまく動かなかったり、

そもそものウイルスと闘う力が弱い状態にいるからです。

そういう人の体が、

新たに爆発的に増えるウイルスと闘うのはたいへんで、

しかもその戦いの場が体全体に関係する「肺」だからです。

 

***ここまで

 

ここが,今回のウイルスの最もおそろしいところですよね。

さすがのインフルエンザでも,肺までは行かないわけです。

ところが,このウイルスは,

肺に入ったら,そこでも増えちゃう実力がある。

 

普通の肺炎だったら,

相手は比較的大きな生物「細菌」なので,

人類が闘いの中で発明してきた「抗生物質」という武器があるけれど,

ウイルスにはそれがない。

しかも,小さいから,

ある程度増えないと「自覚症状もない」のだそうです

(レントゲンでもわからなくて,CTを撮ってみて初めてわかるそうです)。

ところが,増えるときには倍・倍・倍…と増えていく

「指数関数的増加」なわけですから大変です。

症状が出たときには遅くて,

そこからも毎日,倍・倍で悪化するわけですからね。

 

そして,場所が「肺」というのは最悪です。

「薬がないから,休ませて自分で回復するしかないのに,そこが休んだら死んでしまう」

という矛盾の中でのたたかいを強いられます。

 

みんなにたとえるなら,

「熱があって立っているだけでもフラフラなのに,

学校で勉強し続ける中で,なおかつ元気にならなければならない」

という状況です。

まさに,「人工心肺」は,「保健室で休んでていいよ」という状態です。

 

でも,志村けんさんなどは,

その「人工心肺」で肺を休ませてあげても,

回復できずに亡くなってしまいましたね。

それくらい,今回のウイルスは人類にとって強敵なわけです。

 

ひとりひとりが,

「いま,そういうウイルスとの闘いの歴史の中にいるんだ」

と思って行動することができたらいいな,と思っています。

 

明日はいよいよ最終回

3.「そのウイルスが今まで存在しなかった〈新型〉である」

について紹介します。

 

 

みんなへつうしん  4月15日(水)

 

「新型コロナウイルス」について考えるシリーズも,

今週のあと3回でまとめたいと思います。

ちょうど,紹介している「中一夫さんの基礎知識」でも,

ポイントは3つです。

 

1.「この病気はウイルスが起こす」ということ
2.「このウイルスは肺でも増える」ということ
3.「そのウイルスが今まで存在しなかった〈新型〉である」

 

そこで,今日は「ウイルスが起こす」について紹介します。
                         
***ここから

 

「新型コロナウイルス」についての基礎知識・シリーズ③
中一夫さん(東京・中学校)の資料より

 

まずは,今回の病気の元が「ウイルス」である

ということが大きな点です。

〈感染症〉といううつる病気を起こす主な原因は,

〈細菌〉と〈ウイルス〉ですが,

細菌とウイルスは,どちらが大きいのでしょうか?

 

ア 細菌

イ ウイルス

 

 

 

 


細菌とウイルスでは,ウイルスの方がずっと小さく,

細菌の1/10~1/100以下の大きさしかありません。


ウイルスとは,

生物と無生物の両方の性質を持った不思議なもので,

自分ひとりでは増えません。

他の生物の生きた細胞の中に入ったときだけ,

生物のように〈自分の仲間を増やす〉という働きをします。

その点が,同じように感染症を起こすことが多い〈細菌〉などとの大きな違いです。

 

細菌は,りっぱな生物なので,

我々と同じように食べたり,

呼吸したり,排せつしたり,

子孫を残したりします。

小さくてもちゃんと生きている生き物なのです。

だから,条件が良ければ,

我々の食べ物なども食べて増えていきます。

食べ物が腐ったりするのは,

これらの細菌の働きです。

そういう細菌が体の中に入ってきて勝手に増えると,

健康な細胞がやられてしまったり,

人の体に悪い毒素などを出したりするので,

さまざまな症状が出ます。

それが細菌性の感染症です。

 

細菌性の感染症の多くには,

いまでは「抗生物質(こうせいぶっしつ)」

という薬が開発されてきていて,

それで劇的に病状が回復したりします。

細菌は

体の中に入ってきた「敵」=「自分の細胞とは違う細胞」なので,

そういう自分以外の細菌に効く薬を開発することができたわけです。

 

ところが,人にうつるウイルスは,

細菌のように栄養を与えても全く増えません。

他の生物の生きた細胞の中でしか活動しません。

ですから,

調理した食べ物の中や,

死体などの中でも増えません。

特に人にうつるウイルスはとにかく人からうつるのです。

 

くしゃみやつばなどの中に入って

一緒に人にうつっていくウイルスは,

身体に入った時点では何も動きがありません。

それが細胞の表面にたどり着き,

細胞の中に侵入していくと,

急に動き出します。

ウイルスは細胞の中で

人の細胞が持っている材料を勝手に使って,

自分の子孫をどんどん作っていくのです。

細胞の中でウイルスが増えると,

ウイルスが細胞を破って外にでて,

まわりの細胞の方へ広がって行きます。

そしてウイルスに食いつくされた細胞は死んでいきます。

つまり「ウイルスが体の中で広がる」というのは,

「そういうウイルスに食いつくされ死んだ細胞がたくさん増えていく」

とイメージすればいいわけです。

 

「そういうウイルスをやっつける薬を使えばいい」と思うのですが,

ウイルスを薬でやっつけるのはかなり困難です。

体に入ってきたウイルスは

その段階では「生きてない」状態のものなので,

そもそも「殺す」ということができません。

そして,

人の生きた細胞の中に入ってるときにだけ活動しているのですが,

「ウイルスに感染した細胞だけを選んでやっつける」

ということが難しいのです。

他の健康な細胞との見分けがほとんどつかないので,

下手な薬を使ったら

かえって健康な細胞を殺してしまい,

もっと重い病気になりかねないからです。

 

ですから,

ウイルスをやっつける「抗ウイルス剤」というものの開発は,

とても困難で時間がかかります。

そういう薬を開発するためにはウイルスの性質をくわしくしらべ,

どの段階でどの働きを止めることができるか,

しかも健康な細胞に害をもたらさずに,

ということを調べて見つけていかなければならないからです。

 

いま,全世界的に「外出禁止」などの強い措置が取られている理由は,

「ウイルスはヒトの生きた細胞,

身体の中でしか生きられないので,

一人の人がウイルスを人にうつさなければ広がらない」からなのです。

とにかく「人にうつす」という機会を減らすことが,

ウイルス対策の第一であるからです。

 

そして,

感染した人は時間をかけて休んだり治療したりすることで,

体が持つ〈免疫(めんえき)〉という病原体をやっつける働きを助け,

自分の体の中にいるウイルスと闘います。

その働きで症状が重くならずに回復していくことが可能なわけです。

 

***ここまで

 

今日は,今回のウイルスの大きさの話が出てきましたね。

とても小さいがために,やっかいなのです。

そういう意味では,

同じような大きさ・性質をもつ「インフルエンザ」も大変やっかいですが,

こちらは長い闘いの歴史の中で,対策がなされてきています。

しかし,今回は人類も初めての出会いなので,

もともと人間の体に備わっている

「免疫(めんえき)」にやっつけてもらうほかに,方法がありません。

自分の中の免疫が弱ければ,

あえなく負けてしまい,死んでしまうのです。

 

明日は,この新型の特徴「肺でも増える」を紹介します。

今回の「ウイルスの大きさ(小ささ)」がやっかいであることが,

見えてくると思います。

 

 

みんなへつうしん  4月14日(火)

 

群馬県の感染者は,わかっているだけで昨日の時点で90人。

高崎市では7人です。

ところが,新しいウイルスなので,

人の体にはそれを防ぐ力がまだありません。

つまり,ふつうの風邪よりもかんたんにうつってしまうのです。

そう考えると,感染がわかっている人に関わった人には,

すでにウイルスは住みついている可能性があります。

そのウイルスは,知らぬ間に増えます。

どのくらいの日数で増えていくのでしょう。

昨日の話の続きを読んでみましょう。

 

 ***

 

「新型コロナウイルス」についての基礎知識・シリーズ②
 中一夫さん(東京・中学校)の資料より

 

2日目に4個なら、3日目に4×2=8個、

4日目には8×2=16┅┅となっていきます。

その計算で進むと、100を越えるのは、7日目(128)になります。

そして、そのあとの増加は下のグラフのようになります。

それを見ると、1000を越えるのは10日目、

10000を越えるのは、14日目となります。

つまり

「100を越えるのに一週間、10000を越えるのに一週間」

かかることになります。

最初に100まで超えるのに一週間もかかったのに、

そこから100倍に増えるのには、

同じ一週間しかかってないわけです。


では、このあとは、どういう変化になるのでしょう?
下のグラフは、2週間を超えた15日以降の変化を顕したグラフです。

1万を突破したあとは、3日で10万を突破し、

さらにその3日後には100万を突破します。

このグラフでは単位が「万」となっており、

前のグラフとは全くし単位が違います。

つまり、前のグラフで同じように15日目以降のグラフを書こうと思ったら、

グラフの紙は上に50枚もつけ加えないといけないわけです。


そのような細菌やウイルスの増え方は

「指数関数的増加」と言い、

高校の数学で学ぶ内容ですが、

途中まではまったく増えてないように見えて、

ある時から急激に増えていくその増加の割合に驚きます。

けれども、激増したからと言って、

その時急に増え方のスピードが速まったわけでも何でもなく、

ずーっと同じスピードで増えると、

このようにあるときからその増加の割合が急激になるのです。

 

そのように細菌やウイルスというものは増えていきますから、

「昨日まで軽いカゼの症状に思えていたのに、急激に症状が悪化した」

というのは、当然あり得ることなのです。

前日より次の日には、

細菌やウイルスが前の倍の数になっているわけですから、

そのぶん症状も急激になってくるわけです。

 

***


これを見て心配になるのは,自分の体の中でも,

もしかして増え続けているのではないか?ということ。

だから,相手にうつさないようにマスクをすることは,

どうしても必要です。

体の中だけでなく

人から人へうつっていくのも,

努力しなければ

これと同じくらいの勢いで増えていってしまうかもしれません。

 

みんなへつうしん  4月13日(月)

 

金曜日は,

まだプリントを取りに来ていなかったクラスの子が

全員来てくれて,

無事,みんなに課題を渡すことができました。

学校からのメールでは

「取りに来るのが無理な場合は,担任が届けます」

ということになっていたのに,

全員が来てくれたのはおどろきでした。

嬉しかった反面,

全員が来てくれたのは,強制してしまった感じもあるのかな?

と心配もしてしまいます。

「感染リスクが心配」という人は,

ホントに無理して取りにこなくても大丈夫です。

そのうち,こうして取りに来ることもダメ,

ということにもなるんじゃないのかな,

というのが,いまのぼくの予想です。


金曜日は,Yちゃんが「先生!これは今年はないんですか?」と

わざわざ持ってきて見せてくれたものにビックリ。

それは,昨年担任した弟のYくんが

ファイルしてくれていた「みんなへつうしん」でした。

「わたし,これ毎日読んでいたんですよ~」だって(笑)

めちゃ嬉しいです。

「今年もやるよ~!っていうか,宿題が入ってる封筒に,

昨日までの分の〈みんなへつうしん〉が入っているから読んでね」

と言ったら,「やった~」だって(〃'▽'〃) 

そんなふうに,家族や姉弟で読んでいてくれているなんて,

思ってもみなかったので嬉しすぎました。

そうやって,みんなとつながれるツールがあるのはありがたいです。


休校中は,なかなかクラスの子ともつながれないでしょうから,

よかったらみんなも,「みんなへつうしん」あてに,

お手紙を書いてみませんか。

6年生での意気込みとか,先生の授業の期待していることとか,

最近ハマっていることとか,なんでもいいので,書いてみてください。

ぼくが編集して,みんなへつうしんを通して,

みんなへ紹介したいと思っています。どうかな?

 

***


「新型コロナウイルス」についての基礎知識・シリーズ①

中一夫さん(東京・中学校)の資料より

 

●細菌やウイルスの増え方~症状悪化の原因
人に「うつる病気」のことを〈感染症〉といいますが,

その原因となるのは、いま話題の〈ウイルス〉と、

〈細菌〉というものが大部分を占めます。

ですから、まず、

細菌やウイルスの増え方について、

最初に見ておきたいと思います。
  
感染者数の急増が世界中でも、

日本でも最大の問題となっています。

その中でも、「急激に症状が悪化する」と言われています。

どうしてそのようなことが起こるかというと、

それは「ウイルスの増え方」が原因です。

そもそも感染症の原因となる細菌やウイルスは

どのような割合で増えていくのでしょう?

 

「最初に1個あった細菌やウイルスが毎日、倍に増えていく」

と考えてみてください。

その割合で増えて行ったら、

最初1個だったものはどのくらいで100個、1000個、10000個に増えていくでしょう?
計算とかしないで、パッと感じた数字を考えてみてください。

 

最初1個だった細菌やウイルスが、一日たったら2個に増えます。

①100個を超すのは何日後?  ┅┅(      日後)
②1000個を超すのは何日後? ┅┅(      日後)
③10000個を超すのは何日後? ┅┅(      日後)